ヴァロ戦記

かしもち

第2話 初授業でまさかの死にそうです(脚本)

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〇洞窟の深部
【ジュドー】スライム「きえあああああああああ」
  はあ・・・はあ・・・
  息が・・・続かない
  出血も多いし、視界がどんどんぼやけてくる
  こんな俺の姿を見せてもなお、奴は、ジュドーは俺を殺そうと襲いかかろうとしてくる
  ・・・俺、死ぬのか
  反撃もできずに死んでしまうのか・・・
  クソ・・・
  クソ・・・クソ・・・
  クソやろうがああああああああああ

〇講義室
  遡ること数時間前──
ハル「失礼しまーす」
ハル「ここが俺らの教室かな?」
マーク「みたいだな、そう案内されたから」
ハル「俺らは1組か・・・」
ハル「なんだか高校なのに大学の講義室みたいだ」
マーク「同感だ。俺ももっと教室っぽいものイメージしてたんだが・・・」
ハル「えーと、席は・・・」
ハル「ここだ! マークは・・・」
ハル「やった!隣じゃん!」
マーク「お、ハルの隣か!改めましてよろしくな」
ハル「うん、よろしく」
ハル「マークが隣の席だし、いつでも授業で分からないとこマークに教えてもらえるしありがたいよ」
マーク「おいおい、俺はそんな人に教えるの得意じゃないぞ」
ハル「ハハハ・・・」
ハル(入学式が終わった後も色々マークと話しながら教室に向かったんだがマークについて色々な事がわかった)
ハル(実家はマシューのチルド番地。 マナセクト学園からかなり離れたところから来たらしい)
ハル(だから、俺と同じく寮住みって事だ。 部屋も近くだったら嬉しいなあ・・・)
ハル(それと、マークは地頭が良いらしく、中学の成績はトップに入るくらいの頭の良さらしい)
ハル(ただ、たまーに抜けているところがあり、天然ってとこかな)
ハル(とりあえず新しい友達もできたし、先生方もクラスも良い雰囲気だし、最高の学園生活が今始まりそうだ・・・!)
マーク「でさー・・・おい、何ニヤけてんだ?」
ハル「あ、やべ、つい」
マーク「ハハーン・・・ さてはお前もう一目惚れした女の子でもいるか?」
ハル「ち、ちげーよ! このクラスの女子とはまだ話して無いだろ」
マーク「ガハハハ・・・」
ハル(あ、言い忘れてた事が一つ。 マークとお母さんの笑い方がかなり似ているというとこだ)
マーク「ハハハ・・・ちなみになんだが、ハル的にこのクラスで一番可愛い女子は誰だ?」
ハル「なんだよ急に・・・ 可愛い女子か・・・」
ハル「でも俺外見だけじゃなくて内面も見て可愛さ決めたいからな」
マーク「内面なんてどーでも良いんだよ! 見た目的にグッとくる女子は!?」
ハル「うーん・・・ そんな急に言われても・・・」
マーク「なんだよー・・・ 男ならパッと決めんかい! パッと!」
ハル「えー」
ハル「逆にマークは一番可愛い女子見つけたの?」
マーク「お!よくぞ聞いてくれたな同志よ」
ハル(同志・・・?)
マーク「俺的にはなー・・・」
マーク「あの子なんか可愛いと思うんだよなっ!」
ハル「え、どの子どの子?」
マーク「ほら、あっちの窓側の席に座ってる!」
ハル「窓側の席・・・?」
マーク「ほら、机の上で頬杖ついてる女子!」
ハル「・・・あ」

〇白

〇講義室
マーク「な!?可愛いだろー」
ハル「・・・」
ハル(同じ・・・クラスなんだ)
マーク「なあなあ」
マーク「え、おい?聞いてる?」
ハル「・・・」
マーク「おいって!」
ハル「あ!ごめんごめん」
ハル「ついボーっとしてた」
マーク「なんだよ、急にボヤついて」
マーク「もしかして、お前もあの子に惚れちまったか!?」
ハル「な、なわけねーだろ」
マーク「顔立ち綺麗だよなー 鼻も高いし・・・」
マーク「スタイル良いし、胸もぉ・・・」
マーク「連絡先交換したいなあ・・・」
ハル「む、無理じゃないか?」
マーク「なんでだよおおおお」
ハル「勢いありすぎるし、下心ありまくりだし」
マーク「どうしてだよおおおおおお」
ハル「ハハハ・・・」
ハル「あ、ごめんねこいつがうるさくて」
オズワルド「・・・」
ハル「隣の席だよね、よろしく」
オズワルド「・・・」
ハル「俺はハル 君、名前は?」
オズワルド「・・・」
ハル(こいつ無視かよ、気分悪くなるな・・・)
オズワルド「・・・し」
ハル「し?」
オズワルド「し、死にたくないよおおおおお」
ハル「え!?え!?」
オズワルド「ママぁ・・・怖いよぉ」
ハル「え、ええ・・・」
ハル(高校生でママ呼び・・・? しかも死にたくないってなに・・・?)
オズワルド「うえーん・・・」
マーク「連絡先交換じだあい!連絡先交換じだああい!」
ハル「号泣している男子高校生が両隣・・・ 俺はどうすれば良いんだ・・・」

