プロフェティック・ドリーム

坂道月兎

#8 絶対に死なせない(脚本)

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〇応接室
百瀬哲平「結衣が死ぬ夢!?」
  俺と同じく、幼いころから結衣を知り可愛がっている兄はそのまま絶句してしまった。
  すでに伝えてある八神、アリスは黙ってソファに座っている。
生方千尋「・・・リョウ、その夢を見たのは今回が初めてかい?」
百瀬涼平「いや・・・忘れてたけど、たぶん正夢を自覚する前に一度見てたと思う」
生方千尋「なら、リョウが正夢をもう一度見るようになったのは、ユイちゃんの危険を察知してのことかもしれないね」
百瀬涼平「え・・・」
生方千尋「正夢は変えられるんだよ」
生方千尋「実際リョウは何度か夢で見た現実を変えてきただろ?」
生方千尋「今回も大丈夫」
百瀬哲平「そうだ! 結衣が死なない未来のために、涼の正夢があるんだ!」
百瀬哲平「結衣が死ぬ結果を回避する方法を見つけよう」
八神直志「オレも全面的に協力する! 絶対結衣ちゃん助けよう」
笹島アリス「結衣は絶対死なせない・・・! 私の大事な友だちだもの」
  張りつめていた気持ちが、ほんの少しほぐれた気がした。
百瀬涼平(一人じゃない、仲間がいてくれることがこれほど心強いなんて)
  こみあげてくるものを、必死で抑え込んだ。
百瀬涼平(絶対に・・・守る。結衣を死なせたりしない)

〇教室
花ノ木結衣「りょうくん、この間はありがと」
百瀬涼平「ああ・・・」
  晴れて結衣とつき合うことになり、幸せの絶頂のはずが・・・結衣の笑顔を見ると、夢の光景を思い出し胸が苦しくなった。
花ノ木結衣「りょうくん?」
百瀬涼平「あ、いや・・・なんでもない」
  何とかごまかそうと言葉を探していた時、あることを思い出した。
百瀬涼平(そういえば・・・前に、告白してきたやつがしつこくしてくるって言ってたな)
百瀬涼平「なあ、結衣。 例の告白してきたヤツはどうなったんだ?」
百瀬涼平「あの後もしつこくされてんのか?」
花ノ木結衣「ううん、あれから一緒に帰ろうとかそういうのはないの」
花ノ木結衣「普通に話しかけてくるぐらいで」
百瀬涼平「・・・誰なのか、聞いてもいいか?」
花ノ木結衣「え・・・えっと・・・」
  結衣は誰かに聞かれたらマズイと思ったのか、携帯画面に名前を打ち込んだ。
  『早乙女君』
百瀬涼平(早乙女!? あいつか・・・)
  正夢で、加納と揉めて八神を怪我させたヤツだ。
  八神が、早乙女は金持ちの坊ちゃんで我儘だと言っていた。
百瀬涼平(結衣がどうして死ぬことになったのかわからないが・・・)
百瀬涼平(阻止するためには、色々な可能性を考えておかないと)
花ノ木結衣「りょうくん、怖い顔してどうしたの?」
百瀬涼平「いや、ごめん」
百瀬涼平「もしまたしつこくしてくるようなら、俺の名前出して断ってくれ」
花ノ木結衣「・・・うん、わかった」
  これが何気ない会話ならどれほど幸せだったろう。
百瀬涼平(いや、何気ない幸せを守るために、今こそ全力を尽くさなければ)

〇学校の屋上
  俺は八神とアリスを屋上に呼び出した。
  念のため、早乙女が結衣に振られた後もアプローチを続けていることを伝える。
笹島アリス「早乙女・・・あの男、気に入らない」
笹島アリス「内心で人を馬鹿にして、親が金持ちの自分は特別だって思ってる。嫌なヤツ」
八神直志「自分が振られたって事実を受け入れられないんだろうな・・・」
八神直志「こないだのケンカの時もそうだったけど、頭に血が上りやすいから気を付けた方がいいな」
笹島アリス「・・・結衣に夢のことは伝えてないんだ」
百瀬涼平「言えないだろ・・・」
  俺は唇をかむ。
笹島アリス「私が結衣なら伝えてほしいと思うけど」
百瀬涼平「・・・・・・」
八神直志「それに関してはなんとも言えないな。 俺は涼平が決めたことに従う」
百瀬涼平「・・・悪いな」
  できれば結衣に知らせることなく、後々笑い話にしたいところだ。
  結衣の笑顔をくもらせたくはなかった。

〇黒
  まずは結衣に何が起きたのか知らなければならない。
  苦しい作業だったが、何度か正夢を見ながら、結衣が死ぬ状況を検証していくことにした。

〇応接室
  結衣を家まで送り届けた後、探偵事務所に向かった。
  事務所には八神、アリスがすでに到着している。
生方千尋「正夢を見る前に、事前準備をしておこうか」
生方千尋「確認すべきは、まず結衣ちゃんがが・・・倒れていた場所、時間」
生方千尋「現場の状況はなるべく詳しく確認して欲しい」
生方千尋「気が動転するのは当然だけど、そこはあくまでも夢の中だと自覚して冷静になるようにね」
百瀬涼平「はい」
生方千尋「可能なら、何らかの形で夢の中でもリョウをサポートしたいんだ」
生方千尋「・・・できるかどうかわからないけど、アリスちゃん、協力してもらえるかい?」
笹島アリス「何をすればいい?」
生方千尋「アリスちゃんの能力は人の心を読むってことだけど、もしかしたらそれを応用できるかもしれない」
生方千尋「試させてくれる? リョウの正夢に入って欲しいんだ」
八神直志「そんなことができるんですか!?」
生方千尋「アリスちゃんは人の心が読める・・・これは共感力が秀でて高いってことなんだと思う」
生方千尋「だから起きている人の心に共感するように、寝ているリョウの夢にも共感することができたら・・・」
笹島アリス「・・・やってみます」
百瀬涼平「俺も・・・結衣を助けるためにできることは全部試してみたいです」
生方千尋「ありがとう。それじゃあ、やってみよう」
百瀬哲平「無茶はするなよ、涼、アリスちゃん」

〇応接室
  俺たちは同じ場所で同じ時間帯に眠り、俺の夢にアリスが入り込めるかどうか実験をすることにした。
  今回も言霊を利用する。
百瀬涼平「笹島アリスに、俺の正夢の中に入って手助けしてもらいたい」
笹島アリス「涼平の正夢に入って、結衣を助けたい」
  生方さんが流してくれた、導眠効果のあるBGMにつられるように俺は眠りに落ちて行った。

〇男の子の一人部屋
  ああ、また夢に来たのか。
  そう思った瞬間だ。
笹島アリス「涼平」
  部屋の中にアリスがいた。これは・・・?

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