8 それぞれの思惑(脚本)
〇教室
田中光太郎「なぁ、あんた、世羅さんって言ったよな?」
世羅「・・・・・・」
田中光太郎「あんたは、どうしてこの学校に来たんだ?ロボットだから家が近いだけじゃ無さそうだけど・・・」
世羅「・・・質問と同時に自己紹介をさせて頂きます・・・私は夏目工房製、最新型アンドロイド・・・コードネーム世羅・・・」
世羅「活動目的は、人間のカウンセリングを行う事であり、人間の感情を学ぶ為に夏目高校に編入したのです・・・」
田中光太郎「え?あんた夏目工房の最新型なのか?」
世羅「はい・・・私のマスター・・・汀楓様は今後人手不足になるであろう老人介護、障害者福祉施設への今後を見据えて、」
世羅「AIに寄る活動を活性化させる為に私をカウンセリング用の使用に仕上げたのです・・・」
田中光太郎「へぇ、汀楓さんって、俺の親父の幼馴染じゃんか・・・あの人技術者だったのか・・・」
世羅「その様に楓様から聞いております・・・楓様が夏目高校で学ぶ様に促したのは、学校だから出来る事があるとか、」
世羅「私を作ったマスターとしてはかなり曖昧な返答でしたが・・・」
田中光太郎「でも汀さんの言う事も何と無く俺には分かるな・・・確かにここでなら勉強第一とは言え友達も出来るし部活もあるし・・・」
田中光太郎「只、虐めとか虐待もあるから良い事ばかりじゃ無いけど・・・」
世羅「田中光太郎、あなたは何故夏目高校に通うのですか?あなたには特筆すべき目立った物が無く、」
世羅「明確なコンセプトが見受けられません・・・あなたは何故学生になったのです?」
田中光太郎「え?そりゃ俺が親父の子供だからだよ・・・」
世羅「それだけですか?」
田中光太郎「あんま細かい事考えても良い事無いと思うぜ・・・俺だってこう言うの作りたいって思うしこの歌良いなって思う事もある・・・」
田中光太郎「正直俺も何がやりたいか全然分からねぇんだ・・・ロボットだけど合理的とか効率化とかまともに考えて無いし・・・」
世羅「・・・田中光太郎、丸で本当に一般の人間の子供見たいな考え方をしますね・・・」
田中光太郎「悪いか?」
世羅「不快にさせてしまったのなら謝ります・・・私にはその様な事はまだ理解出来ておらず・・・」
田中光太郎「ならこれから分かれば良いと思うぜ?分からない事は俺や皆が教えるし、世羅さんも困った事があれば言ってくれると」
田中光太郎「俺も嬉しいぜ・・・」
世羅「・・・・・・」
田中光太郎「なぁ、今何かやって見たい事とかあるか?」
世羅「・・・そうですね・・・なら、学校内を案内して頂けますか?」
田中光太郎「乗った!んじゃあ行こうか!」
白川さゆり「・・・・・・」
高木浩二「おいおいどうした白川?光太郎があの転校生に一目惚れしたから焼き餅でも妬いたか?」
濱口俊樹「おいおい!余り茶化すなよ!」
高木浩二「へへ!でさ、実際どうなの?」
白川さゆり「・・・別に、好きにやらせれば良いんじゃ無い?」
高木浩二「ありゃりゃ行っちゃったよ・・・内心どうなのかね?」
濱口俊樹「俺が聞きてえよ・・・」
マルコシアス先生「あ、お前達、ちょっと聞きたい事があるんだが・・・」
高木浩二「んな!あの!俺テストの時ちゃんと居ましたが!!」
マルコシアス先生「いやそうでは無い・・・お前達今日、酒井を見なかったか?」
濱口俊樹「え?酒井?見てないっすよ?てか忘れてましたし・・・」