〇豪華な部屋
  校長室──
バルサス「いやー結構緊張したな」
マリアン「ええ、喉が疲れましたわ・・・」
マリアン「それにしてもまったく、他の先生に止められたのにもかかわらず、間違って出てきちゃって・・・」
マリアン「バルサス先生何やってるんですか?」
バルサス「いやーすまんすまん。 てっきり、開式の辞を俺がやるのかと」
マリアン「私がやるんですよ・・・まったく リハーサルまでやったというのに」
バルサス「次から間違えないようにするからさあ・・・」
マリアン「それにしても舞台袖でバルサス先生が仰ってたように、今年の入学生はただならぬ魔力が漂っていましたね」
バルサス「ああ、特に1組」
バルサス「あそこは上位ランクの魔力が溢れていた」
バルサス「クラス編成はもしかして1組に?」
マリアン「ええ、左様で。 1組の方に試験合格上位を集めております」
バルサス「そうか、そういうことか」
バルサス「ちなみに今年も『アレ』、やるんだろ?」
マリアン「そうですね、この学園の恒例行事ですので」
バルサス「恒例行事って・・・まだこの学園設立されて2年しか経ってないし、2回しかしてないだろ」
マリアン「あら?そうですっけ」
バルサス「こいつ物忘れえぐいな ババアかよ」
マリアン「ええ!?何か仰りやがりましたか!?」
バルサス「ヒッ!なんでもありません!!」
バルサス「とりあえず、『アレ』に関しては1組が気になる。 視察に行ってみるか」
マリアン「ええ、そうですね」

〇講義室
ハル(もうすぐ先生が来るみたいだし、教室も静かになってきた)
ハル(それにしても・・・)
オズワルド「グスン・・・グスン・・・」
ハル(こいつはいつまで泣いてるんだ・・・)
ハル(入学式でも泣いてる女子居たし、俺らの学年大丈夫か──)
ハル「な、なんだあ!?」
マーク「ば、爆発!?」
オズワルド「ママああああああ助けてええええ」
  ふう・・・このドアも脆いな・・・
ゴリス「よおお前ら!」
ゴリス「今日からこの1組の担任を務めるゴリスだ!」
ゴリス「いいか!間違ってもゴリラとかゴリザキとか言うんじゃねえよ!!」
ゴリス「言った奴はこうだ──」
  石の教卓が粉砕した
ゴリス「この様に木っ端微塵にしてやるからな」
ゴリス「おい、代わりの教卓持ってきてくれ」
「もお、ゴリス先生また教卓壊しちゃったんですか?」
  クラス一同の内心
  『誰もゴリラなんて言おうと思わねえよ』
ゴリス「とりあえず、この1組で1年間過ごしていくわけだ。 お互い自己紹介でもしあおうか」
ゴリス「んーとじゃあ、右端の方から自己紹介を頼む」
「は、はい」
イリュー「はじめまして、私はイリューと申します。 風属性の魔法を扱います。 一年間よろしくお願いします」
ナナ「次は私だよね! 皆さんはじめまして! 私はナナって言います!」
ナナ「好きなことはグミとバレーとアイドルグループのイグザイル! イグザエル好きな人は仲良くなろーね!」
ナナ「あとはー・・・属性?だっけ 属性は光です!よろしく!」
シスト「シストだ、よろしくちゃん♡」
シスト「イケメンかつ高貴な美しきオーラが溢れ出ているこの僕が、このクラスの女の子全員落としちゃうよん♡」
  クラス女子一同
  『きもお・・・』
シスト「まあ、そんな僕が扱う属性は花・・・」
ゴリス「おめえ長えんだよ。 さっさと次に行け」
シスト「は、はひ」
クリス「え、えーと、もう自己紹介して良いのかな?」
クリス「俺はクリスです。皆さんとぜひ仲良くなって1年間楽しく過ごしたいです」
クリス「あとクラス委員長もできれば立候補したいです。よろしくお願いします」
クリス「属性はこう見えて格闘なんだ笑 中々そうは見えないって言われるんだけどね」
クロウ「クロウでござる。 我輩も属性は風でござる。 是非仲良くして欲しいでござる」
ローゼ「ろ、ローゼです。 属性は守りです。 よ、よろしくお願いいたします」
ロイ「ロイだ。雷属性。よろしく」
ロイ「・・・あと、俺に近づくやつ全員殺す」
  クラス一同
  『怖ぁ・・・』
アズサ「初めましてアズサです 属性は氷です 1年間よろしくお願いします・・・」
カゲ「初めましてカゲです。 属性は水です。 このクラスで研鑽しあって成長していきたいので、みんなよろしくね」
ハル(ゲ・・・カゲも一緒のクラスなのかよ)
カゲ(ニヤッ)
ハル(アイツ・・・!)
オズワルド「ヒ・・・え・・・えっと」
オズワルド「オ、オ、オズワル、ドです、 ぞ、属性は、か、かかかかかか回復でしゅっっっっっっ!!!」
  クラス一同
  『この子大丈夫??』
ハル「はじめましてハルです。 属性は火属性です。 えっと、みんなと仲良くなれたら嬉しいな よろしくお願いします」
  火属性か、珍しいな
  火力最強のレア属性だよね・・・
  すごい
ハル「は・・・ハハ・・・」
ハル(やっぱり火属性だと珍しがられるか)
ハル(まあ想像以上に魔力低いし火力なんてほとんど無いけどね・・・)
マーク「みんなはじめまして! マークって言います!」
マーク「属性は水! 水泳とかも得意です」
マーク「これからクラスで一致団結して1年間楽しく過ごしていきたいと思ってます! お互いこれからよろしくな!」
  クラス女子一同
  『キャーイケメンッッッッ!!!』
  この後も次々と自己紹介が行われていった

