第３章 厄日の戦い（脚本）
〇整頓された部屋
俺達は宇宙船から武器を持ってきた。
サーヤに怪物について解ってる事を聞き、
どの武器が有効か検討した。
サーヤ「α１は強力なサイコバリアーがあるから、 レイガンやミサイルはダメよ」
田中 真紀(まさのり)「それじゃここにある武器のほとんど ダメじゃないか」
持ってきた武器はレイガン、マイクロミサイル砲、ショックガン、冷凍光線銃・・
あとは麻痺ガンと変わった形の
剣だった。
俺はその剣を手に取って
田中 真紀(まさのり)「これは？」
サーヤ「これはα１対抗用に開発された サイコブレードよ」
「サイコブレード？」
サーヤ「サイコエネルギーを強力なエネルギーの 刃に変えるの」
サーヤ「これでα１のサイコバリアーごと たたっ切るの！」
田中 真紀(まさのり)「そうか・・・ これで超能力の剣が出来るのか・・・ よし！それじゃ俺も」
そう言って俺はサイコブレードを握りしめ、光の剣のイメージをした。
だがサイコブレードは何の反応もしなかった
霊子「ダメじゃない」
サーヤ「この武器は超能力者用の武器だから・・・」
田中 真紀(まさのり)「壊れているんじゃないのか？」
俺は負け惜しみを言いながら、
サイコブレードをサーヤに渡した。
サーヤは俺にウィンクをして、
サイコブレードを強く握りしめた。
霊子「マキちゃんには超能力が無いのよ！」
わかってるよ!!
ったく・・
霊子のタコ、余計な事ばっか言いやがって。
サーヤ「それよりも問題は霊子みたいに 捕まった人たちよ」
「え?!」
サーヤ「その人達がα１を守ってるはずだから、 これを何とかしないとα１には 近づけないわ」
田中 真紀(まさのり)「麻痺ガンで一時的に眠らせたらどうだ？」
サーヤ「ダメよ！ 彼らはα１に動かされてる人形みたいな 物だから、麻痺ガンは効かないわ!!」
サーヤ「それに、たとえレイガンで攻撃しても 傷ひとつ付けられないわ！」
田中 真紀(まさのり)「なぜだよ？」
サーヤ「α１に操られた肉体はα１と同じように サイコバリアーに包まれているから・・・」
サーヤ「α１よりは強力じゃないけど、 それでもショックガンで撃たないと バリアーは破れないわ!!」
サーヤ「それじゃ下手すると肉体はバラバラに なるかも・・・」
ショックガンは強力な衝撃波で狙った物を
破壊する銃で、最高パワーだと
厚さ1000cmの鉄板もぶちぬくほどの
破壊力だ。
バリアーを壊せても、霊子の肉体を
バラバラにしたんじゃ何の意味も無い。
霊子「操られた人たちに会わなければいいじゃない」
田中 真紀(まさのり)「それが出来れば苦労しないよ！」
霊子「できるわよ」
田中 真紀(まさのり)「どうやって？」
霊子「私が先に偵察に行けばいいじゃない」
田中 真紀(まさのり)「お前が？」
霊子「そうよ！ それで操られた人達のいないコースを 選んで行けば良いじゃない！ 私は他の人には見えないんだから・・・」
なるほど・・・
そうすれば無駄戦いはしなくていいな・・
田中 真紀(まさのり)「よし！ じゃその作戦で行こう!! いざとなったら、俺がおとりになるよ!!」
田中 真紀(まさのり)「その間にサーヤがα１を倒して くれればいいから」
これ以外に、俺なりにちょっとした
作戦を考えていた。
通じるかどうかは別にして、
とりあえずやってみよう！
〇洞窟の入口（看板無し）
決戦当日、さすがに俺達は緊張していた。
俺達は、α１が居る洞窟の入口に来ていた。
霊子が場所を思いだしたので、
すぐに見つけられた。
サーヤ「マサノリ・・本当にいいの？」
サーヤがこの質問を何度も俺にした。
