遊園地ゾンビ暴走事件(脚本)
〇オフィスのフロア
樺島 ここね(かばしま ここね)(えっ。誰もいない?)
樺島 ここね(かばしま ここね)「は・・・はい、ゾンビ課です!」
樺島 ここね(かばしま ここね)(・・・でちゃった。どうしよう)
電話先の相手「・・・というわけなんで、 よろしくお願いします!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「き、切れちゃった!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「お?ここね、どうした?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「大変だよ!お兄ちゃん!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ゾンビが建物を壊そうとしてるって!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「なんだって?場所は?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「遊園地だって!」
樺島 一心(かばしま いっしん)(遊園地か・・・ 少しはゾンビの怖さが薄れるかもな)
〇お化け屋敷
樺島 一心(かばしま いっしん)「こ、ここね・・・!?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「言うの忘れてた。遊園地の、 『お化け屋敷』で暴れてるって」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ひぃぃぃぃっ!」
〇後宮の一室
樺島 一心(かばしま いっしん)「こ、こんにちは・・・ゾンビ課です」
園長「あ、お待ちしておりました!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「うわぁぁぁっ!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん、人だよ。人」
樺島 一心(かばしま いっしん)「なんだ、人かぁ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「コホン・・・失礼しました」
樺島 一心(かばしま いっしん)「で、暴れているゾンビはどこですか?」
遊園地職員「あそこです!」
ゾンビ「うううう・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・何やってんだ?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「壁を引っ掻いてるみたい」
ゾンビ「あー、うううう」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・ひっ!こっちに来た!?」
ゾンビ「うううう、あー」
樺島 一心(かばしま いっしん)「こ、ここねっ! こっちに来ないように言って!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「しょうがないなぁ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「うー、あああ」
ゾンビ「ううう?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ありがとう!この隙に──」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ゾンビ確保!」
園長「いやぁ。さすがですね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「いえ、仕事ですから」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ところで、 ゾンビはどこから迷い込んだのでしょう?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「敷地に入ったら、 すぐ騒ぎになりそうなのにね」
園長「あ、それは、そのぉ・・・」
遊園地職員「最近ゾンビの様子が、 ちょっとおかしかったのですよ」
遊園地職員「詰所からお化け屋敷へ移動する際、 必ず何回か足が止まって」
園長「お・・・おい!こらっ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「詰所?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ゾンビを働かせてるってことですか?」
園長「べ、別に働かせているわけでは」
遊園地職員「お化け屋敷の舞台装置として 中で歩いてもらってるだけで・・・」
園長「彼らもここを気に入っているようですし、 ウィンウィンってやつですな!」
園長「しかし・・・まさか、柱を壊すとは。 やはりゾンビの扱いは難しいですねぇ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・」
ゾンビ「あー、ああ、」
樺島 ここね(かばしま ここね)「・・・え?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん、もしかしたらこの柱、 ゾンビが壊したんじゃないかも」
樺島 一心(かばしま いっしん)「柱にはゾンビの触った跡がありません」
樺島 一心(かばしま いっしん)「本当にゾンビが壊したのでしょうか?」
園長「な、なんですか! 唐突に・・・」
「きゃーっ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「なんだ?」
遊園地職員「す・・・すみません!」
遊園地職員「実は、ゾンビはこいつだけじゃなくて...」
樺島 一心(かばしま いっしん)「なんだって! ここね。行こう!」
〇メリーゴーランド
樺島 一心(かばしま いっしん)「大丈夫ですか?」
女性「急にゾンビが来て、 入場口を塞がれたんです」
樺島 一心(かばしま いっしん)「怪我はないですか?」
女性「ええ、急にゾンビが来たから ビックリしただけで・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「お気持ち、痛いほどわかります」
樺島 一心(かばしま いっしん)「それで、ゾンビは・・・?」
女性「私が入り口を離れたら、 何処かに行ってしまって」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん!アレじゃない? 向こうの柵のところ!」
ゾンビ「あー!あー!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「あれかっ!待てっ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここね!彼に止まるように言ってみて!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「うーうー!ああ!」
ゾンビ「うあ?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「うあぁぁぁっ! 急に止まった!近いっ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・ゾンビ確保」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん、このメリーゴーランド、 音がおかしくない?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「時々音が外れたり、とんだりしてる」
樺島 一心(かばしま いっしん)「言われてみれば確かに・・・」
「うわぁぁぁーん!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「まだいるのか!?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「観覧車の方だよ!」
〇観覧車の乗り場
樺島 一心(かばしま いっしん)「大丈夫ですか?」
母親「私たちが乗ろうとしたのですが、 中にずっとゾンビがいて」
ゾンビ「あー、うううう・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここね。 観覧車から降りて来るように言って」
樺島 一心(かばしま いっしん)「一体中に何があるんだ?」
ゾンビ「ううう、あー」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん!後ろっ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「えっ?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん!」
〇観覧車のゴンドラ
ゾンビ「うー、あー」
ゾンビ「ううううー」
樺島 一心(かばしま いっしん)「誰かーーっ!助けてくれーーっ!」
〇観覧車の乗り場
