第1話 ガイアへようこそ(脚本)
〇渋谷のスクランブル交差点
西暦2030年。
突如として未確認生物【バグ】が日本に出現し、国内は混乱に陥った。
バグは人々を襲い始め、バグによる死者は40万人をゆうに超えていた。
──2030年7月
東京都渋谷区
ギャァァァァォォォ
バグ「グオオオオオオ・・・」
会社員「ひ、ひいいいいい!!」
バグ「グァアァァァ!!」
自衛隊員「こちらデルタ。 路上でバグに襲われている民間人を発見」
自衛隊員「お怪我はありませんか?」
会社員「は、はい・・・」
自衛隊員「尚、民間人に怪我は無い模様」
自衛隊員「まだ空いている避難シェルターがあればそちらに誘導したい。 どうぞ」
こちらエリアシェルター27。
まだ定員に達していないため、受け入れ可能。
誘導出来ますか?
どうぞ
自衛隊員「こちらデルタ。 ・・・了解」
自衛隊員「民間人を護衛しつつ、そちらへ避難させる」
自衛隊員「足は怪我してませんね。 立てますか?」
会社員「は、はい」
自衛隊員「では、絶対に僕から離れないように着いてきてください。 避難シェルターへ案内します」
バグ「ギャァァァァ」
自衛隊員「こいつ・・・!」
バグ「ギャァァァァ!」
自衛隊員(こいつらバグには通常火器は一切通用しない)
自衛隊員(せいぜい威嚇くらいにしかならないが・・・)
バグ「ギャァァァァ!!」
会社員「きゃぁぁぁぁぁあ!!」
自衛隊員「お、おい!!」
バグ「ギャァァァァ」
自衛隊員「ぐぁ・・・」
バグ「グァァァァァ!!!」
──自衛隊の徹底抗戦も虚しく、通常火器の効かないバグは徐々に都市を破滅させて行った。
そして、東京は陥落した。
〇教室
教師「・・・というのが、2030年に起きた 【東京陥落事変】だな」
教師「事件以降、日本のインフラ設備や経済が全て停滞し、未だに大きな爪痕が残っている」
教師「更に東京が滅んだため、ここ京都へと首都が移り変わった」
教師「そして、東京が陥落してから1年後の今」
教師「日本政府はバグに対抗するため、新たな組織を設立することを発表した」
教師「・・・さて、ここで問題だ」
教師「朝ニュースを見た人ならわかると思うが、この新たに設立される組織はなんでしょうか?」
「はいはーい!」
山吹ハヤト「えーと、とくむきかんがいあ?だっけ?」
教師「そうだ。 あのハヤトがちゃんとニュースを見てるなんて珍しいな」
山吹ハヤト「おい!珍しいとはなんだ! 珍しいとは!」
教師「ハヤトの言った通り、日本政府によって対バグ特務機関ガイアが本日より設立された」
教師「自衛隊の戦力じゃバグには太刀打ち出来ないからな」
教師「これからはガイアがバグの唯一の対抗戦力として活躍するらしいぞ」
山吹ハヤト「へぇー これでやっと平和が来るってわけだな」
教師「ただな、ハヤト ガイアが出来たからって完全な平和が来たって訳じゃないんだぞ」
教師「未だに全国各地でバグは出現し、人々に猛威をふるっている」
教師「ここ京都だって、いつどこでバグが現れるかなんてわからないからな・・・」
教師「お、チャイムが鳴ったな」
教師「とりあえず、歴史の授業はこれで以上だ。 次回は非常時安全保障条約について勉強するぞー」
教師「じゃあ日直、号令」
起立、礼
山吹ハヤト「あざしたー」
山吹ハヤト「さーて、飯だ飯ー」
〇住宅街
?「・・・」
〇学校脇の道
?「ここが・・・」
〇白い校舎
?「・・・ついた」
校長「・・・君が、マコトくんか?」
羽馬マコト「・・・はい」
校長「そうか、よくここまで来てくれた」
校長「話は先方から聞いている。 色々大変なんだな」
羽馬マコト「ははは・・・ 僕もあまり話は聞かされてないんですけどね」
校長「とりあえず、君の教室へ案内しよう」
羽馬マコト「ありがとうございます」
〇教室
山吹ハヤト「んでさー・・・」
教師「みんな、昼休みのところすまんが、1つ大事なお知らせがある」
山吹ハヤト「お、なんですか先生」
教師「実は今日、この学校に転校生が来ている」
山吹ハヤト「ええ!マジかよ!」
教師「はいはい、静かに!」
教師「もう既に教室に来ているから、今から紹介するぞ」
教師「さあ、入りなさい」
山吹ハヤト(転校生か・・・ どんなやつなんだろ)
羽馬マコト「失礼します」
教師「じゃあー・・・名前とか自己紹介を頼む」
羽馬マコト「えー・・・皆さん初めまして」
羽馬マコト「羽馬マコトっていいます。 今日からこの第二京都高校に通うことになりました」
羽馬マコト「なんというか・・・ 仲良くしてください!お願いします!」
マコトって言ったけ?