サーヤも俺達を巻き込んだ事で
心苦しかったんだろう。
田中 真紀(まさのり)「もちろん！ もうこれは俺の戦いでもあるよ！ 俺は霊子の体を取り戻すと決めたんだ！ ちょっと格好良すぎるかな？」
霊子には聞こえないように答えた。
こんな事本人を目の前にしては絶対言えない
霊子「ねぇねぇ・・ マキちゃんその背中の荷物は何なの？」
今の俺の発言は聞こえてなかったようだ
俺はサーヤからもらった武器以外に
俺なりに考えた作戦に使う小道具を
持ってきた。
田中 真紀(まさのり)「それは秘密だよ！」
霊子「ケチ！ 教えてくれたっていいじゃない！」
田中 真紀(まさのり)「おめぇには絶対教えない！」
霊子「ふ～んだ！いいもん・・ どうせ大したもんじゃないでしょ」
これから命がけの戦いだって言うのに、
相変わらず俺達はジャレ合っていた。
これも霊子なりの気を使っての行動だろう。
サーヤ「さぁ！行くわよ!!」
もう後には引けないぜ！
田中 真紀(まさのり)「よし！それじゃ行くぞ！」
俺達は洞窟に入った。
〇洞窟の深部
サーヤは探知機を動かして、入口を探した。
サーヤ「ここが怪しいわ！」
壁をよく見ると、不自然な岩があった。
俺がそれを触ってみると、
突然洞窟の壁が横にスライドした。
田中 真紀(まさのり)「ここが・・・入り口か・・・？」
サーヤ「入ってみましょう！」
サーヤが先に入った。
俺達は後からついて行った。
〇基地の廊下
中に入ると、そこはＳＦ映画に出てきそうな超近代設備の秘密基地のようだった。
いつの間にこんな物を作ったんだ・・・？
田中 真紀(まさのり)「よし！霊子、偵察に行ってこい！」
霊子「わかったわ！」
霊子は奥へ進んで行った。
サーヤは探知装置をいじって
サーヤ「警報装置なんかは大丈夫みたい・・」
田中 真紀(まさのり)「霊子が帰ってくるまで、様子を見よう」
俺達は霊子を待った。
田中 真紀(まさのり)「あとはα１の居場所さえ見つければ、 Ｔｈｅ Ｅｎｄだ！」
サーヤは浮かない顔をしていた。
田中 真紀(まさのり)「どうした？」
サーヤ「なんか・・旨く行き過ぎよ・・」
田中 真紀(まさのり)「そうか？ 順調なのは良い事じゃないか・・」
サーヤ「そうだけど・・・」
霊子「しばらくは誰も居ないわ！」
田中 真紀(まさのり)「見張りとかは、居なかったか？」
霊子「誰も居ないわ！」
田中 真紀(まさのり)「よし！一気に行くぞ!!」
俺達は霊子に少し前を歩かせて、
慎重に奥へ進んで行った。
超能力の無い俺にも異様な雰囲気は
感じられた。
先に進みに連れて、その感じは強まった。
α１に近づいてる証拠だな・・・
〇大広間
しばらく進むと大広間にたどり着いた。
今までの近代的な感じとはうって変わって、この大広間は中世の建物のようだ。
まるでＲＰＧの世界に入りこんだみたいだ。
霊子「何なの、ここは？」
サーヤ「Ｄｒローゼの趣味だわ」
田中 真紀(まさのり)「Ｄｒローゼって？」
サーヤ「α１を作った科学者。 天才かもしれないけど、精神異常者よ!!」
サーヤ「α１を作るためにどれだけの人を 犠牲にした事か・・・」
偉大なる計画のためには犠牲は伴うのだよ
どこからともなく声がした。
田中 真紀(まさのり)「誰だ?!」
サーヤ「Ｄｒローゼね！ 何処にいるの?!」
空中にホログラムが映し出された。
妙な威圧感がある爺さんが現れた。
Ｄｒローゼ「プリンセス・サーヤ またお会いできて光栄です」
サーヤ「私もよ！今度こそ逃がさないわ！」
Ｄｒローゼ「ははは 相変わらずお気が強い・・ まだ御自分の立場が解ってないようですな」
サーヤ「なんですって?!」
