4 冬弥の帰省(脚本)
〇男の子の一人部屋
翌日。
榊原冬弥「さて、これで忘れ物は無いな・・・」
榊原冬弥「いろいろあったけど、何だかんだ楽しかったな・・・」
榊原冬弥「それもこれも昨日までだ・・・行くか・・・」
少し時間が経った後。
安藤楽「おい冬弥!やっぱ考え直さないか!?って、」
安藤楽「遅かったか・・・あいつの私物何もねぇ・・・」
雨宮香織「楽お早う!何してるの?早く準備しようよ!」
安藤楽「あ、あぁ・・・そうだな・・・なぁ香織・・・」
雨宮香織「ん?どうしたの?」
安藤楽「冬弥とは、もっと良く話すべきだったのかな?」
雨宮香織「もう、何言ってるの?過ぎた事いつまでも気にしないで、私達は今やるべき事やりましょうよ!」
安藤楽「で、でも・・・」
雨宮香織「大丈夫!ロボットが全部やってくれるから!」
安藤楽「・・・・・・」
〇山間の集落
数時間後。
〇田舎駅のホーム
榊原冬弥「あぁ・・・やっと着いた・・・電車の長旅も偶には良いもんだな・・・」
榊原冬弥「さて、早く行くか・・・」
店との縁を切った俺は、1人で地元である田舎町に帰省していた。先ずは実家に戻り、体制を整える事とした。
〇平屋の一戸建て
数分後。俺は自宅に到着した。
〇実家の居間
榊原冬弥「母さん!ただいま!」
榊原母「あ、お帰り冬弥!」
榊原冬弥「あれ?父さんは?」
榊原母「今はお仕事中よ・・・あなたも疲れてるでしょ?ご飯は大丈夫?」
榊原冬弥「あぁ、駅弁食ってたから大丈夫・・・」
榊原母「そう、ならお茶出すから荷物片付けて来なさい・・・」
家に戻って直ぐ、俺は母さんと顔合わせをして、荷物を片付けて居間に戻った。
榊原母「それにしても、まさか楽君と香織ちゃんがロボットで料理をやるだなんてね・・・何だか夢見たいな話で信じられなかったわ・・・」
榊原冬弥「まぁ、そうだよね・・・その事もあって、何だか居場所を取られた気分でさ・・・そのせいもあって」
榊原冬弥「あいつら・・・特に香織とは意見が対立して喧嘩別れになっちゃって・・・」
榊原母「そう・・・でも冬弥は楽君達が心配じゃ無いの?」
榊原冬弥「今はそう言うの考えられないかな・・・一度落ち着いたら、直ぐに再就職するつもり・・・」
榊原母「・・・まぁ、何事にも合う合わないはあるからね・・・私も何か出来る事が無いか探して見るから、」
榊原母「あなたはあなたのペースでね?」
榊原冬弥「・・・ありがとう・・・」
それから俺は、お茶を飲みながら母さんと少しの間雑談を楽しんだ。
〇田舎の公園
それから少しした後、俺は家を出て近くを散歩していた。
榊原冬弥「ここに来るのも、久し振りだな・・・」
榊原冬弥「・・・・・・」
〇田舎の公園
榊原冬弥「どうした?こっちだこっち!」
雨宮香織「逃さないよ冬弥〜!!」
榊原冬弥「へへへ!捕まらないよぉ!!」
安藤楽「冬弥!俺がいる事も忘れるなよ!!」
榊原冬弥「へへへ!」
〇田舎の公園
榊原冬弥「あの頃の思い出も、今となっては遠い昔・・・本当良く遊んだり喧嘩したりもしたなぁ・・・」
榊原冬弥「こうして見ると、俺って本当ガキだったよなぁ・・・今もガキだけど・・・」
榊原冬弥「どうせならもっと良く喧嘩すれば良かったかもな・・・」
榊原冬弥「・・・って、そろそろ昼時か・・・昼食ったら、真面目に就活しないとだし、行くか・・・」
〇温泉街
数分後。
榊原冬弥「さて、何食おうかな・・・」
取り合えず街中を歩いて見る事にした俺は飲食店を探す。
榊原冬弥「・・・どうしよう・・・特にこれが食いたいってのが思い付かないが・・・」
榊原冬弥「あ、あそこに良さげなのがあるな・・・あそこにするか・・・」
〇居酒屋のカウンター
榊原冬弥「さて、誰かいないかな?ごめんくださーい!」
歩いた先で良さげな店を見つけた俺は早速入って見る事にしたが。
榊原冬弥「明かりも付いてるし、入り口も空いてたから誰かいると思ったが・・・まだ開店して無いのか?」
中村育美「あぁお客様!お待たせして申し訳ありませんでした!お1人様でお間違い無いですか!?」
榊原冬弥「え?あぁ・・・俺1人です・・・」
