第3話「転生後の人生は〇〇〇令嬢らしい……?」(脚本)
〇貴族の応接間
フェミリー・コール「そろそろ喉が渇く頃合いかと・・・・・・」
フェミリー・コール(って、ティーカップの用意もお茶菓子の用意も1人分しかない・・・・・・)
アーロイ・メレディ「君に気を遣わせてしまったな」
フェミリー・コール(違います! そういうことではなくて・・・・・・!)
フェミリー・コール「・・・・・・お腹が空いてしまって」
フェミリー・コール(引いてるよね!? すっごく引いているよね!?)
フェミリー・コール(令嬢が空腹に耐えきれないとか、そんな展開あり得ない・・・・・・)
アーロイ・メレディ「・・・・・・・・・・・・」
フェミリー・コール「今、笑いましたよね」
アーロイ・メレディ「・・・・・・・・・・・・」
フェミリー・コール「許してもらえますか?」
アーロイ・メレディ「・・・・・・・・・・・・」
アーロイ・メレディ「1つ、頼みを聞いてもらえるか?」
フェミリー・コール「言うことを聞けば、仲直りをしてもらえるということですか?」
アーロイ・メレディ「いや、命令に従えとは誰も言っていない・・・・・・」
フェミリー・コール「そうですよね! 申し訳ございません」
フェミリー・コール「お詫びに、なんなりとお申し付けください」
アーロイ・メレディ「手作りの・・・・・・君が作った菓子が食べたい」
フェミリー・コール(ん? 貴族は、そう簡単に他人の手作りを口にしないものでは?)
フェミリー・コール(アーロイさんは、暗殺を心配する必要のない地位の方・・・・・・?)
フェミリー・コール(それとも、単に私と親しいから警戒をしていないだけ?)
アーロイ・メレディ「フェミリー?」
さっきまで『君」と呼んでいたはずのアーロイさんは突然、私のことを名前で呼んでくれた。
ただ名前を呼ばれただけのことなのに、急激に嬉しさのような感情が込み上げてくる。
フェミリー・コール(女神っていう役職で呼ばれていた期間が、それだけ長かったってことかな)
フェミリー・コール「はい、喜んで」
アーロイ・メレディ「・・・・・・・・・・・・」
アーロイ・メレディ「ありがとう」
フェミリー・コール「無礼を働いた私に対して、お優しいですね」
アーロイ・メレディ「婚約者なんだから、気を遣うのは当然だ」
フェミリー・コール(ん?)
アーロイ・メレディ「手作りの物を求めてただけでも、君の負担に繋がる」
「それ以外のところで、君を助けられたらと思って・・・・・・」
フェミリー・コール(んん?)
フェミリー・コール「婚約者!?」
アーロイ・メレディ「フェミリー?」
アーロイ・メレディ「引き受けたくないのなら・・・・・・」
フェミリー・コール「あの・・・・・・」
アーロイ・メレディ「ん?」
フェミリー・コール「私たち、婚約を・・・・・・」
アーロイ・メレディ「ああ、婚約者で間違いないが・・・・・・」
フェミリー・コール(これは、もしかすると・・・・・・)
フェミリー・コール(婚約破棄系の人生に転生!?)
アーロイ・メレディ「フェミリー?」
フェミリー・コール「失礼いたしました」
フェミリー・コール「私の手作りお菓子、でしたよね」
アーロイ・メレディ「ああ・・・・・・」
フェミリー・コール(彼に失礼があったら、私はきっと婚約を破棄されてしまう)
フェミリー・コール「明日にでも、用意を・・・・・・」
アーロイ・メレディ「ああ、俺も手伝おう」
フェミリー・コール「いえ! アーロイ様に、ご迷惑をおかけするわけには・・・・・・」
アーロイ・メレディ「だが・・・・・・」
フェミリー・コール「ここは、私にお任せくださいっ!」
アーロイ・メレディ「・・・・・・小麦粉は、どこで入手するんだろうな」
フェミリー・コール「え?」
アーロイ・メレディ「俺たちに食材を売ってくれる人間を見つけるのも困難なことだが、森に出かけて食材を見つけるのも・・・・・・」
フェミリー・コール「え? え? え?」
フェミリー・コール「食材は、用意してもらえるのでは・・・・・・」
フェミリー・コール(だって、私たちは貴族のはず・・・・・・)
アーロイ・メレディ「脅してみるか・・・・・・」
フェミリー・コール「ダメです!」
アーロイ・メレディ「嫌われ者同士・・・・・・なかなか生きていくのが大変だな」
フェミリー・コール(これって・・・・・・)
フェミリー・コール(もしかして・・・・・・)
フェミリー・コール(私は、嫌われ令嬢に転生したってこと!?)