エピソード3 人魚(元人間)の贖罪(脚本)
〇王宮の入口
人魚の城
ミナトはミナに案内されて、海の底にある人魚の王国に着きました。
そこには沢山の人魚たちがおりました。
そして、ミナはミナトを案内して、人魚の城に着きました。
ミナ「ここは私の実家よ」
ミナト「うわー!」
ミナト「大きくて神秘的だな」
ミナ「さあ、入りましょう」
ミナト「う、うん」
ミナトとミナは宮殿に入りました。
〇謁見の間
玉座の間
ミカ「ミナ!」
ミナ「お姉様!」
ミカ「もうどこに行ったのよ?」
ミカ「また海上の人間たちの様子を見たの?」
ミナ「バレちゃった?」
ミカ「まったくもう・・・」
ミカ「それより、その男性は?」
ミナト「は、初めましてミナトです!」
ミカ「ミナトね」
ミカ「私は、ミナの姉の女王ミカです」
ミナト「女王様でしたか!」
ミカ「あれ?我々と違い耳が丸いですね、まさか・・・」
ミナ「はい、ララの薬によって、人魚化した人間です」
ミカ「やはり・・・成功したようですね」
ミナ「はい」
ミカ「ミナトと、言ったね」
ミナト「はい・・・」
ミカ「あなたはこの国について話さなければなりません」
ミナト「はい、わかりました」
ミカ「この国では今問題があるんです」
ミナト「問題?」
ミカ「我々人魚族は、何事にも平穏な生活を送っていました」
ミカ「しかし、時代とともに環境変化により、大量のサメが出現しており、さらには人間たちが海に出て私たちを捕らえに来たのです」
ミカ「サメは、人魚の遺体を食べたことにより、味を知り、人魚を襲いましたが、ララの母がその対策に乗り、なんとか収まりました」
ミカ「さらに、人間たちが現れて、こんな噂がささやかれました、「人魚の肉は不老不死」になるという」
ミカ「どこの噂か知らない発生源が不明であり、これにより人間たちが私たちを捉え、拷問やひどい行いをしました」
ミカ「男の人魚である兵士たちも懸命に戦いましたが、ほとんどが絶滅しており、私たちは希望を失っていました」
ミカ「しかし、私の幼馴染であるララが人間を人魚化する開発をしており、そして、ついにあなたが実験に成功した人魚なのです」
ミナト「俺が!」
ミナ「先ほどの薬を見せるね」
ミナ「この薬があなたを人魚に変えたのよ」
ミナト「それは僕に飲ませた薬だよね?」
ミナ「そうよ!」
ミナ「でも、あなたは瀕死状態だった、この薬を飲まなかったら、あなたは確実に死んでたよ」
ミナト「そうだったんだ・・・」
ミナト「うっかりしてごめん」
ミナ「いいのよ」
ミカ「さて、そろそろ夜になる、ミナ今日はあなたの部屋でミナトを休ませなさい」
ミナ「わかりましたわ、お姉様」
ミナ「こっちについてきて」
ミナト「おっ、おう」
ミナは、ミナトに自分の部屋まで案内した。
ミカ「人魚族の未来がかかっている・・・」
ミカ「ミラコ」
ミラコ「はい!」
ミカ「お二人に飲み物を出してもらえないかな?」
ミラコ「承知いたしました」
〇宮殿の部屋
ミナの部屋
ミナ「ここは私の部屋だよ」
ミナト「うわー綺麗だな」
ミナ「ありがとう」
「失礼します、お飲み物を持ってきました!」
ミナ「どうぞ入ってきてください」
ミラコ「お待たせしました、真珠ミルクです」
ミナト「真珠ミルク?」
ミナ「ご苦労様」
ミラコ「では、失礼します」
ミナト「なあミナ」
ミナ「何?」
ミナト「真珠ミルクって何?」
ミナ「真珠ミルクはね、真珠のエキスとイルカさんのお乳と混ぜた飲み物よ」
ミナト「へえ・・・」
ミナ「とにかく飲んでみて」
ミナト「じゃあ、いただきます」
ミナト「甘い!」
ミナ「美味しいでしょ?」
ミナト「うん、すごく美味しいよ!」
ミナ「良かった」
ミナト「これからどうするかな・・・」
ミナ「そうね、考えても仕方がないわ」
ミナ「今は寝ましょう」
ミナト「うん」
ミナト「ねえ、聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
ミナ「何?」
ミナト「最初僕に会った時にはどんな印象だった?」
ミナ「一目惚れするぐらい男前だったよ!」
ミナト「マジで言ってるの?」
ミナ「本当よ」
ミナト「そっか・・・」
ミナト「それにしても自分は人間から人魚になるなんて」
ミナト「まるで人魚姫の逆バージョンみたいだな」
ミナ「人魚姫?」
ミナト「人間の世界の人魚のお姫様の物語だね」
