4 秀夫のいない職場(脚本)
〇おしゃれなリビングダイニング
翌日。
富田秀夫「ご馳走様!後片付けは任せて良いよね?」
小椿俊彦「あぁ、問題無い・・・」
富田秀夫「分かった!そう言う事なら!」
小椿俊彦「・・・なぁ秀夫・・・」
富田秀夫「ん?どうしたの?」
小椿俊彦「赤木から聞いたぞ・・・お前、夏目ゲームスにヘッドハンティングされたんだってな・・・」
富田秀夫「そうだけど、それが何か?」
小椿俊彦「今日まで何で黙ってたんだ?言う機会は幾らでもあったと思うが・・・」
富田秀夫「あぁ!夏目ゲームスに行くまで色々と覚えて置く事があったから伝えるの忘れてたよ!でも問題無いでしょ?」
小椿俊彦「いや、あるよ・・・報連相は社会人としての基本だろ?あんな唐突な事されちゃ対応に困ると言うか・・・」
小椿俊彦「何より、お前本当にこれで良かったのか?夏目ゲームスは社内競争が凄く厳しいし、」
小椿俊彦「そもそもお前が勉強してる所はいつも見てたが、ゲームやってる所なんて殆ど見た事無いぞ?」
小椿俊彦「本当に大丈夫なのか?」
富田秀夫「愚問だよ叔父さん・・・何度も言ってるけど、僕はIQ300の天才!出来ない事なんて何も無いんだよ?」
富田秀夫「ゲームとは子供の遊び・・・子供の心を掴んだり向上心を上げるなんて容易い事さ・・・」
小椿俊彦「お前の言いたい事は良く分かったが、そんな考え方じゃいつか足下掬われるぞ?」
小椿俊彦「一番危ないのは常に自分が正しいって思う事だ・・・自分第一にしてたら、いつか信頼すらも無くして・・・」
富田秀夫「叔父さん、雑魚が幾ら御託をならべた所で何も変わらないよ?低学歴の雑魚の相手してる暇があるなら、」
富田秀夫「もっと本当に必要な事をやるべきだろ?だから叔父さんもレベルが低い奴相手に出来るんだよ・・・」
小椿俊彦「・・・俺の事はどう思っても良い・・・でも人様に対してそんな態度だけは絶対にしないでくれよ?」
小椿俊彦「秋山達に対してだって・・・」
富田秀夫「叔父さん、そう言うの時間の無駄って言うんだよ?まだ分からないの?」
小椿俊彦「いや、だから・・・」
富田秀夫「これ以上相手しても仕方が無いから、そろそろ行くよ・・・僕の考えは本当に正しいって事を見せるよ・・・」
小椿俊彦「・・・昔は優しくて可愛かったんだけどなぁ・・・俺、どこで間違えちゃったんだ?」
分かってこそいたが、秀夫を説得出来なかった俺は、朝食の後片付けをして会社へ向かうのだった。
〇オフィスのフロア
数時間後。
小椿俊彦「説明は以上となります・・・何かご不明な事があればご連絡下さい・・・」
小椿俊彦「さて次は・・・」
秋山人志「部長、資料が出来上がりましたので確認お願いします・・・」
小椿俊彦「おう!任せろ!」
秋山人志「ありがとうございます・・・それでは・・・」
小椿俊彦「・・・・・・」
小椿俊彦「え〜っと・・・」
小椿俊彦「あ、この辺間違ってるな・・・後で届けに行くか・・・」
星川スミレ「小椿部長!ただいま戻りました!」
小椿俊彦「おう!お疲れ!どうだったよ?」
赤木加奈子「中々良い感じでした!向こうも前向きに検討するとの事っす!」
小椿俊彦「おぉ!向こうもその気になってくれたか!次も頼むぜ!」
星川スミレ「勿論です!さ、行きましょう加奈ちゃん・・・」
赤木加奈子「はい!先輩!」
小椿俊彦「・・・・・・」
小椿俊彦「(何と言うかこう、凄く順調だな・・・最近まではこんな感じだったかな?)」
小椿俊彦「(よくよく考えたら、俺達が慌ただしかったのは秀夫が余計な事ばかりしてたからだったな・・・)」
小椿俊彦「(天才なのは分かるが、あいつがいないだけでこんなに変わるとは・・・何だか複雑な気分だな・・・)」
秋山人志「良し、これやったらやっと昼休憩だな・・・」
星川スミレ「ねぇ秋山君、何か今日気持ちとか身体とか軽い感じしない?」
秋山人志「え?星川もか?俺も何かそんな感じするんだよな・・・昨日休みじゃ無かったのに・・・」
赤木加奈子「う〜ん、これってやっぱ、あの疫病神がいなくなったからっすかねぇ・・・」
星川スミレ「あ、確かにそれ言えてるわ・・・あいつが来てから本当大変だったし・・・」
秋山人志「成る程、あいつがいない方が俺らも滞りが無くなるってか?」
星川スミレ「あ!それならさぁ!今日の仕事終わったら皆で飲みに行かない!?あいつがいなくなった記念って事でさぁ!」
赤木加奈子「おぉ!良いっすね!先輩達の奢りっすか!?」
秋山人志「ったくそう言う所はちゃっかりしてるよなぁ・・・」
小椿俊彦「(まぁ、あいつらが満足そうなら問題無いか・・・それはそうと、秋山に資料修正頼まないとな・・・)」