〇講義室
ゴリス「うっしー・・・全員自己紹介終わったな」
ゴリス「んじゃ、1年間過ごしていく仲間だ。 くれぐれもトラブルとか起こさないようにな」
  はーい
ゴリス「おし、じゃあ今からこの後のカリキュラムについて説明していくぞ」
ゴリス「まずは研究室で魔力測定を行う」
ゴリス「あー、魔力測定っつうのはお前らの魔力を測定して、魔力数値ごとにランク分けを行う」
ゴリス「下から順に、E、D、C、B、A、S。 まーこの学園に入学した時点でEランク取るやつなんてほぼ居ないがな」
ゴリス「みんなも中学で既に学んでいると思うが、個人の魔力数値はジュドーを倒すことによって上がる」
ゴリス「つまり、ジュドーを討伐すればするほどレベルアップするっていうわけだな」
ゴリス「だから、もしランクが低かったとしても、ジュドーとの戦闘を重ねればいずれはランクも上がる。安心しろ」
ゴリス「少し話が逸れてしまったが、魔力測定の後はとある試験を受けてもらう」
  試験?そんなの聞いてないぞ
  噂で聞いたことある。
  結構危険なテストなんだって
  ええ!やべえじゃん!
ゴリス「静かにしろ!!」
  鉄の教卓が木っ端微塵になった
ゴリス「ああ・・・ついまた教卓を壊してしまった」
ゴリス「・・・ゴホン 大丈夫だ」
ゴリス「確かに流れている噂通り場合によれば命に危険の伴う試験だ」
ゴリス「このマナセクト学園の校内には一ヶ所人工のダンジョンが設置されている」
ゴリス「その50層に及ぶダンジョンにはジュドーを閉じ込めており、うじゃうじゃと湧いている」
ゴリス「試験内容はそこのダンジョンに設置されているフラッグを回収する事ができれば合格だ」
ゴリス「フラッグの回収が出来ず不合格の場合でも退学なんてことにはならない。 この試験はあくまで生徒の実力を観察する目的だからな」
ゴリス「また、Bランク以上の職員12名が監視にあたった上での試験となる。 万が一の場合は職員が対応にあたる 安心しろ」
  な、なら安心なのか・・・?
ゴリス「細かい内容については試験の時に説明する」
ゴリス「おっと、時間だ。 今から魔力測定に向かうぞ」
ゴリス「順番に廊下に並んでついてこい」
  はい

〇魔法陣のある研究室
  失礼します・・・
ゴリス「1組到着しました。 魔力測定のほど、よろしくお願いします」
  かしこまりました
サキ「貴方達が1組の生徒ね。 準備にもう少しかかるから待っててちょうだい」
  はい
クリス「ふふ・・・緊張する?」
ハル「あーそうだね、何ランクなのか不安だし」
ハル「えっと・・・」
クリス「クリスだよ。 ハルくんだよね?よろしく」
ハル「よろしく! よく名前覚えてるね」
クリス「記憶力には自信があるんだよね。 さっきの自己紹介で大体の名前は覚えたよ」
ハル「すごいな笑 まだ俺は覚えきれてないや」
クリス「大丈夫、一緒に教室で過ごしていくうちに覚えるさ」
クリス「それにしても、ハルくんは火属性だよね すごいな」
ハル「あー、よく言われるけどそんな期待されるものじゃ無いよ」
クリス「どうして? 火属性は属性の中でも強い部類だろ?」
ハル「俺、他のマナセクトより魔力がかなり低いんだ」
ハル「だから火属性だけど火力も火花が散る程度。 期待されるけどいざ見せると幻滅される事が多いんだ・・・」
クリス「そうか、でもさっきゴリス先生が仰ってたように、戦いの経験を積めば魔力は上がっていくよ」
クリス「一緒に頑張ろう」
ハル「・・・! うん、ありがとう」
サキ「魔力測定の準備ができたわ。 一番先頭の子から測定していくわよ」
サキ「じゃあ、そこのオレンジ髪の子来て」
ハル「は、はい!」
クリス「気抜いてね!」
ハル「うん!」
サキ「出席番号と名前教えて」
ハル「えっと、1121番ハルです」
サキ「ハルねOK。 では今から測定を始めるわ」
サキ「スキャンに20秒ほどかかるから我慢しててね」
ハル「わかりました」
サキ「火属性・・・珍しいわね これは期待できるわ」
ハル(き、期待しないでえええ)
サキ「スキャンを始めます。 じっとしてて」
ハル「・・・はい」
ハル「・・・」
ハル(サキさんも言っていた通り、クラスのみんなも火属性だからって期待してるな・・・)
ハル(・・・もし、数値が低くてEランクが出た場合、クラスのみんなからはどう思われるだろうか)
ハル(期待してた分、幻滅されるよね。 多分中学の頃のように噂だって回るかも)
ハル(心臓がバクバクする。 ただ、魔力数値を測るだけでここまで緊張するなんて・・・)
サキ「そろそろ測定が・・・」
サキ「・・・? あれ?」
ハル(・・・やっぱり──)
サキ「おかしいわね、エラー表示が出てる・・・ ちょっとまってて」
ハル「あ、はい・・・」
サキ「どうして? なんで数値が表示されないの?」
ハル「ど、どうしたんですか?」
サキ「何故かはわからないのだけど、魔力数値が表示されないの」
サキ「というより、これは・・・測定が出来ない・・・?」
ハル「測定が、できない?」
サキ「貴方、最後に魔力測定検査を受けたのはいつ?」
ハル「えーと、記憶が曖昧なんですけど、最後に受けたのは5歳の頃にマナが覚醒した直後が最後です」
サキ「なるほど・・・その時の数値は?」
ハル「確か10MP(マナポイント)で、医師からはマナ覚醒したとは思えないほど魔力数値が低いと言われました」
サキ「・・・そう」
サキ「・・・」
ハル(俺の魔力が測定出来ない? どういう事だ?)
サキ「従来の基礎データに基づいて考えたとしても・・・ブツブツ・・・」
サキ「ブツブツ・・・いやしかし装置の故障の可能性も・・・ブツブツ・・・」
ハル「えーと、サキさん?」
サキ「・・・あ、ごめんなさい とりあえず、貴方の魔力測定はまた今度でもいいかしら?」
ハル「は、はい、わかりました」
ハル「失礼します・・・」
サキ「・・・これは面白いことが起こりそうね」
サキ「では次の人こっちにきて」
クリス「はい」

