ミチトの想空〜オモフソラ〜

ふじのきぃ

第三話 鶴と亀の御土産(脚本)

ミチトの想空〜オモフソラ〜

ふじのきぃ

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〇一軒家
ミチト「行ってきまーす」
クゥ「行ってきますのです」
ミチトの母「行ってらっしゃい。気をつけてね」

〇住宅地の坂道
ミチト「──んで、どういうつもりなんだよ?」
クゥ「何の事です?」
ミチト「誤魔化すなよ。 どうして俺ん家に住み着いているんだ?」
ミチト「しかも母さんまでお前の事信用して、 当たり前かのように振る舞って・・・」
ミチト「まさか母さんにも あの変な光、浴びせたんじゃねえだろうな?」
クゥ「いえ、ママさんには事情を説明した上で お家に住まわせて頂いているのです」
クゥ「もちろん、宇宙人である事は伏せてですが」
ミチト「"OSAの関係者です"ってか?」
クゥ「ち、違うのです・・・!」
クゥ「あ、でもその設定も悪くないのです。 流石はミチトさんなのです♪」
ミチト「設定って言うなし。 褒められても嬉しくねえよ」
ミチト「それで? 何で学園にまで付いて来るんだ?」
クゥ「──コレを見て欲しいのです」
ミチト「入学届と留学証明書か? 差出人は・・・学園長からだな」
クゥ「いえ、コレは兄さんの仕業です」

〇名門の学校
クゥ「兄さんは、 "支配"の力を持っているのです」
クゥ「その力で学園長を洗脳し、 この書類を作成させたのでしょう」
クゥ「ホームステイの件も、クゥの国籍は 兄さんの現在の国籍で登録されていました」
クゥ「これらから推測するに、 支配は学園だけではないのでしょう。 世界中の国家権力もきっと・・・」

〇住宅地の坂道
ミチト「おい待て。 学園が・・・何て言った?」
クゥ「ミチトさんの学園はもうすでに、 兄さんによって支配されているのです」

〇華やかな広場
  同時刻。
  湖澄(こずみ)公園──
  近年、この公園では
  とある噂が流れていた。

〇田舎の公園
  それは、老人達が夜な夜な公園に集まり、
  失踪するも朝には戻って来るという奇妙な
  現象が多発しているという噂。
  老人達には何の外傷も無く、
  彼等いわく、「宇宙人と交流を深めた」
  ──と供述したそうだ。
  捜査に出向いた警察もまた、
  「宇宙人のおかげで長生き出来そうだ」
  ──と供述。
  結局、警察も冗談が言える程に事件性は
  皆無とみなされ、捜査は打ち切られた。

〇黒背景
  ただ・・・彼等の行動には、
  ある共通点があった。
  それは──"歌"。
  時折、彼らは"歌"を口遊むのだ。
  まるで脳内に"歌"の余韻が
  残響し続けているかのように、
  ぶつぶつと呟いていたという・・・

〇時計台の中
???「つ〜ると か〜めの すーべにあ〜♪」
「つーると かーめの すーべにあーっ!!」
「つ〜ると か〜めの すーべにあ〜♪」
「つ〜ると か〜めの すーべにあ〜♪」
???「みんな〜!」
???「今日も元気かな〜?」
???「けんこーだいいち、してますか〜?」
老人達「アイム・ファイン!!」
???「みんな元気いっぱいだね〜!」
???「それじゃあ今日も"めるか"といっしょに、 じゅーなんたいそーを始めるかー♪」
老人達「はじ・"めるか"〜♪」
???「いやあ、大人気ッスね〜。 "つるか☆めるか"ちゃん」
???「ええ、当然です」
???「めるか様は、あのお方と共に 地球を救って下さるのですから」
???「生きとし生ける全ての生命を見守る・・・ それが、めるか様の使命であり力なのです」
???「その支えとなる為、 ワシら"クレインタトゥ教団"が在るのです」
???「愛 千鶴(まな ちづる)さん。 貴方はまだ入団して日が浅い。 じっくりと学んでいくと良いでしょう」
チヅル「戻っちゃったッス・・・」
???「大丈夫です。 従属変身も使い熟せるよう、 徐々に慣らしておきましょうね」

〇華やかな広場
めるか「つるかめたいそー、だいいちー♪」
めるか「まずはー、かめのこうらを描くようにー、 しんこきゅーう♪ はい!」
一同「いち! に! つる! つる! にい、に! かめ! かめ!」

〇教室
  湖澄区学園二学年教室・朝礼前──
ミチト「はぁ〜・・・」
  ミチトは机に項垂れていた。

〇住宅地の坂道
  回想・通学路──
ミチト「学園が乗っ取られているだって!? しかもOSAに!?」
クゥ「正確には、 兄さんが学園もOSAも牛耳っているのです」
クゥ「なので今の学園は敵のテリトリーでもあり、 非常に危険なのです」
ミチト「何モンなんだよ・・・お前の兄貴は」
クゥ「クゥと同じ宇宙人なのです」
ミチト「いや、そういうのはいいから。信じないから」
クゥ「ど、どうして信じないです?」
ミチト「フン! 自称宇宙人には 到底理解出来ないだろうなー」
クゥ「むー。ミチトさんは意地悪なのです」
クゥ「・・・・・・」
クゥ「クゥは宇宙警備隊として、 "シハイント・ギュジル・ノガシィゴット" という反逆者を追っていたのです」