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん、大丈夫?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「うん。なんとか・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「観覧車、風もないのに凄く揺れていたよね。 変な音もしてたし・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「そうなのか?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「正直、ゾンビに挟まれて 全く気づかなかっ・・・」
「きゃーっ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「まだいたのか!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ジェットコースターの方だよ!」
〇ジェットコースター
樺島 一心(かばしま いっしん)「大丈夫ですか?」
女性B「ジェットコースターに乗ろうとしたら、 ゾンビが乗り込んできて・・・」
ゾンビ「ああー、うー」
樺島 一心(かばしま いっしん)「なんか座席を叩いてる?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん!その人 座席がすごく気になってるみたい」
樺島 ここね(かばしま ここね)「叩いてみろって言ってる」
ゾンビ「ううううう・・・」
ゾンビ「あああー、う・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「これか?特に変わりはないが」
樺島 一心(かばしま いっしん)「えっ!このジェットコースター、 動いてる!?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「あ、安全ベルトを・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「あれっ! 締まらない!?」
〇空
樺島 一心(かばしま いっしん)「落ちるーー!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ふう・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「今のうちに安全ベルトを・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「やっぱり締まらないぃぃーっ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「無理ぃぃぃっ!」
〇ジェットコースター
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃんの声、 地上まで聞こえてたよ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「安全ベルトが締まらなかったんだ・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ええっ!?どうして!?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「僕にもわからないよ」
ゾンビ「うう──」
樺島 ここね(かばしま ここね)「あれ?みんな降りてきたよ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・確保」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・ううっ」
〇後宮の一室
ゾンビ「うー!あー、うー、うー!」
園長「こいつ!生意気な!オラっ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ちょっと落ち着いてください! どうしたんですか!」
園長「こいつがいきなり襲ってきたんです! すぐに処分をしてください!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・いきなり、襲ってきた?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ゾンビから襲うなんてあるわけないよ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「だな。何か理由があるはずだ」
子供B「あのね!」
子供B「あのおじちゃんがいきなり ゾンビをスコップで叩いたんだ!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「やっぱり!」
園長「こんな子供の言うことを信じるんですか!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「もちろんです。 この子に嘘をつく理由がありませんから」
ゾンビ「うー、うー。あー」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん。この人たち、ずっと 危ない、危ないって言ってるよ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「危ない?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「もしかして・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「このゾンビたちを連れて来た人、 いますか?」
遊園地職員「はい。私です」
樺島 一心(かばしま いっしん)「彼らはどこに居ましたか?」
遊園地職員「近くの工事現場です。 みんなでまとまっていました」
樺島 一心(かばしま いっしん)「なるほど」
樺島 一心(かばしま いっしん)「このゾンビたちは、工事現場で 働いていた人たちかもしれませんね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「さっき、それぞれのアトラクションでの ゾンビの行動が気になっていたんです」
樺島 一心(かばしま いっしん)「なにか、細かい箇所を チェックしているような動作をしていた」
園長「だ、だから、それがなんだって言うんだ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「僕もアトラクションにいくつか乗って 気付いたのですが・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「メンテナンス、 やっていないのではありませんか?」
園長「言いがかりも甚だしいぞ! 何を根拠に!」
ゾンビ「ううー、あー」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ゾンビも子供と同じです」
樺島 一心(かばしま いっしん)「彼らは嘘をつかない。そして」
樺島 一心(かばしま いっしん)「決して意味のない行動を 起こしたりしないんですよ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「とにかく調査には出させていただきます」
樺島 一心(かばしま いっしん)「いいですね?」
園長「・・・はい」
〇遊園地の広場
樺島 一心(かばしま いっしん)「あらゆる箇所で メンテナンスの不備が確認されたよ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「修繕工事をしっかり終わらせるまで、 営業停止だな」
樺島 ここね(かばしま ここね)「あの人たちは、 危ない箇所がある事を伝えたかったんだね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「例え自分たちが腐敗していたとしても ・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「腐敗している仕事は 放っておけなかったのかもしれないな」
子供B「お父さん!今日はすっごく楽しかった! また来ようね!」
男性A「そうだな。 また、いっぱい乗り物に乗ろう!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「あの人たちも、子供とかいたのかな」
樺島 一心(かばしま いっしん)「案外、ここの建設に関わっていたりしてな」
〇遊園地の広場
子供C「この遊園地、パパが作ったの!?」
男性B「そうだよ。どうだった?」
子供C「すっごく楽しかった!」
〇遊園地の広場
「・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「しっかりと修繕工事をして、また、 安心して遊べる遊園地になるといいね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「そうだな。 笑顔で溢れている遊園地になるといいな」
アトラクションを整備せずに放置するとは、園長は本当に腐ってますね。炎上確定。🔥