7 良くある話その4(後編)(脚本)
〇巨大なビル
3年後。カンフー都市。
〇豪華な社長室
ウェイ・ユー「何ですってぇ!?我がカンフー都市との契約を破棄したいですってぇ!?」
ウェイ・ユー「ちょ!ちょっと待って下さいヨナさん!!あなた方は我々の支援が無いと!!」
電話「だから、それがもう必要無い位に我々の生活は充実して来たんです・・・食料調達も水の事も、」
電話「普段当たり前にやってる事が漸く出来る様になったのです・・・もうこれ以上、」
電話「カンフー都市の援助が無くても良い位に・・・」
ウェイ・ユー「そ、そんな馬鹿な話がありますか!?大体!あんな砂だらけの何も無い様な場所ですよ!?」
ウェイ・ユー「あんな状況下で満足な生活が出来るなど!」
電話「それを可能にしてくれたのが、侍都市のMr.剣崎です・・・彼が教えてくれなかったら、」
電話「私達は間違いなく進歩する事は出来ませんでした・・・」
ウェイ・ユー「Mr.剣崎ですと!?あいつ1人で何が!?」
電話「とにかく、これが私達の意思です・・・これ以上の支援は大丈夫ですので、他に困ってる人達の為に使って下さい・・・」
ウェイ・ユー「ま、待って下さい!そんな急に!」
ウェイ・ユー「・・・!こ、こんな馬鹿な事が!!一体砂漠ノ都市で何が起きているんだ!?確なる上は!!」
〇砂漠の滑走路
数時間後。
ウェイ・ユー「漸く着いた・・・この辺は3年前と変わり無い様に見えるが・・・」
ウェイ・ユー「あ、あれは!!!???」
〇森の中
ウェイ・ユー「な、何だこれは!?何故こんな場所に森が広がっているんだ!?信じられない!!3年前の砂漠はどこに!?」
〇湖畔
ウェイ・ユー「こ、これは湖!?何故だ!?何故こんなにも環境が変わっているんだ!?まさか神が降臨したとでも言うのか!?」
住民「あれ?あんたウェイ・ユーさんじゃんか?」
ウェイ・ユー「あぁ!あなた達は砂漠ノ都市の住民の方々!」
住民「久し振りですな・・・どうです?とても綺麗な景色でしょ?」
ウェイ・ユー「良い景色・・・じゃ無いですよ!何なんですかこの変わり様は!?何をどうやったらこうなるんですか!?」
住民「その事ですが、全てMr.剣崎のお陰ですよ!」
ウェイ・ユー「はえ?」
住民「えぇ、全てMr.剣崎の教えに従った結果、こうなりました・・・」
ウェイ・ユー「ど、どう言う事です?一体何を?」
住民「・・・実はですね・・・」
〇荒野
3年前。
剣崎真「砂漠にあるだけのゴミを撒き散らすと白蟻が沸いて来て、そのゴミを取る為に巣を作ります・・・その影響で土が耕され、」
剣崎真「ゴミに混ざってた植物の種が羽化するんです・・・」
ヨナ「えぇ!?もしそれが本当なら!!」
剣崎真「はい、それで緑の大地が再生出来るんです・・・」
ヨナ「で、ですが!それなら砂ダムにはどんな意味が?」
剣崎真「はい、土砂や濁流の様な水害を防いだり、砂の力で水を濾過したりする事が出来ます・・・」
ヨナ「・・・!!もしそれが本当なら!」
剣崎真「えぇ、だから皆さんの力が必要なんです・・・」
ヨナ「・・・!分かりました!やりましょう!」
〇草原
それから半年。
住民「何と!これは!?」
住民「し、信じられない!砂漠にあった汚いゴミ溜めが、こんな風になるだなんて!!」
ヨナ「Mr.剣崎は、これをやる為に!?」
剣崎真「おぉ!これは予想通りの感じだなぁ!!」
ヨナ「あれ?Mr.剣崎!?侍都市に帰ってたんじゃ・・・」
剣崎真「皆さんお久し振りです・・・丁度良い頃合いだと思ってまた来させて頂きました・・・」
住民「な、なぁ!あんたはこうなる事が分かってあんな事してたのか!?」
剣崎真「そうですよ?」
住民「す!スゲェよ!半年前の時はあんたの事常識知らずの異常人だと思ってたが、俺らの土地をこんな風にしてくれるなんて!!」
剣崎真「えぇ、ですが、本番はここからです・・・この生い茂った草を牧場のヤギ達に食べさせて下さい・・・」
剣崎真「ヤギ等の家畜に食させ、それで排出する排泄物が肥料になって、植物を今よりもっと拡大させる事が可能です・・・」
ヨナ「・・・!!分かりました!必ず実行しますね!」
住民「こうしちゃいられない!ヨナちゃん!俺この事を皆に知らせるよ!」
ヨナ「Mr.剣崎!あなたは砂漠ノ都市の英雄です!この緑が広がれば、確かに世界が潤います!」
剣崎真「何、正直私も自信はありませんでした・・・別の地域でこうして緑を再生させたと言う話を聞いた程度でしたので・・・」
剣崎真「それはそうと、例の砂ダムの方はどうでしょうか?」
ヨナ「はい!砂ダムを大量生産したお陰で水不足は解消されて、地元の子供達も嬉しそうに飲んでくれて!」
剣崎真「・・・!良かった!そこまで上手く行ってたとは!あの、良かったら様子を見たいのですが・・・」
ヨナ「勿論です!どうぞこちらへ!」
〇湖畔
ウェイ・ユー「そ、そんな馬鹿なぁ!?タカがゴミ!タカが砂でそこまでの事がぁ!?」
住民「ははは!そりゃ信じられんのも無理は無い!ワシらだってそうだっからな!」
住民「今じゃ砂漠ノ都市で剣崎真の名前を知らない奴なんてどこにもいねぇ・・・」
住民「あぁ言うの、侍都市じゃヒーローって言うんだろ?」
ウェイ・ユー「まま!待って下さい!幾ら自然が再生したとは言え、我々カンフー都市の支援が要らなくなった理由にはならないでしょ!?」
ウェイ・ユー「思い返して見て下さい!どれだけ我々が物資を供給したと思ってるのです!?そのお陰で!」
住民「勿論、あなた方にも感謝はしている・・・だけどな、侍都市は我々に心から大切な事を教えてくれた・・・」
ウェイ・ユー「へ?」
住民「自分の力で解決する事・・・働く事がどう言う事か、我々は失念していたんだ・・・やる前から決め付けていれば、」
住民「それこそ本当に何も出来なくなってしまう・・・誰かに頼るのでは無く、先ずは自分の力で動くのが大事だとな・・・」
ウェイ・ユー「ま、待って下さい・・・!このまま支援をキャンセルされたら、私の今後が・・・私の立場が!」
ウェイ・ユー「ええい何だこんな時に!!ちょっと失礼!」
ウェイ・ユー「もしもし?今私は忙しいんだ・・・って、」
ウェイ・ユー「え?社長!?今どこにいるかって・・・砂漠ノ都市ですが・・・はい・・・はい・・・」
ウェイ・ユー「え!いや、違うんです!!私は只!現状調査の為に!!」
良くある話。只与えるだけの支援じゃ何も変わらない。



その1からその4まで読み終わりました。
その中でも1番印象に残ったのが、その4の砂漠の話ですね。
地道な活動で緑化に成功した剣崎。支援だけで済ませたウェイの対比が良かったです。😊