依存症の弟

夏目心 KOKORONATSUME

5 先輩の隠し物 前編(脚本)

依存症の弟

夏目心 KOKORONATSUME

今すぐ読む

依存症の弟
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇コンサート会場
  それから暫くして、あたしはお母さんと共に秀幸が参加するゲーム大会の会場へと赴いていた。
網島母「う〜ん、取り合えずは来て見たけど、随分と騒がしいわね・・・」
網島茜「しょうが無いよ・・・秀幸がやってるゲーム、物凄く人気だって話だったから・・・」
網島母「この前の事もあったけど、あの子本当に大丈夫かしら・・・」
  一方、秀幸は。
網島秀幸「遂にこの時が来たな!この大会で優勝出来たら俺はもう無敵だ!」
網島秀幸「しかしまぁ、姉貴と母さんが俺の活躍見たいだなんて言って来たのは意外だったな・・・父さんは来れなかったけど・・・」
司会者「え〜、皆様大変お待たせ致しました!たった今を持ちまして、心オンライン、世界大会予選を開始致します!」
司会者「ルールを説明致します・・・本大会は一対一のトーナメント方式で、先に相手のライフを0にした方の勝ちとなります!」
司会者「それでは挑戦者の皆さん!健闘を祈ります!」
網島秀幸「いよいよだ!ここから俺の伝説が始まるんだ!!」
  司会者の説明が終わった後、予選大会は開始された。あたし達は秀幸の様子を見ていたが、意外と秀幸の戦績は良く、
  気が付いたら予選決勝戦までに到達していた。
網島秀幸「ははは!何だ楽勝じゃ無いか!ま!今日この日の為に父さん達から借金までしたんだ!当たり前の結果だけどな!」
網島母「ねぇ茜・・・秀幸は本当に優勝出来るかしら?」
網島茜「分からないわ・・・ねぇ、確か秀幸って、お父さん達からお金借りて無かったっけ?」
網島母「えぇ、今から1週間位前にね・・・俺なら負けないって息巻いてて・・・」
網島茜「あいつ考え無しにも程があるでしょ・・・本気で1千万円獲得出来ると思ってるの?」
司会者「皆様お待たせ致しました!これより決勝戦を開始します!最初の挑戦者は、エントリーナンバー18782、」
司会者「無敵の帝王秀幸!」
司会者「続いての挑戦者は、エントリーナンバー3096、暗き森の輝く眼(まなこ)!」
網島茜「あれ?あの人は・・・」
網島母「どうしたの茜?」
網島茜「あ、あのね、これから秀幸が戦う相手、あたしの職場の先輩・・・」
網島母「え?どうしてあなたの先輩がここに?」
網島茜「分からない・・・そもそも先輩の提案でここに来た訳だし・・・」
網島秀幸「ははは!とうとう予選も俺とあんただけになっちまったな!まぁこの勝負の行く末は決まってるけどな!」
網島秀幸「何だ?あんた良く見たら装備が全て初期から使える奴ばかりじゃ無いか・・・それで決勝まで行くとか、」
網島秀幸「どんだけ運が良いんだ?笑えるぜ!!」
滝澤拓哉「・・・君が網島茜さんの弟君か?」
網島秀幸「あん?何だ?姉貴の事知ってるのか?」
滝澤拓哉「あぁ、俺は彼女の先輩だ・・・と言っても、俺が網島さんの世話になる事も良くあるけど・・・」
網島秀幸「へ!まぁそんな事は関係無い!本戦への切符は俺が貰うからな!」
滝澤拓哉「・・・・・・」
司会者「それでは、両者構えて・・・」
司会者「試合開始!!」
網島秀幸「くたばれ初期装備野郎!!」
網島秀幸「へ?」
滝澤拓哉「あれ?もう終わっちゃった?優勝狙ってるから腕の立つ奴かと思ったが、点で弱かったな・・・」
網島秀幸「な、何だ!?一体何が起きた!?」
司会者「し、信じられない事が起きました!開始から2秒も経たずに無敵の帝王秀幸が敗北!!」
司会者「本戦への切符を手にしたのは、暗き森の輝く眼となりました!!」
網島秀幸「ま、待ってくれ!これは何かの間違いだ!レフェリーも見てただろ!?あんな初期装備でこの俺に勝てる訳がねぇ!!」
網島秀幸「きっとチートだ!こいつ何かチートやらかしたんだよ!!それか俺より課金してたとか!!」
司会者「本当にそうでしょうか?少し待ってて下さい?」
司会者「ふむふむ、暗き森の輝く眼氏の課金記録は・・・0円ですね・・・そもそも何かしら不正があるなら反応して」
司会者「失格扱いですからね・・・」
網島秀幸「はぁ!?これで無課金!?しかもチートすらして無いだと!?」
滝澤拓哉「何をそんなに動揺してるんだ?」
網島秀幸「おぉ!お前!こんなの納得出来るか!!この日の為に父さんと母さんから50万の借金してまで課金したってのに!」
網島秀幸「その俺が、こんな無課金に負けるだなんて!!」
滝澤拓哉「課金したら強くなれるっていつから錯覚してたんだ?大小関わらず、ちゃんと使いこなせば応えてくれる・・・」
滝澤拓哉「力ってのはそんなもんさ・・・第一君何歳だよ?良い歳して親の脛齧るとか、普通にダサいだろ・・・」
網島秀幸「な、何だとぉ!!??」
滝澤拓哉「ま、そう言う事だから、じゃあな・・・」
網島秀幸「あぁ待て!この試合は無効だ!もう一度勝負しろ!!おい司会者!あんたからも何とか言ってくれよ!!」
司会者「いや、そんな事言われましても・・・もう決着は着きました・・・彼は今大会のルールにキチンと乗った上で、」
司会者「予選を通過したのです・・・試合をやり直す理由は何処にもありません・・・」
網島秀幸「う、嘘だろ・・・俺の伝説は?俺の1千万は?スカウトは?おい!誰か答えてくれよ!!!」
  確して、秀幸の挑戦はここで幕を閉じた。本戦に出れば変わっていたと思うが、負けてしまえばもうどうにも出来なかった。

次のエピソード:6 先輩の隠し物 後編

ページTOPへ