2 依存への第一歩(脚本)
〇オフィスのフロア
数日後。
滝澤拓哉「良し、こんな所か・・・」
滝澤拓哉「ん?」
網島茜「先輩お疲れ様です!少しは休んでますか?」
滝澤拓哉「あぁ、網島さんか、どうもありがとう・・・俺は大丈夫だよ・・・」
網島茜「そうですか・・・でもご無理は無さらずに・・・」
滝澤拓哉「あぁ、今やってるのがもう直終わるから、その時休むつもりだったよ・・・」
網島茜「そうでしたか・・・もう、家の弟にも見習って欲しいわ・・・」
滝澤拓哉「ん?網島さん、兄弟とかいるの?」
網島茜「あ、はい・・・この前まで大学行ってたんですが、何か勝手に辞めた見たいで・・・」
滝澤拓哉「・・・何だか気分良く無さそうだけど、何か訳アリ?」
網島茜「あ、隠しても仕方無いですね・・・実は、」
あたしは先輩に対して、話せる事を全て話した。
滝澤拓哉「なるほどね・・・就職先も決まっておらずで家に籠もってゲーム三昧か・・・」
網島茜「一応、プロを目指すとは言ってるんですけどね・・・」
滝澤拓哉「あぁ、でもそれ本当に大丈夫なのか?」
網島茜「どう言う事です?」
滝澤拓哉「話を聞く限り、弟君がやってるネットゲームって心オンラインって名前でしょ?俺も見た事あるけど、」
滝澤拓哉「あれって課金制だよね?」
網島茜「はい、そう見たいなんですが・・・」
滝澤拓哉「これは俺の私見なんだが、今直ぐ何とかした方が良いかも知れないと思うよ?」
網島茜「え?」
滝澤拓哉「最近俺、依存症に着いて個人で調べててな・・・その中で、薬物中毒が目に入ってな・・・その薬物の仲間と見られてるのが、」
滝澤拓哉「ゲーム、アルコール、課金、買い物、とにかくその時自分を満たせる物が多くてな・・・」
網島茜「・・・?もしかして先輩が言いたい事って・・・」
滝澤拓哉「察しが良くて助かるよ・・・例えばアルコール・・・一度それが美味いと感じたら抜け出すのは至難の業になるよ・・・」
滝澤拓哉「それと課金に至っては本当に良い話を聞かない・・・課金し過ぎて多額の借金を背負わされた事例もあるし、」
滝澤拓哉「中にはまだ幼稚園の子供が課金して50万以上の借金を背負う事になったって話も新聞に載る程だったし・・・」
網島茜「な、何それ怖っ!!でも、秀幸も秀幸で考えてる事もあるだろうし・・・」
滝澤拓哉「本当にそう断言出来るか?そもそも心オンラインは・・・」
〇男の子の一人部屋
一方。
網島秀幸「だぁ!?また負けた・・・」
網島秀幸「折角頑張ってここまでランク上げたってのに、どいつもこいつも強い奴ばかりじゃ無いか!」
自宅で遊んでいた秀幸はゲームが思う様に行かずに苛立っていた。ランクが上がった分、
周囲のプレイヤーが強くなっており、かなり苦戦していた。
網島秀幸「くそぉ、流石にここまで行くと課金して強くなった奴が多いな・・・どうにか、俺でもやれる事無いか?」
網島秀幸「か、課金?ちょっと調べて見るか・・・」
網島秀幸「あった!どれどれ?」
網島秀幸「ここにあるのは・・・破壊剣DAIKONブレード、アサシンのNINJINダガー、突撃屋のRENKONマシンガン、」
網島秀幸「鉄壁のKONNYAKUアーマー、俊足のBANANANOKAWAシューズ・・・」
網島秀幸「どれも一度は見た事あるレア装備ばかりで、しかも課金すればこれが簡単に手に入ると・・・」
網島秀幸「う〜ん難しいなぁ・・・今まで無課金だったしここまでやれたのは俺の実力な訳だし・・・」
網島秀幸「このままやっても勝てないよな・・・・・・」
網島秀幸「・・・!あ、そう言えば、この前姉貴が親父の3万持って来てくれたよな・・・だったら・・・」
〇シックな玄関
数時間後。
網島茜「只今〜!」
網島茜「うげ、この音この前の・・・もう、普段どんな感じにゲームしてるのよ・・・周囲の迷惑考えなさいよ・・・」
「うっひゃひゃひゃ!!まさかここまで強くなるだなんて!!」
網島茜「ん?」
「何でもっと早く気付かなかったんだろう!これなら俺がチャンピオンになるのも時間の問題だな!!」
網島茜「え?えぇ?秀幸、何かあったのかしら?」
〇男の子の一人部屋
網島茜「秀幸!入るわよぉ!」
網島秀幸「あん?何だ姉貴か!今良い所なんだ!邪魔しないでくれるか!?」
網島茜「あのさぁ、ちょっとゲームの音量下げてくれない?秀幸の部屋から音漏れしてるんだけど・・・」
網島秀幸「おらおら!次はどんな風に痛め付けてやろうか!?」
網島茜「もう、話聞いてってば・・・秀幸、今日何かあったの?」
網島秀幸「あぁん?んなもん決まってんだろ!ゲームに課金したんだよ!そしたらレア装備尽くしで相手をサクサク無双出来てさぁ!!」
網島茜「は、はぁ?あんた、課金したの!?」
網島秀幸「そうなんだよ!この前くれた3万の事思い出してさぁ!思い切って全額課金したらもう一気に強くなってさぁ!」
網島秀幸「何で今までやらなかったのかもう不思議で不思議で!」
網島茜「ぜ、全部ゲームに使っちゃったの!?秀幸、あんたそれ本当に大丈夫!?」
網島秀幸「まぁまぁまぁ!どの道俺がチャンピオンになれば全部丸く収まるからさ!どの道課金も今日だけって決めてるから!」
網島秀幸「あ〜!早くチャンピオンの椅子に座れないかなぁ!!」
網島茜「・・・まぁ、分かったわ・・・あたし夕飯手伝ってるから・・・」
〇おしゃれなリビングダイニング
それから数時間後。あたしはさっきの出来事を両親に話した。
網島父「茜!その話本当なのか!?」
網島茜「嘘は言ってないわ・・・秀幸はこの前上げた3万全部、ゲームの課金に使ってたのよ・・・」
網島母「そ、そんな・・・仕事だってして無いのに、あの子本当にプロになれるのかしら・・・」
網島父「う〜ん、そこは私も何とも言えないな・・・」
網島茜「まぁ、あたしも計画的にやってくれれば文句言わないけどさぁ、何か嫌な予感がしてさ・・・」
網島母「う〜ん、そんな事があったなら、私も一度秀幸と話して見るわ・・・」