3 ランチタイム(脚本)
〇おしゃれなリビングダイニング
それから数日後。あたしの悪い予感は当たってしまった。
網島茜「良し!出来た!」
網島茜「後はこれを先輩に渡せば・・・」
「だから!出来ない物は出来ないと言っているだろう!」
網島茜「ん?」
網島秀幸「だからぁ!もう1回だけ3万出してくれよぉ!周りの奴らがまた強くなったからさぁ!!」
網島父「何を言っているんだ!?お前が課金してから何日か経ったが、何も変わって無いじゃ無いか!!」
網島父「ゲームに課金してる暇があるなら、就職活動を始めるべきじゃ無いのか!?」
網島秀幸「だから!俺はプロゲーマーになってビッグになるんだよ!!これだって自分の為の立派な投資だろ!!」
網島父「いや!これは何処からどう見ても只遊んでるだけだろ!大体オンラインゲームなんて!」
網島茜「あぁ、マジか・・・今回だけとか言ってもうこの有様・・・本当にプロになれたりしたら良かったけど、」
網島茜「あれからそんな感じ全く無かったわね・・・しかもまた課金しようとして・・・もう心配になって来たわね・・・」
案の定また課金に手を染めようとしてる秀幸。何だか見てられなかったのでまたあたしは先輩に話を聞いて見る事とした。
〇オフィスのフロア
それから、あたしはいつもの様に出社して、あたしはスマホを取り出してた。
網島茜「え〜っと、心オンラインで検索して・・・あ、あった!」
この日あたしは、いつも秀幸がやってるゲームを自分でプレイして見る事にした。実際やって見れば、
何か分かるかもと思ったのだが。
網島茜「う〜ん・・・楽しいっちゃ楽しいけど・・・」
滝澤拓哉「あ、網島さん、今日は早いね・・・」
網島茜「あ!お早うございます先輩!」
滝澤拓哉「こんな朝っぱらから何してたの?」
網島茜「あ、実はなんですけどね・・・」
あたしはまたそれまでの経緯を先輩に話す。
滝澤拓哉「マジか・・・実際やって見てどうだった?」
網島茜「う〜ん、そうですね・・・楽しいって感じたのは確かなんですが、あたしは態々課金なんかしなくても良いかなって・・・」
網島茜「そもそもそんな事に使う暇が無いって言うか、あたしもこうして仕事してる訳ですから・・・」
滝澤拓哉「なるほどね・・・こう言うの個人差があるからそれ等に対して俺からもとやかく言えないんだよな・・・」
網島茜「ですが、このゲーム改めて見せて貰ったら、ダウンロード数が凄い数だったんですよね・・・レビューも賛否両論だったりで、」
網島茜「ここまで人気あるとは思いませんでした・・・」
滝澤拓哉「まぁ、そもそもが色んな人に楽しんで貰う為の物だからね・・・けど・・・」
網島茜「けど、何です?」
滝澤拓哉「この手のゲームって、場合に寄ってはサービス終了ってなって二度と遊べなくなるケースもあるんだよ・・・」
滝澤拓哉「もし本当にそうなったりしたら、課金しまくった廃人プレイヤーには大痛手になる訳だから・・・」
網島茜「えぇ?もしそうなったらお金とかは?」
滝澤拓哉「当然だけど返金は無いな・・・沢山課金して負けた・・・そこまで頑張って来たのに負けたって事実を突き付けられて」
滝澤拓哉「挫折する人はご満といるからね・・・」
網島茜「うわ、マジかぁ・・・」
滝澤拓哉「それで、弟君は大丈夫なの?」
網島茜「あ、それが・・・」
あたしは今朝の出来事を先輩に話した。
滝澤拓哉「えぇ!?それヤバいよ!早く辞めさせた方が良いよ絶対!」
網島茜「う〜んそうですよね・・・」
滝澤拓哉「んまぁ、部外者が口出しするもんじゃ無いけど、正直これは直ぐに何とかした方が良い・・・」
滝澤拓哉「何より、この手のタイプって親の財布から金やクレカ盗んで取り返しの付かなくなるケースが多いから、」
滝澤拓哉「良く話し合った方が良い・・・それで出来なかったら・・・最悪施設送りにした方が・・・」