ミナ「私も姫なんだけど」
ミナト「そういえばそうね・・・」
ミナ「人間界の人魚姫の話を聞かせてもらえないかな?」
ミナト「いいけど、あまりにも悲劇的だけど、それでもいいよね?」
ミナ「もちろん、聞いてみるわ・・・」
ミナト「じゃあ話すよ・・・」
〇要塞の回廊
人魚の城
海の底に人魚たちが暮らしていた。人魚姫は、妻に先立たれた人魚の王の娘であり、5人の姉がいる。
姉たちは1歳ずつ年齢が異なり、15歳になると海の上へと昇ることが許されるのであった。
やがて人魚姫も15歳になり、海の上へ昇る日がやってきた。
「おめでとう、これで海の上の世界に行けるようになったね!」
「気をつけて行くのよ!」
人魚姫「分かったわ、行ってきます!」
〇豪華なクルーザー
海上
人魚姫「やっと海の上の世界に着いたわ!」
人魚姫「あれ?」
海の上には一隻の船があり、そこに人間の王子がいた。
人魚姫「なんて素敵な人・・・」
〇クルーザーのデッキ
人間の王子「・・・」
〇豪華なクルーザー
人魚姫「なんて素敵な人・・・」
人魚姫「あら?」
〇豪華なクルーザー
人魚姫は王子に一目惚れするが、夜になって嵐となり、船は難破してしまい、王子は海の外に放り出されてしまった。
人魚姫「王子様!」
〇水中
海中
人魚姫「王子様!」
人魚姫「今救出しますからね!」
〇海辺
浜辺
人魚姫は意識のない王子を助け、岸辺に寝かせると少し離れて様子を見ていた。
人魚姫「王子様・・・」
人間の王子「・・・」
人間の王子「ここは?」
人魚姫「気が付いた・・・」
「だからね、それから・・・」
人魚姫「誰か来るわ!」
隣国の王女「まあ、大変!」
そこへ王女がやってきて、王子を連れて行ったので、人魚姫は海の底に戻った。
〇暗い洞窟
海中
海の底に戻った人魚姫は、人間に興味を持って祖母に人間についてさまざまな質問をする。
人間は異形の存在である人魚には恋心を抱かないだろう、と告げられると、
人魚姫は海の魔女の力を借りるために魔女の洞窟を訪れ、自分の美しい声と引き換えに人間の足を得られる薬を受け取る。
海の魔女「王子を会うために人間に会いたいのか?」
人魚姫「はい、お願いします」
海の魔女「もし、王子がおまえと結婚できなかった場合、お前は海の泡になって消える」
魔女からは王子の愛を得られなければ、泡となって消えてしまうよ、と警告を受けた。
海の魔女「そして、一度人間になれば二度と人魚には戻れないよ」
海の魔女「それでもいいか?」
人魚姫「構いません!あの人のそばにいるためならば!」
海の魔女「では、お前の声(舌)をもらおう」
人魚姫「あ、あ・・・」
海の魔女「・・・」
人魚姫「あ──!」
海の魔女「では、これを差し出そう」
海の魔女「陸に上がったらこれを飲みなさい、朝日が登る前に」
〇海辺
浜辺
人魚姫「・・・」
人魚姫「(くっ苦しい!)」
薬を飲んだ人魚姫は全裸の人間の姿になるが、声は出せず、足はナイフでえぐられるような痛みが走るのであった。
〇海辺
人間の王子「今日はいい天気だね・・・」
人間の王子「あれは!」
人魚姫は、全裸の人間の姿で倒れているところを王子に保護された。
人魚姫「ん?」
人魚姫「!」
人間の王子「何て・・・美しい・・・」
王子は人魚姫のまるでイブのような全裸の人間の姿を見て惚れてしまいました。
人魚姫は王子が服を着ていることに気づき、恥ずかしくなり急いで長い髪を隠しました。
人間の王子「大丈夫、今から君をお城へ連れて行くよ」
人魚姫「・・・」
やがて一緒に宮殿で暮らせるようになったが、声を失った人魚姫は、助けたときの出来事を伝えられなかった。
人魚姫「・・・」
〇王妃謁見の間
それでも王子から寵愛を受けていたが、王子にお見合いの話が舞い込む。
人間の王子「君は!」
隣国の王女「うふ」
人間の王子「あなたは僕を助けた命の恩人ですね!」
人魚姫「・・・」
人魚姫に好意を抱いていた王子であるが、お見合いの相手は人魚姫にそっくりな女性であったので。
人間の王子「どうか僕と結婚してください!」
隣国の王女「はい!」
人魚姫「・・・」
王子はあのとき助けてくれた人と勘違いして婚姻を受け入れてしまった。
〇海辺
悲しむ人魚姫のもとに、姉たちが現れる。姉たちは美しい髪の毛と引き換えに海の魔法使いから手に入れました。
人魚に姿を戻すためのナイフを手渡す。
「まあなんてかわいそうな!」
