第2話 ボロボロの初陣(脚本)
〇手術室
「出血過多、脈拍数低下中」
「輸血剤追加します」
医者「引き続きガーゼで止血しろ 皮膜を繋ぎ合わせる」
「わかりました」
医者「それと、AED装着させて」
「しかし、患者は既に衰弱しきっています! これ以上の負担は・・・」
医者「心臓の動きを止める訳には行かない。 脈拍数の低下をなんとしてでも防ぐ」
医者「・・・何とか持ちこたえてくれよ」
羽馬マコト「・・・・・・」
「AED装着完了」
医者「・・・よし、電気流すぞ。 離れて・・・!」
羽馬マコト「・・・・・・」
〇開けた交差点
──遡ること3時間前・・・
バグ「キュルルルルルル!!!」
羽馬マコト「クッ・・・」
羽馬マコト「いざ戦うのはいいけど、なにか武器はないのか?」
マコトくん、聞こえる?
羽馬マコト「・・・! この声は、レイナさん!」
良かった。
無事聞こえるみたいね
イーヴに装着してあるリアルタイム通信システムで、本部と交信出来るようにしてあるの
羽馬マコト(心細かったからありがたいな・・・)
羽馬マコト「レイナさん、イーヴは唯一バグに対抗出来る手段があるんですよね?」
ええ、そうよ
羽馬マコト「何か武器とかないんですか?」
武器は、素手よ。
羽馬マコト「え、素手?」
イーヴに含まれているスペシャルセルスを使って、バグに物理攻撃を通用させることが出来るの
羽馬マコト「・・・すぺしゃるせるす?」
羽馬マコト「とりあえず、パンチとかキックで奴を攻撃すれば良いんですね?」
そういうことよ。
上手くバグの死角に回り込んで隙を突いてみて
羽馬マコト「・・・りょーかいです」
羽馬マコト(格闘技とか習ったことないけど・・・ ・・・やれるのか?)
バグ「ギャアアアア!!」
羽馬マコト「・・・考えている暇は無い。 やってみるか」
羽馬マコト「いくぞぉぉぉぉぉぉ!!」
バグ「ギャアッッッッ!!!」
羽馬マコト「すげぇ!なんか効いたっぽい!」
バグ「ギュギュ・・・」
羽馬マコト「苦しんでるっぽいし、今のうちにもう1発・・・!」
羽馬マコト「フッ!」
バグ「ギュガァァァァ!!」
羽馬マコト「・・・すごい、かなり押してるぞ」
バグ「・・・」
バグ「ギャアアアアアアアアア」
羽馬マコト「・・・!!」
羽馬マコト「なんだ!?自然に身体が・・・」
羽馬マコト「というか、身体が軽い?」
バグ「ギュ、ギュガ・・・」
ふふ・・・それもスペシャルセルスの効果よ。
スペシャルセルスの効果を転用しているから、イーヴが身体能力の向上、並びにサポートをしてくれるのよ
羽馬マコト「なんかよくわからんけど、スペシャルセルス凄いっすね」
羽馬マコト「・・・よーし、このまま押し切る!」
羽馬マコト「くらえ!!」
バグ「グガァァァァァ!!」
羽馬マコト「トドメだァァァァァ!!」
バグ「キュルルルルルル・・・」
羽馬マコト「・・・やった」
羽馬マコト「倒せたんだ・・・!! やった!!!」
〇諜報機関
──ガイア本部司令室
「コード1と戦闘を行っていたバグ、絶命を確認!!」
金城レイナ「・・・!!!」
金城レイナ「勝った・・・! やっと、勝てたのね、バグに」
金城レイナ「これまで敗北を続けてきた私達がやっと・・・」
金城レイナ「・・・」
金城レイナ「マコトくんに通信繋いで」
「了解」
〇開けた交差点
・・・マコトくん、聞こえる?
