ハレの惡左府

山本律磨

ⅩⅠ(脚本)

ハレの惡左府

山本律磨

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〇黒
美福門院「帝・・・」
美福門院「ミカドよ・・・ 我が子よ・・・」
信西「実においたわしき限りですが、 幼き帝の命は最早風前の灯」
信西「よりにもよって、今 平安の頂のみが闇に覆われているとは」
信西「されどこの闇こそが、 新たなる暁をもたらすかも知れません」
信西「あなたの主はその魁となりましょう。 ご武運をお伝え下さい」

〇祈祷場
鬼丸「だってさ」
「して、しかと左府様にお伝えしたのか?」
鬼丸「・・・あ!」
武者丸「伝令も禄にこなせぬとは。 見限られるのも遠くあるまいな」
鬼丸「ふん!たった一言伝え忘れただけだろ!」
武者丸「その一言を見逃さぬのが我らの君だ」
鬼丸「めんどくせえ奴」
武者丸「・・・」
公春「武者丸殿。ご用意は出来ましたか?」
武者丸「お待たせしました」
公春「いえいえ。 丁寧に念入りに。 実に結構でございます」
鬼丸「御車でお出迎えとは御大層なこって」
公春「遊興もまた有職故実に則る。 それこそが貴族の範、氏長者の責務」
武者丸「公春殿。この者との対話に あまり漢字を多用すると、 錯乱するか眠るかするのでお気をつけを」
公春「ほんとだ!」
武者丸「では行って参る。 留守番くらいはきちんとこなすのだぞ」
鬼丸「・・・」
鬼丸「・・・」
鬼丸「ふん。厚化粧」
武者丸「あときちんと裏口も閉じておけ殺すぞ」

〇空
  『非人』
  『人に非ず、人を超えし者』
  『或いは鬼、それとも獣』

〇後宮の廊下
  『オイラが獣なら、あんたは傀儡』

〇貴族の部屋
  『まるで、アイツの人形だ』
武者丸「お待たせ致しました」
左府「まあ飲め」
武者丸「頂きます」
左府「少し早いが献杯だ」
武者丸「誰に?」
左府「帝よ」
左府「新たな時代が来る」
左府「私の時代。そしてお前達の時代だ」
武者丸「私と貴方様の時代ですか?」
左府「・・・」
武者丸「そう言って下さい」
武者丸「せめて今だけは・・・」
左府「・・・ああ」
左府「お前の為に次の世を作ってやろう」
左府「共にゆくぞ、武者丸」
武者丸「はい。我が心と体の果てるまで・・・」
  『ともに・・・』
  CONTINUED

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