2話目 恋路(脚本)
〇教室
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「ねぇ、イケメンに出会ったって!? 何があったの!?」
峰木 実(みねぎ みのり)「あへ~」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「聞いてるっ!?」
峰木 実(みねぎ みのり)「あぁ、ごめ~ん。ここに来る時にね・・・」
〇学校脇の道
峰木 実(みねぎ みのり)「あーっ、くそ! なんで目覚まし時計ならないの、この野郎が!!」
「?「あー、やば! 遅刻するっ!!」」
峰木 実(みねぎ みのり)「キャッ!?」
「実「いた~っ・・・」」
峰木 実(みねぎ みのり)「もう! 急いでいるから、ぶつかるなら後で好きなだけぶつかって・・・」
イケメンさん「あぁ、ごめんなさい! 大丈夫?」
峰木 実(みねぎ みのり)「・・・・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「い、いえ! 全然大丈夫です! こちらこそ、ぶつかっちゃってすみません!」
イケメンさん「ごめんね。でも、怪我無くて良かった」
峰木 実(みねぎ みのり)「い、いえ、全然!」
イケメンさん「・・・あれ、でも俺がぶつかったせいで、制服汚れちゃった? 大丈夫?」
峰木 実(みねぎ みのり)「あー、このぐらい、大した事ないですよ!」
イケメンさん「いやいや、俺のせいで制服を汚しちゃったのに、何もしないわけにはいかないよ」
イケメンさん「もしよければ、放課後にここで会わない? お詫びにご馳走するからさ」
峰木 実(みねぎ みのり)「えっ・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「いいんですか~? じゃあ、ぜひ~」
〇教室
峰木 実(みねぎ みのり)「って~♪」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「実、焦っている時の口、悪っ・・・」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「っていうか、そんな初対面の人と会って大丈夫なの? 危ない人じゃない?」
峰木 実(みねぎ みのり)「え~、イケメ~ン♪」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「顔の話じゃなくて!」
峰木 実(みねぎ みのり)「早弥、あの星ちゃんのおかげだよ! ありがと、星ちゃんにもお礼を言わなきゃ!!」
風神 早弥(かざかみ さや)「あぁ、うん・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「放課後、楽しみ~♪」
〇学校脇の道
峰木 実(みねぎ みのり)「あ、お待たせで~す!」
イケメンさん「お、来てくれたんだ、嬉しいなぁ!」
イケメンさん「じゃあ、近場のカフェに行こっか。 ご馳走するよ」
峰木 実(みねぎ みのり)「嬉しい! ありがとうございます!」
「しのぶ「思ったよりも、仲良さそうだね」」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「もっと怪しい人なのかなって心配になったけど・・・」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「普通に良い人そうで良かった」
風神 早弥(かざかみ さや)「っていうか、なんで私達、後をつけてるの? これってストーカーだよね?」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「これは、実の安否確認だから、問題無し!」
風神 早弥(かざかみ さや)「い、いや、プライバシー・・・」
風神 早弥(かざかみ さや)「あと、変な事にならなきゃいいけど・・・」
〇黒背景
私の嫌な予感に反して、実はイケメンさんと付き合う事になりました。
イケメン彼氏と付き合って、実は毎日が楽しそう。しかもイケメン彼氏さんは超優秀、実は毎日のようにその事を自慢していました。
そんな私達にも、大学受験シーズンがやってきました。
〇教室
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「早弥、どうしよ~。成績、下がっちゃった・・・」
風神 早弥(かざかみ さや)「しのぶは、大丈夫でしょ。元々B判定なんだからさ」
風神 早弥(かざかみ さや)「それより・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「うぅぅ・・・」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「実、だ、大丈夫・・・? すごく、体調悪そうだけど・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「・・・わかんない」
風神 早弥(かざかみ さや)「実、ちゃんと寝てる・・・?」
峰木 実(みねぎ みのり)「・・・2時間ぐらい」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「2時間っ!? 全っ然、寝てないじゃん!!」
風神 早弥(かざかみ さや)「もう、やめた方がいいって。体、休めなよ・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「だって、だって・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「彼がT大に行くって言うから! 私も、そこに行かないとっ!!」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「そんな、彼氏に合わせる必要ないじゃん・・・」
風神 早弥(かざかみ さや)「実、こんな事を言ったらあれだけど、点数、全然足りないんじゃない・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「知らないもんっ!! もう、奇跡を信じるしかないもんっ!!」
峰木 実(みねぎ みのり)「私、今、幸せだしっ!!」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「実・・・」
風神 早弥(かざかみ さや)「・・・・・・」
〇女の子の一人部屋
イケメン彼氏「勉強、調子どう? 俺は結構、調子良くてさ~。実は、どう?」
峰木 実(みねぎ みのり)「私は、あんまりかなぁ・・・。もう一か月で一次だから、頑張らないとだけど・・・」
イケメン彼氏「マジ? 足切りならないように、頑張れよ~」
イケメン彼氏「んじゃ、俺はもうちょい勉強するから、実も頑張れよ!」
峰木 実(みねぎ みのり)「はぁ、頑張らないと、頑張らないと・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)(皆には迷惑はかけたくないし、彼氏には置いて行かれたくない・・・。絶対に、受からないと。自分の力で・・・)
峰木 実(みねぎ みのり)(自分の、力で・・・)
峰木 実(みねぎ みのり)「うっ、うっ・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「勉強、勉強しなきゃ・・・」
〇沖合(穴あり)
峰木 実(みねぎ みのり)「んっ・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「うっ・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「あれ、ここは・・・。 ほし、ちゃん・・・?」
星ちゃん「あなたに、お話があるの」
星ちゃん「もう、あなたの幸せはおしまい」
峰木 実(みねぎ みのり)「えっ・・・」
星ちゃん「残念だけど、期限切れ、ごめんね」
峰木 実(みねぎ みのり)「えっ!? でも、もう少しで受験だから、だからっ・・・!」