羽馬マコト「!! レイナさん!」
羽馬マコト「やりました! 奴を・・・バグを、倒しました!」
ええ、こちらでもしっかりバグの死亡を確認したわ
・・・マコトくん、本当にありがとう
羽馬マコト「・・・いえ、レイナさん達の協力もあってのものですし、」
羽馬マコト「僕のおかげじゃない、イーヴの性能で倒せたんです」
・・・そうね、これでイーヴの実効性もようやくこの目で見ることが出来たわ
ひとまず、お疲れ様。
バイクで帰還してちょうだい
羽馬マコト「わかりました!」
羽馬マコト「・・・よし!帰るか」
羽馬マコト「グァァァッ!!!!」
羽馬マコト「ううっ・・・・・・」
・・・くん!!マコトくん!?
〇空
?「・・・あれが、選ばれし第一の少年」
?「そしてあの忌まわしきカラクリ・・・ 人間どもはあんな代物を創り出したのか」
?「未熟な子種を潰えるのは少々抵抗があるが・・・」
?「我々の前に立ちはだかり、邪魔をするというのなら無論、容赦はしない」
?「ここで始末させていただく」
?「・・・」
?「いや、まだだ」
?「あのカラクリに、第一の少年・・・」
?「少々面白い物を見ることが出来そうだ。 ここで絶やすのは勿体ない」
?「ここは負傷を与えておきつつ、高みの見物に徹するとしよう・・・」
?「フハハハハハハハ・・・」
〇諜報機関
──3時間後・・・
ガイア本部司令室
医者「出来るだけ最善は尽くしたつもりですが、後は回復を待つしかないかと・・・」
金城レイナ「・・・そう、わかりました」
金城レイナ「ありがとうございます。 引き続き、マコトくんを頼みます」
医者「はい、失礼いたしました」
金城レイナ「・・・」
田名誠二「マコトくん、まだ意識は戻らないんですか?」
金城レイナ「ええ、そうみたい」
金城レイナ「何せ、胸を集中高温で貫通させ焼かれたからね」
田名誠二「かなりの負傷ですね・・・」
田名誠二「しかし、一体誰がそんなことを・・・」
金城レイナ「それがわからないの。 丁度その時の防犯カメラを確認してみたんだけど、」
金城レイナ「防犯カメラも何者かに焼き壊されてて」
金城レイナ「多分、同一犯の仕業で間違いは無いと思うんだけど・・・」
田名誠二「どこから狙い撃たれたかはわからないってことですね・・・」
金城レイナ「そうね・・・」
金城レイナ「とりあえず、現場に何か証拠等が残っていないか探ってみるわ」
金城レイナ「私も現場に同行するから、もしマコトくんが意識を戻したら連絡をお願い」
田名誠二「了解です。 レイナさんもご無事で・・・」
金城レイナ「ありがとう」
田名誠二(・・・早く意識が戻ればいいな)
〇通学路
?「・・・ちゃん」
?「・・・兄ちゃん」
ハル「お兄ちゃん!」
・・・ハル?
ハル「お兄ちゃん! 久しぶりだね」
ハル・・・!!
お前、どうして・・・?
ハル「お兄ちゃんに伝えたいことがあって会いに来たんだ」
・・・ハル
ハル「フフッ・・・ ずっと見てたんだよ、遠くから」
ハル「やっと・・・アイツを倒してくれたんだね」
ああ・・・
やっと・・・
やっと、お前の仇を討つことが出来たよ
ハル「・・・ありがとう」
俺はこれからバグを一匹残らず消して、この世から悲しみを無くす。
この世界にもう一度平和を戻してみせる。
俺はもう、これ以上お前と同じように誰かを失いたくないんだ・・・
ハル「フフ・・・そっか」
ハル「・・・じゃあ」
ハル「あの時お兄ちゃんは何で・・・」
ハル「助けてくれなかったの?」
え?
