厄日の拾い物

B作

第2章 厄日の生活(脚本)

厄日の拾い物

B作

今すぐ読む

厄日の拾い物
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇整頓された部屋
霊子「ねぇねぇ マキちゃん・・・」
田中 真紀(まさのり)「マキって呼ぶなって言ってんだろう!」
  霊子達を拾ってから、一週間が過ぎた。
  霊子は俺の事をマキと呼んだ。
  なぜなら俺の名前が『真紀』と書いて
  『まさのり』と読むからだ。
  結構この名前にはコンプレックスがあった。
  子供の頃はこの名前のおかげで
  どんだけ、からかわれた事か。
  まったく親を恨むぜ・・・
田中 真紀(まさのり)「で、なんだよ?」
霊子「宇宙人さんはまだ寝てるみたいだから、 買い物にでも行かない?」
  あれから、宇宙人は眠ったまま
  目を覚まさなかった。
  医者を呼ぶ訳にもいかないので、
  とりあえず寝かせておいた。
  霊子はやたらと買い物に行きたがる。
  普段は明るく振る舞ってるが、
  本当の所は幽霊だと言う事で
  悩んでるようだ。
  だからその気晴らしみたいなもので
  買い物に行きたがる。
  後で気づいた事なんだけど、
  霊子は俺以外の人には見えてないようだ。
  だから買い物をするときは
  俺がついて行かなければならない。
田中 真紀(まさのり)「なんか買うものが有るのか?」
霊子「どうしてもって物は無いけど・・・」
田中 真紀(まさのり)「またウィンドショッピングか?」
霊子「へへへ・・・」
田中 真紀(まさのり)「宇宙人は大丈夫だな?」
霊子「うん! まだ眠ってる・・・ あれ?!」
田中 真紀(まさのり)「どうした?」
  宇宙人を見ると身体から
  薄ぼんやりとだが、光を発していた。
  霊子は俺のそばに来た。
霊子「目を覚ますのかしら?」
  ちょっと恐がってるようだ。
  俺も少し緊張していた。
  友好的な宇宙人ならいいが、
  もし、地球侵略をしに来た奴なら
  どうしよう・・・
  宇宙人は光を発しなくなり、目を覚ました。
  言葉が通じるのだろうか?
  とにかくコンタクトしなくては・・・
田中 真紀(まさのり)「あの・・私の言う事が解りますか?」
  宇宙人は俺を見た。
田中 真紀(まさのり)「私は田中真紀(まさのり)。 地球人です」
  宇宙人は黙っていた。
  やっぱり言葉が通じないのかぁ・・・
霊子「ダメみたいね・・」
田中 真紀(まさのり)「困ったなぁ・・・」
宇宙人「大丈夫ですよ。 言葉は解りますから・・・」
  宇宙人は、ちゃんとした日本語で話した。
田中 真紀(まさのり)「あなたは、どこから来たんですか?」
宇宙人「私の名前はサーヤです。 あなた達の言う銀河系の中心にある 惑星から来ました」
霊子「サーヤさん・・なぜ地球に来たの?」
田中 真紀(まさのり)「おまえが聞いても、サーヤさんには 見えてないぞ」
サーヤ「見えてますよ。 生体エネルギー体ですね」
霊子「よかった! 私、霊子。 よろしくね!!」
  それからサーヤが、なぜ地球に来たのか等の話しをしてくれた。
  サーヤは銀河系の中心にある惑星の
  王女みたいなモノだそうだ。
  その星は一つの国家に統一されていて、
  ほかの惑星とも交流を深めてるそうだ。
  科学技術も進歩していて、超能力なんかも
  かなり研究されていた。
  サーヤは第1級の超能力者だそうだ。
  だから霊子が見えたんだな。
  あっ!
  と、言う事は俺も超能力者なのか?
  まさか・・・
  なんでサーヤが地球に来たかと言うと
  ある科学者が禁止されている
  バイオテクノロジーを使った
  生物兵器を作ったそうだ。
  その生物兵器α1は強力なPKを使い、
  人間を捕まえて霊体と肉体に分離し
  霊体はエネルギーとして吸収され
  その肉体はα1にコントロールされ、
  兵士として使われるそうだ。
  このα1を危険だと判断したサーヤ達は
  軍隊を出してこの科学者を逮捕、
  α1の破壊に向かったのである。
  しかしこの科学者はα1を使って軍隊を
  全滅させ、宇宙船を奪って逃げたそうだ。
  サーヤは周りが止めるのも聞かず単独で
  追跡してきたのだ。
  そしてサーヤはこの科学者が
  地球に居るのを突き止めたのは
  良かったが、地球上空で迎撃されて
  不時着した訳だ。
霊子「ふ~ん そうなんだ・・・」
田中 真紀(まさのり)「で、まだα1を追跡するのか?」
サーヤ「もちろん! このままやられっぱなしじゃ 腹の虫が治まらないわ!」
霊子「だけど武器がなければ戦えないんじゃない?」
サーヤ「私が乗ってきた宇宙船を見つければ大丈夫。 一通りの武器は持ってきたから・・・」
田中 真紀(まさのり)「だけど宇宙船は壊れたんじゃ?」
サーヤ「それも大丈夫です。 敵をごまかす為に、わざとやられたふりを しただけだから」
霊子「でも、もう誰かに宇宙船見つけられたんじゃない?」
サーヤ「脱出する時サイコシールドを 作動させたから、誰にも見つからないわ!」
「サイコシールド?!」
サーヤ「簡単に言えば一種の催眠電波を出して そこには何もないと思わせるの?」
サーヤ「だからたとえ大都市のど真ん中にあっても 誰も宇宙船には気づかない訳」
田中 真紀(まさのり)「しかし・・何でそんなに日本語がうまいの?」
  俺は一番不思議だった事を聞いた。
サーヤ「宇宙船の中で、コールドスリープ中に 睡眠学習したんです」
サーヤ「一応地球上の言語はすべて話せます。 言語だけでなく生活、習慣、文化なんかも 学習しました」
田中 真紀(まさのり)「へぇー凄いな。 下手な日本人よりも 日本人らしいんじゃないか・・」
  俺は、チラッと霊子を見た。
霊子「なんで私を見るのよ!」
サーヤ「それじゃ、お世話になった御礼で 私が料理を作ります」
田中 真紀(まさのり)「そんな事まで睡眠学習したのか?」
  サーヤはウィンクして台所へ行き、
  料理を作り始めた。
  この日から奇妙な共同生活が始まった。

