〇教室
　　高校デビューを応援している
　　通称『デビュー高校』
　　煌びやかに”高校デビュー”を成功させてる生徒達の中に
　　何とも暗い生徒がいました
　　彼の名は池水君
　　はたして彼の高校デビューとは一体・・・

〇教室
地蔵倉「あっ」
地蔵倉（同じクラスなんだ──）
地蔵倉（ほんとにあれで高校デビューしてるの!?）
桐谷「オーっホッホ」
「あははっ」
地蔵倉（絶対おかしいわ── もしかして）
地蔵倉（これで高校デビューしたって言えるくらい悲惨な中学時代だったのかな・・・）

〇洞窟の入口（看板無し）
　　地蔵倉さんは想像した──
池水？「うほ？」
　　彼は生まれた時からこの洞窟に１人
　　たった１人で孤独に過ごしてきたゴリラ

〇教室の教壇
　　その見た目から──
池水？「うほぉ〜」
　　うまく馴染めず、パッとしない中学時代を過ごしてきた
　　そして彼は決意した
池水？「うほ！うほほ！うほうほー!!」
　　『絶対高校デビューしてやる！』と・・・

〇教室
地蔵倉（池水君・・・頑張ったんだね）
池水「大丈夫かい？」
地蔵倉「ありがと」
地蔵倉「・・・」
地蔵倉（いいえ、おかしいわ・・・ ゴリラが高校に入れるわけない）
地蔵倉（何でこんな想像しちゃったのかな）
地蔵倉「えっ!?」
地蔵倉（あのゴリラが視界に入ってたせいだわ）
地蔵倉（って、教室にゴリラ・・・何で!?）
山田先生「よぉ〜し！中学校の復習だ！」
山田先生「佐渡！３+３は？」
佐渡「はいっ！先生！答えは７です！」
山田先生「おしい！間違えたけど佐渡は 元気があっていいぞ！」
佐渡「ありがとうございます！」
山田先生「じゃあ水戸！どうだ？」
水戸「７だと思います！」
山田先生「水戸ぉ〜それ佐渡が間違えた答えだわ お前マスクで耳塞がってるだろ？」
水戸「はい・・・ ずっと聞こえずらくて困ってます」
山田先生「それな！先生から提案なんだが、耳の部分だけ切り取ってみたらどうた？」
水戸「確かに！そんな事思い付きませんでした さすが先生ですね」
山田先生「はっはっは！問題も解決したところで 続けるぞ〜」
山田先生「それじゃあ、次は剛田！」
剛田「はい！先生！」
地蔵倉（ゴリラの・・・剛田── クラスメイトなんだ・・・）
剛田「３+３=６です！」
山田先生「正解だ！ 剛田は東大目指してるんだってな？」
剛田「はいっ！先生！」
山田先生「この調子で頑張っていきなさい！」
剛田「はいっ！頑張ります！」
地蔵倉（剛田・・・剛田?!）
地蔵倉（まさか!?）

〇霧の立ち込める森
　　地蔵倉さんが狩りをしていたある日の事
中学時代の地蔵倉「へっへ！今日も大漁大漁！」
中学時代の地蔵倉「誰だ!?」
中学時代の剛田「あの〜」
中学時代の地蔵倉「なんだテメェ」
中学時代の剛田「僕は隣の森から来ました 森中３年の剛田です」
中学時代の剛田「・・・昨日から何も食べてなくて」
中学時代の地蔵倉「それほんとか？空腹にしちゃ〜 お腹膨らんでるみてぇだが」
中学時代の剛田「・・・これはさっき川の水を── 空腹なので飲み過ぎちゃいまして」
中学時代の地蔵倉「マジかよ！水じゃお腹膨れねぇって 何か可哀想だな、じゃあ一匹やるよ！」
中学時代の剛田「ありがとう」
中学時代の地蔵倉「お前お腹弱そうだから、 ちゃんと焼いて食えよ」
中学時代の剛田「はい」
　　まさかあの時の剛田君・・・？

〇教室
地蔵倉（剛田君・・・頑張ったんだね）
池水「大丈夫かい？」
地蔵倉「ありがと」
地蔵倉（剛田君の変化は高校デビューの域を 超えてる気がするけど・・・）
地蔵倉（あれ？誰のハンカチ？）
地蔵倉「あれ？これって・・・」
池水「もう大丈夫かな？」
地蔵倉「うん、ありが・・・と」
地蔵倉（えっ？さり気なさ過ぎて 普通に受け取ってた──）
地蔵倉（池水君って こんな事出来る人なの？）
地蔵倉（もしかして中身はイケメン だったりして・・・）
山田先生「次！池水！」
池水「は・・・い」
山田先生「100円のりんごを10個買いました」
池水「千・・・」
山田先生「支払いは1000円になりますが──」
池水「あ」
山田先生「その10個のりんごを３人で分けました」
池水「３人・・・」
山田先生「３個を清水と阿部に、では残りの４個を受け取ったのは誰でしょう？」
池水「わ・・・かりません」
山田先生「正解は俺だ！」
山田先生「ほら、プリントの自己紹介のとこに書いてあるだろ？」
　　担任の山田です。
　　
　　趣味は筋トレのイメトレ
　　
　　10個のりんごを３人で分けた際、最も多い４個を受け取り表彰された経験あり
池水（なんだこりゃ）
山田先生「プリントはちゃんと読めよー」
池水「はい」
地蔵倉（私、何勘違いしてたんだろ）
地蔵倉（こんなにプルプルしてる人が イケメンなわけないね・・・）
地蔵倉（プルプルする度に鶯が鳴く人なんて きっと変人だわ）

〇教室
山田先生「はい。というわけで明日は、 新生高校恒例の行事がある」
山田先生「今年は常陽高校の生徒さんが来てくれるから今のうちに聞きたい事準備しとけよ〜」
鈴木「なぁ？常陽高校って陽キャしか入れないとこだよな？」
神川「ああ、通称『陽キャ高校』」
神川「常にクラスのトップグループに所属してるような陽キャしかいないとこだよ」
伊藤「しかも幼稚園の時から垢抜けてないと審査が通らないらしいぜ」
鈴木「なんだよそれ、正真正銘の陽キャって事じゃん」
池水（陽キャ高校来るの？ ・・・マジかよ!!）
　　陽キャ高校の生徒が来ると知り、
　　何故か焦る池水君
　　ついに次回、池水君の高校デビューの
　　謎が明らかになる!?
　　続く