めっちゃイケメンやん!!
どこから来たんだろー
教師「まあ急な話だが、みんな仲良くな」
教師「とりあえず、マコトくんはあそこの席に」
羽馬マコト「あ、はい」
山吹ハヤト「よっ!隣の席だな」
羽馬マコト「そうだね、よろしく」
教師「更に仲間が一人増えたってことで、にぎやかになるな」
教師「マコトくんのことは色々と気になるだろうが、あまり一気に押しかけたりはしないようにな」
はーい
山吹ハヤト「えーと、マコトって言ったけ? 俺は山吹ハヤト(やまぶきはやと)!」
羽馬マコト「ハヤトくんか、よろしく」
山吹ハヤト「くん付けなんていらねぇよ 気軽にハヤトって呼んで」
羽馬マコト「りょーかい、ハヤト」
女子生徒「マコトくんだよね?よろしくー!!」
どこから来たのー?
なんで転校してきたのー?
急だけど好きなタイプとかは!?
山吹ハヤト「おいー、早速人気だな」
羽馬マコト「あはは・・・」
〇諜報機関
──対バグ特務機関ガイア本部
金城レイナ「沢村ジン(さわむらじん)司令長、全施設への備品設置が終了しました」
沢村ジン「金城(きんじょう)くんか、すまんな。 配置早々色々と仕事を任せてしまって」
金城レイナ「いえ、まだ設立されたばかりですし仕方の無いことです」
金城レイナ「それはそうと、先ほどコード1が第二京都高校へ到着したそうです」
沢村ジン「そうか、計画は順調だな」
金城レイナ「はい、コード1の少年の転校書類手続きは諸々済んでおります」
沢村ジン「了解。 引き続き、機密行動を基本としつつ、ここへコード1を呼ぶように」
金城レイナ「かしこまりました」
金城レイナ「本部への到着予定時刻は5:00とし、護衛付き送迎車の方を向かわせます」
沢村ジン「ああ、頼む」
沢村ジン「・・・とうとうだな」
〇白い校舎
羽馬マコト「・・・たしかここに迎えが来るはずなんだけど」
山吹ハヤト「おーい、マコト」
羽馬マコト「ハヤト!」
山吹ハヤト「なんだ一人で帰るのかよー 良かったら一緒に帰ろうぜ」
羽馬マコト「あー・・・そうしたいのも山々なんだけど」
山吹ハヤト「・・・ん、なんかこの後予定でもある?」
羽馬マコト「ちょっと行くとこがあってさ」
山吹ハヤト「ふーん・・・そっか」
山吹ハヤト「まあ転校したてだしな また落ち着いたら一緒に帰ろ!」
羽馬マコト「うん!ありがとう」
山吹ハヤト「じゃあまたなー」
羽馬マコト「あー、俺も一緒に帰りたかったなー・・・」
羽馬マコト「・・・!」
田名誠二「・・・マコトくんだよね」
羽馬マコト「・・・はい。 もしかして誠二さんですか?」
田名誠二「うん、初めまして。 田中誠二(たなかせいじ)です」
田名誠二「今から本部へ送るから車に乗ってくれる?」
羽馬マコト「わかりました」
羽馬マコト「・・・って」
羽馬マコト「車多くないですか・・・?」
田名誠二「護衛用に3台ほど付けているんだ」
羽馬マコト「護衛用・・・?」
田名誠二「君はこの日本にとって最重要人材だからね マコト君を守らなければいけない」
羽馬マコト「僕が、最重要・・・」
田名誠二「周りの視線も多くなってきたな・・・ とりあえず早く乗ってくれ」
羽馬マコト「・・・了解です」
〇車内
羽馬マコト「・・・」
田名誠二「・・・緊張してる?」
羽馬マコト「・・・まあ、はい」
田名誠二「はは・・・気持ちもわかるよ」
田名誠二「もし僕がマコト君の立場なら逃げているからね」
羽馬マコト「・・・あの話、本当なんですか」
羽馬マコト「僕が、ガイアの新兵器のパイロットって」
田名誠二「・・・否定はしない。 ただ、最終試験を突破すればの話だ」
羽馬マコト「最終試験?」
田名誠二「私達ガイアが研究、開発した対バグ特殊軍事兵器【イーヴ】」
