第二話:「変なシゴト、変なニオイ」(後編)(脚本)
〇アパートの前
〇畳敷きの大広間
敷島杏「・・・10時35分。よしっ」
真山の声「真山です」
敷島杏「敷島です、異常ありません」
真山の声「あのね、敷島さん。 5分おきに報告いらないんだけど」
敷島杏「報告くらいさせて下さいよ! こっちは事故物件に一人で居るんですよ!」
真山の声「いや、そういう仕事だからね・・・」
敷島杏「ぎゃああ! い、今、窓の方から謎の音が!」
岩倉の声「風だろ? サッシ緩んでたしな」
真山の声「築年数50年超えですもんね。 よくある事だから心配しないで」
敷島杏「・・・」
真山の声「あれ? 敷島さん? 聞こえてる?」
敷島杏「・・・今の音は風なんかじゃありません」
真山の声「えっ?」
敷島杏「亡くなった住人が私に挨拶したんです!」
敷島杏「「いらっしゃいませ、ようこそ我が家に」 って!」
岩倉の声「そんな律儀な幽霊いないだろ」
敷島杏「うわあああん! やめて下さい! お茶はっ! お茶は結構ですから!」
〇車内
岩倉哲也「駄目だな。真山、行くぞ」
真山文雄「あ、はい!」
〇畳敷きの大広間
敷島杏「すみません・・・。 私、お化けとか怖い場所って本当にだめで」
敷島杏「どんどん怖い想像が頭の中に 浮かんできちゃうんです」
岩倉哲也「面倒な想像力してるな」
真山文雄「『記録係』。僕、交代しましょうか?」
敷島杏「ええっ!? それ、本気で言ってるんですか?」
敷島杏「・・・真山さんって墓場で ソロキャンプするタイプなんですね」
真山文雄「どうしてそうなるの? そんな罰当たりな趣味ないって」
敷島杏「だって事故物件に一人で泊まりたい なんて、普通じゃないですよ」
真山文雄「ああ。それはね、 単純にお金が貰えるからだよ」
敷島杏「えっ!?」
岩倉哲也「『記録係』は大変だからな。 一回ごとにインセンティブを出してる」
敷島杏「いんせん・・・てぃぶ?」
真山文雄「特別ボーナスってこと」
敷島杏「ボーナスッ・・・!?」
敷島杏「ち、ちなみに幾らです?」
岩倉哲也「一回につき大体これくらいだな」
敷島杏「・・・やります」
真山文雄「あ、また金で動いた」
敷島杏「ち、違いますーー!」
〇アパートの前
〇車内
岩倉哲也「お前が『記録係』を譲るとはな。 一体どういう風の吹き回しだ?」
真山文雄「"楽して稼ぐ"が僕のモットーですから、 今回は楽を取りました」
真山文雄「スマホも使えずに朝まで居るの、 結構しんどいんですよ」
杏の声「ぎゃーーーー、家がミシミシ鳴るううう!」
岩倉哲也「賑やかな奴だな、家鳴りぐらいで」
岩倉哲也「こりゃ一ヶ月持てば良い方だな。 有望な新人だと思ったんだが」
真山文雄「例のニオイってやつですか? どうなんですかねぇ」
真山文雄「そもそも幽霊なんて存在、 信じるから面倒臭いんですよ」
岩倉哲也「お前みたいなスタンスの方がこの仕事、 長続きするのかもな」
杏の声「いーーーやーーー!」
真山文雄「有望な新人ねぇ・・・」
〇アパートの前
〇畳敷きの大広間
敷島杏「しゃちょ〜~! まやまさ〜~ん! お会いしたかったです〜~!」
真山文雄「お、お疲れさま」
岩倉哲也「どうだ? 一晩泊まった感想は」
敷島杏「お化け屋敷が一層嫌いになりました」
岩倉哲也「で、出たのか?」
敷島杏「出てはないですけど・・・」
真山文雄「でもほら、これでボーナスは出るし。 よかったね」
敷島杏「真山さん。いつもこんな 辛い思いをしていらっしゃるんですね」
真山文雄「まあ・・・ね。あははは」
岩倉哲也「そうだったか? お前いつも 鼻歌混じりで物件から帰って来てたけどな」
敷島杏「・・・え? 鼻歌?」
真山文雄「いやいや、鼻歌なんて歌わないよ! でも正直、そんなに辛くはないかな」
真山文雄「測定異常なんて滅多に出ないから」
敷島杏「ええっ!? そうなんですか!」
岩倉哲也「数百件に一つとかそんくらいだな」
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