マルコシアス先生「そうか・・・実は今日来てなくてな・・・直接電話しても繋がらなくてな・・・」
高木浩二「え?風邪でも引いたんじゃないっすか?」
マルコシアス先生「うむ、それならもう連絡が来てもおかしく無いんだがな・・・」
マルコシアス先生「それはそうと高木、今日の放課後に補習だから忘れるなよ?」
高木浩二「んな!?」
マルコシアス先生「まぁそう言う事だ、また後でな・・・」
高木浩二「く、くぅ・・・そこはマジで忘れて良いだろ・・・」
濱口俊樹「あっはは!まぁそこは頑張れ!」
高木浩二「テメェ・・・覚えてろよ?」
〇殺人現場
酒井輝義「さて、この辺の筈だが・・・」
チャコ「あら?あなたはこの間の・・・」
酒井輝義「あ!お前この前はよくもやってくれたな!!」
チャコ「トマト残したあなたが悪いでしょ・・・それで態々仕返しに来たのですか?」
酒井輝義「俺だけじゃねぇ!人参食えないおっさん、ピーマンや茄子が食えない中学生、カボチャが食えない奴、セロリが食えない奴、」
酒井輝義「他にもいるがよくもやってくれたなぁ!」
チャコ「確かに私達は総長の指示の元にやりました・・・野菜さえ食べれる様になれば私達は何もしませんよ?」
酒井輝義「テメェらのやり方にはもうウンザリしてるんだ!世の中にはアレルギーって言葉があるんだ!」
チャコ「だから何です?それ只の言い訳ですよね?」
酒井輝義「お、お前ぇ!!」
飯島健人「チャコ、何の騒ぎだ?」
チャコ「あ、総長!今変な奴来てまして・・・」
飯島健人「いや、大丈夫、そいつ見たら何と無く状況分かったから・・・」
酒井輝義「おぉ!やっと出て来たか!俺はお前に用があるんだ!」
飯島健人「そうか・・・チャコ、お前は下がってろ・・・」
チャコ「はい!仰せのままに!」
酒井輝義「・・・テメェ、もう許さねぇぞ・・・野菜を食えない奴を見境なくボコりやがって!」
飯島健人「いつまでも克服しようとしないお前らが悪い・・・克服すれば後々楽なのによ・・・」
酒井輝義「ふざけるな!野菜を食わない事の何が悪いんだ!?野菜なんか食わなくったって人間は強くなれるんだ!!」
酒井輝義「アレルギーで大変な事になったらどうするんだよお前ら!!」
飯島健人「馬鹿かお前?世の中食いたくても食えない奴は世界には山の様にいるんだ・・・ハッキリ言ってお前は幸せ者なんだ・・・」
飯島健人「そんな幸せな環境で生まれて置きながら好き嫌いするってよ、」
飯島健人「それって万物に対する冒涜じゃ無いのか?それで世界を汚してたら尚更俺は許せねぇよ・・・」
酒井輝義「ふざけやがって!俺はお前らを今日で終わらせてやる!それで野菜嫌いの皆を安心させてやるんだ!」
酒井輝義「行くぞおらぁ!!」
飯島健人「あぁ!どっからでも掛かって・・・って、」
飯島健人「あ!おい止まれ!引き返せ!!」
酒井輝義「煩ぇ!うおぉぉぉ!!!」
飯島健人「あぁ馬鹿!こっち来るな!!!」
酒井輝義「う、うわあぁぁぁ!!??」
飯島健人「あぁ、なんてこった・・・」
ミズキ「そ、総長!大丈夫ですか!?」
飯島健人「あ、あぁ!俺は何とも・・・って!」
飯島健人「お、お前ら緊急事態だ!直ぐに警察と救急車呼べ!」
イナリ「か、畏まりました!私にお任せを!!」
飯島健人「他の奴らは俺と一緒だ!直ぐにあいつを助けるぞ!」
「お、押忍!!」
触れ合い広場仲良し連合は生き埋めになった酒井を助ける為に瓦礫を掘り起こし、やがて警察や救急車が辿り着くのだった。