モグリの音味しいレストラン

胡林

今日の料理 : ヘドバン魔女の首もげスープ(脚本)

モグリの音味しいレストラン

胡林

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〇山中の川
  そのレストランには──
  メニューがひとつしかないという

〇林道
  音味(おい)しい料理
  ただ、それだけ

〇山中のレストラン
  従業員は
  少女と魔女の──
「こんな店辞めてやらぁッ──!!」
  ふたりきり・・・

〇シックなカフェ
モグリ「いーよ?」
モグリ「やめちゃえ、ブァーカ!」
シ音 (しおん)「払え」
シ音 (しおん)「退職金」
モグリ「カラダで?」
シ音 (しおん)「ナメとんか!?」

〇外国の田舎町

〇シックなカフェ
モグリ「破れてる」
モグリ「パンツ」
モグリ「魔女!」
モグリ「もう帰ってき──」

〇山中のレストラン
「お客様さん?」


〇東京全景

〇渋滞した高速道路

〇タクシーの後部座席
理々亜 (りりあ)「記憶の音色から」
理々亜 (りりあ)「料理を見つける?」
モグリ「はい!」
モグリ「その人だけの」
モグリ「愛を思い出させてくれる味」
モグリ「それが──」

〇超高層ビル
「音味しい料理?」

〇個人の仕事部屋
理奈 (りな)「ペテン師ね」
理々亜 (りりあ)「失礼だよ、姉さ──」
理奈 (りな)「社長と呼びなさい!」
理々亜 (りりあ)「あぅ」
理奈 (りな)「そもそも──」
モグリ「パンツ破れたッ!?」
理奈 (りな)「セキュリティ」
理々亜 (りりあ)「ちょっ」
モグリ「これ」
モグリ「見覚え。ありますよね?」
理奈 (りな)「は?」


〇個人の仕事部屋

〇アパートのベランダ
  お母さん

〇個人の仕事部屋
「・・・せ」
理奈 (りな)「返せッ──!!」

〇タクシーの後部座席
  ギターを弾け?
モグリ「料理のために」
モグリ「お姉さんの音が必要です」
理々亜 (りりあ)「絶対拒否され──」
理々亜 (りりあ)「では」
  これを

〇黒

〇白

〇個人の仕事部屋

〇超高層ビル

〇水族館前(看板無し)
  死因は
  肺炎
  手遅れだったんです

〇大水槽の前
理々亜 (りりあ)「シングルマザーで」
理々亜 (りりあ)「必死だったから」

〇アクアリウム
  昇進がかかった仕事で
  帰るのが遅れて

〇黒
  あの日から
  姉は狂ったように
  仕事に没頭しました
  呪っているんです
  自分を

〇水中トンネル
  でも
  そんなこと
  あの子は望んでないって

〇大水槽の前
理々亜 (りりあ)「気づいて欲しい」
モグリ「ハグ」
モグリ「私に任せて」
  音霊(オトタマ)もあるし
  あとは曲を作って──
モグリ「まっ!?」
  魔女。おらんわ

〇バッティングセンター

〇大水槽の前
理々亜 (りりあ)「待てません」
理々亜 (りりあ)「3日も」
モグリ「何故!?」
理々亜 (りりあ)「明日には外国に発ちます」
理々亜 (りりあ)「婚約者の下へ」

