僕と半分ゾンビな妹は対話でゾンビを理解する。

薊未ヨクト(あざみよくと)

【2期】チカンゾンビ・なんじゃ神社事件(脚本)

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〇オフィスのフロア
樺島 一心(かばしま いっしん)「はい、こちらゾンビ課」
樺島 一心(かばしま いっしん)「え!?」

〇神社の本殿
「チ、チカンです」
参拝客A「手に触ってきて!!」
参拝客B「私も!!」
神主「チカン!? 大変だ!!」

〇神社の本殿
神主「──という状況でして」
神主「ちょうど修繕で、数日閉鎖するので 暫く居ても問題ないですが・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「調査の上、適切な処置をしますので」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ゾンビが痴漢・・・ 前科でもあるのでしょうか?」
平 光和(たいら みつかず)「白衣に大学名が入っていたので 問いあわせてみたら」
平 光和(たいら みつかず)「植物学の研究者だった 特に前科はないようだね」
ゾンビ「うう・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「”手?” 手がどうの・・・って言ってる」
樺島 一心(かばしま いっしん)「若い女性の手にこだわってる?」
レックス 「チカン、チカン!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「すぐに決めつけてはいけないよ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「植物学と関係があるのかな?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「家族に会えば、理由が解るかもね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「娘さんがひとりいるらしい」

〇名門校の校門(看板の文字無し)
樺島 一心(かばしま いっしん)「資産家に嫁がれたと聞いたが それにしても・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「これなら お父さんを引き取るって言うかも」
樺島 一心(かばしま いっしん)「だといいが・・・ ここね、あぶない!!」

〇オープンカー
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「出口を塞がないで下さる? 事故になるわ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「黄金崎 澄玲さんですね? 警視庁ゾンビ課の者です」
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「ゾンビ課の方が、どういう御用ですか?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「只今、調査中なのですが──」
樺島 一心(かばしま いっしん)「お父様と思われるゾンビが 女性の手に触れたようなのです」
樺島 一心(かばしま いっしん)「なにか理由があるかと・・・」
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「間違いではないかしら?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「え?」
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「父がゾンビのわけありません 海外で気ままに暮らしてるはず」
樺島 一心(かばしま いっしん)「疑いを晴らすためにも ご本人確認のご協力を」
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「会いません!」
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「痴漢でゾンビ? みっともない」
樺島 一心(かばしま いっしん)「みっともない?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「まだ決まったわけでは 理由を探るためにも、ぜひご確認を・・・」
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「もういいでしょ 令状もないなら、失礼させてもらいます!」

〇名門校の校門(看板の文字無し)
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ずいぶんな感じだね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「何か事情があるのかもしれない・・・」
レックス 「イエ、ヒロイ、ココロ、セマイ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「行こう、身体が冷えてしまう」

〇女の子の一人部屋
樺島 一心(かばしま いっしん)「かなり濡れたからなぁ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「はぁ、はぁ・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お父さん、お母さん・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここね・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)(本当は黄金崎さんだって 会いたいんじゃないかな?)
樺島 一心(かばしま いっしん)「たとえゾンビになっていたって 家族なんだから」
樺島 一心(かばしま いっしん)「レックス、ここねを見ててくれ!」

〇名門校の校門(看板の文字無し)
樺島 一心(かばしま いっしん)「警視庁ゾンビ課の者ですが」
「ゾ、ゾンビ課だって」
「責任とって、とって」
「と、とにかく入って、入って!」

〇貴族の応接間
黄金崎 豊(こがねざき ゆたか)「あなた方のせいで 澄玲が出ていったんですよ!!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ゾンビの父親と、関係あるのですか?」
黄金崎 豊(こがねざき ゆたか)「澄玲は半信半疑のようでしたが・・・」
黄金崎 豊(こがねざき ゆたか)「本当に父親なら、会った方が良いと言うと 喧嘩になってしまって」
樺島 一心(かばしま いっしん)「なにか理由が?」
黄金崎 豊(こがねざき ゆたか)「・・・お父さんを憎んでまして」

〇赤(ダーク)
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「母が亡くなった時も 研究、研究、研究、研究、研究、研究!!」
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「ずっと、ずっと寂しかった」
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「私の結婚が決まった時も 海外での授賞式を優先した」
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「連絡もない 会いにも来ないで、ホント身勝手!」
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「私は・・・父に見捨てられたの」
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「今度は・・・私が父を見捨てる番!」

〇貴族の応接間
樺島 一心(かばしま いっしん)「家族が研究の犠牲になったと・・・」
黄金崎 豊(こがねざき ゆたか)「そう・・・でも会いたくないなんて 嘘ですよ」
黄金崎 豊(こがねざき ゆたか)「意地になってるんです」
樺島 一心(かばしま いっしん)「複雑な思いがあったのですね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「お父さんが 女性の手にこだわる訳は?」
黄金崎 豊(こがねざき ゆたか)「さあ、分かりませんね、それより──」
黄金崎 豊(こがねざき ゆたか)「澄玲が、このまま会わなければ どうなりますか?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「異常行動が収まらなければ ゾンビ地区に移送になります」
黄金崎 豊(こがねざき ゆたか)「そんな・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ひとつ、ご提案があります」
樺島 一心(かばしま いっしん)「澄玲さんに 連絡を取ることはできますか?」