中村育美「か、畏まりました!お好きな席に座ってお待ち下さい!直ぐにお冷とメニューをお持ちします!」
榊原冬弥「・・・ここに来てるのは俺だけか?まぁ気にする事も無いか・・・」
取り合えず適当に席に座り、さっきのお姉さんが来るの待った。
中村育美「お待たせ致しました!こちらお冷とメニューになります・・・」
榊原冬弥「あ、ありがとうございます・・・さてと、」
榊原冬弥「そうだな、カレーライス下さい・・・」
中村育美「あ、畏まりました!今用意しますので!」
榊原冬弥「・・・あの人、接客慣れてる様に見えないな・・・」
数分後。
中村育美「お待たせ致しました!」
榊原冬弥「おぉ、美味そうだな・・・」
中村育美「それではごゆっくり・・・」
榊原冬弥「・・・どれどれ?はむ・・・」
榊原冬弥「・・・・・・」
榊原冬弥「う、うげ!不味っ!!」
榊原冬弥「な、何だこれ!?ちゃんと味見したのか!?」
中村育美「あぁ!お客様!大丈夫ですか!?」
榊原冬弥「ちょっとお姉さん!このカレー誰が作ったの!?ちゃんと味見したの!?」
中村育美「も、申し訳ありません!それはあたしが作ったのですが・・・」
榊原冬弥「え?」
中村俊博「おいやかましいぞ、何の騒ぎだ?」
中村育美「あ!父さん!実は、カレー作り失敗して・・・」
中村俊博「あぁ、だからまだ早いって言ったんだ!」
榊原冬弥「・・・あ、あの、これは一体・・・てか・・・」
遅れて出て来た知らないおじさんの右腕は包帯で巻かれており、何だか訳ありの様に見えた。
中村育美「だ!駄目だよ!ちゃんと休まないと!」
中村俊博「お前が危なっかしくて安心して休めるか!大体、普段から料理して無い奴がいきなり出来る訳無いだろうが!!」
中村育美「だ、だってぇ!!」
榊原冬弥「あ、あのぉ・・・」
中村育美「あ・・・」
榊原冬弥「何か、訳あり見たいですが、何があったんですか?良かったら聞かせて頂いても・・・」
中村俊博「・・・って、お客さん、見苦しい所見せて済まなかったな・・・俺はこの店を切り盛りしてる中村俊博ってもんだ・・・」
中村俊博「んで、こいつは俺の娘の育美って言うんだ・・・」
榊原冬弥「はぁ・・・俺は榊原冬弥です・・・その右腕、怪我でもされたんですか?」
中村俊博「あぁ、こいつか?実は3日前位に交通事故に合ってな・・・それで全治2ヶ月の療養生活を強いられちまってな・・・」
中村俊博「それを聞いた育美が慌てて戻って来てな・・・代わりに店を守るって言って聞かなくてな・・・」
榊原冬弥「そうなんですか・・・育美さんの前職は?」
中村育美「あ、あたしはこの街の市役所職員やってるんです・・・辞めてはいないんですが、上の人達に頼んで長期休暇を貰って・・・」
中村俊博「育美、お前はお前の仕事があるんだから俺の事は気にするなよ!店は何とかするから役所に戻れ!」
中村育美「そんな身体で何が出来るの!?2ヶ月も働かないでどうやって生活するのよ!?仮にバイト雇うにしても」
中村育美「悪い人雇ってお店が悪ふざけされたりしたらどうするのよ!!」
榊原冬弥「・・・あ、あの、ちょっと良いですか?」
中村俊博「ん?どうしたんだい?」
榊原冬弥「様はこう言う事ですよね?お父さんは右腕を怪我して仕事が出来ない・・・娘で在る育美さんはお父さんが心配で」
榊原冬弥「店を切り盛りしたい・・・でもお父さんは育美さんの腕じゃ心配で任せられないんですよね?」
中村俊博「あぁ、悔しいがその通りだ・・・」
中村育美「うぅ、ぐうの音も出ない・・・」
榊原冬弥「俺、今就活してる最中なんです・・・俺も飲食店の厨房でやってた経験があります・・・調理師免許もありますので、」
榊原冬弥「俺なら、もしかすると少しはお力になれるかと・・・」
中村俊博「ま、マジか!?お前さん経験者か!」
榊原冬弥「はい、と言っても、やっぱ実績を見て貰った方が信用して貰えると思うので、何か作らせて頂けますか?」
中村俊博「・・・確かに一理あるな・・・分かった、家の厨房好きに使え・・・」
榊原冬弥「あ、ありがとうございます!」