厄日の拾い物

B作

第4章 厄日の結末(脚本)

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〇近未来の手術室
  妙な機械音で俺は目を覚ました。
田中 真紀(まさのり)「う~ん・・・」
  俺は体を起こそうとしたが、
  起こせなかった。
  どうやら俺はベットの上で手枷足枷を
  されていた。
  隣を見ると同じようにサーヤも
  拘束されていた。
  まだ、気づいていないようだ。
  気がついたようだね。
  Drローゼの声がした。
田中 真紀(まさのり)「Drローゼか? いったいどうする気だ?」
  お前は私の最高傑作のα1を倒した。
  だからお前を調べて、もっと強力な
  α2を作り出す。
田中 真紀(まさのり)「そんな事させるか!!」
  お前の細胞とプリンセスの細胞を使えば
  最高のバイオ兵器が出来るはずだ。
田中 真紀(まさのり)「畜生!!」
  俺はもがいたがどうする事も出来なかった。
  さてまずは解剖をしようか。
  お前のパワーの秘密を調べさせてもらうよ!
田中 真紀(まさのり)「よせ!! そんな事をしたら俺の細胞を使えないぞ!!」
  俺は何とかDrローゼに解剖を
  思い留まらせようとした。
  ははは・・・
  そんな心配は無い。
  髪の毛一本有ればクローンを作って
  いくらでもやり直しは出来る。
  Drローゼは俺の言う事など無視して機械を操作したようだ。
  俺の上にメスが現れた。
田中 真紀(まさのり)「やめろ!」
  俺は叫んだが、Drローゼは
  やめなかった。
サーヤ「Drローゼ、私をやりなさい。 この地球人は無関係よ!」
  お気づきになられましたかプリンセス。
  ははは・・・
  御心配なさるな、次はあなたですから。
田中 真紀(まさのり)「Drローゼ!貴様!!」
  俺は叫んだ。
  たが、所詮は無駄な足掻きだった。
  もはやここまでか・・・
  俺は覚悟を決めた。
  どうやら俺も霊子の所に行きそうだ。
  突然部屋の壁がぶっとんだ!!
  一緒にDrローゼも飛ばされてきた。
  壁の穴から人が入ってきた。
  土煙がひどくて、顔までは解らなかった。
田中 真紀(まさのり)「誰だ?」
???「結局、私がいないとダメね!!」
  あの声は・・・・
田中 真紀(まさのり)「霊子・・・お前生きてたのか・・・?」
霊子「勝手に殺さないでよ!」
  間違いなく霊子だった。
  霊子はショックガンを抱えて立っていた。
霊子「今、自由にしてあげるわね」
  俺は思わず霊子を抱きしめた。
霊子「やめてよ・・・恥ずかしいじゃない・・・」
  霊子は照れながら言った。
田中 真紀(まさのり)「あっ!ごめん・・・ だけど、どうして・・・?」
サーヤ「たぶんサイコバリアーとショックガンの パワーが同じだったんでしょう。 だから気を失った程度で済んだのよ」
  倒れているDrローゼを捕まえて
田中 真紀(まさのり)「こいつ、どうする?」
  まだ死んではいなかった。
サーヤ「私たちの星に連れて帰るわ! こんな悪党でも殺す訳にはいかないから」
  サーヤは腰から筒を出して、
  Drローゼの首に当てた。
田中 真紀(まさのり)「なんだそれ?」
サーヤ「こうして置けば、絶対に気がつかないわ! 一時的に仮死状態にしておくの」
霊子「とにかく帰りましょ! 私・・・疲れたわ!!」
田中 真紀(まさのり)「そうだな・・・俺もヘトヘトだよ!」
  俺達は帰路についた。
  途中サーヤの宇宙船に寄って、
  Drローゼをコールドスリープカプセルに
  入れた。
  とにかく全員無事で、なおかつ霊子は
  生き返ったのだから気分は最高だ。

〇黒
  あれから1週間が過ぎた。
  警察には匿名で電話したので、
  α1に捕まった人達は全員救助
  されたそうだ。
  まだ入院してる人もいるそうだけど、
  とりあえず全員命には別状無かった。

〇通学路
  霊子と俺は、二人で買い物に出かけた。
田中 真紀(まさのり)「霊子・・・もう体は大丈夫か?」
霊子「ダメ!」
田中 真紀(まさのり)「え?!」
霊子「どこかの誰かさんが傷物にしてくれたから お嫁に行けない!」
田中 真紀(まさのり)「それって傷有る無しの問題か? それ以前の問題じゃないか?」
霊子「何それ? 何処が問題なのよ? 美貌は申し分無いでしょ? 性格は良いし・・・」
田中 真紀(まさのり)「けっ! 自分の事って解らないもんだな・・・」
霊子「よく言うわ。 思わず私を抱きしめたのは誰かしら・・・」
田中 真紀(まさのり)「あの時は・・・」
  何気なく見た電柱に男が隠れた。
  まさかDrローゼに仲間が居たのか?
霊子「どうしたの?」
  霊子も俺の態度で何か起きた事を
  感じとったようだ。
田中 真紀(まさのり)「どうも・・俺達は見張られてるようだ」
  俺は小声で答えた。
  霊子は、電柱に隠れた男を見た。
  それから、電柱に向かって歩いて行った。
田中 真紀(まさのり)「おい・・・霊子・・・」
  俺は声を掛けたが、霊子は構わず
  行ってしまった
霊子「出てきなさいよ! そこに居るのは解ってるんだから・・・」
  霊子に言われて男が出てきた。
霊子「マキちゃん・・・大丈夫よ!」
田中 真紀(まさのり)「お前の知り合いか?」
黒メガネ「お嬢様、旦那様も奥様も心配してます。 どうか家にお帰り下さい!」
田中 真紀(まさのり)「お嬢様???お前が・・・」
霊子「実はうちね・・奥多摩の山持ってるの もっとも私の曾お爺さんの時代に 買い集めたものだけどね・・・」
霊子「人はうちの親父の事を奥多摩の山林王なんて言うけど、財産を守る事しか頭にない人よ!」
霊子「私の気持ちなんてこれっぽっちも 解らないのよ! 勝手に私の結婚相手も決めちゃうし・・・」
霊子「だから私は家出したのよ!! どうせ心配もしてないでしょうけど・・・」
黒メガネ「そんな事はありません! 旦那様も心配なさって私たちにお嬢様を 探させたんですよ!」
田中 真紀(まさのり)「霊子・・・ とりあえず一度帰ってあげたら。 もう一度よく話し合えよ!!」
田中 真紀(まさのり)「俺達は頑張ってα1を倒せたじゃないか! だから、頑張ればきっと親父さんも 解ってくれるよ!」
田中 真紀(まさのり)「いつまでも、このままって訳には いかないだろ?」
霊子「わかったわ! やってみる・・・ サーヤが帰るまでには戻ってくるわね!!」
  霊子は黒メガネと一緒に家に帰った。
  俺も家に帰った。