田名誠二「イーヴは通常火器が一切通じないバグに対して唯一ダメージを与えることが出来る唯一無二の兵器・・・」
田名誠二「ただ、それだけの戦力を持つ代わりに、イーヴを操れるのはごく限られた者のみ」
田名誠二「そして今回、その限られたイーヴの適合者に選ばれたのが君、マコトくんだ」
田名誠二「これからガイア本部でイーヴへの適合者として最終試験を行う」
田名誠二「その試験を突破すれば君はイーヴの本当の適合者だ」
羽馬マコト「・・・なるほど」
羽馬マコト「僕に拒否権は無いんですか?」
田名誠二「・・・なるべく条件は良くするつもりだよ」
羽馬マコト「う、うーん・・・」
羽馬マコト(これって、俺に拒否権ないってことでいいのか?)
田名誠二「でも大丈夫。 僕らガイア一体となって君をサポートする」
田名誠二「君にとっては泥船に乗った様な気分だろうがな・・・」
羽馬マコト「は、はあ・・・」
田名誠二「さて、もうすぐ着くよ」
〇研究施設の玄関前
羽馬マコト(ここが、対バグ特務機関ガイア・・・)
羽馬マコト(施設も新しいけど、それ以上にでっかいなー)
〇大きい研究施設
対バグ特務機関ガイア。
日本政府が配備したバグに対抗するための新たな軍事組織であり、自衛隊とは別の防衛省管轄下組織となっている。
全責任者、及び司令官は沢村ジン。
戦闘員を含む配置職員数は900名以上とされている。
バグの出現や、それに関連した有事の際、全指揮権及び法令等全ての効力はガイアへと移行する。
情報提供.nikipedia
〇研究施設の廊下
田名誠二「えーと、次はこっちで・・・」
羽馬マコト「あのー・・・」
田名誠二「あれ、こっちだったかな」
羽馬マコト「あのー・・・すいません」
田名誠二「待って、通り過ぎたかも・・・」
羽馬マコト「あの!」
田名誠二「ん!?どした?」
羽馬マコト「あの、もしかして迷いました?」
田名誠二「いや?べ、別にそんなことはないけど?」
羽馬マコト「この施設、外観もでかいけど中もとてつもなく広いですよね」
田名誠二「まあ国の膨大な予算をこの施設にかけてるからね」
田名誠二「それに事前に配られたこのマップ・・・ 入り組みすぎてて見にくいよ・・・」
羽馬マコト「このままじゃ遅れちゃいますよ」
田名誠二「うーん」
「あら、誠二」
金城レイナ「予定時刻まであと10分もないわよ 何をしているの?」
田名誠二「あ、レイナさん、すいません・・・」
金城レイナ「その様子じゃ、もしや迷ったわね」
田名誠二「あはは・・・」
金城レイナ「そうだろうと思って迎えに来たわよ」
金城レイナ「私も一緒に司令室へ向かうから。 着いてきて」
田名誠二「すいません、ありがとうございます」
羽馬マコト「ありがとうございます・・・」
〇エレベーターの中
金城レイナ「・・・ところで、 貴方が羽馬マコト(はねばまこと)くんよね?」
羽馬マコト「あ、はい。 そうです」
金城レイナ「話は色々と聞いてると思うけど、まだ混乱してるわよね?」
羽馬マコト「流石に国から直接手紙が届いた時は正直驚きましたけど・・・」
羽馬マコト「でも、もう覚悟はある程度出来てます」
金城レイナ「ふーん、高校生にしては肝が据わってるわね」
金城レイナ「勝手で申し訳ないけど、貴方の出生元から色々と調べさせていただいたわ」
金城レイナ「親御さん、研究施設勤めだったそうわね」
羽馬マコト「はい」
金城レイナ「その両親は3歳の頃にすでに交通事故で他界。 その後は2歳の弟と共に親戚に引き取られ育てられる」
羽馬マコト「物心付く前に亡くなりましたし、元からあまり両親との思い出もありませんでしたから」
羽馬マコト「ずっと研究に入り浸ってたからよく親戚に預けられてたことだけ覚えてます」
金城レイナ「そう・・・」