「このままではあなたが泡になるわ!これを持って行って!」
人魚姫「!」
「このナイフで、王子の心臓を突き刺すのよ!」
「今なら人魚に戻れるわ!」
「日が昇る前に早くやりなさい!」
人魚姫「・・・」
〇貴族の部屋
王子の寝室
人魚姫「・・・」
人魚姫「(ダメだわ、殺せないわ!)」
人魚姫「(王子様あなたのことを愛しています)」
〇断崖絶壁
崖の上の海
しかし人魚姫は王子を刺すことができず、ナイフを海に投げ捨て、海に身を投げる。
人魚姫「(さようなら王子様、どうかお幸せに)」
〇水中
海中
〇雲の上
天空
人魚姫「・・・」
人魚姫「ここは?確か死んだはずよ?」
人魚姫は泡となり、そのまま消えてしまうかと思われたが、死んでしまった実感がないまま体が空へと上がっていきました。
空気の精霊たちが現れました。
人魚姫「どなたのところへ行くのでしょうか?」
人魚姫が訪ねると。
「空気の娘たちのところへ!」
1人の空気の精霊は答えました。
人魚姫「空気の娘?」
人魚姫「あ・・・」
人魚姫「ありがとう、お父様、お姉様」
人魚姫は死なずに、風の精になることができたのである。
〇宮殿の部屋
ミナの部屋
ミナト「これが人魚姫の物語だ・・・」
ミナ「なんて悲しいの・・・」
ミナト「本当に切ない物語だよ・・・」
ミナ「ミナト・・・」
ミナト「ん?」
ミナ「もし私はこの物語の人魚姫のように人間になったら・・・」
ミナ「たとえ、ミナトが王子様だった場合」
ミナ「私の事、好きになってくれるよね?」
ミナト「えっと、それは・・・」
ミナ「もちろん、もし王子であるあなたが、他の女のところに行って幸せになるなら・・・」
ミナ「私は、この物語のように、愛する人の幸せを願って、海の泡に消えてもいいと考えてたわ」
ミナト「馬鹿なことを言うなよ!」
ミナ「!!」
ミナト「そんなことを言うなよ、俺が悲しむじゃないか」
ミナ「ミナト・・・」
ミナト「俺は決して、この物語のように、お前を泡にさせるつもりはない!」
ミナ「!」
ミナト「たとえお前が、俺の幸せのために死を選んで泡になって消えることになったとしても」
ミナト「残された俺にとっては、それが不幸を感じるんだよ」
ミナト「俺がもし王子だったら、後悔や絶望を感じるよ」
ミナト「しまいには罪悪感が消えないぐらい深い心の傷を負ってしまうよ」
ミナ「ミナト・・・ごめんなさい」
ミナ「よくよく考えてみたら、自分があなたの幸せのために泡になって消えてもいいと思っていた」
ミナ「しかし、実際は残されたあなたにとっては不幸になり」
ミナ「それが幸せではないことがわかるわ」
ミナト「幸せっていうのは、お互いの心を通じ合うことで、互いを理解し合うことで」
ミナト「それこそが本当の幸せだ」
ミナト「だから、俺のために死ぬのはやめてくれ、ミナ・・・」
ミナ「分かったわ、本当にごめんなさい」
ミナトは突然ミナの手を取り抱き寄せます
ミナト「もうこの手を離さない、ミナ・・・」
ミナ「ミナト・・・」
突然のミナトの抱き寄せで、一瞬戸惑うミナですが、次第に表情が嬉しくなりました。
ミナ「ミナト、私のことをそんなに考えてくれているのね」
ミナ「嬉しい!」
突然のミナの発言により、ミナトは慌てて少し離れました。
ミナト「ご、ごめんつい・・・」
ミナ「いいのよ、ミナトのその言葉を聞いただけでも嬉しいわ」
ミナ「ありがとう」
ミナト「そ、そうか・・・なら良い」
ミナト「それより、もう寝よう」
ミナ「そうね」
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ここで一句
うおでっか
たわわででかいぞ
いやでっか
他の人魚に話しかけられているミナトを見て、やきもちを焼くミナが可愛いですね。一途な女の子は素敵。🥰
果たして元人間であるミナトはミナとの間に、人魚の子供を誕生させる事は出来るのか。
家族へのトラウマを持つミナトにとって、これは苦難の道になることは間違いないでしょうね。
第3話投稿ありがとうございます!
ミナトのミナへの愛や優しさが伝わってくる良いお話でした!
寝室でミナに想いを叫ぶミナト、とても愛や優しさに溢れてますね!
ミナの友人の人魚少女達も3人そろって登場しましたね!
彼女達と新たな男性達の出会いも楽しみです!
ミナのお姉さんやマリナも初登場!凄くワクワクしました!
今回もありがとうございました!