〇講義室
ハル「あ、戻ってきました」
ゴリス「おう、お疲れ 早かったな」
ハル「あー・・・」
ハル(一応伝えとこうか・・・)
ゴリス「どうしたんだ?浮かない顔して」
ハル「実はなんですけど、俺の魔力、測定出来ないみたいで」
ゴリス「測定が、出来ない?」
ハル「はい・・・、サキさんが何度も試してみたんですけど、どうやっても測定出来ないみたいで」
ハル「なので、また後日魔力測定を受けることになりました」
ゴリス「・・・そうか」
ゴリス「俺には詳しいことは分からんが・・・ まあ、一時的な機械の故障だろう」
ゴリス「とりあえずツイてなかったな」
ハル「はは・・・ありがとうございます」
ハル(俺にとってはクラス全員の前でEランク取って恥を晒さずに済んだから幸運だけどね・・・)
ゴリス「他のみんなが帰ってくるまで待機しとけ」
ハル「わかりました」
ゴリス「魔力が測定不能か・・・」
ゴリス「・・・」

〇洞窟の深部
【ジュドー】スライム「・・・」
【ジュドー】スライム「ぎええええええ」

〇講義室
ハル(結構教室に戻ってきたな マークもそろそろ・・・)
マーク「うっすー」
ハル「うっす、おかえり」
マーク「ただいまー戻りやがりました」
ハル「魔力測定どうだった?」
マーク「はぁぁぁぁ」
ハル「なんだよ、そんな深いため息ついて」
マーク「それがさ」
マーク「695MPのCランクなんだよ・・・」
ハル「は?695MPのCランク?すげぇじゃん!」
マーク「違うんだよ・・・ 中学の頃と20MPくらいしか変わってねぇんだよ・・・」
マーク「心身が成長すると共に魔力も成長するって習ったけど」
マーク「たったの20MP・・・」
ハル「あのなぁ・・・魔力激雑魚の俺の前でそれ言うか?」
マーク「す、すまん。 自慢のつもりで言ったわけじゃない」
マーク「けど、俺的にはもっと成長したかったんだよ」
ハル「まあそんな落ち込むなよ。 これから学園で色んな経験をするうちに魔力もどんどん上がるって」
マーク「そう、だよな! よし!頑張るぞ!!」
ハル(・・・単純だな)
マーク「それはそうと、ハルはどうだったんだ?」
マーク「結構測定に長引いてたみたいだけど、何かあったのか?」
ハル「あーそれがさ、魔力が測定出来ないって言われちゃって・・・」
マーク「魔力が測定出来ない?」
マーク「ガハハハハ・・・ そんなことあるのかよ笑」
マーク「ハルの魔力が強すぎて機械がぶっ壊れちまったんじゃねぇのか!?」
ハル「おい、笑うなよ・・・」
マーク「すまんすまん、とりあえず測定出来なかったってことはまた今度ってことか?」
ハル「そうなるみたい」
マーク「まあそういうこともあるさ、とりあえず次は例の試験だ」
マーク「気張っていこうぜ」
ハル「うん」
  す、すげぇ!!
ハル「な、なんだ?」
1組生徒「941MPのAランク!? 120人居る学年でもたった3人しか居ないぞ!?」
カゲ「そんなに驚かないでよみんな・・・」
カゲ「単なる数値でしかないし、実戦だとこの数字が役立つわけではないよ」
1組生徒「で、でもさぁ!」
ハル「カゲか・・・」
ハル(たかがAランクを取ったくらいであんなドヤ顔しやがって・・・)
ハル(あんなこと言ってるけど顔は満更でもなさそうじゃん)
1組生徒「やっぱりAランクにもなると、他のマナセクトの魔力とかもわかるのか!?」
カゲ「ハハハ・・・そんなしっかりわかるものでは無いよ」
カゲ「まあ、このクラスは魔力の高い生徒が多いね」
カゲ「『たった1人』のマナセクトを除いてね」
1組生徒「え、誰だよ」
カゲ「わかってるだろ? 君だよ君」
カゲ「『ハルくん』」
ハル「・・・! カゲ!」
