10 現場実習(脚本)
〇教室
マルコシアス先生「俺が聞いた話では、酒井は触れ合い広場仲良し連合の総長と喧嘩する直前に高い所から落ちた瓦礫に埋まって」
マルコシアス先生「瀕死の重体となった・・・病院でも話し合いの末、夏目病院と協力関係のある施設に引き渡す事が決まった・・・」
マルコシアス先生「病院からの話では、2週間後には助かるとの事だ・・・」
高木浩二「ま、マジかよ・・・あの野郎触れ合い広場仲良し連合に喧嘩売りに行ってたのかよ・・・」
濱口俊樹「クソデブが・・・馬鹿過ぎて言葉が出ねぇぜ・・・」
田中光太郎「酒井・・・トマト食う方が簡単じゃねぇか・・・馬鹿な考えしやがって・・・」
世羅「・・・田中光太郎、質問よろしいですか?」
田中光太郎「な、何だよこんな時に・・・」
世羅「クラスメイト、酒井輝義の事は記録しています・・・あなた方が彼に対し、」
世羅「何故怒りや悲しみと言った感情を酒井輝義に向けているのか、理解出来ないのです・・・」
田中光太郎「おいおい、ロボなのは知ってたが、無機質がそこまで行くと一発殴りたくなるな・・・」
世羅「何故あなたが私を殴るのです?何のメリットがあって?」
田中光太郎「あ〜!イチイチ細かいし無神経だなお前!仲間だからに決まってんだろ!!」
世羅「仲間?」
田中光太郎「そうだ仲間だよ!一緒に笑ったり泣いたり、ムカついたり喧嘩したりもするけど、」
田中光太郎「困った時は相談したり助け合ったりして、一緒に成長してくのが仲間なんだよ!」
田中光太郎「その位汀さんから聞いとけって!」
世羅「・・・全くもって理解出来ません・・・自分の事では無いのにどうしてそこまで・・・」
田中光太郎「・・・なら逆に聞くけどよ・・・世羅さん、あんたもし、汀さんが危ない目にあったらどうするよ?」
世羅「・・・?楓様は私のマスターです・・・楓様が危険な目にあうと言うのならどんな事をしても助けます・・・」
田中光太郎「あぁ・・・要はそう言う事だよ・・・」
世羅「・・・?と言いますと?」
田中光太郎「そう言う気持ちがあれば良いんだよ・・・誰だって仲間や家族が傷付けられたり、傷付けられそうになったら」
田中光太郎「助けたいって思えるならそれで良いんだ・・・」
世羅「・・・ですが、それでもし出来なかったら・・・」
田中光太郎「なら今自分の持ってるもん全部使え・・・それで駄目なら誰かを頼れ・・・それが仲間だからよ・・・」
世羅「・・・・・・」
マルコシアス先生「それはそうとだ・・・お前達全員もう知ってると思うが、3週間後に現場実習が始まる・・・」
マルコシアス先生「どこの職場に行きたいかアンケート用紙を配るから、今日の放課後までに確り決めてくれよ?」
マルコシアス先生の指示の元、アンケート用紙が生徒達に配られる。
〇教室
数時間後。
濱口俊樹「んで、結局どこ行くか決めたか?俺は消防隊希望したんだが・・・」
高木浩二「お!マジか!俺も消防隊選んだわ!」
白川さゆり「私は警察よ・・・」
濱口俊樹「おいおいマジか・・・何だかんだ皆考えてるんだな・・・」
高木浩二「まぁな!」
高木浩二「所で、光太郎は?」
白川さゆり「あ、そう言えば・・・」
田中光太郎「よぉ!お疲れ!」
白川さゆり「あ、光太郎と世羅さん・・・2人はどこに実習に行くか決めたの?」
世羅「はい、我々は老人ホームを希望しています・・・」
白川さゆり「え?老人ホーム?しかも光太郎も?」
田中光太郎「あぁ、そもそも世羅さんは人の感情を学ぶ為に学校来てるからさ・・・でもこいつ何処か無神経な所があるからさ・・・」
田中光太郎「正直1人だけで行かせるの心配で・・・」
白川さゆり「あ、そうなんだね・・・因みに老人ホームやりたいのって光太郎の意思?」
田中光太郎「あぁ、俺もやりたいと思ったから・・・」
白川さゆり「・・・そうなんだね・・・」
世羅「宜しいのですか田中光太郎?あなたが態々老人ホームを選ばなくても、他にも有力な職場はあると思いますが・・・」
田中光太郎「だから世羅さん・・・そう言う所だよ・・・」
白川さゆり「あぁ・・・成る程・・・」
〇おしゃれなリビングダイニング
数分後。
田中光太郎「ただいま!」
田中光太郎「おっと!」
田中ミク「あ!お兄ちゃんお帰り!」
田中光太郎「お、おうミク!ただいま!」
田中光太郎「あ、ミク・・・親父はどうしたんだ?」
田中ミク「お父さん?お父さんなら何か夏目工房に呼ばれてね・・・技術提供に協力して欲しいとかどうとか言ってたよ?」
田中光太郎「え?夏目工房?てか何だよ技術提供って?」
田中太郎「あ、光太郎帰ってたのか・・・」
田中光太郎「あ、親父!噂をすればってか?」
田中ミク「お父さんお帰り!今からご飯作るね!」
田中太郎「あぁ、頼むよミク!」
田中太郎「いやぁ疲れた!こんな風に呼ばれるの久し振りだったなぁ!」
田中光太郎「なぁ親父、夏目工房に呼ばれたって聞いたけど、何してたんだ?」
田中太郎「え?あぁ、何か俺も良く分からなくてさぁ・・・光太郎に搭載されたAIについて教えてくれとか・・・」
田中光太郎「え?俺のAI?」
田中太郎「あぁ、それを応用してやりたい事があるらしいんだ・・・それが何なのか聞こうとしたけど、企業秘密だから答えられないって・・・」
田中光太郎「そっか・・・でも良いのか?自分の技術提供しちゃって・・・」
田中太郎「問題無いさ・・・正式な手続きもしてあるし、何かあれば訴えられるからさ・・・」
田中光太郎「そっか、野暮だったな・・・」
それから光太郎達は夜の食事を楽しみ、今日と言う日を終えるのだった。