5話目 追憶(脚本)
〇美しい草原
峰木 実(みねぎ みのり)「・・・・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「・・・星ちゃん」
星ちゃん「久しぶり、だね・・・」
星ちゃん「元気、だった・・・?」
峰木 実(みねぎ みのり)「まぁ、うん・・・」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「・・・・・・」
星ちゃん「・・・ごめんなさい」
峰木 実(みねぎ みのり)「?」
星ちゃん「二人とも、大変な思いをしたんじゃないかなって・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「それは、怒ってないよ。むしろ、一瞬でも夢を叶えてくれてありがとう」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「私も、助けられたし。嬉しかった」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「でも、今日話したいのはその事じゃない。私達と一緒にいたもう一人の子の事」
峰木 実(みねぎ みのり)「星ちゃんの事を紹介してくれたあの子。 その子の安否を教えて欲しい」
星ちゃん「・・・・・・」
星ちゃん「それだけは、出来ない・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「・・・・・・」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「・・・・・・」
星ちゃん「・・・・・・」
星ちゃん「・・・でも、私の事、そして私と■■ちゃんの出会いの話なら出来る」
峰木 実(みねぎ みのり)「ほ、星ちゃんの、こと・・・」
星ちゃん「うん。やっと、私の事がわかってきたから、お話出来る。私のこと・・・」
〇地球
星ちゃん「私はね、多分、この地球から生まれた存在。皆の言葉で「神様」って言われる存在だと思う・・・」
星ちゃん「もちろん、みんなが知ってる有名な神様とかじゃない。名前も知られていない、この小さな土地に居る神様・・・」
〇火山のある島
星ちゃん「二人は知ってる? 神様はね、皆に信じてもらえればもらえるほど、力が強くなるの」
星ちゃん「だから、私みたいなほとんどの人が知らない神様は、全然力が無いの」
〇木の上
星ちゃん「そんな私でも、これでも神様。だから、二人の願いに力を貸すことだけは出来た」
星ちゃん「でも、力が足りないから途中で力が切れちゃう。だから二人は、力が切れて不幸になっちゃったと思う・・・」
〇美しい草原
星ちゃん「本当は、私にもっと力があれば二人はそのまま幸せになってたかもしれないの」
峰木 実(みねぎ みのり)「そっか。あれは星ちゃんの力の反動・・・」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「だから、星ちゃんは私達に力をあげる事を拒んだんだ。私達が不幸になる事を心配して・・・」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「じゃあ、知ってたんだ。その力を分ける事が、不幸に繋がってしまうって事」
峰木 実(みねぎ みのり)「そ、そっか。そうだよね、私に力をくれる前に力の事を知らないと、不幸になるなんてわからないもんね」
星ちゃん「・・・うん、知ってた」
星ちゃん「私がこの力の事を知ったのは、■■ちゃんに会ったあの日」
星ちゃん「私が■■ちゃんに力をあげた、あの日」
〇美しい草原
■■「毎日病院にいるの。今日は特別、お外に出て良いって言わたんだけど」
■■「ママに見つかったら、また病院に戻らなきゃいけないの・・・」
星ちゃん「・・・そうなの」
星ちゃん「その言葉で、なんとなく気づいちゃったの。■■ちゃんの余命は、・・・あと一日」
星ちゃん「そう思ったら、なんとかして助けてあげたいって思ったの。自分を犠牲にしてでも、助けたいって」
星ちゃん「こっちに、来て」
■■「・・・ぇ?」
〇白
星ちゃん「やり方は知らなかったけど、私はなんとかしたい一心で力を注ぎこんだ」
星ちゃん「そうしたら、驚くほど上手く私の力が■■ちゃんに流れ込んでいった」
星ちゃん「みるみるうちに、■■ちゃんの顔色が良くなっていって・・・」
〇美しい草原
■■「ほ、星、ちゃん・・・」
■■「す、すごいすごい! なんか、元気が出てきた!!」
■■「ありがとう! 私、明日からも頑張るね!!」
星ちゃん「初めての神様のお仕事、この後に■■ちゃんは奇跡的に回復して無事に退院したの」
星ちゃん「私は■■ちゃんを助ける事が出来て、本当に嬉しかった。誰かを助ける喜びを知れて、嬉しかった」
星ちゃん「■■ちゃん、ありがとう」
〇黒背景
星ちゃん「でも、そんな自分の気持ちを知った時、とんでもない事に気づいちゃったの」
星ちゃん「■■ちゃんは、私のせいで不幸になる。その事に気づいちゃった・・・」
星ちゃん「それから、私はなるべく人に力を渡さないようにするって決めたの」
〇美しい草原
峰木 実(みねぎ みのり)「不思議。命を助けてあげたのに、なんで不幸になっちゃうの?」
星ちゃん「・・・私に力が無いのに、無理しちゃったからだと思う」
星ちゃん「それに、私が余計な気持ちを入れちゃったからかな・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「そうなんだ・・・」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「じゃあ、その子は私達以上に不幸になっちゃって・・・」
星ちゃん「そう、二人よりも不幸になって・・・」
星ちゃん「それが、今も続いている・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「な、なんとか、してあげる事は・・・」
星ちゃん「嫌」
峰木 実(みねぎ みのり)「・・・・・・」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「・・・・・・」
星ちゃん「・・・ごめんね」
峰木 実(みねぎ みのり)「でも・・・」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「・・・わかった」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「実、帰ろう」
峰木 実(みねぎ みのり)「え、でも・・・」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「多分、私達にはどうすることも出来ない」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「もう、これは星ちゃんとその子の問題。私達がとやかく言える事じゃない」
峰木 実(みねぎ みのり)「そっか・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「わかった」
峰木 実(みねぎ みのり)「ありがとうね、星ちゃん」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「ありがとう」
星ちゃん「・・・・・・」
〇田舎のバス停
峰木 実(みねぎ みのり)「しのぶは、さっきの話、信じる? 私、なんかよくわからなくて・・・」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「私も、あんまりピンとはきてないし、信じきれないけど・・・」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「でも、実が高校の時に会った星ちゃんは、今でも女の子の姿のまま」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「そうだとすれば、少なくとも星ちゃんは普通の人じゃない。だったら、信じるしかないのかなって」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「そして、もう触れない方がいいのかなって・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「そ、そうだね・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「・・・・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「悪い神様じゃ、なさそうだしね」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「うん、そうだね」
峰木 実(みねぎ みのり)「あ、バス来た!」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「思ったよりも早かったね。 じゃあ、帰ろっか」
〇美しい草原
風神 早弥(かざかみ さや)「また、来ちゃった」
星ちゃん「・・・・・・」
星ちゃん「早弥ちゃん・・・」
星ちゃんの正体は神様。
しのぶちゃんと実ちゃんが一時期幸運だったのは、彼女の神通力が作用していたからだったのですね……。
次は最終回という事で■■ちゃん……。
おや、僕も何故か記憶が曖昧に……。😟