〇街中の階段
霊子「ねぇマキちゃん・・ サーヤの怪物退治を手伝うの?」
  不意に霊子が聞いてきた。
  サーヤを留守番させて久しぶりに霊子と
  買い物に出た帰りだった。
田中 真紀(まさのり)「ああ・・大した事は出来ないだろうけどな」
霊子「危険じゃないの? 軍隊だって全滅させたって言うじゃない・・」
田中 真紀(まさのり)「たぶん危険だと思うよ。 だけど、そんな怪物が地球にいるなんて ほっとけないよ」
霊子「マキちゃんが張りきったって しょうがないじゃない」
田中 真紀(まさのり)「そうかもしれないけどサーヤひとりに やらせる訳にはいかないだろ?!」
田中 真紀(まさのり)「もう知っちゃたんだから・・・ ほっとけないだろ?」
霊子「まあね・・・」
  さっきから気になってたんだけど、
  なんか尾けられてるような気がした。
  振り返ると誰も居なかった。
霊子「どうしたの?」
  俺が何度も振り返るから、
  霊子が聞いてきた。
田中 真紀(まさのり)「なんか尾けられてるような気が したもんだから・・・」
霊子「そんな訳じゃないでしょ! 私なら解るけど・・ こんなに美人だからね」
田中 真紀(まさのり)「自分で言ってて恥ずかしくないか?」
霊子「全然、本当の事だもの!」
田中 真紀(まさのり)「げっ!そこまで言えたら立派だわ」
  尾行者は気になったが霊子と
  バカをやってたら忘れてしまった。

〇整頓された部屋
  家に帰るとサーヤが料理を作ってた。
霊子「ただいま!」
サーヤ「おかえりなさい」
霊子「マキちゃんたら、誰かに尾行されてる なんて言うのよ。 おかしいでしょ?」
サーヤ「尾行?」
田中 真紀(まさのり)「気のせいだと思うけど、 なんかそんな気がしたんだ」
サーヤ「ふーん・・ さて、もう出来るから食べましょう」
  いつのまにかサーヤが料理を作る係に
  なっていた。
  霊子は当然食べられないけど、
  必ず食事の時は一緒にいた。
  自分が食べられない分よく喋った。
  まぁそのおかげで楽しい食事に
  なるんだけど・・・
  これが霊子の係なのかな?