ハル「助けてくれなかったの?助けてくれなかったの?助けてくれなかったの?助けてくれなかったの?助けてくれなかったの?助け」
ハル「てくれなかったの?助けてくれなかったの?助けてくれなかったの?助けてくれなかったの?助けてくれなかったの?助けて」
ハル「くれなかったの?助けてくれなかったの?助けてくれなかったの?助けてくれなかったの?助けてくれなかったの?助けてくれ」
ハル「なかったの?助けてくれなかったの?助けてくれなかったの?助けてくれなかったの?助けてくれなかったの?助けくれなか」
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
〇集中治療室
羽馬マコト「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
羽馬マコト「いてて・・・」
羽馬マコト(ベッドから転げ落ちたのか・・・)
羽馬マコト「うっ!!」
羽馬マコト(胸がすっげえ痛苦しい・・・ なんなんだよこれ)
医者「・・・! マコトくん、起きたのか」
羽馬マコト「あの・・・僕は」
医者「大丈夫。 一旦胸は結合してるから、痛みは伴うと思うけど安心して」
羽馬マコト「え、胸?」
羽馬マコト(・・・ほんとだ。 胸だけ赤く焼きただれた跡がある)
医者「とりあえず田名さんの方を呼んでくるから待ってて」
羽馬マコト「あ、はい・・・」
〇集中治療室
羽馬マコト「ぐがぁー・・・ぐがぁー・・・」
田名誠二「マコトくん!起きたのか!」
羽馬マコト「んあっ!?」
羽馬マコト「・・・あ、はい」
田名誠二「・・・って、ぐっすり寝てたみたいだね」
羽馬マコト「田名さんが来るまで結構時間があったので・・・あはは・・・」
田名誠二「すまないね、遅れて。 もうレイナさんにも連絡はしてるからもうじき来るはずだけど」
田名誠二「お、丁度いいタイミングで」
金城レイナ「マコトくん!!」
羽馬マコト「レイナさん!」
金城レイナ「ああ・・・良かった・・・」
金城レイナ「ずっと心配してたのよ・・・ 1週間も眠ってたから」
羽馬マコト「・・・んえ?1週間?」
金城レイナ「ええ、そうよ。 貴方が焼き撃たれて意識を失ってから1週間が経ったのよ」
羽馬マコト「あの、レイナさん」
羽馬マコト「僕、あの時何が起こったのかよくわからなくて・・・」
金城レイナ「そうね、無理もないわ。 どうやら死角から狙われて撃たれたみたいだから」
田名誠二「近くの防犯カメラも破壊されてて、」
田名誠二「直前までの映像を見ても犯人が誰だかわからないんだよ」
羽馬マコト「そうですか・・・ 僕は撃たれたんだ」
羽馬マコト「あーあ、せっかくバグ倒したのに、なんか悔しいなぁ・・・」
金城レイナ「でも、一つだけ思ったことがあるの」
羽馬マコト「・・・? なんですか?」
金城レイナ「貴方は今回胸を狙って撃たれ、」
金城レイナ「イーヴの厚い装甲を集中高温で貫通し胸を焼かれた・・・」
金城レイナ「そもそも、これって人間が出来る業ではないのよ」
羽馬マコト「え?」
金城レイナ「もし、我々ガイアに何かしら不満や反対意見を持つ人間が居たとしても、」
金城レイナ「イーヴの装甲を破壊出来るほどの技術力を持っているとは思えないわ」
羽馬マコト「・・・確かに」
田名誠二「一般人にしろ、どこかしらの組織にしろ、」
田名誠二「何キロも離れたとこから1点集中で高温にして装甲を破壊するなんて技術的に難しいですよね」
金城レイナ「そういうこと」
金城レイナ「だから私は・・・」
金城レイナ「新たなバグの存在、もしくはバグへの反乱因子に不満を持つ新知的未確認生物だと踏んでいるわ」
羽馬マコト「新知的未確認生物?」
