17 言葉より行動(後編)(脚本)
〇田舎の病院の休憩室
それから、
浅野叶「熱つ!」
世羅「あ、大丈夫ですか?」
浅野叶「あんた!私は猫舌だって言っただろ!?後、ゆっくり食べたいからもう少しペース落としておくれよ!」
世羅「は、はい!気を付けます!」
〇広い公園
別の日。
浅野叶「あぁ、部屋の中でテレビ見てるのも良いけど、こうして外の景色を見るのも悪く無いね・・・」
世羅「浅野さん、どこか行きたい所はありますか?」
浅野叶「そうね・・・ならあっちの方に行きたいわ・・・」
世羅「・・・分かりました・・・では参りましょう・・・」
〇白いバスルーム
また別の日。
「浅野さん、お湯加減は如何でしょうか?」
「あんたも分かって来たじゃない・・・今のが丁度良いよ・・・」
「・・・ありがとうございます・・・」
〇田舎の総合病院
かくして光太郎と世羅の実習は気付けば最終日となり、無事実習を終わらせる事が出来たのだった。
谷本京子「お2人共、今日まで本当お疲れ様でした!」
谷本京子「多分、これは本当に嫌だって思う所もあったと思いますが、実際やって見てどうでしたか?」
田中光太郎「あ、はい!俺はやってて楽しかったですよ!色んな人と話が出来て、正直レアな体験でした!」
世羅「・・・正直事前データだけではやり切れない事が多々ありました・・・ですが、」
世羅「周囲からのアドバイス、実際の経験を元に行動すれば状況の改善が出来ると知れたので、」
世羅「私としてもとても貴重な経験となりました・・・私のマスターにも、良い報告が出来ます・・・」
谷本京子「・・・!そう言って貰えるとこちらも嬉しいです!今後の自分達の進路希望に役立てて頂ければと思います!」
浅野叶「あぁ、間に合った見たいだね・・・」
世羅「あ、浅野さん!」
浅野叶「あんたらがいなくなるのを心待ちにしてたけど、」
浅野叶「イザとなるとどうも淋しく感じるね・・・」
田中光太郎「え!て事は、AIの事見直してくれたんですか!?」
浅野叶「馬鹿言うな!私ゃ今でもAIなんて大嫌いだよ!」
世羅「そ、そんな・・・」
浅野叶「・・・だけどね、あんたらの事は嫌いじゃ無くなったよ・・・」
世羅「え!?」
浅野叶「AIはAIでも、あんた達見たいなのはいる・・・それだけ分かれば私も満足さ・・・」
浅野叶「世羅ちゃんって言ってたわね?あんた学生辞めたらその後どうするんだい?」
世羅「・・・?私はカウンセラーとしての実践経験を積んでマスターに報告します・・・その後の事はマスターに聞かない事には・・・」
浅野叶「何だ・・・要は何も決まって無いって事か・・・まぁ良いさ・・・」
田中光太郎「あの、浅野さん?一体何を言って?」
浅野叶「分からない奴らだね・・・行く所無いならまた私の所に来なって言ってんだ!」
世羅「え!?」
浅野叶「ま、あくまで提案だよ・・・そんな深く考えなくて良いからさ・・・」
浅野叶「あんた達、人殺しロボットにだけはなるんじゃ無いよ!あんた等がそんなのになれば、今度こそAIなんて無くして貰うからね!」
田中光太郎「あ、あぁ!勿論だぜ!」
浅野叶「あぁ、元気でね・・・」
〇通学路
田中光太郎「あ〜!次からまた学校か・・・さゆり達はどんな感じだったのかなぁ・・・」
世羅「・・・・・・」
田中光太郎「ん?何か言いたげだな?」
世羅「・・・光太郎、私はあなたに感謝しなければなりません・・・」
田中光太郎「は?」
世羅「他者の評価を気にせず自分のやりたい事ややるべき事をやる・・・あなたがそう教えてくれなければ、」
世羅「私は楓様の期待を裏切る事になっていました・・・あなたには、感謝してもし切れません・・・」
田中光太郎「な、何だよ!むず痒い事言いやがって!」
世羅「今だから言えます・・・事前データが幾ら揃っても、それを実践出来なければ意味が無い・・・」
世羅「経験が無ければ先へは進めない・・・改善も出来ない・・・私は完成品だと思っていましたが、」
世羅「私にはまだ改善の予知がある・・・今回の事でそれが分かりました・・・光太郎、あなたも私にそれを気付かせてくれたんです・・・」
田中光太郎「そ、そうなんだ・・・まぁ、あぁ言う時は幾ら口で言ってもどうにもならないからな・・・」
世羅「・・・・・・」
田中光太郎「な、何だよ?まだ何かあるのか?」
世羅「・・・光太郎、私はこう言う時、どの様に言えば良いのか分かりません・・・ですが、」
世羅「これを言えなかったら、私はきっと後悔すると思います・・・」
田中光太郎「え?一体何を言って?」
世羅「・・・田中光太郎・・・私と、友達になって下さい!」
田中光太郎「へ!あ!?と、友達!?」
世羅「今回の事で、私は光太郎からはまだまだ学ぶべき事があると確信を得ています・・・寧ろ、」
世羅「あなたで無ければそれが出来ない・・・光太郎、引き受けてくれますか?」
田中光太郎「お、おう・・・そう言う事か・・・(これで愛の告白とかだったら良かったんだけどな・・・)」
田中光太郎「(言いたい事は幾らかあるけど・・・)」
田中光太郎「分かった!でもあんまり期待されても困るから、程々にな?」
世羅「・・・!?ほ、本当に良いのですか!?」
田中光太郎「あぁ、友達含めて、あんま深く考え過ぎるなよ?俺達はもっと簡単で良いんだからよ!」
世羅「・・・!!はい!これから宜しくお願いします!!」
田中光太郎「(世羅さん、そんな顔出来るんだな・・・)」
無事実習を終え、世羅の希望で友達となった光太郎は、またいつもの生活に戻るのだった。