網島茜「う〜ん・・・やっぱそうなりますよね・・・」
滝澤拓哉「いや、本当ごめん・・・俺がどうこう言ってたらそれこそ駄目だよな・・・」
網島茜「そんな事無いですよ・・・滝澤先輩、あたしの事心配してくれたんですよね?」
滝澤拓哉「あぁ、こう言うのは流石に拙いから・・・」
網島茜「ありがとうございます・・・」
網島茜「あ、あの!良かったら今日もランチご一緒しませんか?先輩にお弁当作って来たんですが・・・」
滝澤拓哉「え?俺に作って来てくれたの?」
網島茜「はい、いつも社内食堂や外食ばかりじゃ飽きますよね?迷惑じゃ無ければ・・・」
滝澤拓哉「いや、寧ろ有り難いよ!楽しみにしてるね!」
網島茜「・・・!はい!」
〇ビルの屋上
それから、お昼休憩の時間。
滝澤拓哉「はむ・・・」
滝澤拓哉「・・・・・・」
網島茜「ど、どうでしょうか?」
滝澤拓哉「・・・・・・」
滝澤拓哉「いや!これ真面目に美味いよ!これなら良いお嫁さんになりそうだな!」
網島茜「お、お嫁さんだなんて!褒め過ぎですよ!」
滝澤拓哉「いや、謙遜する事無いよ・・・これは素直に誇って良い・・・」
網島茜「ありがとうございます・・・」
網島茜「あ、そうだ、先輩に聞きたい事があるんですけど・・・」
滝澤拓哉「何だい?」
網島茜「先輩は、どうして依存症についての造詣を深めようとしたんですか?何かやたら詳しい様に感じて・・・」
滝澤拓哉「あぁ、そう言う事・・・そうだね・・・」
滝澤拓哉「ぶっちゃけて言うと、俺子供の頃からアルコールとかニコチン見たいな薬物が嫌いでさぁ・・・そりゃまぁ、」
滝澤拓哉「それ等はちゃんとした使い方をすれば薬になるのは本当なんだけどね・・・けど、一度嵌まれば二度と抜けられなくなるってのは、」
滝澤拓哉「子供内から身に染みて理解したと言うか・・・だから俺、20歳以降そう言うのには手を出さない様にしててね・・・」
網島茜「はぁ・・・」
滝澤拓哉「何より俺、父親がアル中になっててさぁ、そのせいもあって色々と苦労させられてたから、」
滝澤拓哉「そう言うのには嫌悪感しか無くて・・・まぁそのアル中が原因で他界したからさ・・・」
網島茜「あ、ごめんなさい・・・あたし嫌な事聞きましたよね?」
滝澤拓哉「いや、良いよ・・・謝罪して貰う気は無いからさ・・・でも、そんなどうしようも無い親父にも、一つ約束した事があるんだ・・・」
網島茜「約束?」
滝澤拓哉「どんな時でも借金だけは絶対にするなって・・・それがあれば、人生は台無しになるって子供の時から教えられてたから・・・」
網島茜「・・・・・・」
滝澤拓哉「別に酒を飲んだりゲームしたりが悪いとは言わないけど、借金とか、そう言うのだけは絶対しない様にって決めてるんだ・・・」
滝澤拓哉「もし自分が50万だの500万だのの借金を背負ったって親とかが聞いたりしたら確実に失望される訳だし、」
滝澤拓哉「一度失くした信用は、もう絶対に取り戻せないから・・・」
網島茜「先輩・・・」
滝澤拓哉「まぁ何より、他人に現抜かしてる暇があるなら、先ず自分に取って本当に大事な事をやれば良いって思ってるよ・・・」
滝澤拓哉「他人に頼ったり批判したりしてる暇があるなら、先ずは自分で考えて本当に何が大事か見て、それが本当に必要なら」
滝澤拓哉「それをやれば良いって・・・」
滝澤拓哉「そう言う考えしてたらさ、何か他人と戦っちゃ行けないんだって思う事もある訳で・・・」
網島茜「先輩・・・その考え方凄くカッコよく無いですか!?そうですよね!他人にあーだこーだする前に、」
網島茜「先ずは自分が変われば良いって!」
滝澤拓哉「あ、あははは・・・そう言われると何か照れる・・・余り人に話した事無い訳だったから・・・」
網島茜「あたしも、そう言うの見習います!」
それからあたしは、先輩とのランチと会話を楽しむのだった。