Ｄｒローゼが指を鳴らすと、急に人の気配。
俺達は操られた人達にすっかり囲まれていた。
しまった！・・これは罠だ・・
Ｄｒローゼ「プリンセス、あなたの体は有効に 使わせて頂きますよ」
Ｄｒローゼ「あなたを我が軍に加えればあなたの星は もう手中に落ちたも同然ですよ」
Ｄｒローゼ「あなたの星の軍隊は決して我々に 手出しできない」
サーヤ「そのために、ここに誘い込んだの?!」
Ｄｒローゼは答えず、厭らしい笑みを
浮かべた。
Ｄｒローゼ「さておしゃべりが過ぎたようだ。 ここを脱出するために地球人を 何人殺してもいいですよ」
Ｄｒローゼ「もっとも心優しいプリンセスには そんな事は出来ないでしょうけど・・ ではお達者で・・・」
そう言うと、ホログラムは消えた。
それを合図に操られた人達がじりじりと
近づいてきた。
たしかにショックガンを使えば
脱出できるかもしれないが・・・
撃たれた人はミンチだし・・・
サーヤ「マサノリ、私の超能力で道を作るから、 その隙に脱出しましょう！」
田中 真紀(まさのり)「ちょっと待て！ おまえの超能力はα１の倒すのに 取っておけ！ ここは俺に任せろ!!」
俺はリュックを降ろして、中に入ってた
パチンコ玉をぶちまけた。
操られた人達はパチンコ玉に足を取られて
次から次と転んでいった。
これはＴＶのコントを見て
思いついたのだが、こんなに旨くいくとは
思わなかった。
どうやら操られた人間は微妙な動きは
苦手のようだ。
旨く立ち上がれず、床に転がったままだった。
田中 真紀(まさのり)「よし！今のうちに逃げるぞ!!」
俺達は転んでもがいてる人達の脇を
走り抜けた。
田中 真紀(まさのり)「足元には気をつけろよ！」
更にサラダオイルを床にぶちまけた。
これで当分は起きあがれないだろう。
俺達は無我夢中で走った。
〇基地の廊下
しばらく走ってから、少し休む事にした。
サーヤ「何とか助かったわね・・・」
霊子「マキちゃんじゃなければ考えつかないわよ、あんなバカバカしい作戦・・・」
田中 真紀(まさのり)「うるせぇなぁ！ おかげで助かっただろ？」
サーヤ「でも・・・ α１はいったい何処に居るのかしら？」
霊子「ねぇ・・ あっちの方からなんか異様な雰囲気 感じない？」
通路の奥の方を指さして霊子が言った。
確かに俺にも感じた。
田中 真紀(まさのり)「よし！行ってみるか」
俺達は慎重に進んだ。
〇秘密基地の中枢
俺達は研究室の様な部屋に入った。
霊子「何か居るわ！」
サーヤ「α１よ！」
見ると何とも言い様の無い異様な
物体があった。
樹齢何百年の大木の様でもあり、
また巨大な生物の臓物の様でもあった。
田中 真紀(まさのり)「こいつがα１か。 よし！殺ってやる!!」
俺はショックガンをぶっぱなした。
しかしサーヤが言った通り、
α１の直前で跳ね返った。
警報が鳴った。
田中 真紀(まさのり)「やっぱり・・・ダメか・・・」
サーヤ「私がやるわ!!」
サーヤはサイコブレードを握りしめた。
前に見た時よりも巨大な光の剣が出た。
霊子「マキちゃん！ ロボットがやってきたわ!!」
警報をキャッチして護衛ロボットが来た。
田中 真紀(まさのり)「こっちは俺に任せろ!! サーヤはα１を!!」
サーヤ「わかったわ!! 気をつけてね！」
田中 真紀(まさのり)「そっちもな!! 霊子、一緒に来い!!」
霊子に敵の監視をやってもらう事にした
田中 真紀(まさのり)「霊子、後ろから来る敵を教えろ！」
霊子「わかったわ!!」
俺はターミネーターの様にショックガンと
マイクロミサイル砲を両わきに抱えた。
次から次にやってくるロボットを
