7 楽と香織の押し掛け(脚本)
〇実家の居間
その日の夜。
榊原冬弥「母さん、ただい・・・」
「ねぇ!自分達が何したか分かっててそんな事聞いてるの!?」
榊原冬弥「ん?何だ?」
電話「楽『わ、分かってます!ですけど!』」
榊原母「良い2人共?人に酷い事した後で都合が悪くなったらその人に頼るってのは人として凄くみっともない事だよ!」
榊原母「そこまでして助けて欲しいと思うなら、先ず自分達がその人に対して謝罪するのが筋じゃ無いの?」
電話「香織『そ、そんな事良いじゃ無いですか!冬弥は私の彼氏なんですよ!』」
榊原冬弥「母さん、何の騒ぎ?」
榊原母「あ、冬弥、もう帰って来てたの?」
電話「香織『え!冬弥帰って来たの!?』」
電話「楽『おぉおい!香織落ち着けって!』」
榊原冬弥「今さっきね・・・何かあったの?」
榊原母「それが、カクカクシカジカでね・・・」
俺は母さんから事の発端を聞く事に。
榊原冬弥「なるほど、俊博さんから話は聞いてたけど、本当に路頭に迷ってたとはね・・・」
榊原母「だからなのかしらね・・・楽君と香織ちゃん、冬弥に力を貸して欲しいだの、何処で働いてるのだの言い寄って来てね・・・」
榊原母「でも冬弥の意志もあるから無闇に教える訳に行かなくてね・・・」
榊原冬弥「まぁ、事情は分かったよ・・・取り合えず代わってくれる?」
榊原母「・・・まぁ、冬弥がそう言うなら止めないわ・・・でも母さん後でどうなっても知らないからね?」
榊原冬弥「んまぁ、妥当かな・・・」
榊原冬弥「あぁ、もしもし?」
〇広い厨房
雨宮香織「あぁ!やっと戻って来たのね!ねぇ冬弥!今直ぐ戻って来てよ!」
安藤楽「おい香織!さっきおばさんに怒られただろ!?」
電話「おい、何しに来たんだよ?俺だってヘトヘトなんだが?」
雨宮香織「そ、そうよ!こんな事してる場合じゃ無いわ!冬弥、戻って来て!お店が大変なのよ!」
電話「あぁ、知ってる・・・だから何だ?」
雨宮香織「だからって!ねぇ!私達付き合ってるでしょ!?彼女が可哀想だと思わないの!?」
電話「いや、何とも思わんし、正直お前らがどうなろうと知ったこっちゃ無いし・・・」
雨宮香織「ちょ!ちょっと!冬弥あなた、そんな冷たい人じゃ無かったでしょ!?」
電話「だから、もう知らねぇよ・・・俺はあの日から縁を切った気でいたんだ・・・後の事は自分でやれよ・・・」
雨宮香織「冬弥!!」
安藤楽「あぁ、もう電話越しじゃ埒が明かねぇ・・・香織、ちょっと静かにして貰って良いか?」
雨宮香織「楽!!」
安藤楽「一旦落ち着け・・・なぁ冬弥、1回だけチャンスくれないか?」
電話「楽?」
安藤楽「一度顔見て話し合った方が良いと思う・・・そっちの方が色々と白黒させられるかと思うし、何処で働いてるか教えてくれるか?」
安藤楽「お前の現状、ずっと気になっててな・・・」
電話「・・・楽がそう言うならやるべきだな・・・分かった、なら・・・」
それから俺は、楽の提案で一度対面する事となった。日程も話し合って決めて、後日香織と楽は俺のいる店に赴くのだった。