金城レイナ「まず、マコトくんを撃った犯人は付近の防犯カメラ丁寧に1台ずつ破壊している」
金城レイナ「これは、もし炎を出せるバグが居たとして、」
金城レイナ「凶暴かつ乱雑な性格を持つバグがこんな丁寧かつ細かい作業を行うなんて難しいと思うの」
金城レイナ「・・・つまり、人間ではなく、バグでもなく、知能を持った新しい未確認生物」
金城レイナ「・・・だと、勝手な私の憶測だけどね そう考えてはいるわ」
羽馬マコト「・・・そしてその新しいやつも僕らの敵ってわけですね」
金城レイナ「まあ、もし私の仮説が正しいとすればそうね」
田名誠二「なんだか複雑になってきましたね・・・」
金城レイナ「・・・とりあえず、今回の件に関してまだ調べれてないことがあるから、引き続き探ってみるわ」
金城レイナ「マコトくん、貴方はバグとかよりも先に、まずは胸の回復に集中してちょうだい」
羽馬マコト「わかりました」
金城レイナ「それにしても、ここまで胸の修復が早いとは・・・流石スペシャルセルスね」
羽馬マコト「これも、スペシャルセルスのおかげなんですね」
金城レイナ「でも念の為、まだもう一週間ほど入院が必要だからね」
田名誠二「何か入院中必要なものとかがあれば僕に言ってくれ」
羽馬マコト「・・・すいません、レイナさん、誠二さんありがとうございます」
金城レイナ「いいのよ・・・」
金城レイナ「・・・あ、それと、マコトくんのガイアへの加入手続きと申請だけど」
金城レイナ「もう既に勝手にこっちでやっといたから、貴方はもうガイアの一員よ!」
田名誠二「おめでとう!!」
羽馬マコト「あ、ありがとうございます」
羽馬マコト(本人の意思無しで勝手に入れられてたんですけど・・・)
金城レイナ「じゃあそういうことだから。 ゆっくり休んでね」
羽馬マコト「はい、ありがとうございました」
田名誠二「じゃあ、僕もこれで・・・」
羽馬マコト「はい、誠二さんも色々とありがとうございます」
田名誠二「いえいえ、また何か困ったことがあったら言ってね」
羽馬マコト「・・・」
羽馬マコト(これから、俺、このガイアでレイナさん達と一緒に戦っていくんだ)
羽馬マコト(僕がイーヴを装着してバグと戦うことで、誰かを救うことが出来る・・・)
羽馬マコト「・・・これって」
羽馬マコト「めっちゃヒーローみたいでかっけぇやん!!!!」
羽馬マコト「国の組織!!秘密兵器に乗る俺!!」
羽馬マコト「綺麗で可愛いレイナさんに、The・悪役みたいなバグ!!」
羽馬マコト「くぅぅぅぅぅぅぅ・・・」
羽馬マコト「思春期真っ只中の男子にはちょいと魅力的すぎますよぉぉぉぉ・・・」
羽馬マコト「すぅぅぅ・・・」
羽馬マコト「ガイアさいこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
〇白い校舎
羽馬マコト「ガイアなんてきらーい・・・」
山吹ハヤト「ふぃぃぃ・・・! マラソン大会楽しみだなぁ!」
山吹ハヤト「なぁ!マコト!」
羽馬マコト「あ、ああ・・・」
羽馬マコト(2週間の入院から退院した後、早速マラソン大会て・・・)
羽馬マコト(マラソン大会は流石に休ませてもらおうとレイナさんたちに交渉してみたが)
羽馬マコト(スペシャルセルスのお陰で胸は完全修復してるわー!! スペシャルセルスはやっぱすごいわー!!)
羽馬マコト「・・・やら、」
羽馬マコト(2週間体動かしてないんだから、マラソン大会でリハビリしろー)
羽馬マコト(・・・やら)
羽馬マコト「クソがよォォォォォォォォ!!!!」
山吹ハヤト「うぇ!? びっくりしたー」
山吹ハヤト「どうしたんだよ、いきなりそんな大声上げて」
羽馬マコト「やっぱ、ガイアもレイナさんも スペシャルなんたらもみんな嫌いー・・・」
──続く