依存症の弟

夏目心 KOKORONATSUME

4 亀裂(脚本)

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夏目心 KOKORONATSUME

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〇男の子の一人部屋
  その日の夜。
網島秀幸「だぁ!!ま、また負けた!?」
網島秀幸「くそっ!最初に課金したのは何だったんだ!?最初はあんなに上手く行ってたのに、何でこうも勝てなくなったんだ!?」
網島秀幸「理解出来ない!!」
網島秀幸「あ〜苛々する・・・でも就活なんかしてたらレベル上げする時間も減るし、ランクもどんどん追い抜かれる・・・」
網島秀幸「何か良いアイディアは無いか・・・?」
網島秀幸「・・・!待てよ!?」

〇おしゃれなリビングダイニング
網島秀幸「良し良し!今の時間帯なら皆寝てるからな!音を立てずに慎重に・・・」
網島秀幸「確かこの引き出しだったよな?」
網島秀幸「・・・・・・」
網島秀幸「あ、あった!」
網島秀幸「やっぱり思った通りだ!母さんが前に棚の引き出しに何か入れてたと思ったが、やっぱり金だったか!どれどれ?」
網島秀幸「おぉ!こんなに沢山!これだけあれば!」

〇おしゃれなリビングダイニング
  翌日。
網島母「う〜ん、おかしいわねぇ・・・」
網島茜「あ、お母さんお早う!何してるの?」
網島母「あぁ、茜、あなたこの引き出しにしまったお金知らない?」
網島茜「え?この引き出しって、いつもあたし達が入れてる生活費しまって置く所よね・・・それがどうしたの?」
網島母「それが無いのよ!昨日は確かに封筒ごとあったんだけど・・・」
網島茜「はぁ!?生活費が無い!?支払いもう直ぐじゃ無かったっけ!?」
網島母「そうなのよ!今までこんな事無かったのに、どうして今回に限って・・・!!」
網島茜「そ、そうなんだ・・・探すの手伝う?」
網島母「いえ、あなたこれから仕事でしょ?次の分はまだ何とか出来るから、もし何か分かれば言ってね?」
網島茜「・・・分かった・・・必要だったら言ってね?」

〇シックな玄関
網島茜「う〜ん、急に生活費が無くなるなんて事あるかなぁ?」
網島茜「まぁ、今はそこまで時間無いから早く行かなきゃ・・・窓やドアとか帰ってから調べれば良いし・・・」
「うっひょひょひょひょ〜!!」
網島茜「ん?」
「この高揚感本当久し振りだぜぇ!!ガチャは沢山回せるし!レア装備がザックザクぅ!!」
網島茜「ガチャ回せる?レア装備?」
網島茜「・・・!?まさか、あいつ!?」

〇男の子の一人部屋
網島茜「ちょっと秀幸!!」
網島秀幸「あぁ、姉貴か・・・何しに来たんだよ?てか今良い所だからさ!!」
網島茜「ねぇ!あんた昨日、家の引き出し漁ったりした!?」
網島秀幸「あぁ、したよ?でもそれが何?」
網島茜「・・・!?秀幸、あんた自分が何したか分かってるの!?何勝手に家の生活費使ってるのよ!?」
網島秀幸「しょうが無いだろ?父さんも母さんも、幾らせがんでも金出してくれないし、幾らやっても周りの奴らに追い抜かれるし・・・」
網島秀幸「本当傍迷惑な話だよ・・・どいつもこいつも俺がチャンピオンになるの邪魔してさぁ・・・」
網島茜「ふ、ふざけないでよ・・・タカがゲームでしょ?あたしもやって見たけど、お金出してまで上手くなりたいとは思えなかったわ!!」
網島秀幸「えぇ!姉貴も心オンライン始めたのか!?楽しかったなら尚更俺の気持ち分かるよな!?」
網島秀幸「課金しないであれをやろうだなんて!姉貴絶対人生損してるよ!!」
網島茜「秀幸、もうこんなゲーム辞めて就職しなさい!このままやっても秀幸に取って良い事なんて何も無いわよ!?」
網島秀幸「だぁもう煩いなぁ!!」
網島茜「秀幸!!」
網島秀幸「まぁまぁ落ち着けって・・・もう直ぐ心オンラインの世界大会の予選が始まるからさ・・・俺も当然参加する・・・」
網島茜「何が言いたいのよ?」
網島秀幸「その大会で予選通過したら本戦に入れるんだ・・・1位を取れば賞金1千万円!それさえ出来れば、あんなはした金直ぐ返せるし、」
網島秀幸「俺はプロゲーマーとして俺の名が世界に広まる!そうなればお互いに取ってウィンウィンだろ!」
網島茜「・・・それ、本当に実現出来る保証あるの?負けたらあんたどうするのよ?」
網島秀幸「心配無いって!俺が負けるだなんて有り得ないからな!」
網島茜「・・・信じられない・・・」
網島茜「最低!!」
網島秀幸「あぁ、やっと煩いのがいなくなった・・・さて、続きやるか!大会も近いし!」