〇原っぱ
  サーヤが自分の星に帰る日が来た。
  あれから霊子から連絡はなかった。
  やっぱり・・・
  親父さんを説得できなかったのか・・・
サーヤ「霊子は来ないみたいね・・・」
田中 真紀(まさのり)「なぁに・・そのうちひょっこり やって来るよ」
  俺は無理に笑顔を作った。
  俺が一番来れない事は解ってるだけに・・・
サーヤ「それじゃ私行くわ! 霊子によろしくね!!」
田中 真紀(まさのり)「あぁ・・かならず言っておく。 気をつけてな!!また地球に遊びに 来いよ!! いつでも俺は歓迎するよ!!」
サーヤ「マサノリも元気で!!」
  ちょっと待ってぇ~!!
  遠くから霊子の声が聞こえた。
田中 真紀(まさのり)「霊子だ!! おーい!遅いじゃないか!!」
  俺は嬉しくて、つい大声を出してしまった。
霊子「ごめん!ごめん!」
田中 真紀(まさのり)「で、親父さんと和解したのか?」
霊子「ダメよ! だけど結婚だけは諦めさせた。 そんな事したらまた家出するって 脅しかけた」
田中 真紀(まさのり)「ったく・・ もうちょっとマシな言い方 出来ないのかよ!!」
  霊子はサーヤに近づいて
霊子「サーヤ・・元気で!! あなたと会えてよかったわ!!」
サーヤ「私もよ!霊子・・・ もっと色々と話しがしたかった・・」
  なんだか涙の別れになってしまった。
  俺も思わず熱い物がこみ上げてきた。
田中 真紀(まさのり)「なんだよ・・・ 今生の別れじゃないんだから・・・ またサーヤだって遊びに来れば いいんだから・・・」
霊子「そうよね・・・ サーヤ・・かならずまた来てよね!!」
サーヤ「必ず来るわ!! それじゃ行くわね!」
田中 真紀(まさのり)「元気でな!」
サーヤ「私は忘れないわ!! 地球にはこんなに素晴らしい友人が 居るって事を!」
田中 真紀(まさのり)「俺達もだ!! それじゃまたな!」
霊子「サーヤ・・気をつけてね!」
  サーヤは宇宙船の中に消えて行った。
  俺達は少し宇宙船から離れた。
  サーヤの宇宙船はゆっくりと浮上した。
  そして俺達の上を一回旋回してから
  一気に空に消えて行った。
霊子「行っちゃったわね・・・」
田中 真紀(まさのり)「俺達も帰るか・・ お前の家まで送って行ってやるよ」
霊子「それじゃマキちゃんの家までね!」
田中 真紀(まさのり)「え?!」
霊子「今度マキちゃんの隣の部屋に越したのよ」
田中 真紀(まさのり)「また家出か? あのな・・・ ちゃんと親父さんと・・・」
霊子「ストップ!! そうじゃないのよ!」
霊子「この事を親父にちゃんと承諾させたのよ!! しばらく一人で暮らしてみるって。 これを説得するのに苦労したわ」
田中 真紀(まさのり)「そうか・・・ それじゃ、またしばらくうるさくなるな」
霊子「本当は嬉しいくせに・・・ 素直じゃないんだから・・・」
田中 真紀(まさのり)「よく言うよ! けど・・・ ちょっとは嬉しいかな・・・」
  俺の厄日はまだ続きそうだな。
  この先の人生で、こんな波乱に飛んだ事は
  二度と起きないだろう・・・
  まぁどんな事が起きても何とかなる自信は
  あるな。
  二人で車の所へ戻ると、かなり日は沈んで
  来て薄暗くなってきた。
  一番星も見え始めた。
霊子「あれ何かしら・・・」
  俺は霊子が指さす方を見た。
  見ると広告を付けた飛行船だった。
田中 真紀(まさのり)「飛行船だよ!」
霊子「またUFOかと思ったわ」
田中 真紀(まさのり)「そんなに何度もUFOに遭遇してたまるか!」
  二人で大笑いした。
田中 真紀(まさのり)「さて帰るぞ!!」
  俺達は車に乗り込んだ。
  Fin

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