〇原っぱ
  次の日サーヤの宇宙船を探しに奥多摩に
  行った。
  サーヤは、なんだかよくわかんない機械を
  動かして俺達を誘導した。
  幸い宇宙船は人気の無い山の中に
  不時着したようだ。
  車を降りてから山道を1時間ほど歩いた
  山の中に宇宙船はあった。
霊子「これがサーヤが乗ってきた宇宙船?」
  その宇宙船はそれほど大きくなかった。
  ちょうどタンクローリー車位の
  大きさだった。
サーヤ「ちょっと待ってて。 故障箇所なんか調べてみるから」
  サーヤは宇宙船の中に入っていった。
  霊子と俺はただただ呆然と宇宙船を眺めてた
霊子「なんか現実感無いよね?」
田中 真紀(まさのり)「あぁ・・夢見てるみたいだよ」
  目の前の宇宙船も映画のセットの様な
  気がした。
  後ろの草むらで、なんか動いたようだ。
霊子「何かしら? ちょっと見てくる・・」
  霊子は音がしたあたりを見に行った。
田中 真紀(まさのり)「どうした?!」
  俺は悲鳴のした方に向かった。
  霊子が地面に倒れていた。
  普通なら抱き起こすのだろうけど、
  俺は霊子には触れない。
田中 真紀(まさのり)「おい! 大丈夫か? おい! しっかりしろ!」
  声をかけ続けた。
田中 真紀(まさのり)「うっ!」
  いきなり後ろから首を絞められた。
  俺は手足をバタバタしてもがいたが
  凄い力で絞められてるのでビクともしない。
  もうダメだ・・・
  だんだん意識が遠のいていった。
  急に俺は、つき飛ばされた。
  おかげで何とか死なずに済んだ様だ。
  と急に俺はゲホゲホ咳込みながら、
  体制を立て直した。
  見るとサーヤが俺の首を絞めた奴を
  超能力でぶっ飛ばしたようだ。
  俺は襲った奴の顔を見ようと
  注意しながら近づいて行った。
  倒れた奴を見ると女だった。
  俺は慎重に近づき女の肩に手を掛けた瞬間、女は俺を突き飛ばして逃げて行った。
  俺は金縛りにあったみたいに動けなかった。
  なぜなら俺を襲った女は霊子そっくり、
  いや霊子だった。
田中 真紀(まさのり)「そんな・・バカな・・・」
サーヤ「マサノリ・・大丈夫?」
田中 真紀(まさのり)「そんな・・・」
  俺はうわごとの様に繰り返していた。
サーヤ「どうしたの?」
田中 真紀(まさのり)「俺を襲った奴、霊子だった・・・」
サーヤ「え? それじゃ、もしかして霊子はα1に 捕まったんじゃない?」
サーヤ「それで霊体だけが逃げ出して、 そのショックで記憶喪失に なったんじゃ・・?」
田中 真紀(まさのり)「それじゃ俺を襲った霊子は霊子の 肉体なのか?」
サーヤ「たぶん・・・ それより霊子は?」
田中 真紀(まさのり)「あっそうだ!」
  俺達は急いで霊子の所に戻った。
  まだ霊子は倒れていた。
田中 真紀(まさのり)「どうしよう・・・ 霊子はこのまんま気がつかなかったら・・・」
  なにしろ俺達は霊子にさわる事が
  出来ないのだから・・・
サーヤ「私にまかせて。 たぶん生体エネルギーを送ってやれば 大丈夫よ!」
  サーヤは霊子に掌をかざした。
  10分もしたら霊子は気がついた。
田中 真紀(まさのり)「大丈夫か?」
霊子「あれは私だったよね?」
  霊子はブルブル震えながら言った。
霊子「そうよ! 思いだしたわ・・・ 私、怪物に襲われて・・・」
  今のショックで霊子は記憶が
  戻ってきたようだ。
田中 真紀(まさのり)「心配するな! 俺がお前の体、取り返してやるから」
  サーヤは生体エネルギーを使いすぎて、
  少し疲れたようだ。
  いったん家に帰って作戦を立てなければ。
  どうやら俺達はα1を
  退治しなければならないようだ。
  とにかく奴はきっと奥多摩の山中の
  どっかに居るはずだ。
  かならず見つけだして、やっつけてやる。
  そして霊子を生き返らしてやる。

次のエピソード:第3章 厄日の戦い

成分キーワード

ページTOPへ