カゲ「なんだい、そんなしかめっ面をして」
カゲ「実際事実なんだろ? マナ覚醒時に測定したらたったの10MP笑」
カゲ「火属性でありながら、こんなにも低いなんて・・・ そこら辺の一般人の方が強いよ」
1組生徒「マジかよ笑 ハルって火属性なのに10MPしかないのか?」
ハル「・・・クッ!」
マーク「やめろよ」
カゲ「なんだ?お前」
ハル「マーク!」
マーク「カゲ?とか言ったか 個々の魔力を馬鹿にするような発言はやめてもらいたいな」
マーク「ましてや、俺の大切な友達をコケにするなど、絶対に許さない!」
カゲ「・・・チッ、そういうお前は魔力どんくらいだったんだよ」
マーク「・・・Cランクの695MPだ」
カゲ「フンッ・・・たったの695MP??」
カゲ「Cランクごときが俺に口を挟まないでほしいな?」
マーク「Cランクだからなんだ?」
マーク「さっきお前は自分で言っただろ?」
マーク「魔力は『単なる数値でしかないし、実戦だとこの数宇が役立つわけではないよ』と」
マーク「お前みたいな卑屈な奴が戦場で役立つとは思えないな」
カゲ「貴様・・・!!俺の事を役に立たないだと・・・!?」
  マーク君とカゲ君が喧嘩してる・・・
  止めないとやばくね?
ハル「や、やめてくれ カゲもマークも」
ハル「マーク、庇ってくれてありがとう。 けど、もういいよ」
マーク「でもこいつ・・・!」
カゲ「ふん・・・ハルくんもこう言ってる事だ。 こんな下品なことは慎もう」
マーク「下品・・・どっちが・・・!」
カゲ「またな、ハルくん、マークくん」
マーク「・・・」
ハル「マーク、代わりに怒ってくれてありがと」
マーク「いや、いいんだ。 俺まじあいつ嫌い」
ハル「ハハハ・・・」
マーク「ハル、お前もだ。 なんであんだけ馬鹿にされてもムカつかないんだよ」
ハル「・・・それは」
ハル「中学の頃からずっとあんな感じなんだ・・・ カゲに馬鹿にされ続けて・・・」
ハル「魔力も高いし実力のあるカゲと、魔力も低いし役に立たない俺とじゃ、差がありすぎる」
マーク「でも、だからって・・・!」
ハル「まさかカゲと同じ高校になるとは思わなかったよ。 中学で終わる関係だと信じたかったから」
ハル「けど、もういいんだ。 俺はこの学園で変わってみせる」
マーク「ハル・・・!」
ハル「マーク、見ててくれ。 中学の頃のように嘆いてばかりいる自分じゃない」
ハル「『勇気と希望を強さに変えろ』」
マーク「その言葉は・・・?」
ハル「俺のお父さんから教えてもらった大切にしてる言葉なんだ」
ハル「俺の中にある勇気と希望を強さに変えて、カゲを見返してやる!!」
マーク「・・・その意気だ!ハル!」
ゴリス「よし、全員魔力測定から帰ってきたみたいだな」
ゴリス「まあ、個人個人の結果次第で様々な思いが巡っていると思う」
ゴリス「しかし案ずるな。 このマナセクト学園で切磋琢磨頑張れば、道は切り開かれる」
ゴリス「魔力が低かったやつも高かったやつも関係ない。 みんなそれぞれ強くなればいい」
ゴリス「誰かと競う必要は無いぞ。 ただ、昨日の自分より今日の自分が強くなれたのならそれでお前らにとっての勝利だ」
ゴリス「・・・まあ、少し話は長くなったがそういう事だ」
ゴリス「では次にいよいよ試験を行う」
ゴリス「今から試験場・・・ダンジョンに移動するからついてくるように」
  は・・・はい!

〇地下に続く階段
ゴリス「・・・着いたな」
ゴリス「この先に試験場であるダンジョンが設置されている」
ゴリス「魔力測定前の時に説明した通り、Bランク以上の職員が随時監視に当たっている。 そう怯えるな」
ゴリス「では下るぞ」