〇神社の本殿
  修繕も終わり
  神社が再開された
樺島 ここね(かばしま ここね)「やっぱり来なかったね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「喧嘩の仲直りでドライブに・・・ いい作戦だと思ったけど」
樺島 ここね(かばしま ここね)「上手く誘い出せなかったのかな」
樺島 ここね(かばしま ここね)「あれれ、奥さんの声?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「登ってくるようだ、行ってみよう」
  その時──

〇神社の石段
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「え!? 唸り声?」
黄金崎 豊(こがねざき ゆたか)「何も聞こえないよ せっかくだから、お参りを・・・」
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「帰る! いやな予感がする」
樺島 一心(かばしま いっしん)「待ってください、黄金崎さん!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「お父さんは 今日、ゾンビ地区に収容されます」
樺島 一心(かばしま いっしん)「このまま、会わなくて良いのですか?」
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「父のハズがない いえ、父だとしてもゾンビでしょう?」
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「そんなの、父じゃない」
樺島 一心(かばしま いっしん)「登るも降りるも、ご自由ですが ひとつだけ聞いて下さい」
樺島 一心(かばしま いっしん)「僕と妹は 生き別れの父母を探しています」
樺島 一心(かばしま いっしん)「もし会えるなら たとえ、どんな姿でも会いたい!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「だって家族だから!!」

〇神社の本殿
ゾンビ「あううう」
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「どうして? どうして・・・こんな」
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「さわらないで!! 痴漢なんて、どういうこと!?」
ゾンビ「うあ〜、ううぅ」
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「言い訳? 見苦しいわね!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ちがうよ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「”おめでとう”って言ってるよ」
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「おめでとうですって? 腕まで取って、なんのつもり?」
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「まるで結婚式の・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「それだよ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「花嫁のエスコート」
樺島 ここね(かばしま ここね)「忘れなかった! 結婚式でエスコートすること!!」
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「来なかったくせに! いつも研究、研究って・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ずっと練習してたんだよね!?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「他は忘れても 結婚式は忘れなかったんだよ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「だから若い女性の手を引こうと 痴漢じゃなかったんだ!」
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「うそうそ!! うそよ、そんなの・・・」
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「でも・・・本当に?」

〇黒
樺島 一心(かばしま いっしん)「ひとつ確認したいことがあります」
樺島 一心(かばしま いっしん)「お父さんは、長年の研究の功績を讃えられ 海外の授賞式へ行かれたと」
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「はい、結婚式には来ませんでした」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ところが、こちらの調べでは 飛行機はキャンセルされてました」
樺島 一心(かばしま いっしん)「授賞式は止めて 結婚式に出ようとされたようです」
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「え!?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「恐らく、式に向かう途中で事故に・・・ ゾンビに噛まれて感染したのでしょう」
樺島 一心(かばしま いっしん)「それから ずっと教会を求めて彷徨い続けた」
樺島 一心(かばしま いっしん)「五年間も・・・ いや、今も教会を探してる」
樺島 一心(かばしま いっしん)「あなたの結婚式に出るために!!」
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「そんな・・・」

〇神社の本殿
樺島 ここね(かばしま ここね)「待って、だったら何で神社に?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここは教会の途中にあるんだ お父さんを足止めしたのは・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「恐らく、これだよ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「キレイ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「この神社の表から ずっと、敷地内に植えられている」
樺島 ここね(かばしま ここね)「さすが植物学者だね」
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「いいえ、これは・・・母が愛した花なの」
樺島 一心(かばしま いっしん)「そして、お父さんも愛していたのでしょう 何故なら──」
樺島 一心(かばしま いっしん)「この花はスミレ あなたの名前なのだから」
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「お父さん」

〇神社の出店
  ゾンビ父は
  自宅に引き取られる事になった
黄金崎 澄玲(こがねざき すみれ)「父は、私がエスコートします 今度は私の番ですもの!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「参道がバージンロードみたいに見える!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「なんだかまるで・・・」

〇教会の中
樺島 ここね「すてきな結婚式・・・」
樺島 ここね「幸せな花嫁と父親が目に浮かぶね!」

〇神社の出店
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここね! お前の結婚式には ぼ、僕がエスコートするから!!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「どうしたの? 変なお兄ちゃん」

次のエピソード:【2期】ゾンビグループ校庭荒らし事件

コメント

  • 尾長イルカさんの脚本回だ!

    最初は女性の手に触れてくるゾンビの行動が理解不能でしたが、調べていくにつれて判明した真実。
    最後は父と娘。歩いていく光景が微笑ましかったですね。😊

    ……ルイが居たら「痴漢するゾンビは処分!」と射殺一択でしょうね。😓

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