〇警察署の食堂
  数時間後。
網島茜「あぁ、何か午前の業務がいつもより長く感じたかも・・・何やってるんだろうあたし・・・」
網島茜「ん?」
滝澤拓哉「よぉ・・・」
網島茜「先輩・・・」
滝澤拓哉「どうしたんだ?今日は朝から凄く元気無かった見たいだけど・・・」
網島茜「・・・・・・」
網島茜「う、うぅ!」
滝澤拓哉「え?網島さん!?」
網島茜「うわあぁぁぁん!!」
滝澤拓哉「ええぇえぇ!?網島さんどうしたの!?俺何か悪い事しちゃった!?」
網島茜「先輩・・・あたし、あだしぃ・・・!!」
滝澤拓哉「あぁあ!と、取り合えず場所変えよう!ここは人目に着くから!」

〇ビルの屋上
  それから、あたしは先輩に連れられて屋上に行く事となり、先輩が持って来てくれたコーヒーを飲む。
滝澤拓哉「だ、大丈夫!?どうせならもっとマシなのが良かったか!?」
網島茜「・・・いえ、ごめんなさい・・・急に泣いたりして、驚きましたよね・・・先輩は何も悪く無いんで・・・」
滝澤拓哉「そ、そうか・・・それは良かったけど、何があったんだい?」
網島茜「はい、実は・・・」
  あたしは今朝の出来事を先輩に話した。
滝澤拓哉「なるほど・・・弟君が自分達の生活費を勝手に課金に使って全く反省しておらずで、しかも心オンラインで1位を取りに行くと・・・」
滝澤拓哉「勝てる保証はあるのかい?」
網島茜「分かりません・・・何より心配なのは、負けた時の事を何も考えて無いって事なんです・・・」
網島茜「正直、あたし一体何処で間違えちゃったんだろうってさっきから考えてたんです・・・子供の頃はお互い好きなヒーロー見たり、」
網島茜「一緒に勉強したりとあたし達仲良かったんです・・・でも、大人になってくに連れ、あたしは社会人、」
網島茜「秀幸は実質ニートになってて、あたしもうどうして良いか分からなくて・・・」
滝澤拓哉「う〜ん、でもさぁ、仮に優勝して賞金手に入れるって言ってもそれは簡単には行かないし、弟君、本気で家族の事考えてるの?」
網島茜「先輩?」
滝澤拓哉「言葉や態度で示して駄目なら、もう何やっても無理だよ・・・一度そう言う快楽に溺れたら、」
滝澤拓哉「一度痛い目を見ないとどうにもならないし、もし優勝出来たとしても彼が改心するとはとても思えないよ・・・」
網島茜「でも、あたし達にはどうする事も・・・」
滝澤拓哉「・・・少しだけ待っててくれるか?」
網島茜「え?」
滝澤拓哉「ふむふむ・・・大会当日は・・・」
網島茜「あの、先輩?」
滝澤拓哉「・・・良し、これなら・・・」
滝澤拓哉「ねぇ、折角だから弟君のゲームの試合観に行かないか?」
網島茜「え?急に何を?」
滝澤拓哉「何、行けば分かるさ・・・弟君とも良く話し合って・・・」
  何故先輩が秀幸の試合の応援に行く様に勧めたのか分からなかったが、あたしは先輩の言う事を聞いて見る事にした。

次のエピソード:5 先輩の隠し物 前編

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