〇岩の洞窟
ゴリス「よし、全員揃ったな・・・」
ゴリス「それではこれより試験内容を説明するからよく聞くように!」
  はい
ゴリス「まず、試験内容はこの先にあるダンジョンの特定の場所に置いてあるフラッグを回収して戻ってくるのが合格条件だ」
ゴリス「合格出来た者には報酬があるぞ。 心してかかるように」
  おお・・・報酬か、なんだろう・・・
  俺プ〇ステ5がいいなぁ・・・
ゴリス「おい!お前ら気がたるんでいるぞ!!」
  ・・・!!
ゴリス「いいか?職員が監視している人工ダンジョンとはいえ、ジュドーが居るのには変わりない」
ゴリス「そういった一瞬の気の緩みが命取りになる場合もある。 気を抜くなよ?」
  はい・・・すいません
ゴリス「・・・ゴホン 説明に戻るが・・・」
ゴリス「フラッグを回収出来ずに戻ってきた場合は不合格だが、ペナルティ等は特に無いため無理をするなよ」
ゴリス「合格や報酬よりも、自分の命最優先に考えろ。 危険だと思ったら即時退避しろ」
クリス「あ、あのぉ・・・」
ゴリス「なんだ?」
クリス「何か武器とか防具等は配られないんですか?」
ゴリス「あぁ・・・説明し忘れていたな」
ゴリス「お前らの着ているその制服。 それはただの制服では無い」
クリス「え?!」
ゴリス「その制服は最高質の特殊生地で出来ており、どんな攻撃も大体は跳ね返す程の強力な装備になっている」
クリス「こ、この制服がそんな凄いものだったなんて・・・」
ゴリス「また、お前らの魔力をサポートする 『マナエネルアシストシステム』が使用されており、攻撃や魔力の温存を手伝ってくれるぞ」
ゴリス「またお前らの基礎体力や運動神経もパワーアップさせてくれる。 普段着として使っても悪くないと思うぞ」
ゴリス「そして、武器に関してだがもう既にお前らには魔法という武器が備わっているだろ?」
ゴリス「今回の試験の目的はあくまでもお前らの実力を測るためだ」
ゴリス「己自身の力で壁を乗り越えろ」
クリス「・・・わかりました」
ゴリス「そして今回、少しでも危険度を下げるため個人ではなくチームで行ってもらう」
  チーム・・・?
ゴリス「5人で1チームを作り、ダンジョン内部を探索してもらう」
ゴリス「チームメンバーに関しては特にこちらからは指示は無い。 友達同士で組んでもいいぞ」
ゴリス「では、今からチームを組んでもらう」
ハル「チームか・・・誰と組もう」
マーク「おいハル!一緒にチーム組もうぜ!」
ハル「ああ!もちろんだ!」
オズワルド「あ・・・あの・・・」
ハル「えっと君は・・・隣の席のオズワルドくん?」
オズワルド「は、はい・・・ よろしければ僕もチームに入れて貰えませんか?」
ハル「もちろん!こっちもチームメンバー探してるとこだったんだ」
マーク「大歓迎だぞ!」
オズワルド「ありがとうございます・・・」
ハル「あと2人・・・誰を誘おう・・・」
アズサ(・・・誰と組もうかしら)
ナナ「アズサさん!良かったら私たちと一緒に組まない?」
イリュー「あと一人チームメンバーを探しているんです」
アズサ「いいの?ありがとう・・・」
ナナ「やった!これでチーム決まりぃ!」
ゴリス「ナナのチームはどうやら決まったようだな チームメンバーは?」
ナナ「私とイリューさんとアズサさんとローゼさんとサリさんです」
ゴリス「OK、ちゃんと5人だな」
ゴリス「他にチームが決まったやつは俺に教えてくれ」
ロイ「・・・」
カゲ「やあ、ロイくんだよね?よろしく」
ロイ「・・・」
カゲ「俺は水属性なんだけど、ロイくんは雷属性だよね?」
カゲ「2人で協力してタックコンボすれば強いと思うんだ」
カゲ「是非一緒にどうかな?」
ロイ「・・・好きにしろ」
カゲ「・・・では好きにさせてもらうよ」
ゴリス「おい、ロイとカゲが余っているぞ。 まだ空いているチームはあるか?」
ゴリス「お、ハルのチームが空いているじゃないか」
ハル「え・・・俺らのチーム!?」
マーク「チッ・・・カゲと一緒のチームだなんていけすかねぇな」
ゴリス「では、ロイとカゲはハル達のチームに入るように。 いいな?」
ロイ「うっす・・・」
カゲ「わかりました」
ゴリス「よし、全員チームは決まったな」
  はい!
ゴリス「ではこれより試験を開始するぞ」
ゴリス「さっきも言ったが、危険だと思ったら即時退避する事だ。 変なプライドなんぞ捨てろよ?」
ゴリス「ダンジョンの特定の場所にあるフラッグを持ち帰ってこい 制限時間は1時間だ」
ゴリス「では試験・・・開始!」