金城レイナ「周りの高校生より大人びてるだけあるわね」
田名誠二「そうですね、大人の僕も顔負けです」
金城レイナ「・・・着いたわ」
〇諜報機関
金城レイナ「金城レイナ、及びコード1現着致しました」
沢村ジン「5:02・・・ 予定より2分遅れているぞ」
田名誠二「すいません、途中で迷ってしまいまして・・・」
沢村ジン「まったく・・・ 時間厳守には気をつけてくれ」
田名誠二「は、はい」
沢村ジン「ところで、そっちの少年が・・・?」
羽馬マコト「・・・羽馬マコトです」
沢村ジン「君がマコトくんか」
沢村ジン「転校して早々呼び出してすまない」
沢村ジン「誠二の方から色々聞いていると思うが・・・」
羽馬マコト「イーヴの最終試験、ですよね?」
沢村ジン「ああ、しっかり頭に入っているようだな」
沢村ジン「とりあえず時間が無い。 金城くん、案内してくれ」
金城レイナ「かしこまりました」
金城レイナ「マコトくん、こっちにいらっしゃい」
羽馬マコト「はい」
〇実験ルーム
金城レイナ「着いたわ」
羽馬マコト「ここは・・・」
沢村ジン「我々ガイアが開発を行っているイーヴ、その研究室だ」
沢村ジン「奥にグレーのスーツが見えるな? あれがイーヴだ」
羽馬マコト「あれが・・・」
金城レイナ「今からマコトくんには、イーヴを実際に装着してもらって、最終試験に臨んでもらうわ」
羽馬マコト「・・・わかりました」
金城レイナ「沢村司令官。 イーヴの使用許可を求めます」
沢村ジン「ああ、許可する」
金城レイナ「・・・イーヴ固定ロックシステム解除」
了解、イーヴロック解除
金城レイナ「・・・さあ、マコトくん。 あのスーツを装着して」
羽馬マコト「了解です」
沢村ジン「・・・上手くいくといいがな」
金城レイナ「大丈夫です。 彼ならきっと・・・」
〇魔法陣のある研究室
研究員「イーヴの装着は出来ましたか?」
羽馬マコト「あ、はい。 多分できました」
研究員「では、この装置の中に入ってください」
羽馬マコト「はい・・・」
研究員「10分ほど解析にかかります。 解析中何かあればすぐ言ってくださいね」
羽馬マコト「わかりました」
研究員「よし、解析プログラムを起動しろ」
了解
羽馬マコト(・・・)
〇空
羽馬マコト「・・・」
羽馬マコト「・・・ここは?」
?「・・・マコト」
羽馬マコト「・・・誰?」
?「マコト、久しぶりだな」
羽馬マコト「貴方は誰ですか? 何で僕の名前を・・・」
?「・・・そうか覚えてないか」
?「あまり時間が無い。 これだけ伝えさせてくれ」
?「私はお前のすぐそばに居る。 マコト、お前はひとりじゃない」
?「何かあればすぐここに来てくれ その時は私が助けてやる」
羽馬マコト「・・・う、うん」
羽馬マコト(なんだろう、この感じ・・・)
羽馬マコト(どこか懐かしい雰囲気がする)
羽馬マコト(それと同時に落ち着く・・・)
羽馬マコト(この人、もしかして・・・)
?「すまない、俺はもう行くよ」
?「私は影からお前をずっと見守るからな」
?「きっとまたどこかで会える。 さっき私の言った言葉を信じて待っててくれ」
羽馬マコト「うん・・・また・・・!」
〇魔法陣のある研究室
羽馬マコト「・・・」
研究員「・・・解析終了」
研究員「・・・これは」
金城レイナ「・・・どうですか?」
研究員「凄いです。 今までにない数値が出ている・・・」
研究員「我々のイーヴ研究段階での予想を遥かに超える結果です」
金城レイナ「適合率98.9999999・・・ 凄いわね」
研究員「ええ・・・これはかなり期待できますよ」
金城レイナ「マコトくん、もう出てきていいわよ」
羽馬マコト「・・・はい」
金城レイナ「お疲れ様。 これで最終試験は終わったわ」
羽馬マコト「あの、結果は・・・」