片っ端からやっつけた。
サーヤは光の剣を上段の構えで
一気にたたっ切りに行った。
サーヤ「α１覚悟！ いやぁぁぁぁ!!」
サーヤの光の剣とα１のサイコバリアーが
反応して閃光と衝撃波が発生した。
俺達はあまりの眩しさに、しばらく目が
開けられなかった。
目が慣れてくるとサーヤがα１の側に
倒れているのが見えた。
α１は無傷だった。
田中 真紀(まさのり)「畜生！ サイコブレードでもダメか・・・」
霊子「マキちゃん・・・」
霊子は不安そうに言った。
田中 真紀(まさのり)「一時退却しよう！」
そうは行かない。
またＤｒローゼの声がした。
田中 真紀(まさのり)「何処だ!?Ｄｒローゼ!!」
俺は辺りを見回したが、Ｄｒローゼの
姿はなかった。
たぶん何処かでモニターを見ながら
喋ってるのだろう。
とにかく脱出しなくては・・・
俺は倒れているサーヤに近づこうとした。
すると、霊子の肉体が俺の前に
立ちふさがった。
この地球人はお前の顔見知りのようだな。
この地球人を殺してプリンセスを助けても
よし。
このまま素直に殺されてもよし。
好きな方を選べ！
Ｄｒローゼのやろう・・・
α１が触手を使って、サーヤを
引き寄せていた。
このままではサーヤも肉体と霊体に
別けられてしまう。
俺は走り回って霊子の肉体を振り切ろうと
したが、以外に素早くて振り切れない。
ショックガンを使えばやっつけられるが、
そんな事は出来ない・・・
田中 真紀(まさのり)「おい霊子！ お前・・肉体に戻って生き返れないか？」
霊子「やってみるわ！」
霊子は自分の肉体に戻ろうとした。
霊子「きゃぁ!!」
霊子はサイコバリアーに弾き飛ばされて
しまった。
田中 真紀(まさのり)「大丈夫か？」
霊子「マキちゃん！ショックガンで撃って!!」
田中 真紀(まさのり)「そんな事出来るか!!」
霊子「早くしないとサーヤが・・・」
田中 真紀(まさのり)「わかってるよ!!だけど・・・」
霊子「それしか方法が無いのよ!! 大丈夫よ・・ 元々幽霊なんだから死なないわよ・・」
田中 真紀(まさのり)「そんな訳無いだろう・・・」
霊子「やって！やるのよ!!」
俺はショックガンを霊子の肉体に向けた。
田中 真紀(まさのり)「畜生!!」
俺は引き金を引いた。
霊子の肉体は吹っ飛んで部屋の壁を
ぶち抜いた。
同時に霊子の姿も消えた。
田中 真紀(まさのり)「霊子!!」
俺は霊子の肉体に駆け寄った。
体はバラバラにはなってなかった。
田中 真紀(まさのり)「霊子！しっかりしろ!!」
俺は霊子を抱き上げた。
霊子「マキちゃん・・・」
蚊の泣くような、か細い声で言った。
田中 真紀(まさのり)「ゴメンなぁ・・・」
霊子「大丈夫よ・・・ こんな事じゃ・・・ 参らないわよ・・・」
田中 真紀(まさのり)「そうだよな・・・ それでこそ小生意気な霊子だ」
霊子「はやく・・・サーヤを・・・」
田中 真紀(まさのり)「わかった！」
霊子「マキちゃん・・・」
田中 真紀(まさのり)「ん？」
霊子「ありがとう」
霊子はそう言って静かに目を閉じた。
田中 真紀(まさのり)「霊子？ おい！ 霊子・・・・」
霊子は返事をしなかった。
田中 真紀(まさのり)「畜生!! よくも・・よくも・・・」
俺は無意識に目の前に転がっていた
サイコブレードを拾って握りしめていた。
頭の中が怒りでいっぱいになった。
田中 真紀(まさのり)「この野郎!!」
俺はサイコブレードを持ってα１に
向かった。
田中 真紀(まさのり)「霊子の仇!!! うりゃぁぁぁぁ!!」
俺はα１を破壊した。
そして、すべての力を使いきったようで
意識が遠のいた。