〇洞窟の深部
カゲ「まさか君と一緒だなんてねぇ・・・ 神様は意地悪なようだ」
マーク「・・・チッうるせぇな。 喋らずに足を動かせ」
カゲ「フフ・・・そっちこそ俺の足を引っ張らないでくれよ?」
ロイ「・・・」
ハル(き、気まずぅ〜・・・)
ハル(やっぱりカゲとマークが同じチームという時点で雰囲気は地獄だ・・・)
ハル(正直このダンジョンの雰囲気よりも、このチームの雰囲気の方が怖いよ・・・)
ハル「・・・あ、オズワルドくん緊張してるよね」
オズワルド「あ・・・はい、結構」
ハル「ハハハ・・・俺も一緒だよ」
ハル「ダンジョンなんてみんな初めてだろうけど、よくこんなスイスイ先に進めるよね」
オズワルド「そうですね・・・ みんな気が強いというか・・・」
ハル「てか、敬語やめてよ 俺ら同じチームでしょ?」
オズワルド「そう・・・だね。 わかった」
ハル「うん、その方が自然でいいや!」
ハル「そういえば教室に居た時なんであんなに泣いてたの?」
オズワルド「あーあれは・・・」
オズワルド「言うと恥ずかしいんだけどさ・・・」
オズワルド「僕小さい頃から臆病者で、マナセクトでありながら魔法を使う事だけでも腰が抜けるくらい怖いんだ」
ハル「え、魔法を使うだけでも!?」
オズワルド「う、うん。 ほら、魔法を出す時に感じるあの感触っていうか」
オズワルド「こう、全身がゾワ〜ってなる感じがすごい不気味で・・・」
ハル「そ、そうなんだ」
オズワルド「まあ流石に今は克服出来たんだけどね・・・」
オズワルド「でも今でもたまに魔法を使う時に躊躇してしまうんだ」
ハル「そうなんだ・・・」
ハル(俺と・・・どこか似ている部分があるかもな)
オズワルド「あ、それで、朝泣いていた理由だよね」
オズワルド「・・・実はこの試験の事が怖くて泣いていたんだ」
ハル「え、この試験のこと知ってたの?」
オズワルド「僕には兄が居るんだけど、兄もマナセクト学園に通っているんだ」
オズワルド「だから、兄から学園のことは大体聞いてて」
ハル「そうなんだ、それで・・・」
オズワルド「そうそう。 だから、結構不安だったんだよね」
ハル「でも、お兄さんの代もこの試験があったってことはみんな通る道なんだよね」
オズワルド「そうだね・・・だけど・・・」
ハル「だけど・・・?」
オズワルド「・・・兄の代の試験で1人負傷者が出てしまって」
ハル「負傷者?」
オズワルド「うん、ジュドーとの戦闘で片腕を失ってしまって・・・」
ハル「え、ええ・・・」
オズワルド「一昨年の代はこういうことは無かったらしいんだけど」
オズワルド「去年はどうもジュドーが殺気立ってたみたいで、浅めの層でBランク級のジュドーに襲われてしまったみたいなんだ」
ハル「び、Bランク級!?」
豆知識お兄さん「おっとここで、豆知識お兄さんの解説タイムだよ!!」
ハル「わっ!?また現れた!?」
オズワルド「・・・?ハルくんどうしたの?」
ハル「え・・・オズワルドにも見えてない?」
オズワルド「見えるって何が?」
ハル(え、なんで俺にしか見えてないんだよ)
豆知識お兄さん「ハハハ・・・そんな細かいこと気にすんなよボーイ」
ハル「いや気にしてまうやろ」
ハル「てかなんでここにも貴方がいるんですか?」
豆知識お兄さん「気を取り直して早速解説していくよん」
ハル(・・・スルーかよ)

〇白
豆知識お兄さん「さあ、前回と同じく豆知識空間に移動!」
豆知識お兄さん「今回はジュドーとジュドーのランク分けについて解説して行くよ!」
豆知識お兄さん「豆知識③ジュドーとは」
豆知識お兄さん「2013年に突然ヴァロ大陸に謎の未確認生物が現れるんだ」
豆知識お兄さん「未確認生物は大量発生するのと同時に、人間を攻撃したりしていっぱい人が死んじゃったんだ!」
豆知識お兄さん「国のお偉いさんはその未確認生物を『ジュドー』名付けて軍隊に討伐させようとしたんだ」
豆知識お兄さん「でも、なんということでしょう。 銃や爆弾など通常火器はジュドーには全く効かず、寧ろ軍隊は壊滅させられてしまうのでした」
豆知識お兄さん「でも、どうやらジュドーと共に現れたマナセクトならジュドーに対抗出来るということが分かった!」
豆知識お兄さん「そうして、ジュドーとマナセクトの戦いが始まったんだ!」
豆知識お兄さん「少し長くなったけど、 次に豆知識④ジュドーのランク分けについて」
豆知識お兄さん「ジュドーのランク分けはマナセクトのランク分けと同様、E、D、C、B、A、Sに分けられるよ」
豆知識お兄さん「ランク分けの基準もマナセクトと同じ。 魔力数値によってランク分けされるんだ」
豆知識お兄さん「ジュドーのランクが上がっていく事につれて、対抗できるマナセクトも変わるから気をつけよう!」
豆知識お兄さん「以上!豆知識解説でした! またねー」

〇洞窟の深部
ハル「ま・・・また消えた?」
オズワルド「ハルくん・・・大丈夫?」
ハル「あ!いや!ごめん、なんでもない」
ハル「見間違えだったみたい・・・ ごめんね、ハハハ・・・」
オズワルド「そ、そっか・・・」
ハル「こ、この声は!」
オズワルド「ひ、ヒッ・・・!!」
マーク「ダンジョンの向こうから聞こえたが・・・」
カゲ「フンッ、先程の声の響き的に近くにジュドーが居るようだな」
マーク「まずいな・・・ジュドーなんて初めてだ」
カゲ「・・・なんの問題も無い。 ジュドーに遭遇するより先にフラッグを回収すればいいことだ」
カゲ「誰よりも先にフラッグを手に入れて、先生方から高い評価を頂くとしよう」
マーク「・・・!! おい、お前!」
マーク「待ちやがれ!」
ロイ「・・・」
ハル「え、ええ!? 3人とも先行っちゃった!?」
ハル「ど、どーしよ・・・」
オズワルド「う・・・うう・・・」
ハル「ああ・・・オズワルド、大丈夫だから・・・」
オズワルド「うわぁぁぁぁあん!!!ママぁぁぁ!!」
オズワルド「ひぃい!!!」
ハル「ええ!?オズワルドどうしたの!?」
ハル「くそ・・・気絶しちゃったか・・・」
ハル「とりあえずオズワルドを運びながら3人を追いかけないと・・・」