金城レイナ「・・・合格よ」
羽馬マコト「・・・!」
金城レイナ「これで貴方は正式に適合者としてイーヴパイロットとして認められたわ」
羽馬マコト「そうですか・・・」
羽馬マコト(嬉しいのか嬉しくないのかわかんねぇな)
金城レイナ「とりあえず、沢村司令官の元へ向かいましょう」
羽馬マコト「わかりました」
〇諜報機関
金城レイナ「・・・沢村司令官、戻りました」
沢村ジン「ご苦労。 結果は?」
金城レイナ「最終試験合格。 イーヴ適合条件も難なく突破」
沢村ジン「そうか・・・」
沢村ジン「羽馬マコトくん」
羽馬マコト「・・・はい」
沢村ジン「君を正式にガイア職員として認めると共に、イーヴパイロットを任命する」
羽馬マコト「・・・あの、僕はこれからこのイーヴを使ってバグと戦えって言うんですよね」
沢村ジン「ああ、その通りだ」
羽馬マコト「・・・嫌です」
沢村ジン「・・・」
金城レイナ「マコトくん!?」
沢村ジン「・・・理由を聞かせてくれ」
羽馬マコト「理由も何も、普通に嫌ですよ」
羽馬マコト「バグって簡単に人をなぶり殺す恐ろしい生物ですよ?」
羽馬マコト「イーヴだかなんだか知らないけど、こんなのでバグと渡り合えるとは思えない」
羽馬マコト「僕は死にたくない。 戦いたくないです」
沢村ジン「そうか」
金城レイナ「・・・マコトくん」
沢村ジン「では、マコトくん。 そこまで言うなら仕方ない」
沢村ジン「降りてもいいぞ」
羽馬マコト「・・・え?」
金城レイナ「司令官?」
沢村ジン「私は君に戦いを無理強いすることは出来ない」
沢村ジン「戦う意志のない者を戦場に送るなど以ての外だ」
沢村ジン「・・・しかし、このイーヴは国家特定最重要機密情報だ」
沢村ジン「イーヴの存在を知った以上、これから君の人生には監視人が付くことになる」
沢村ジン「もし、第三者にイーヴの存在を少しでも話した時は・・・」
羽馬マコト「・・・」
沢村ジン「それでも良いというのであればここで降りてもらって構わない」
羽馬マコト「・・・」
金城レイナ「・・・お願い、マコトくん」
羽馬マコト「・・・やります」
羽馬マコト「やればいいんでしょ? やりますよ」
沢村ジン「・・・本当にいいんだな?」
羽馬マコト「・・・僕の弟を目の前で殺されたんです。 バグに」
金城レイナ「マコトくん・・・」
羽馬マコト「奴らをどれだけ憎んだことか。 それと同時に死に対してどれだけ恐怖を抱いたか」
羽馬マコト「・・・僕は奴らに復讐がしたい けど、出来ない。 だって僕には戦える力がないから」
羽馬マコト「でも、このイーヴってやつを使えば奴らを、バグを倒せるんでしょ?」
羽馬マコト「僕はイーヴの性能を信じていない」
羽馬マコト「だけど、皆さんのことは信じてみようと思います」
金城レイナ「・・・ありがとう」
沢村ジン「・・・了解した」
沢村ジン「では、君の選択通りこれから君をイーヴパイロットとして任命する」
羽馬マコト「・・・わかりました」
金城レイナ「じゃあ、早速諸々の書類の手続きを・・・」
午後5時59分頃、京都市Aエリアにてハグの出現を確認。
金城レイナ「もうバグが来たの!? 予想時刻より早いわね」
沢村ジン「・・・現場の状況は?」
目標は民間人を襲撃している模様。
怪我人、死者数は不明。
現在、警察が応戦している模様。
至急出動要請が来ています。
沢村ジン「出撃だ」
金城レイナ「本当にやるんですか?」
沢村ジン「こちらの手札は既に揃った。 これ以上被害を拡大させない為にもこれが先決だ」
金城レイナ「でも、まだマコトくんは・・・」
羽馬マコト「やります。 いつでもいけますよ」
金城レイナ「・・・わかったわ」
沢村ジン「Aエリアに向かうためにバイクを用意している。 それに乗って出撃してくれ」
