第1話「女神だって、異世界転生に憧れます」(脚本)
〇幻想空間
32084番さん「不慮の事故で亡くなるなんて・・・・・・」
女神D「お気持ち、お察しいたします」
女神D「32084番さんは、異世界転生を希望ということで宜しいですか?」
32084番さん「生前、そういう系のラノベが大好きだったので・・・・・・」
女神D「不幸な事故で亡くなったお詫びとして、好きな能力を1つ授けてさしあげましょう」
女神D「次こそは、素晴らしき人生を送れますように」
32084番さん「ありがとう! 女神様っ!」
〇メイド喫茶
女神D「あー・・・・・・疲れたー・・・・・・」
女神G「女神Dさん、お疲れ様」
女神D「お疲れ様ー、女神Gさん・・・・・・」
女神D「今日の日替わり定食はなんでしたか?」
女神G「お昼はピザ定食だったかな」
女神D「じゃあ、夜は和食ですかねー・・・・・・」
女神G「煮魚・焼き魚・お刺身のローテーションもいいと思うけど」
女神D「毎日同じ物ばかり食べると飽きるんです・・・・・・」
女神D「貴族に転生した31084番さん!」
女神D「昨日の夜はステーキを食べていたんですよ! ステーキを!」
女神G「ふふふっ、女神Dさんも貴族に転生してみたらどう?」
女神D「それは良いアイディアですね!」
女神は、勇者に殺してもらうしか命を絶つ術がない。
女神を殺す力を持った勇者に転生したい。
そんな希望を持った人間に出会ったことのない私は、未来永劫女神職を続けるほかないのです。
女神D「さーて、仕事に戻りますか!」
女神G「お疲れ様」
〇幻想空間
女神になって、どれくらいの時間が経過しているのか思い出せない。
異世界転生という言葉が誕生したのは比較的最近だから、何百年も女神をやっているということはないはず。
でも、昔のことを思い出せなくなるくらい私の記憶は曖昧になり始めていた。
女神D「32085番さん」
女神D(毎日が、同じ作業の繰り返し)
女神D(それは、仕方がないこと)
女神D(毎日が同じことの繰り返し)
女神D(そんな人生を送っている人は、別に私だけではない)
女神D(でも、同じ毎日は、記憶に留めておくことが難しい)
32085番さん「私・・・・・・私・・・・・・死んじゃっ・・・・・・」
女神D「泣くことで気持ちが晴れるわけではありませんが、思う存分泣いてください」
女神D(今日も私は、不幸な事故で亡くなった人と出会う)
女神D(不幸な事故で亡くなった人が、なるべく幸福な人生に転生できるように手を貸す)
女神D(でも)
32085番さん「すみません・・・・・・泣き崩れちゃって・・・・・・」
女神D「お悔やみ申し上げます」
女神D(女神だって)
女神D「32085番さんは、異世界転生を希望で宜しいでしょうか」
女神D(刺激が欲しい)
32085番さん「異世界転生のラノベを好んで読んでいたので、よろしくお願いします」
女神D(女神だって、異世界転生をしてみたい!)
女神D「そこで1つ提案なのですが・・・・・・」
女神D「あなたがこれから異世界転生する人生と、私の女神と呼ばれる役職を交換してみませんか?」
女神D(異世界に転生して、人生を謳歌したい!)
32085番さん「えー・・・・・・」
女神D「あの! 女神は福利厚生がちゃんとしているので、悪い人生にはならないと思いますよ?」
32085番さん「だって・・・・・・」
女神D「だって?」
32085番さん「女神に転生しちゃったら、恋愛できないじゃないですか!?」
女神D「え?」
32085番さん「私だって恋愛したいです! 異世界の偉い人たちと結婚して、怠惰な生活を送ることが私の夢なんです!」
女神D「分かりました」
32085番さん「女神様?」
女神D「だったら、私は恋愛禁止の人生を歩みましょう!」
32085番さん「本当ですか!?」
女神D「ええ、恋愛が人生のすべてではありませんからね」
32085番さん「女神さまが条件を吞んでくださるなら、私も謹んで女神の役職へと転生します!」
32085番さん「女神をやりつつ、怠惰な毎日を過ごしてやります!」
女神D(大丈夫・・・・・・だよね?)
32085番さん「では、早速!」
32085番さん「1つだけ好きな能力を授けることができますが・・・・・・」
女神D「せっかくなら、魔法に関するチート能力でもいただきましょうか」
32085番さん「それは名案でもあり、定番の展開ですね」
女神D「チート能力があれば、悪役令嬢に転生したときになんとか生き延びることができそうですしね!」
32085番さん「女神様の新しい人生に、多くの幸福がありますように」
女神様には、どうか自由気ままに生きてほしいです〜!!32085番、なにかの伏線でしょうか・・・?こちらも気になっております!
生まれ変わったらどんなキャラクターになるか、異世界転生物ならではのワクワクする話題が1話にたっぷり詰まっていて楽しかったです。本当に恋をしなくていいんでしょうか?気になる終わり方がいいですね。
毎日毎日同じ事の繰り返し。平凡な仕事はすぐに飽きてしまいます。何か刺激が欲しい女神様はこれからどうなってしまうのでしょうか。続きが楽しみです。