#15 Night and Knight(脚本)
〇豪華な部屋
善哉寺鏡日「夜留さんがトロジエームになった、ですって?」
林要「はい、本日から、トロワジエームとなりました」
林要「成績も非常に優秀のようで、学園側からの評価も上々です」
善哉寺鏡日「・・・・・・」
林要「加えて、佐倉真桜の暗躍もございます」
林要「これまでにお嬢様が送り込んだ者たちもことごとく消されております」
林要「佐倉真桜に対する評価を改める必要があります。あの戦闘力は、一介のメイドではありません」
善哉寺鏡日「貴女が負けることなどあり得るの?」
林要「あり得ません」
善哉寺鏡日「そう、なら──」
林要「ですが、立ち向かうなら、私も全力で相手をしなくてはなりません」
林要「正直なところ、余裕のある相手ではないということを報告しておきます」
善哉寺鏡日「・・・・・・」
林要「申し訳ございません」
善哉寺鏡日「いいえ、貴女の口から、そのような発言が聞ける日が来るとは、思いませんでした。少々、驚きましたわ」
善哉寺鏡日「その・・・貴女に余裕を与えないほどのメイド、佐倉真桜はどうしても私たちを殺したいようですわね」
林要「はい。もはやあれは、復讐に身を焦がし続ける化け物です」
善哉寺鏡日「全く、鬱陶しい・・・」
林要「いかがいたしましょうか」
善哉寺鏡日「何もしなくて構いません」
林要「・・・よろしいのですか?」
善哉寺鏡日「二度聞かないで! 貴女は側にいなさい」
要がふと視線を落とすと、震えている善哉寺の手がそこにあった。
林要「・・・!」
林要「お嬢様──」
善哉寺鏡日「答弁は結構」
林要「・・・かしこまりました。お側におります」
要が善哉寺に手を重ねた。次第に、善哉寺の震えが止まっていく。
林要「そろそろお時間です」
善哉寺鏡日「ええ、行きましょう」
〇お嬢様学校
生徒「夜留さん! トロワジエーム、おめでとうございます!」
北園夜留「あ、あ・・・ありがとうございます・・・」
生徒「ドゥジエームにも直ぐに上がる予定って本当ですか!? すごいですっ! 尊敬してます!」
生徒「よかったら、お父様にもよろしくお伝えください!」
北園夜留「あ、あう・・・はい・・・」
佐倉真桜「・・・なるほど、トロワジエームの地位はそこそこ高いようですね」
佐倉真桜「単なる中堅の品位、というわけではないようです」
北園夜留「真桜、どうしよう・・・人がいっぱい集まってくる」
佐倉真桜「お嬢様と接点を作りたい方が賛辞を述べに来ているのでしょう」
佐倉真桜「こちらです。お嬢様、お手を拝借します」
近づいてくる生徒たちに翻弄される夜留の歩く道を切り開くように進む真桜。
真桜の勢いに負けて、次々と生徒たちが引いていく。
ふと真桜が足を止める。
真桜の目の前には善哉寺と、その取り巻きの生徒達が立ちはだかっていた。
北園夜留「善哉寺さん・・・」
善哉寺鏡日「トロワジエームへの昇格、おめでとうございます。夜留さん」
夜留への祝福ムードが一変、場が静かになった。
北園夜留「あ、ありがとうございます」
佐倉真桜「・・・・・・」
善哉寺鏡日「わたくし、正直、貴女を馬鹿にしていました」
北園夜留「え?」
善哉寺鏡日「課題をそつなくこなす学習能力。チェスの腕。控えめなその性格故のカリスマ」
善哉寺鏡日「驚きこそあったものの、無名の家柄からの台頭も納得せざるを得ません」
善哉寺鏡日「認めましょう。 貴女は、私のライバルにふさわしいですわ」
辺りがざわめく。
北園夜留「ライバル・・・」
善哉寺鏡日「そして──」
善哉寺鏡日「あえて、ここに宣言しましょう」
善哉寺鏡日「プルミエは、私のものですわ」
北園夜留「・・・!」
北園夜留「だめ・・・!」
善哉寺鏡日「なんですの?」
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