〇白い校舎
　　私立新生高等学校
　　パッとしない中学時代を過ごした
　　生徒達の──
　　”変わりたい”を実現させる事に特化した
　　特殊な学校である
　　いわゆる”高校デビュー”を支援している
　　通称『デビュー高校』に──
　　花咲く季節がやってきました。
　　今年はどんな花が咲くのでしょう──
地蔵倉（あっ、三村君・・・）
三村「フッ」
三村「オールウェイズ、ボンジョルノ！」
　　勇者みたいな三村君。
　　高校デビューに成功した一人である

〇ビルの裏
　　中学時代の三村君
中学時代の三村「おおーっ！」
中学時代の三村「ゴミ箱によく落ちてる謎の麺類!!」
中学時代の三村「今日もあったー！」
中学時代の三村「くぅー！うめぇー！」
中学時代の三村（はぁ・・・高校生になったら 勇者みたいに──）
中学時代の三村（人んち勝手に入って、タンス覗いたり ツボ壊したり）
中学時代の三村（好き放題やりてぇよなぁ・・・）
　　三村君、高校デビュー大成功なのである

〇白い校舎
地蔵倉（三村君・・・頑張ったね）
　　三村君に想いを馳せてる地蔵倉さん
　　彼女もまた、
　　高校デビューに成功した一人である

〇けもの道
　　中学時代の地蔵倉さん
中学時代の地蔵倉「へへっ！今日の食料ゲットだぜー！」
中学時代の地蔵倉「さぁ、早速食っちゃおう〜♪」
中学時代の地蔵倉「はぁ・・・」
中学時代の地蔵倉（もっと女の子らしくなりたい・・・）
　　地蔵倉さん、高校デビュー大成功である

〇白い校舎
篠塚先生「おはようー！」
味噌又「オッス！センコー！」
味噌又「いてぇなコラ！」
汁田「何がセンコーじゃあ！ボケェ！」
汁田「先生と呼びやがれってんだコラァ！」
味噌又「なんだとコラぁ!!」
篠塚先生「もういいから〜味噌又君、汁田君、 早く教室行きなさ〜い」
「・・・」
「うっす」

〇白い校舎
　　心の声を聞いてみよう──
篠塚先生「おはようー！」
味噌又（よしっボクは今日から変わるんだ・・・）
味噌又「オッス！センコー！」
味噌又（決まった・・・）
味噌又（えっ？何？ヤダ・・・怖い でも、ここで負けたらダメだ──）
味噌又「いてぇなコラ！」
汁田（どうしよう・・・ 怖い人にぶつかっちゃった）
汁田（頑張れ、ボク・・・ 勉強の日々を思い出せ！）
汁田「何がセンコーじゃあ！ボケェ！」
汁田「先生と呼びやがれってんだコラァ！」
汁田（正義のヒーローになった気分・・・ うまくいったかな？）
味噌又（ひぃ〜、こえぇ・・・ でもここで言い返さなかったら）
味噌又（高校デビュー失敗しちゃう・・・ 頑張れ、ボク・・・）
味噌又「なんだとコラぁ!!」
汁田（ひぃぃぃ〜）
篠塚先生（高校デビュー頑張ろうとしてるのね・・・ 尊いわぁ〜♪）
篠塚先生「もういいから〜味噌又君、汁田君、 早く教室行きなさ〜い」
（助かったぁ〜）
「・・・」
「うっす」

〇白い校舎
汁田（謝ろうかな）
味噌又（謝ろうかな）
汁田「あのさ・・・」
味噌又「あ・・・あの、さっきは──」
米野「おはようございまーす」
篠塚先生「えっ？米野君よね？」
米野「はい？」
篠塚先生「ちょっと待ってね！ 理事長ぉー!!」
理事長「どうしましたか？篠塚先生」
篠塚先生「理事長！デビュー判定お願いします」
理事長「米野君のジャッジですね── 分かりました」
理事長「米野君、高校デビュー失敗！」
理事長「退学ぅぅぅ!!!」
汁田（えっ？高校デビュー失敗したら退学なの!?）
味噌又（えっ？失敗したら退学!?）
米野「ええっー？」
米野「僕、何もしてませんけど・・・」
理事長「だから退学なんです」
理事長「ここは高校デビューを支援する学校だ」
理事長「入学当日にデビュー出来てない時点で もう通う意味がないんですよ」
米野「そんなぁ・・・」
米野「入学する前に生まれ変われるなら──」
米野「この学校に通う必要ないじゃないですか！」
理事長「米野君、君は何か勘違いをしてますね」
理事長「この学校は生まれ変わる事を支援しているわけではないんです」
理事長「”変わる”キッカケの場を提供しているに過ぎないのですよ」
米野「えっ？じゃあイメチェンの方法とか・・・」
理事長「そんな授業ありませんよ」
理事長「高校デビューするタイミングの提供、 それ以外は──」
理事長「規則が緩めな普通の高校ですから」
米野「そうなんですかぁ」
理事長「言っておきますが、前払いの入学金や授業料は返金しませんからね」
米野「え!?そんなぁ〜」
理事長「米野君の方から保護者の方へ うまく言っておいてくださいね」
理事長「訴えでもされたら、めんどうですから」
米野「くっ・・・僕だって訴え──」
理事長「まぁまぁ米野君、これでどうです？」
米野「えっ？これ貰えるんですか？」
理事長「どうぞどうぞ、そのかわり保護者の方を うまく納得させてくださいね」
米野「あははっ！分かりました！ やったぁー！」
理事長（米野君、君は素直で良い子だ── 変わる必要なんてないんだよ）
理事長「おやっ」
「あの・・・」
理事長「君たちは──」
汁田「ゴルァぁぁ!!」
味噌又「シャァァァァ!!」
理事長「ジャッジする必要はなさそうですね」
（危なかったぁ〜）

〇白い校舎
池水（俺は生まれ変わったんだ・・・）
地蔵倉（何あの地味な子・・・）
篠塚先生「おはようー！」
池水「・・・ございます」
地蔵倉（声小さ過ぎ、元気なさすぎ──）
地蔵倉（これは退学になっちゃうんじゃ・・・）
篠塚先生「ふふっ」
地蔵倉（えっ、スルー!? なんで!??）
理事長「ん？」
理事長「やぁ、池水君おはよう」
池水「お・・・ざいます」
理事長「まぁ、頑張りたまえ」
池水「ふぅ」
地蔵倉（ええええ!?）
地蔵倉「なんでぇぇぇぇー!?!?」
地蔵倉（まさか、あれで高校デビュー成功してるっていうの!?）
　　華々しく高校デビューする生徒達の中に
　　高校デビューしたとは思えない程
　　地味な生徒が一人
　　彼の高校デビューとは一体!?
　　次回へ続く