6 良くある話その4 (前編)(脚本)
〇ピラミッド
とある砂漠。
〇荒廃した市街地
ウェイ・ユー「皆様お待たせしました!こちらが今月分の支給品になります!」
住民「おぉ!これでまた暫くは首の皮が繋がる!」
住民「流石はカンフー都市だぜ!あんたらの心意気には惚れ惚れするよ!」
住民「もう!感謝してもし切れません!」
ウェイ・ユー「な〜に!我々は当たり前の事をしてるに過ぎません!今後とも、我がカンフー都市をご贔屓に!」
剣崎真「ほぅ?これはまた随分と賑やかで・・・」
ウェイ・ユー「おや?誰かと思えば侍都市のMr.剣崎ではありませんか?あなたの様な方がどうして砂漠ノ都市に?」
剣崎真「聞いてませんでしたか?砂漠ノ都市の支援はあなた方カンフー都市と、我々侍都市が個別に行う事になると・・・」
ウェイ・ユー「あぁ!そうでしたね!ですが、態々侍都市が手を下す隙等ありはしません・・・我々カンフー都市が」
ウェイ・ユー「これだけの救援物資をお引渡ししているのです!これならカンフー都市だけで充分事足ります!」
剣崎真「確かに、カンフー都市の行動力は目を見張る物がある・・・そこの所は、尊敬すべき事なのは事実ですね・・・」
ウェイ・ユー「でしょでしょ!そう言う侍都市は、どんな形で支援をするおつもりで?」
剣崎真「あぁ、その事でしたらこれを見てくれれば分かるかと・・・」
ウェイ・ユー「えぇ?只のスコップじゃ無いですか?態々こんな所にまで来て穴掘りですか?」
剣崎真「はい、そのつもりで来ました・・・」
ウェイ・ユー「ぷ!ぷははははは!!Mr.剣崎!何を考えてると思えば!侍都市の思考は幼稚園レベルと言う事ですか!?」
ウェイ・ユー「これは世界の笑い者だ!」
ウェイ・ユー「ま、それはそうと、我々も暇では無いので・・・砂漠ノ都市は我々に任せて、帰国してごっこ遊びでもしてて下さい!」
剣崎真「カンフー都市のやってる事も理解出来る・・・だが・・・」
ヨナ「あの、あなたはもしかして、侍都市の剣崎と言う方ですか?」
剣崎真「え?あぁ、そうですが何か?」
ヨナ「あぁ!やはりそうでしたか!初めまして!私はヨナ!砂漠ノ都市の市長の娘です!本日は父の代理で来ました!」
剣崎真「あぁ!あなたが市長の!今回は宜しくお願い致します!」
ヨナ「こちらこそ宜しくお願いします!侍都市の噂は父から良く聞いております!どうか我々をお助け下さい!」
剣崎真「勿論です・・・打ち合わせの時に話した物は用意してくれましたか?」
ヨナ「はい!直ぐ人を集めますね!」
〇荒野
数分後。
住民「市長の娘さんの頼みだから来て見たが、こんな所に呼び出してどうしようと言うのだ?」
ヨナ「あ!皆さん来てくれましたね!」
住民「ヨナさん、こんな所に呼び出してどうしたんです?」
ヨナ「皆さん聞いて下さい!これから侍都市からの支援活動が行われます!」
住民「え?でも支援物資ならカンフー都市が送ってくれたし・・・」
剣崎真「皆さん、本日はお集まり頂きありがとうございます・・・」
住民「あ、あなたが侍都市の?僕達を呼び出してどうしたんです?」
剣崎真「はい、これから皆さんと一緒に、砂ダムを作りたいと思います・・・」
住民「へ?砂ダム?しかも、何で俺達まで?」
剣崎真「どうしても一緒に作り、作り方を覚えて貰いたいのです・・・」
住民「ちょ!ちょっと待って下さい!侍都市は砂漠ノ都市の支援に来てくれたんですよね!?」
住民「それで何故僕らが労働しなきゃいけないのです!?」
ヨナ「皆さん落ち着いて下さい!」
住民「ヨナちゃん?」
ヨナ「何故父が侍都市を呼んだか分かりますか!?侍都市には実績があるのです!」
ヨナ「侍都市の支援を断ってカンフー都市や隣の都市と契約を結んで後悔したとの報告もあります!」
ヨナ「私は父から強くこう言われてました、侍都市の支援は死んでも断るなと!だから皆さん、やりましょう!」
住民「えぇ?そこまでの事なの?でも何で砂のダムなの?コンクリートの方が・・・」
剣崎真「砂だから出来る事です・・・騙されたと思って一緒にやりましょう!」
住民「まぁ、ヨナちゃんが言うならやって見るか・・・」
剣崎真「あ、すみません、少し席を外します・・・」
「ふむふむ・・・そうか!頼む!」
剣崎真「皆さん、お待たせしました・・・」
住民「あぁ、何かあったのか?」
剣崎真「はい、先程砂漠ノ都市の大統領に頼んでたゴミの山を砂漠にばら撒く事が決まりました・・・」
住民「な、なんだってぇぇ!!??」
〇埋立地
〇荒野
住民「な、何て事をしてくれたんだ!!只でさえ劣悪な環境なのに、砂漠にゴミ溜めを捨てただなんて!!」
住民「そ!そうだそうだ!あんたは俺らの事を支援するんじゃ無かったのか!?」
剣崎真「えぇ、だからその支援をしてるでしょ?」
住民「これのどこがだ!?」
剣崎真「良いですか?砂漠に捨てたゴミは絶対に撤去しないで下さい・・・もしこれが実現出来れば、」
剣崎真「砂漠ノ都市だけで無く、世界各国が潤う事になります・・・」
住民「な!?どう言う事だ!?」
剣崎真「・・・それはそうと、そろそろ砂ダムを作りましょう・・・私がここにいられる時間は限られてますので・・・」
住民「おい待て!まだ話は!」
ヨナ「もう止めて下さい!Mr.剣崎の言う通りです!ここで揉めても何もなりません!彼の事を信じましょう!」
住民「・・・!?・・・わ、分かった・・・」
ヨナ「ふぅ・・・」
剣崎真「ありがとうヨナさん、これでやっと作業が出来ます・・・」
ヨナ「・・・Mr.剣崎、正直私も半ば疑っています・・・砂漠にゴミを捨てる・・・砂ダムを作る・・・」
ヨナ「この行為に何の意味があるのです?しかも住民にまで作業をさせて・・・」
剣崎真「これら全てに意味があるからですよ・・・」
ヨナ「え?」
剣崎真「砂漠に大量のゴミをすてると白蟻が群がるんです・・・それで白蟻が巣を作って・・・」