〇研究所の中枢
クゥ「彼はクゥの実兄であり、 宇宙警備隊のリーダーでもありました」
クゥ「ある時、兄さんは療養中の妹、 "イノッチ・ミマモリル・ノガシィゴット" を拉致し、行方を眩ませたのです」

〇地球
クゥ「兄さんは反逆者と見做され、 身内のクゥに指令が下りました」
クゥ「内容は二つ。 兄さんの身柄を拘束し、警備隊へ連行。 そして妹イノッチの捜索及び保護する事──」

〇住宅地の坂道
クゥ「指令を受け──足取りを追っていたところ、 敵の攻撃を受け、地球へと不時着しました」
クゥ「そして──ミチトさん、 貴方に出逢ったというワケなのです」
ミチト「・・・・・・ (開いた口が塞がらない)」
クゥ「信じられないかもしれません。 でも事実なのです」
クゥ「クゥは、 使命を果たさなければならないのです」
クゥ「その為には、 ミチトさんの協力が必要不可欠なのです」
クゥ「貴方の学園生活を取り戻す為にも──」

〇名門の学校
クゥ「──では、 クゥは一学年教室に向かうのです」
ミチト「お、おう (一学年か・・・)」
クゥ「危険を感じましたら、 テレパシーで呼んで下さい。 直ぐに駆け付けるのです」
ミチト「テレパシー・・・って。 そもそも、どうやってやるんだよ」
クゥ「強く念じるのです!」
ミチト「超絶アバウトだな・・・」
クゥ「学園内で敵の従属人間が 襲撃して来る恐れがあるのです」
クゥ「でも大丈夫なのです」
クゥ「クゥがミチトさんを守るですから──」

〇教室
ミチト(・・・どうしてこうなった?)
ミチト(要するに、世界規模な他人の兄妹喧嘩に 俺は巻き込まれたって事だろ?)
ミチト(ふざけやがって・・・大迷惑だっつの!)
ミチト(これだからOSAは! かくかくしかじか──)
ミチト(・・・・・・)

〇空

〇教室
ミチト(あれは──夢じゃなかったのか)
ミチト(もし、 あのまま空を駆け上がっていたら・・・)
ミチト(宇宙に、行けたのかな──)
ミチト「──はっ!?」
ミチト(バカ! それじゃあ宇宙人の力に頼ってしまうだろ!)
ミチト(俺は人間の力で宇宙へ行くんだよ!)
ミチト(──いや違う違う! 俺がいつ宇宙人認めたんだよ!?)
ミチト(あー・・・チクショッ! OSAの連中め! 話が大き過ぎて頭が混乱してきた!)
  ミチトは暫くの間、机で藻搔いていた。

〇教室
  一方、一学年教室では──
一学年担任「それじゃあ皆んな! 今日は転入生を紹介するぞー!」
クゥ「モイ♪ クーネルアと申します」
クゥ「フィンランドからやって来ました。 どうぞ気軽にクゥと呼んで下さいなのです」
クゥ(・・・と言っても、仮の国籍なのですけど)
クゥ(事前に言葉を調べてて良かったです)
生徒一同「モイーーッ♪」
生徒一同「モエーーッ!」
クゥ(ここが、ミチトさんの学園・・・)
クゥ(とってもワクワクするのです!)
一学年担任「さあて、自己紹介が終わった事だし、 皆んなが楽しみにしていた──」
一学年担任「──宇宙人歓迎パーティーを始めようか」
一学年担任「なあ? 我が妹よ」

〇教室
  同時刻・ミチトの教室──
???「はあーい。皆さん席に着きましょう」
???「はい、全員着席しましたね。 皆さん素晴らしいですねえ」
???「ではこれより、 "長寿の秘訣"について授業を始めます」
ミチト(・・・誰?)

〇名門の学校
???「授業を始める前に一つ、 先ずはご一緒に合唱しましょう」
???「ワシから歌いますので、 後に続いて復唱して下さいね」
???「つーると かーめの すーべにあ〜♪」

〇惑星
  ☆おまけクゥかん・その3☆
めるか「つーると かーめの すーべにあ〜♪」
「つーると かーめの すーべにあ〜♪」
クゥ「つーると かーめの すーべにあ〜♪ ──次回へ続くのです♪」
ミチト(最早、狂気を感じるのは俺だけか・・・?)

次のエピソード:第四話 鶴亀対相

コメント

  • どいつもこいつも家系ラーメン並みの個性の塊キャラクター(汗
    この後どーなっちゃうのっ!

  • 乗っ取られた学園!
    どうなってしまうのか気になりますね。
    つーると かーめの すーべにあ!

  • モイ!
    クゥちゃんが可愛い。
    お兄ちゃんと対決が始まる予感でどきどきです。
    つーるとかーめのすーべにあー♪

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