メイド・ザ・リッパー

雛夢

#19 メイド・ザ・リッパー(脚本)

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〇豪華な部屋
  善哉寺とのディベート対決に勝利した夜留は、遂にプルミエにたどり着いた。
北園夜留「真桜っ!」
  夜留が真桜に抱きついた。
北園夜留「やった、やったよぉ・・・!」
佐倉真桜「本当に・・・お疲れ様でしたね」
佐倉真桜「お嬢様の勇姿、しかと見届けました」
佐倉真桜「後日、最高品位授与式というものがあるそうです」
北園夜留「えへへぇ・・・」
佐倉真桜「ディベートですが、どういった作戦だったのですか?」
北園夜留「夜留も負けちゃったかなって、正直思った」
北園夜留「夜留を応援してくれてた人、思ったより多かったみたい」
北園夜留「みんなのお花の手入れしてたからかなぁ」
佐倉真桜「ああ・・・カリスマというのは、そういうことの積み重ねなのかもしれませんね」
北園夜留「それに、真桜のあの言葉を思い出したから」
佐倉真桜「・・・? 私が何か言いましたか?」
北園夜留「ディベートに正しさは必要ない、って」
佐倉真桜「ああ・・・」
北園夜留「聞く人の心を動かすのは、論理じゃなくて感情、だね」
佐倉真桜「流石はお嬢様です」
北園夜留「えへへ・・・」
佐倉真桜「嬉しそうなお嬢様を見ていると、とても癒されます」
佐倉真桜「さて、紅茶を入れてまいりますね」
北園夜留「うん、ありがとぉ・・・」

〇豪華な部屋
  真桜がティーセットを持って戻ってくると、夜留が机に突っ伏して眠っていた。
佐倉真桜(お疲れになりましたよね、お嬢様)
  真桜はお姫様抱っこで夜留をベットへと運んだ。
佐倉真桜(まだ、午後8時・・・私も少しだけ休ませてもらいましょう)

〇豪華な部屋
  午前二時前。
  真桜が窓から夜空を見上げた。
佐倉真桜(あの日と同じくらい、綺麗な空ですよ、お嬢様)
佐倉真桜(・・・今日、全てを終わらせましょう)
佐倉真桜(私はまだ、星を見上げるだけの夜を迎えることは出来ないのです)
  真桜が扉をそっと閉めて、部屋を後にした。
北園夜留「・・・・・・」
  ベッドで横になっていた夜留が、窓から星を眺めている。
北園夜留「ねえ、真桜」
北園夜留「あの一番大きく光ってる星、きっと、今日も夜留たちを照らしてるんだよ」

〇おしゃれな廊下
  暗い廊下を闊歩していた真桜が立ち止まる。
佐倉真桜「・・・・・・」
林要「やはり、今夜なのですね、真桜」
佐倉真桜「待っていたのですか、要」
林要「はい、お待ちしていました」
佐倉真桜「プルミエは、お嬢様のものになりました」
林要「はい。お見事、と言わざる得ませんね」
佐倉真桜「・・・ですが、私はまだ、止まれません」
林要「私もまた、引くことはできません」
林要「お嬢様はプルミエをご所望なのです。 残念ですが、夜留様には消えて頂かなくてはなりません」
佐倉真桜「・・・・・・」
佐倉真桜「朝顔と夜顔、北園家ではその二つが綺麗に並んで咲いていました」
佐倉真桜「私は、その景色が大好きでした」
林要「・・・そうですか」
佐倉真桜「貴女に、それを奪う権利があったのですか」
林要「私には、権利など必要ありません」
林要「私の正義はお嬢様にしかありません」
林要「たとえ、世界中の全ての人間に否定されたとしても、揺るがないことです」
林要「お嬢様が望むなら、花を踏みつけ、赤子を殺してみせましょう」
佐倉真桜「ふ・・・まるで、詩人ですね」
林要「貴女こそ」
  二人はクスクスと笑い合う。
佐倉真桜「・・・そろそろ、お話は終わりにしましょうか」
佐倉真桜「従者同士の会話ほど、無意味なものはありませんから」
林要「同意します」
佐倉真桜「・・・・・・」
  二人が武器に手をかける。
  一瞬の静寂。
「──貴女を! 殺します!」
  剣戟の音が寮内に響き渡る。
  壁や段差を使って縦横無尽に立ち回る要とは対照的に、真桜はほとんど動かない。
  その場で要のレイピアを捌いている。
佐倉真桜(・・・消耗戦は不利ですね)
  一撃は浅いものの、要のレイピアは確実に真桜の身体を傷つけている。
佐倉真桜(しかし、一瞬の隙を見逃さなければ・・・!)

〇豪華な部屋
  ベットの端に座った夜留が、窓から星を眺めていた。
北園夜留「お姉ちゃん、私、プルミエになった」
北園夜留「頑張ったよ・・・」
  コンコン
  夜の静かな空間に響いたドアノックが、来客を知らせる。
北園夜留「・・・誰ですか?」
???「夜留さん、開けてくださいますか」

〇おしゃれな廊下
佐倉真桜「・・・!」
  要の攻撃が一瞬止まる。
  真桜が大きくバックステップして、腰を落とした。
  要は突然の真桜の移動に反応できない。
林要「・・・・・・」
  要の視界に映り込むことなく、真桜が距離を詰める。
  真桜の刀は既に鞘に収まっていた。
林要「お見事、です」
  要がその場に跪く。
  彼女の鮮血が廊下の絨毯を汚した。
佐倉真桜「まだ話せますか」
林要「ああ・・・負け、ですか」
林要「・・・どうか、お嬢様だけは見逃して、いただけませんか」
佐倉真桜「・・・・・・」
林要「あの人は・・・私の全てなんです」
佐倉真桜「何が・・・!」
佐倉真桜「私から・・・朝咲お嬢様を奪っておいて・・・どうして・・・そんなことが言える」
林要「・・・お願い、します」
  要の頬に涙が伝う。
佐倉真桜「・・・貴女の主人もすぐに追わせます」
林要「はぁ・・・はぁ・・・」
  要が血を吐き出した。
林要「・・・私が貴方の立場なら・・・同じことを言ったでしょうね」
  足を震わせながら立ち上がる要。
佐倉真桜「・・・私も、貴女の立場なら同じことを言うでしょう」
  二人が得物を構える。
  よたよたと近づいてくる要を、真桜は腕だけで薙ぎ払う。
  要の身体から力が抜け、倒れ込んだ。
佐倉真桜「・・・・・・」

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