メイド・ザ・リッパー

雛夢

#13 星明かりが照らす花(脚本)

メイド・ザ・リッパー

雛夢

今すぐ読む

メイド・ザ・リッパー
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇洋館の一室
  敷島エリカの宣戦布告を受けた後、部屋に戻った真桜は椅子に浅く腰を掛けて考え事をしていた。
佐倉真桜(返り血は、新たな血を呼ぶのですね)
北園夜留「ま〜お〜!」
佐倉真桜「・・・・・・」
北園夜留(真桜、また考え事をしてる)
北園夜留(敷島って人と会ってから、ずっと・・・)
佐倉真桜「・・・・・・」
佐倉真桜(朝咲お嬢様、貴女はいつも、気高く、清らかでした)
佐倉真桜(教えてください・・・私たちは、何を間違えたのでしょうか)

〇豪華なベッドルーム
北園朝咲「ねえ真桜」
佐倉真桜「はい」
北園朝咲「私ね、峰ヶ丘学園に行こうと思うんだ」
佐倉真桜「峰ヶ丘学園・・・ご当主様に言われたのですか?」
北園朝咲「ううん、パパに言われたからじゃないよ。 私が決めたの」
北園朝咲「私が峰ヶ丘学園のトップに立つことが出来れば、北園家の政界の台頭が一気に早まるから」
北園朝咲「それに、私がもし行かないなら、きっと夜留が行くことになると思う」
佐倉真桜「それは、夜留お嬢様が決めることです」
北園朝咲「そうだね。でも、きっとそれは難しい」
佐倉真桜「なぜですか?」
北園朝咲「パパはどうしたって峰ヶ丘学園のトップに立ちたがるはず」
北園朝咲「私に断られたら、手段を選んでる暇なんて無くなっちゃう」
佐倉真桜「解せません。お嬢様がその学園のトップに立つことで、ご当主様ご自身の格が上がるわけでもないでしょうに」
北園朝咲「上がるんだよね〜、これがまた」
佐倉真桜「どういうことです?」
北園朝咲「さあ?」
佐倉真桜「さあ、ですか・・・」
北園朝咲「難しい人たちは、そういうことを気にするんでしょ」
佐倉真桜「全くわからないのですが」
北園朝咲「うん、まあ・・・パパ達の世界のことは置いておいていいの」
北園朝咲「峰ヶ丘学園に入ることは、私が決めたことだから」
佐倉真桜「そんな簡単に決められては・・・」
佐倉真桜「権力争いに巻き込まれるのは気が進まないとおっしゃっていたではありませんか」
北園朝咲「あれ、真桜は反対?」
佐倉真桜「いえ! 反対するわけでは・・・」
佐倉真桜「その、峰ヶ丘学園は成績競争が激しいと聞きます」
佐倉真桜「噂では、いじめによって自殺する生徒も多いとか」
北園朝咲「いじめの噂なんて、どんな学校でもあるよ」
佐倉真桜「そうでしょうか・・・」
北園朝咲「心配なんだね」
佐倉真桜「お嬢様ばかり、重荷を抱えている気がします」
北園朝咲「そんなことないよ、パパだって頑張ってる。望んで今の位置にいるわけじゃないし」
佐倉真桜「そうは言いますが──」
北園朝咲「はいそこまで!」
北園朝咲「いいのいいの、パパや夜留のためなら、なんだってできるんだから。もちろん真桜のためにもね」
佐倉真桜「お嬢様・・・献身は私の役目です。 辛い思いをしていただく必要はありません」
北園朝咲「辛くなんかないよ。結構自信あるんだから!」
佐倉真桜「お嬢様ならば成績トップなど造作もないかと思いますが、わざわざ黒い噂の絶えない学園でなくとも──」
北園朝咲「まーお?」
佐倉真桜「はい・・・」
北園朝咲「心配ありがと! 大丈夫だから、ね?」
佐倉真桜「・・・かしこまりました」

〇洋館の一室
佐倉真桜「くっ──!」
  真桜が右腕でテーブルの上の花瓶を薙ぎ払う。焼き物の割れる音が部屋に響き渡った。
  ガシャン
北園夜留「ひっ!」
佐倉真桜「・・・・・・」
北園夜留「ま、真桜?」
佐倉真桜「・・・失礼しました。すぐに片付けます」
北園夜留「ど、どうしたの・・・」
佐倉真桜「・・・覚えていますか」
  真桜は床に散らばった花瓶のかけらを集めながら、呟くように言った。
佐倉真桜「朝咲お嬢様と星を見たあの日を」
北園夜留「え? う、うん・・・」
北園夜留「お姉ちゃんのこと、思い出してたんだ」
佐倉真桜「はい」
北園夜留「ふたりが学園に入学する前日の夜、急に言いだしたんだよね」
北園夜留「星を見にいこう、って」
佐倉真桜「そう・・・雪解けが終わり、ちょうど春の暖かさを感じられるようになってきた時期でした──」

〇けもの道
北園夜留「夜留、もう疲れた」
北園朝咲「頑張ってほら! もうちょっと行くと星が綺麗に見える場所あるから!」
佐倉真桜「夜留お嬢様、私の背中へ」
北園朝咲「あーあ、また真桜は甘やかす」
北園夜留「お、おんぶはもうしなくていいっ!」
佐倉真桜「無理はせずとも・・・」
北園朝咲「恥ずかしいんだって」
佐倉真桜「恥ずかしい、ですか?」
佐倉真桜「少し前までは、してほしいとせがんできたではありませんか」
北園夜留「ち、ちが・・・いつの話!」
北園朝咲「あはは、夜留はいつまでも可愛いねえ」
北園夜留「うう・・・」
佐倉真桜「ああ、道がひらけてきましたね」
北園夜留「あ・・・」

〇宇宙空間
  3人の視界に飛び込んできたのは、満天の星だった。
北園朝咲「うわ・・・今日は一段と綺麗・・・!」
北園朝咲「どう? ね、どう!?」
佐倉真桜「これは・・・壮観ですね」
北園夜留「すごい・・・すごいっ!」
北園朝咲「・・・・・・」

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

次のエピソード:#14 アヴェンジャーズ・コンプレックス

成分キーワード

ページTOPへ