〇山中のレストラン

〇可愛らしいホテルの一室

〇黒
  音霊(オトタマ)
  その霊的な玉響には
  人の思念が宿る

〇個人の仕事部屋

〇黒
  モグリには
  記憶を覗くチカラはない
  だが

〇白
  ”音味しい”
  愛に繋がるその音色を
  編み上げて
  曲(レシピ)にすることができる

〇可愛らしいホテルの一室
モグリ「いっちょあがり」
  だが

〇シックなカフェ
モグリ「帰りなさい」
シ音「うっせ」
モグリ「まぁ!?」

〇川沿いの公園
モグリ「給料忘れただけじゃん!」
シ音 (しおん)「半年間な!」

〇黒
モグリ「抱き枕なってあげたのに!」
シ音「一人で寝れねーくせに!」

〇シックなカフェ
モグリ「あんな奴いらんわ!」
  そう

〇黒
  レシピを完璧に再現できるのは
  音の魔女だけ

〇シックなカフェ

〇大水槽の前
理々亜 (りりあ)「私はもう」
理々亜 (りりあ)「姉の側に居られないから」
理々亜 (りりあ)「それまでに」

〇個人の仕事部屋

〇シックなカフェ
モグリ「うん」
モグリ「やってみるさ」
モグリ「奏でてみよう」
モグリ「音味しいレシピを」

〇黒

〇広い厨房

〇白

〇広い厨房

〇山中のレストラン

〇広い厨房

〇山中のレストラン

〇広い厨房

〇山中のレストラン

〇シックなカフェ
モグリ「シオさん」
シ音 (しおん)「おう」

〇黒

〇古いアパート

〇アパートのダイニング
  あなたにとって
  人生最高の
  音味しい料理を──
シ音 (しおん)「お時間」
シ音 (しおん)「いただきます」

〇山中のレストラン

〇シックなカフェ
理々亜 (りりあ)「どんなお料理かな?」
理奈 (りな)「おだまり」
理々亜 (りりあ)「あぅ」
シ音 (しおん)「お待ちぃ!」

〇白

〇シックなカフェ
理奈 (りな)「帰る」
理々亜 (りりあ)「姉さ──」
「────」
理奈 (りな)「いま・・・」
理奈 (りな)「なんて?」
モグリ「料理名です」


〇シックなカフェ

〇アパートのダイニング

〇山中のレストラン

〇シックなカフェ

〇シックなカフェ
理奈 (りな)「・・・」
理奈 (りな)「りっちゃん?」

〇黒

〇渋滞した高速道路

〇渋谷のスクランブル交差点

〇玩具売り場

〇商業ビル

〇スーパーマーケット

〇古いアパート

〇安アパートの台所
「おかえり」
理奈 (りな)「ただいま」
  りっちゃん
理子 (りこ)「お母さん」

〇アパートのベランダ
  幸せに
  してあげたい

〇オフィスビル前の道

〇オフィスのフロア

〇狭い畳部屋

〇アパートのダイニング

〇アパートのベランダ
  全部
  あげたっていい

〇オフィスビル前の道
「昇進?」

〇綺麗な会議室

〇商業ビル
  何も
  買ってあげられなくて

〇玩具売り場

〇ケーキ屋

〇古いアパート
  でも
  これからは

〇黒

〇黒

〇火葬場
  無い
  生きている理由が

〇黒

〇駅のホーム
  娘を死なせたくせに
  この臆病者

〇黒
  それが無理なら
  壊れるまで

〇オフィスの廊下

〇高層ビルのエントランス

〇超高層ビル

〇高層階の部屋

〇個人の仕事部屋

〇総合病院

〇病院の待合室

〇黒
  壊れろ
  もっと
  もっと
「星をあげる」

〇アパートのベランダ


〇アパートのベランダ
理奈 (りな)「私に?」
理子 (りこ)「うん!」
理子 (りこ)「だって」

〇安アパートの台所

〇桜の見える丘
  だって

〇アパートのダイニング
  お母さんが

〇宇宙空間
  大好きだから

〇白

〇菜の花畑
理奈 (りな)「うん」
理奈 (りな)「うん」
理奈 (りな)「そうだね」

〇シックなカフェ
理奈 (りな)「ぁ」
理々亜 (りりあ)「姉さん」
理奈 (りな)「理々亜」
理奈 (りな)「ごめんね」

〇宇宙空間
  ありがとう

〇外国の田舎町

〇シックなカフェ
モグリ「シオさん」
シ音 (しおん)「もぐりん」
「プロージット!」

〇山中のレストラン

〇シックなカフェ
モグリ「シオさぁん」
シ音 (しおん)「よしよし」
シ音 (しおん)「あっ」
  給料
モグリ「いい匂い」
シ音 (しおん)「んん」
シ音 (しおん)「ったく」

〇山中のレストラン
  しゃーねぇな

〇東京全景

〇空港の滑走路

〇空港のエントランス

〇外国の田舎町

〇山中の川
  今日も
  メニューはひとつだけ

〇林道
  お店の名前は

〇山中のレストラン
  モグリの
  音味しいレストラン

〇黒


〇黒

コメント

  • 文字がないのをTap技術を駆使して表現、素晴らしかったです。更にはこの絶対的な世界観。文字ゴリゴリでも読みたいです。

    重厚なストーリーだろ。ウソみたいだろ。1000字なんだぜ。でした。

  • あぁ・・・素晴らしいです・・・(´;ω;`)✨

    えっ?1000字!?😳

    この濃密さで!?凄いです・・・世界観・・・キャラ・・・とても好きです・・・(´;ω;`)✨

    私も削らないものをおかわりしたいですが、きっと涙で画面が見れなくなるかもしれないので、この削った今のがいいのでしょうか・・・でもフルでも見たい気持ちもぉ!!!!!くっ!!!!くっ!!!!!(歯を食いしばる)

    素敵でした👏

  • これは、これは、
    1000字で表現したことにブラボーですが、
    文字ゴリゴリに入れてもう一杯くださいー!!😭😭😭
    いや、でも、子どもがアレなのは切なすぎるので、減量したくらいがハートには優しいのかな……?
    ガリガリに減量しても、パンツは省かないあなたが好きです。

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