AIのアイコ

ぽんたろう

第12話『誰のため』(脚本)

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〇教室
花村大河「よし!」
宮森「どうしたんだよ、真面目な顔をしてさ」
花村大河「あ、いや、その」
宮森「アイナちゃんのことだろ?」
花村大河「なんで、わかったの!?」
宮森「分かりやすすぎ」
宮森「だって、花村が何かやろうとするときって 大体アイナちゃんがきっかけじゃね?」
花村大河「確かに」
宮森「俺にも手伝わせてくれよ」
花村大河「えっ?」
花村大河「どうして?」
宮森「楽しそうだからとか そういう理由じゃないぞ?」
宮森「1人の女の子のために 何か俺にもできないかなって思っただけさ」
花村大河「宮森君」
宮森「とりあえず話してくれよ」
宮森「人は多い方がいいんだろ?」
花村大河「うん」

〇ハイテクな学校
宮森「ここがアイナちゃんの通ってる学校か」
花村大河「うん」
花村大河「一応、アイナちゃんのお母さんに アポは取ってもらってる」
宮森「よし、交渉だな」

〇まっすぐの廊下
花村大河「受付も済ませたし」
花村大河「あとは校長先生に会うだけだ」
宮森「何かあったらすぐに助け舟出してやるからな」
花村大河「ありがとう」
花村大河「そういえば、宮森君」
宮森「なんだ?」
花村大河「どうして、こんなによくしてくれるの?」
花村大河「いくらクラスメイトだからって とっても良くしてくれてるよね」
宮森「ああ、それな」
宮森「俺に妹がいるって言っただろ?」
花村大河「うん」
宮森「同じ高校で一つ下なんだよ」
花村大河「そうだったの?」
宮森「やっぱ、覚えてないか」
花村大河「『覚えてないか?』ってどういうこと?」

〇学校の校舎
  あれは1年以上前
  まだ妹が入学したての頃の話だよ

〇学校の駐輪場
宮森桜「あれー? 鍵どこにやったかな」
  妹が自転車で帰ろうとしたとき
  鍵を失くしたんだよ
  もう周りも暗くなってしまって
  どこに鍵があるのかも見当もつかない
  だけど、周囲の生徒たちは
  妹に話しかけることもなく帰っていき
  妹も人見知りだから
  助けを呼ぶこともできなかった
「どうしたの? 大丈夫?」
宮森桜「わっ!?」
  そのとき、妹に話しかけてくれたのが
  花村だったんだよ
宮森桜「え、えっと、自転車の鍵を失くしてしまって」
花村大河「よし、一緒に探すよ」
宮森桜「でも」
花村大河「困ってる時はお互い様だろ?」
宮森桜「はい」
  そのとき、妹は心の底から救われたって言ってたよ

〇学校の下駄箱
花村大河「あった!」
宮森桜「やったああ」
  それから、少しして花村のおかげで
  鍵は見つかった
花村大河「もう遅いから気を付けて帰るんだよ」
宮森桜「はい」
花村大河「じゃあね」
宮森桜「ありがとうございました」
「おい、桜」
宮森桜「お兄ちゃん」
宮森「なかなか帰ってこないから心配したぞ」
宮森「駐輪場には自転車残ってたし」
宮森桜「実はね」
  そのとき、妹から話を聞かされて
  名前も知らない生徒について知ったんだ

〇学校の校舎
花村大河「・・・・・・」
  いやー、大変だったよ
  自分を助けてくれた生徒を知るために
  毎朝校門前で待ち伏せしてたんだから
宮森桜「お兄ちゃん、あの人だよ」
宮森桜「お兄ちゃんと同じ学年だね」
宮森「へえ、あれって確か 3組の『花村』とかって言ったっけ」
  まさか3年生になって
  一緒のクラスになるなんてな

〇まっすぐの廊下
花村大河「まさか、あのときの子のお兄さんが 宮森君だったなんてね」
宮森「だからさ、お礼だよ」
宮森「あのとき、妹を助けてくれてありがとな」
花村大河「気にしないでよ」
花村大河「こちらの方こそ、ありがとう」
宮森「友達として、力になりたいだけさ」
宮森「いや、違うな」
宮森「友達の友達も友達みたいなもんだしな」
宮森「その友達の力になりたいな、俺も」
花村大河「ありがとう、宮森君」
花村大河(多分、宮森君は妹さんのことがなくても きっと力になってくれたんだろうな)
宮森「着いたな、校長室だ」
花村大河「うん」