羽馬マコト「バイクですか?」
金城レイナ「確か、普通二輪の免許は取得していたわよね?」
羽馬マコト「は、はい、そうですけど」
金城レイナ「なら丁度いいわ。 イーヴ専用のバイクを用意しているから付いてきて」
羽馬マコト「了解です」
沢村ジン「・・・マコト」
羽馬マコト「はい」
沢村ジン「頼んだぞ」
羽馬マコト「わかりました」
〇兵器の倉庫
金城レイナ「マコトくんのバイクはこれよ」
羽馬マコト「イーヴ専用のバイクって聞いたんですけど・・・」
金城レイナ「ええそうよ。 このバイクはイーヴに登録してあるユーザーしか起動できないようにカスタムしてあるわ」
金城レイナ「更に、バイクには小型の機関銃も付いてある。 心許ないけど威嚇には丁度いいわ」
羽馬マコト「・・・わかりました」
金城レイナ「・・・本当にマコトくんには責任を押し付けるようなことばかりで申し訳ないと思っているわ」
金城レイナ「でも貴方しかできないことだから。 この街を、頼んだわね」
羽馬マコト「・・・やってみます」
羽馬マコト「羽馬マコト、出撃します」
〇開けた交差点
バグ「ギュルルルルル・・・」
女性「ひぃっ!」
バグ「ギャァァァァァァ!!!」
女性「だ、誰か・・・助け・・・!」
バグ「ギュア?」
警察官「コイツ・・・効かないのか!」
バグ「ギャァァァァァァ」
警察官「ぐはぁ!!」
バグ「グオオオオオ」
女性「そ、そんな・・・」
バグ「グァ!!」
「やっぱり機関銃は効かないのか」
羽馬マコト「・・・やるしかないのか」
バグ「ギュアアアアアアア」
羽馬マコト(・・・手が震えてる)
羽馬マコト(やっぱり怖いんだ)
羽馬マコト(俺はあの頃から何も変わっちゃいない)
羽馬マコト(全てを失ったあの日から・・・)
〇通学路
羽馬マコト「ハル!」
ハル「はあ・・・はあ・・・」
ハル「まって・・・お兄ちゃん」
羽馬マコト「ハル!どうした?」
ハル「ごめん、煙が肺に入っちゃって・・・」
羽馬マコト「・・・! クソッここら辺は火の手が多い」
羽馬マコト「川辺の方ならまだ火は来ていないはず! そこまで走れるか?」
ハル「う、うん・・・」
羽馬マコト「よし・・・いいぞ」
バグ「ギュルルルルル」
羽馬マコト「バ、バグ!?」
羽馬マコト「あれだけ自衛隊が集中爆撃を浴びせたのに・・・」
ハル「どうしよう、お兄ちゃん・・・」
羽馬マコト「・・・大丈夫だ、ハル。 兄ちゃんが守ってやるからな」
バグ「ギュアアアアア!!」
ハル「あぶない!お兄ちゃん!!」
羽馬マコト「え?」
ハル「ガハァ・・・!!」
羽馬マコト「ハル!!!!」
バグ「ギャアアアアア!!」
ハル「お、にいちゃん・・・」
羽馬マコト「喋るな! 今すぐ止血するから・・・」
ハル「この・・・ままじゃ、お兄ちゃんも・・・」
羽馬マコト「お前を置いて1人で逃げれるかよ!」
羽馬マコト「もう、家族はお前しか居ないんだぞ・・・」
ハル「で、でも・・・」
バグ「ギュアアアアア」
ハル「・・・い、行って!早く・・・!!」
羽馬マコト「ハル!!」
バグ「ギュアッ!!」
ハル「うっ・・・」
羽馬マコト「・・・は、はる・・・」
羽馬マコト「ハルーーーーーー!!!!」
〇開けた交差点
羽馬マコト「・・・もう俺は」
羽馬マコト「絶対に逃げない!!」
バグ「ギュアアアアア!!!」
羽馬マコト「この世からバグを消さなきゃ・・・!」
羽馬マコト「ハルが浮かばれないんだよ!!!」
バグ「ギャアアアアアアアアア!!!」
羽馬マコト「さあ、来い!!!」
──続く
設定が凝っていてワクワクしますね!!
ヒーローものとして、どんな活躍をするのか楽しみです。
ガイアの組織や、イーヴの能力など、とても期待が高まります!!