星ちゃん「ごめんね、お姉さん」
「バイバイ」
峰木 実(みねぎ みのり)「星ちゃん、待って、待って・・・!」
〇女の子の一人部屋
峰木 実(みねぎ みのり)「うっ・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「勉強、勉強しなきゃ、勉強、勉強・・・」
「実「勉強、勉強しな・・・」」
〇黒
〇病室のベッド
峰木 実(みねぎ みのり)「んっ・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「あれ、ここは・・・?」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「・・・あれ、実!? 起きた、起きたのっ!?」
風神 早弥(かざかみ さや)「あ、実、実っ!!」
峰木 実(みねぎ みのり)「え、二人とも、どしたの・・・?」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「どうしたのじゃないよ、バカっ!! 倒れるまで無理してっ、私達も実のご両親も、どれだけ心配したと思ってんの!!」
風神 早弥(かざかみ さや)「よ、良かった・・・。本当に、死んじゃったかと、思って・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「え、な、何・・・?」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「私、すぐ実のお父さんとお母さんを呼んでくるっ!!」
風神 早弥(かざかみ さや)「実、実はね・・・」
〇黒
しのぶがご両親を呼びに行っている間、私は実に何が起こったのかを話しました。
実が勉強のし過ぎで倒れた事。病院に運ばれた事。2日経ってやっと目が覚めた事。
最初こそ実はボーっと聞いていましたが、状況が分かってきたのか、実は泣き出してしまいました。
〇病室のベッド
峰木 実(みねぎ みのり)「ご、ごめんなさい・・・。皆に、心配かけて・・・。私も、怖かった・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「でも、頑張らなきゃって思ったら、誰にも相談できなくて、怖くて、怖くて・・・」
風神 早弥(かざかみ さや)「本当に、心配したよ。もう、やめてね? 無理をするのは・・・」
風神 早弥(かざかみ さや)「でも、無事で本当に良かったよ・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「うん、もう、幸せじゃなくていい・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「あの子に頼っちゃった私が、悪かったの・・・、ごめんなさい・・・」
〇黒
そして実は2週間の時間を病院で過ごして、受験直前に学校に戻ってきました
〇教室
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「あぁ、もうあと少しで受験。実の件もあるし、もう、不安・・・」
風神 早弥(かざかみ さや)「しのぶは、大丈夫だって。それに、実の分まで私達が頑張った方が、実のためになるでしょ?」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「そう、だけど。明日からはもう家で勉強だし、学校に来ないし、不安で・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「早弥、しのぶ、おはよーっ!」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「えっ・・・」
風神 早弥(かざかみ さや)「実・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「もう、二人ともなんでそんなに暗い顔してるの? 二人はこれまでしっかり勉強してきたんでしょ?」
峰木 実(みねぎ みのり)「私なんかより全然、可能性あるじゃん! もっと、元気出しなって!」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「実、病院は・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「今日だけ、無理言って退院させてもらったの。二人には最後に直接応援したかったし」
風神 早弥(かざかみ さや)「え? 最後に応援って・・・?」
峰木 実(みねぎ みのり)「お母さんとも相談したんだけど、今年は受験は無理かなって話になったの。体調が悪くて勉強どころじゃなくて・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「それに、お母さんに怒られたの。彼氏に合わせていないで、ちゃんと自分に行きたいところに行きなさいって」
峰木 実(みねぎ みのり)「だから、もう一年だけ頑張ってみようかなって。ちゃんと自分の気持ちに合わせて、自分のペースで頑張ってみようって」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「そう、なんだ・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「うん。でも、全然後悔してないよ。自分がこんなに頑張れるなんて、初めて気づいたし、こんな消化不良で終わりたくないし」
峰木 実(みねぎ みのり)「ただ、彼氏は許せんっ! 入院中に一度も見舞いに来ないで! なんであんな奴に夢中になってたの、私っ!!」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「え、そこ!?」
風神 早弥(かざかみ さや)「な、なんか実ちゃんらしいね!」
風神 早弥(かざかみ さや)「でも、元気そうで本当に良かった」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「本当だよ、たかが受験で死んじゃったら、元も子もないんだからさ!」
峰木 実(みねぎ みのり)「それは、本当に反省。二人とも、本当にごめんね。あと、ありがとう」
峰木 実(みねぎ みのり)「だから、私は一歩遅れて大学生になるから、二人は全力で受験に挑んでね!」
峰木 実(みねぎ みのり)「二人なら、絶対に合格できるから!」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「そ、それは、えっと、不安・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「あれ~? たかが受験じゃなかったの?」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「それとこれとは、話が違うの!!」
〇白
こうして、私達二人は実に送り出されて、無事に第一志望に合格
実も、一年遅れて大学生に。驚いた事は、なんと実は第一志望に首席合格! あれだけ勉強したから、当然なのかな。
あの時は辛そうな実でしたが、今では幸せそうに大学生活を送っているみたいです。
〇黒
・・・一つ気になったのは、実がおかしくなったのは、星ちゃんに会ってから。
星ちゃんは、なんで実にあんな事をしたんだろう・・・
〇女の子の部屋(グッズ無し)
月日は流れ、10年後・・・
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「はぁ・・・はぁ・・・」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)(お金も、出会いも、何もない、何もない・・・。これからの人生、どうしよう・・・)
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)(もう、嫌、嫌、いや・・・)
〇黒
「しのぶ「幸せに、なりたい・・・」」
星ちゃん、一体なにものなのか……?