AI食堂

夏目心 KOKORONATSUME

3 ロボット導入 後編(脚本)

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〇大衆居酒屋
  今日の業務が終わった後の夜。俺達はレビューを確認した。
榊原冬弥「どうだ?」
安藤楽「まぁ待て!アンケートも纏めて見たし、お客さんの反応も良好だったからな!」
安藤楽「・・・・・・」
安藤楽「おぉ!マジか!来てくれた人が殆ど星4か5の評価をしてくれてるぜ!」
雨宮香織「ほ、本当だ!思い切った甲斐があったね!!」
  お客さんからのレビューは上々だった。だが、俺だけはこの現状に満足する事が出来ないでいた。
榊原冬弥「・・・なぁ楽、香織、これから俺らどうするんだ?」
雨宮香織「これから?」
安藤楽「あぁ、この結果はこれから父さんにも報告するよ・・・父さんから、もし結果が上々だったら」
安藤楽「調理担当と運び担当を1体ずつ手配してくれるってよ!これだけの評価を得られたんだ!父さん達も納得してくれる!」
榊原冬弥「なぁ、調理ロボット、返却しないか?」
安藤楽「は、はぁ!?冬弥お前、何言い出すんだ!?」
雨宮香織「どうしたのよ冬弥!?何が不満なの!?」
榊原冬弥「・・・今日の俺、データをインプットしただけで、殆ど料理やらなかったんだ・・・」
安藤楽「え・・・」
榊原冬弥「もしこのままロボットに料理やらせたら?そしたら俺、もうずっとロボットにレシピをインプットするだけの仕事になるのか?」
榊原冬弥「もしそんな風になるなら、俺何の為に勉強して来たんだよ?俺料理やりたいから飲食店始めたんだぜ?」
雨宮香織「な、何言ってるのよ!私達これまでずっと頑張って来たじゃない!その上でいつ休んだりしたの?頑張り過ぎてたら、」
雨宮香織「いつか何処かで倒れちゃうじゃない!」
榊原冬弥「倒れるのが嫌だから、頑張るのを辞めるのか?それおかしく無いか?」
安藤楽「おいおい冬弥!分からないのか!?時代は常に進化してるんだ!だったら俺らもその波に乗って、」
安藤楽「本当の意味で幸せを掴むべきだろ!?ロボットは間違い無く俺達の強い味方だ!」
榊原冬弥「楽するだけが幸せか?違うだろ・・・頑張って歩くからこその幸せじゃ無いのか?」
雨宮香織「・・・止めなさいよ・・・」
榊原冬弥「香織?」
雨宮香織「止めなさいって言ってるのよ!そんなに傷付きたい訳?なら冬弥1人でそうしてれば良いでしょ!?」
雨宮香織「確かに私達は頑張って大学も専門学校も卒業した!これ以上何を究めろって言うのよ!!」
榊原冬弥「香織・・・お前!?」
雨宮香織「ロボットはお客さんを満足させた!私達の本当の幸せは、ここから始まるのよ!」
雨宮香織「私だってこれまでずっと我慢して来たの!行きたい所だってあるし見たい娯楽もあった!これ以上苦しんで何になるのよ!?」
安藤楽「そ、そうだぜ冬弥!ロボットは頑張った俺らへのご褒美だと思えばさ!そんな大した問題じゃ無いだろ?な!」
榊原冬弥「・・・お前らは、それで良いんだな?」
雨宮香織「良いも悪いも無いわ!冬弥がそんな融通の効かない人だなんて思わなかったわ・・・」
榊原冬弥「・・・そうか、ならもう迷う事は無いな・・・」
安藤楽「お、おい、何するつもりだ?」
榊原冬弥「直ぐ戻る・・・」
  数分後。
榊原冬弥「お待たせ・・・これをお前らにくれてやる・・・」
安藤楽「え?これは?」
榊原冬弥「俺が色々考えて作ったレシピやその料理の改善案だ・・・これを上手くインプットすれば何とかなるだろう・・・」
安藤楽「え?ちょま、冬弥はどうするんだよ?」
榊原冬弥「ここを出て行く・・・ロボットがいるなら、俺がここにいる理由は無い・・・」
雨宮香織「あっそ・・・もう勝手にすれば良いんじゃ無い?このお店は私と楽で切り盛りするから・・・」
安藤楽「おおおい香織!!」
榊原冬弥「確かにロボットは最高の戦力だ・・・」
榊原冬弥「でも、そいつらが出来るなら、もう俺は要らないよな・・・」
榊原冬弥「明日の明朝にここを出る・・・後の事はお前らが勝手にやってろ・・・今まで世話になったな・・・」
安藤楽「おおおい冬弥!!香織!良いのかよ!?」
雨宮香織「大丈夫、もう吹っ切れたわ・・・」
安藤楽「香織?」
雨宮香織「冬弥がいなくなった・・・だから何よ?」
雨宮香織「だったら見せて上げるわ、あいつ1人いなくなった所で、痛くも痒くも無いって事を・・・」
  ロボットの導入で意見が対立し、俺は1人で店を出て行く事を決めた。これからこの店がどうなろうと、
  もう俺には関係無かった。

次のエピソード:4 冬弥の帰省

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