7 真剣勝負(脚本)
〇体育館の中
放課後。
暗森敬一「先生方、今日は無理を言ってしまって申し訳無いです・・・」
男性教員「いえいえ!これ位ならお安い御用です!生徒の自立を促すのは我々の本懐ですからね!」
女性教員「何より、卒業した後で親やお金にばかり頼る様になってしまったら本末転倒ですからね・・・」
桜木カレン「暗森先生!こちらは準備出来ました!」
暗森敬一「分かった!皆の準備が終わったら直ぐ始めるぞ!」
熊野敦「なぁ、やっぱりこれやるのか?どうせなら俺らが変わって・・・」
江戸川和人「何言ってるんだ?カレンは最初からやる気だったんだぜ?」
白川美羽「で、でも!」
江戸川和人「怖いのは最初の一歩だ・・・それを踏み出せれば、全てが変わる・・・本当にカレンの事が大事なら、」
江戸川和人「応援して上げようぜ?」
熊野敦「お、おう・・・」
女性教員「江戸川君、私と一緒に副審やってくれない?」
江戸川和人「あ、良いですよ、やり方教えてくれれば・・・」
女性教員「勿論よ、行きましょう!」
男性教員「それでは、本練習試合の審判は私がやらせて頂きます!お互い準備は宜しいですか?」
暗森敬一「大丈夫です!」
桜木カレン「問題ありません・・・」
男性教員「では、試合の前に口上を・・・」
桜木カレン「・・・・・・」
桜木カレン「試合は己の技量だけに決まらず、試合は己の気持ちにだけ決まらず、」
桜木カレン「只結果のみが全て・・・」
男性教員「それでは、初め!!」
江戸川和人「おぉ!この前カレンがどんな風に練習してるか見せて貰ったとは言え、実際見て見ると凄いな!」
江戸川和人「暗森先生に至っては動きに無駄が無い・・・」
女性教員「江戸川君、改めて剣道のルールは分かる?」
江戸川和人「あ、初めてです・・・」
女性教員「分かったわ・・・なら簡単に説明するわね・・・」
和人君が先生からルール説明を受ける中、あたしはと言うと。
桜木カレン「(やっぱり暗森先生が相手じゃ厳しいな・・・当たり前だけど、簡単には取らせてくれない・・・)」
桜木カレン「あ!」
男性教員「暗森先生が相手の小手に一本!」
暗森敬一「こうして相手して見ると分かる・・・桜木がどれだけ剣道に対して向き合っているか・・・」
桜木カレン「先生・・・」
暗森敬一「だが、まだまだ詰めが甘い所があるな・・・落ち着いて、相手を良く見るんだ・・・どんな相手にも、」
暗森敬一「必ず隙がある物だ・・・」
桜木カレン「・・・!はい!」
男性教員「それでは、両者構えて・・・初め!」
桜木カレン「(落ち着いて・・・相手を良く見て・・・)」
暗森敬一「・・・・・・」
桜木カレン「(・・・!ここだ!)」
暗森敬一「おぉっと!」
男性教員「桜木さん!暗森先生の胴へ一本!」
暗森敬一「やるな桜木!今言った事をもう物にしただなんて!」
桜木カレン「ありがとうございます!ですが、寧ろここからです!」
暗森敬一「あぁ、どちらが勝っても恨みっこ無しだ・・・最後まで気を緩めるなよ?」
男性教員「最終試合、初め!」
江戸川和人「(凄いな・・・ここからでも2人の真剣さが伝わって来る・・・3本勝負で一対一・・・これでカレンが勝てれば・・・)」
江戸川和人「(カレン、頑張れ・・・!)」
桜木カレン「(焦っちゃ駄目!後一本決めれば、あたしが勝てる!だから!)」
桜木カレン「あ!」
暗森敬一「桜木、良く頑張った・・・」
桜木カレン「・・・・・・!?」
男性教員「暗森先生が桜木さんの面に一本!試合終了!この試合、暗森先生の勝利と致します!」
桜木カレン「ま、負けた・・・」
暗森敬一「桜木、お前は良く頑張ったと思うぞ・・・」
桜木カレン「暗森先生・・・」
暗森敬一「初めて僕とやった時は僕に一本も決められなかった・・・でも君は最初と比べて本当に動きが良くなってたよ・・・」
暗森敬一「これは桜木が剣道を真剣にやって来た証拠だよ、その事はもっと胸を張って良い・・・」
暗森敬一「何より、負ける事は恥ずかしい事じゃ無い・・・本当に負けなのは、その失敗や自分の未熟さを否定する事だから、」
暗森敬一「桜木が挑んだこの試合は、決して無駄にならないよ・・・だから、これからも剣道部としての活動、頑張ってくれよ・・・」
桜木カレン「はい・・・はい・・・!!」
江戸川和人「カレン!」
桜木カレン「あ、和人君・・・あたし、やっぱ負けちゃったわ・・・」
江戸川和人「確かに負けた!でも最後まで頑張ってるカレン、凄くカッコよかったよ!」
桜木カレン「和人君・・・」
「カレン様!!」
桜木カレン「あなた達・・・」
熊野敦「カレン様!俺感動しました!カレン様がこんなに強いお人だなんて!今までの自分が馬鹿見たいに思えました!」
熊野敦「何でカレン様が、こんなにも強い人だって気付かなかったんだって!!」
白川美羽「私も同じ気持ちです!今日のカレン様の勇姿を見て!私達も強くなろうって決心出来ました!親衛隊じゃ無くても!」
白川美羽「ちゃんと出来る様になってカレン様の、本当の意味でお力になれたらとそう思っています!」
桜木カレン「あなた達・・・」
熊野敦「カレン様!俺ら絶対カレン様に追い付いて見せます!だからお互い頑張りましょう!!」
桜木カレン「・・・ありがとう・・・」