〇病室
雪島千砂「アイナ」
雪島千砂「元気になれば あなたの願いが叶うかも知れないわよ」

〇校長室
花村大河「本日は貴重なお時間を作っていただき ありがとうございます」
安村校長「いや、構わないよ」
安村校長「雪島さんのお母様から話は聞いています」
安村校長「確か、彼女の卒業の件だったね」
花村大河「はい」
安村校長「でも、どうして、その件で 友達の君たちがわざわざ来たんだね?」
安村校長「彼女は課題もちゃんと提出しているし 何も問題なく卒業できるはずだが」
花村大河「それは分かってます」
安村校長「では、何だね?」
花村大河「彼女を卒業式に参加させてくれませんか?」
安村校長「でも、確か雪島さんは大病を患っていて ずっと入院生活じゃないのかね」
花村大河「それは事実です」
安村校長「もちろん、うちの学校では通信制の生徒でも 全日制の生徒と一緒に卒業式には参加できる」
安村校長「ただ彼女の場合、病院から 動けないのではないのかね?」
花村大河「それでも、彼女を参加させてやりたいんです」
安村校長「もちろん、私だって参加させてやりたい」
安村校長「しかし、現実問題として危険だと思う」
安村校長「卒業式には大勢の人間が会場に集まる」
安村校長「それは感染症のリスクも伴うはずだ」
花村大河「会場がダメなら 校内の別室とかだっていいんです」
花村大河「担当医の方にも来ていただきます」
安村校長「それでもだ」
宮森「そこを何とか出来ませんか?」
安村校長「私も彼女の病気について 調べさせてもらったが」
安村校長「例えば別室で担当医がいたとしてもだ」
宮森「担当医の許可は貰っています あとは校長先生の許可だけなんです」
安村校長「医療設備のない学校では 万が一のことがあった場合、危険すぎる」
安村校長「卒業式に何かあって 卒業式が中止にでもなったら大変だ」
安村校長「他の生徒やご家族が不安がるかもしれない」
安村校長「学校は責任を持てない」
安村校長「分かってくれるね」
花村大河「いや、諦めません」
宮森「花村」
宮森(初めて感情的なところ見たな)
花村大河(ここで諦めたら アイナちゃんは後悔したままの 人生になってしまう)

〇中庭
雪島アイナ「もう一つのお願いいいかな?」
花村大河「いいよ」
雪島アイナ「これは大河くんにだけ話す秘密なんだけどね」
花村大河「うん」
雪島アイナ「これはお願いっていうより ただ聞いてほしいって感じかな」
花村大河「うん」
雪島アイナ「笑わないでよ?」
花村大河「分かってる」
雪島アイナ「私ね、卒業式に出たいの」
花村大河「えっ?」
雪島アイナ「やっぱり驚いた?」
花村大河「うん」
雪島アイナ「私、小学校と中学校の卒業式は 入院してたから参加できなかったの」
雪島アイナ「だからさ、参加してみたいんだよね」
花村大河「そうだったんだ」
雪島アイナ「だって、授業にも行事にも参加できないし」
雪島アイナ「だったら、せめて卒業式ぐらい」
雪島アイナ「参加したいの」
花村大河「だから、やけに俺の高校生活について 聞いてきたんだね」
雪島アイナ「うん」
雪島アイナ「たった1日の卒業式ぐらいだったら」
雪島アイナ「参加させてもらえるかなって思ったの」
花村大河「きっと今みたいに元気だったら その夢叶うかもね」
雪島アイナ「そうかな」
花村大河「そのときは俺も手伝うよ」
雪島アイナ「ありがとう」

〇校長室
花村大河「お願いです」
花村大河「少しでも体調が悪かったら 参加させないようにしますから」
花村大河「誰かの迷惑にならないようにします!」
花村大河「俺が責任を取ります」
安村校長「子供に責任は取れないよ」
宮森「俺からもお願いします」
宮森「俺にできることなら何でもやりますから」
安村校長「・・・・・・」
安村校長「君たち、どうしてそこまでやるんだね?」
「友達だからです」
安村校長「・・・・・・」
安村校長「なるほど」
安村校長「なぜ、保護者の方ではなく 君たちが来たのか理解できたよ」
安村校長「しかし、どうしたものかね」
安村校長「私も今回の件については イレギュラーだからね」
宮森「その言い方は!?」
安村校長「どうなるか分からないが 最善の手を尽くそう」
安村校長「他校の生徒とはいえ うちの学校の生徒の友達だからね」
「ありがとうございます」
安村校長「さて、これから 担当医の方や学校側、保護者で 計画を立てないとな」
安村校長「もちろん君たちにも手伝ってもらうからね」
「はい」

〇病室
雪島アイナ「・・・・・・ん?」
雪島千砂「アイナ!?」
雪島アイナ「お、おかあさん?」
雪島千砂「目覚めて良かった」
雪島アイナ「ねてるあいだにね 大河くんのコエがきこえた キがしたの」
雪島アイナ「そ、そんなわけないのにね」
雪島千砂「アイナ、喜んで」
雪島アイナ「ん?」
雪島千砂「あなたの願いが叶うわよ」

次のエピソード:第13話『練習』

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