私が消えたこの世界

貴志柚夏

第1話(脚本)

私が消えたこの世界

貴志柚夏

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〇白
  ──何故、私は存在するのか。
  もし、存在しなかったらどんな世界になっていたのか。

〇シックな玄関
岡久ユキ「ただいまー」

〇おしゃれなリビング
  リビングに行くと全員いた。
岡久ユキ「ただいま」
  再び言うが、返事はせず怪訝な顔をする。
母「誰?」
岡久ユキ「わ、私はユキ。岡久ユキ!」
母「そんな子、うちにいたかしら?」
  すると、妹がありえないことを言った。
妹「誰?勝手に人の家に入ってこないで。気持ち悪い!」
岡久ユキ「え・・・」
  いつもは「お姉ちゃんおかえりー!」と抱きついてきたのに。
  そんな事、一度も言わなかったのに。

〇一軒家の玄関扉

〇住宅街の道
  走り続けた。
  辺りは暗くなり、寒くなってきた。
岡久ユキ「ここ、どこ・・・?」
  何も考えずに走り続けたので、迷ってしまった。
  どうしよう。このままでは・・・
深野宙「存在しない人?」
岡久ユキ「え?」
深野宙「あ、ごめん。どうしたの?」
  私は家で起こった出来事を丁寧に説明した。
深野宙「そんな事があったのか・・・実は、俺も同じ」
  簡単に言うと、その人は父と二人暮らしらしく、帰宅すると父が不審な顔をして、家を追い出されたらしい。
岡久ユキ「同じ事が、あったのか・・・」
深野宙「取りあえず俺の家、来て」
岡久ユキ「はい・・・」
深野宙「父は力ずくで追い出したから」
岡久ユキ「力ずくって・・・」

〇アパートのダイニング
岡久ユキ「おじゃまします」
岡久ユキ「あの、この世界ってどうなってるんですか?」
深野宙「奴が来たんだよ」
岡久ユキ「奴って・・・?」
深野宙「奴というのはケイという奴のことだ。ケイとは何年かに一度、来るんだよ。存在を消しに」
岡久ユキ「何故私達が選ばれたんですか?」
深野宙「ランダム」
深野宙「元に戻すには、ケイを探すしかない。手伝ってくれ」
深野宙「・・・名前は?」
岡久ユキ「私は岡久ユキです」
深野宙「俺は深野 宙」

〇アパートのダイニング
  気づいたら朝だった。
岡久ユキ「朝だ!学校に行かないと!」
  すると、腕を掴まれた。
深野宙「駄目だ。学校に行くな」
岡久ユキ「なぜ?」
深野宙「誰も憶えていない。下手すると不審者扱いされる」
深野宙「取りあえず、探さないと。大体いる場所は分かる」
岡久ユキ「なぜ分かるんですか?」
深野宙「何回も存在を消されたから」
  宙さんは自信満々に言った。

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