エピソード2(脚本)
〇学校の屋上
うわぁ!
2日目
星桐彦「いってて・・・ん?」
姫路伊織「ん?」
バタンッ
星桐彦「・・・あれ?」
姫路伊織「どうかした?」
星桐彦「・・・夢?」
姫路伊織「・・・夢って?」
星桐彦「痛い」
姫路伊織「・・・どうしたのさ?」
キーンコーン♪ カーンコーン♪
星桐彦「・・・・・・」
姫路伊織「ちょっと、大丈夫? これ、本鈴だよ」
星桐彦「あ、ああ・・・」
星桐彦「え、本鈴?」
星桐彦「そうだ、長井の授業だったよな! 急ぐぞ!」
姫路伊織「うん」
〇学校の廊下
姫路伊織「僕、こっち」
星桐彦「おう! 先生になんか言われたら、腹壊してトイレに行ってたってことにしろ!」
姫路伊織「絶対嫌。桐彦じゃあるまいし」
星桐彦「何! 怒られても知らないからな!」
姫路伊織「桐彦じゃないんだから、うまくやるよ」
星桐彦「言ったなー」
姫路伊織「そっちこそ怒られないようにね、桐彦」
星桐彦「当たり前だろ!」
ハイタッチをして別れる二人。
桐彦の「セーフ!」という声が廊下まで聞こえて来る。
教室から乙女が出てくる。
姫路伊織「・・・・・・」
〇教室の教壇
星桐彦「いてて。 長井め、手加減を知らないんだもんな」
佐原俊平「その、なんだっけ。 正夢見たって言うなら、あれくらい避けろよ」
星桐彦「そうなんだよ。 分かってたのに、うっかり忘れてた」
佐原俊平「うっかりー?」
星桐彦「あ、その顔、信じてないな。本当だって。 委員長が早引けしたのも夢で見たんだ」
佐原俊平「あれは早引けっていうか・・・」
星桐彦「まあ、多分ずる休みだけどな」
星桐彦「でも本当に夢でも同じだったんだ。 さようならって言って・・・」
佐原俊平「はいはい。 とりあえずそういうことにしといてやるよ」
星桐彦「とりあえずって! 本当だって! マジで7月6日だったんだよ!」
佐原俊平「分かった、分かった」
佐原俊平「しかし、いつも穏やかに暮らしたいって言ってるお前が授業に遅れるなんて、珍しいんじゃね?」
星桐彦「あ! そうだ」
佐原俊平「ん?」
星桐彦「これも夢で見たんだけど・・・」
佐原俊平「うん?」
星桐彦「お前、彼女できた?」
むせる佐原。
星桐彦「やっぱり夢で見た通りか!」
佐原俊平「お前、なんで。その夢スゲーな」
星桐彦「だろだろ。 で、その彼女、唯奈ちゃんだろ?」
佐原俊平「ふふふ。 何を隠そう、この弁当も手作りだったりするんだな」
星桐彦「えー! お前が弁当なんか珍しいなと思ったら、そういうことか!」
佐原俊平「うん。さっき渡されて・・・」
「シュンちゃん!」
星桐彦「ん?」
佐原俊平「ユイたーん!」
星桐彦「す、すごい・・・ なにもかも夢と一緒だ・・・」
姫路伊織「何がすごいって?」
星桐彦「わっ!」
姫路伊織「変な顔」
星桐彦「伊織、俺すごいんだ! 予知夢! 予知夢見たんだよ!」
姫路伊織「予知夢?」
星桐彦「予知夢っていうか、正夢っていうか・・・」
星桐彦「とにかく、今日起こること、全部夢に見た通りになるんだ!」
姫路伊織「・・・・・・」
星桐彦「な? びっくりするだろ!」
姫路伊織「うん」
星桐彦「これから起こることを全部知ってるってことは、今日の俺、危険回避率100パーセント」
星桐彦「ふふふ。平穏決定だな」
姫路伊織「・・・そうだね」
星桐彦「ん? どうした?」
姫路伊織「ううん。なんでもない」
〇学校の駐輪場
自転車には『佐原俊平』のネームシール。
姫路伊織「・・・・・・」