〇暗い洞窟
バルサス「とうとう試験が開始したな」
マリアン「ええ、そのようですね」
マリアン「今年の代はどんな結果を見せてくれるのでしょうね」
バルサス「ああ、かなりの見物だぞ。 楽しみだ・・・」
バルサス「・・・で、でも・・・」
バルサス「ここに来るの10回目くらいだけどやっぱ怖いよおおおお」
マリアン「バルサス先生・・・しっかりしてください」
マリアン「貴方の見た目は幼稚園児でも中身は55歳のジジイでしょ?」
マリアン「見た目だけじゃなく中身まで幼児化しちゃってどうするんてすか・・・!」
バルサス「で、でもぉ・・・ここくらいし怖いんだもん・・・」
バルサス「てかそもそもなんでこのダンジョン明かりの一つも付けねぇんだよ・・・」
マリアン「明かりがない方が実際のダンジョンと同様の訓練を積むことが出来るという、専門家からのアドバイスですから」
バルサス「でもさぁ・・・だからって俺らの監視用通路まで暗くしなくてもいーじゃぁん」
マリアン「雰囲気を出すためですよ。 しっかりなさい」
マリアン(この方こんな感じでも、魔力はSランク並の最強なのに・・・)
バルサス「うう・・・」
バルサス「・・・!」
マリアン「ほら、バルサス先生が大声で泣くからですよ。 ジュドーが目覚めたのかもしれない」
バルサス「ジュドーの鳴き声もそうだけど、人の足音も聞こえるぞ!」
マリアン「あら、そうですか?」
バルサス「もしかしたら生徒がこの先に居るのかもしれない。 見に行くぞ」
マリアン「ああ!待ってください」

〇洞窟の深部
ハル「はぁ・・・はぁ・・・」
ハル(なんとかここまでオズワルドを担いで来れたけど、ここはどこなんだ・・・)
ハル(マーク達も見当たらないし・・・ クソッ!完全に迷ってしまった!)
ハル(なんか先に進むにつれて霧?みたいなものも濃くなってきたし)
ハル「なんだか・・・本能的にこの先は危ない気がする・・・」
ハル「こ、この声は!?」
【ジュドー】スライム「きえええええええ」
ハル「こ、こいつは、ジュドー!?」
ハル(・・・か、身体の形状と特徴的にスライムだと思うが・・・)
ハル(や、やばい、図鑑の写真で見るのと現実で見るとじゃ全然迫力が違う・・・!)
ハル(スライムは確かDランクと聞いたが・・・ やれるのか・・・?)
ハル「いやいやいや馬鹿馬鹿俺!!!」
ハル「こんなヤツ相手に勝てるわけないでしょ!」
ハル「ここは、オズワルドを担いで一時退散──!」
【ジュドー】スライム「きええええええ」
ハル(まあ、そんな簡単に逃がしては貰えませんよねー・・・)
ハル「ぐあっ!」
ハル「い・・・たくない・・・?」
ハル(そうか、今の攻撃を喰らっても痛くないのは制服のおかげか!)
ハル(ゴリス先生の言ってた通りだ・・・ これなら行ける!)
ハル「次はこっちの反撃だ!」
ハル「うおおおおおおお!!!」
【ジュドー】スライム「ぐえっ」
ハル「す、すごい!パンチの威力も上がってる! この制服、基礎ステータスも上げてくれるのか・・・!」
ハル「今までの俺じゃ絶対こんな強力なパンチなんて出せなかった・・・」
ハル「でも・・・今の俺なら!!」
ハル「ふっ!」
【ジュドー】スライム「ぎああああああああ」
ハル(よし、スライムが苦しんでる! 今なら・・・!!)
ハル「トドメに俺の魔法を喰らわせてやる!」
ハル「必殺・・・ファイヤー!!」
ハル「ハッ!!」
ハル「・・・あ、あれ」
【ジュドー】スライム「きええええええええ」
ハル「あ・・・ちょ、タンマタンマ──」
ハル「がはぁ!!」
ハル「ぐふぅ!!」
ハル「ごぼぉぉ」
ハル「はぁ・・・はぁ・・・」
ハル「くぼァ──」
  洞窟の地面一面にハルの吐しゃ物が広がる
ハル「がはぁ・・・かはぁ・・・」
【ジュドー】スライム「きえええええええ」
ハル「クソッ・・・」
ハル「勝ち誇ったような気しやがって・・・」
ハル「でもまだまだ!」
ハル「え、後ろ──」
ハル「うがぁ!!」
ハル「こいつ・・・素早すぎる・・・」
【ジュドー】スライム「きえええええええ」
ハル「この甲高い鳴き声も・・・頭に響いて・・・」
ハル「ぐ・・・はぁ・・・」

〇洞窟の深部
【ジュドー】スライム「きえあああああああああ」
  はあ・・・はあ・・・
  息が・・・続かない
  出血も多いし、視界がどんどんぼやけてくる
  こんな俺の姿を見せてもなお、奴は、ジュドーは俺を殺そうと襲いかかろうとしてくる
  ・・・俺、死ぬのか
  反撃もできずに死んでしまうのか・・・
  クソ・・・
  クソ・・・クソ・・・
  クソやろうがああああああああああ
【ジュドー】スライム「ぎゃぁぁぁぁぁぁ」
  な・・・なんだ・・・
  何が・・・起こったんだ?
ロイ「・・・」
  き・・・君は・・・
  続く。

次のエピソード:第3話 ワクワク!学園生活の始まり

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