6 先輩の隠し物 後編(脚本)
〇会場の入り口
予選大会が終わった数分後。
滝澤拓哉「あぁ、やっと落ち着いた・・・」
網島茜「先輩!お疲れ様です!」
滝澤拓哉「あ、網島さん、やっぱり来てくれてたんだ!」
滝澤拓哉「と、そちらの方は?」
網島母「あぁ、私は茜と秀幸の母親です・・・茜がいつもお世話になってると聞いたので・・・」
滝澤拓哉「いえいえ、寧ろ自分が彼女に助けられる事ありますから・・・俺こう見えてズボラな方で・・・」
網島茜「お母さん聞いて、この人一度夢中になったら周り見えなくてさぁ・・・だからあたしがサポートしないと見てられなくて・・・」
網島母「あらあら、あなたも手を焼いてるのね・・・」
滝澤拓哉「いやはや、ぐうの音も出ないと言うか・・・」
滝澤拓哉「所で、網島さんはそんな話しに来たんじゃ無いよね?」
網島茜「あ、そうでした!色々と聞きたい事があります!先輩って、昔一体何してたんですか?」
滝澤拓哉「あぁ、俺は5年前までプロゲーマーやってたんだ・・・」
網島茜「えぇ!先輩、プロゲーマーだったんですか!?」
滝澤拓哉「あぁ、それなりの実績もあるし海外での大会にも出た事あるよ・・・もう全部昔の話だけど・・・」
網島母「そうなんですね・・・でも、そんな難しい事をしてたのに、どうして今は茜と同じ所で働いてるんですか?」
滝澤拓哉「俺、こう見えて欲張りなんですよね・・・確かにプロゲーマーもありなんですが、物作りが大好きで・・・」
滝澤拓哉「だから、今の職場でも新しい物の開発とか進んでやってるんです・・・至らない所とかはまだありますけど・・・」
網島母「・・・意欲的な方なんですね・・・秀幸にも見習って欲しい位・・・」
滝澤拓哉「あ、そう言えば網島さん・・・肝心の弟君は何処に?」
網島茜「あ、あぁ、秀幸ならあっちで・・・」
網島秀幸「頼むよぉ!!運営に会わせてくれよぉ!!」
警備員「お客様、それは困ります!運営との対面は、事前の許可が無いと・・・」
網島秀幸「あの結果は間違ってるんだよぉ!!今やり直してくれなきゃ!俺の伝説が始まらないんだよぉ!!」
網島父「おぉ、大会は終わった見たいだな・・・」
網島秀幸「あれ?父さんと辰蔵おじさん?何でここに?」
網島父「あぁ、思ったより早くやる事が終わったから来たんだ・・・」
森山辰蔵「久し振りだな秀幸!ちょっとはやれる様になったか?」
網島秀幸「あ、いや、その・・・」
網島父「秀幸、予選には勝てたのか?」
網島秀幸「あ!そうだ聞いてくれよ!俺不正されて負けたんだよ!だから今運営に問い合わせしようと思って!」
網島父「やっぱりな・・・辰蔵を連れて来て良かった・・・」
網島秀幸「父さん?」
森山辰蔵「網島、この分だと遠慮しなくて良さそうか?」
網島父「あぁ、話した通りに頼む・・・」
網島秀幸「え?ちょ、何の話だよ?」
網島父「秀幸、お前にはこれから、おじさんの所で働いて貰う・・・」
網島秀幸「は、はぁ!?何でそうなるんだよ!?」
森山辰蔵「秀幸・・・網島から話は聞いてるぞ?お前さん、無職なのに親から金借りてるんだってな?」
森山辰蔵「なら借りた物は直ぐにでも返せる様にしないとな!それが社会人としての礼儀ってもんだ!」
網島秀幸「な、何言ってるんだよ!?確かおじさんの仕事って土木建築だったよな!?何でそんな事!?」
網島秀幸「そんな事より俺!ゲームで優勝して!」
網島父「まだ言うか!!」
網島秀幸「ひぃ!!」
網島父「賞金1千万が獲得出来ると言うのは本当らしいが、現にお前は負けたじゃ無いか!負けた後の事は何一つ考えて無かった様だし、」
網島父「だから辰蔵に頼む事にしたんだ!もうこれ以上お前を甘やかすつもりは無い!借りた物は全て返せ!」
網島父「前に家の生活費を勝手に使った事、忘れたとは言わせないぞ!!」
網島秀幸「そ、そんな・・・」
森山辰蔵「ま、そう言う事だ・・・明日からビシビシ行くから覚悟を決めて置けよ!」
網島秀幸「嫌だ!待って!離して!誰かぁぁ!!!」
網島父「・・・戻る頃には、一人前になってると信じてるよ・・・」
滝澤拓哉「おぉ!スゲェ強面のおっさん・・・」
網島茜「あ、はい・・・あの人はあたしの親戚のおじさんなんです・・・お母さん、おじさんが秀幸を連れてったって事は・・・」
網島母「そうよ、秀幸はおじさんの所で働いて貰う事になったわ・・・」
網島茜「・・・!良かったぁ!」
網島茜「先輩、今日は本当にありがとうございました!まさか先輩が秀幸をやっつけてくれるだなんて!」
滝澤拓哉「あ、あぁ!俺に出来る事があれ位しか無かったってのもあったからね!所で、彼は消費者金融とかに借金して無い?」
網島茜「あ、大丈夫です!家族全員で止めたりしたので・・・」
滝澤拓哉「あぁ、良かった・・・流石に怖い人達まで相手に出来ないからな・・・」
大会は無事に終わり、帰宅した後に秀幸をおじさんに引き渡し、借金返済が終るまで帰さない様におじさんに頼むのだった。