プロフェティック・ドリーム

坂道月兎

#7 ずっと好きだった(脚本)

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〇教室
百瀬涼平「はあ」
八神直志「どうした、涼平。朝からため息ついて」
百瀬涼平「いや・・・」
八神直志「ひょっとして、何かまた正夢見たのか?」
  ドキッとしたが、あの夢は・・・絶対に正夢じゃない・・・はずだ。
  生方さんの言った『言霊』も気にかかり、口に出すのは憚られて俺は首を振った。
百瀬涼平「いや、あれから見てないんだ。 なんか眠れなくてさ」
八神直志「ちょっと無理しすぎたんじゃないか? たまには正夢意識しないで寝るようにしろよ」
百瀬涼平「ああ、ありがとう」
花ノ木結衣「どしたの、りょうくん。体調悪い?」
百瀬涼平「いや・・・」
笹島アリス「・・・涼平」
  しまった。アリスには隠しておけない。
  すぐに悟ったようで、でも何も言わずにいてくれた。

〇学校の屋上
笹島アリス「変な夢、見たみたいね」
  屋上にいると、アリスが声をかけてきた。
百瀬涼平「・・・あれは絶対に正夢じゃない」
笹島アリス「・・・そうだといいと思うけど・・・大丈夫?」
笹島アリス「もし正夢なら──」
百瀬涼平「やめてくれ!」
笹島アリス「・・・結衣のこと大事なんだね」
百瀬涼平「・・・・・・」
笹島アリス「こういうときは便利、この能力。 ・・・恋する気持ちがよくわかる」
百瀬涼平「・・・からかってるのか?」
笹島アリス「違う。私、人を好きになったことがないから・・・新鮮、だっただけ」
百瀬涼平「・・・」
笹島アリス「結衣とデート、したら?」
百瀬涼平「は!? 何言ってんだよ」
笹島アリス「直志が言ってた。 好きな子とはずっと一緒にいたいものだって」
百瀬涼平「そりゃ・・・まあ」
笹島アリス「こういうのは男がリードする、とも言ってた」
百瀬涼平「何言ってんだ、あいつ・・・」
百瀬涼平「八神とも随分仲良くなったんだな?」
笹島アリス「・・・あいつののせいで、女子にいちいち嫌な感情向けられて迷惑」
笹島アリス「でも──」
百瀬涼平「でも?」
笹島アリス「・・・ほかの男子みたいにイヤらしい上から目線な感情がないから、楽」
百瀬涼平「ああ、八神はほんとにいいやつだ」
笹島アリス「・・・涼平も悪くない」
百瀬涼平「・・・っ!?」
笹島アリス「結衣と話してて思った。 ちゃんと話さないと」
笹島アリス「心を読んだだけじゃ、一方通行だって」
百瀬涼平「・・・・・・」
笹島アリス「うん、結衣は最高。私も思う」
百瀬涼平「もういいだろ、アリスっ!」
  目の前で心を読まれるのはかなり恥ずかしい。
  そのとき、不意に屋上の扉が開いた。
八神直志「よう。あれ? 結衣ちゃんは?」
百瀬涼平「え? 来てないけど」
八神直志「・・・さっき屋上行くって言ってたけどな」
八神直志「・・・なあ、お前らが話してるの見て、誤解したんじゃないのか?」
百瀬涼平「・・・まさか」
八神直志「全然まさかじゃないだろ。 そういう未来、正夢で見ただろうが」
百瀬涼平「・・・!」
笹島アリス「ちょうどいい。 誤解を解いてデート誘ってくれば」
八神直志「おっ、それいいな、デート。 バシッと決めてこいよ」
  二人に見送られ、結衣を探すため屋上を後にした。

〇学校の屋上
八神直志「なんだよ、敵に塩送ったのか、アリス?」
笹島アリス「・・・敵ってなに」
笹島アリス「何度も言うけど私、涼平に恋してないから」
八神直志「へーえ」
笹島アリス「涼平が結衣のことを好きって気持ちが・・・すごく心地いい」
笹島アリス「優しくて穏やかで。それだけ」
八神直志「涼平はやめとけよ。お前が泣くことになる」
笹島アリス「話聞いてる?」
八神直志「俺にしとけばいいのに」
笹島アリス「・・・私のこと、好きじゃないのに? 直志、いつか刺さされそう」
八神直志「・・・アリスってオレにだけやけに辛辣じゃない?」
笹島アリス「自意識過剰」
八神直志「・・・・・・」

〇まっすぐの廊下
百瀬涼平「結衣!」
  廊下を歩いていた結衣を呼び止める。
花ノ木結衣「りょうくん・・・」
百瀬涼平「お前、なんで屋上に来なかったんだ」
花ノ木結衣「アリスちゃんと大事なお話、してたっぽいから・・・」
百瀬涼平「お前と八神を待ってただけだよ。 変な気回すなって」
花ノ木結衣「・・・そっか」
花ノ木結衣「・・・アリスちゃんとりょうくんが一緒にいると、なんか特別な空気になる気がして」
  結衣は天然のくせに、時々妙に鋭い。
  アリスと俺は、特別な能力を持つという点で同士として強いつながりがある。
百瀬涼平(でも、アリスは仲間であって・・・結衣とは違う)
百瀬涼平「結衣、週末遊びに行かないか?」
花ノ木結衣「えっと、皆で?」
百瀬涼平「・・・違う。俺と結衣のふたりで」
花ノ木結衣「え・・・? うん、行く!」
  どこに? とも聞かず嬉しそうに応じてくれるその姿に、胸が躍る。
百瀬涼平「どこか行きたいとこあるか?」
花ノ木結衣「遊園地がいいなあ。 昔、一緒に行ったの覚えてない?」
  結衣の父親がいなくなってすぐ、さみしいと泣く結衣を慰めたくて、一生懸命考えて結衣を遊園地に連れ出したのだった。
  黙って行ったため、結衣の母にも俺の母にも随分怒られたが・・・
  泣いてばかりだった結衣が笑ってくれた。
  忘れられない思い出だった。
花ノ木結衣「りょうくんが連れてってくれたんだよね・・・すっごく楽しかった」
百瀬涼平「じゃあ、あそこの遊園地にするか」
花ノ木結衣「うん! 楽しみにしてる!」

〇遊園地の広場
花ノ木結衣「お待たせ、りょうくん」
  結衣の希望で、なぜか現地集合になった。
  同じマンションなんだから、一緒に行けばいいのにと思っていた俺は、八神に『乙女心がわかっていないねえ』と言われてしまった。
花ノ木結衣「外で待ち合わせって、いかにもデートって感じでいいよね」
百瀬涼平「そうか・・・」
  このデートにあたり、八神からも色々とアドバイスをもらったものの、結衣を前にすると八神を真似て背伸びするのも違う気がした。
百瀬涼平「まずは何に乗る?」
花ノ木結衣「当然、ジェットコースター!!」
  結衣はこう見えて絶叫マシーン好きだった。
  俺たちは並んでジェットコースターの乗り場へと向かった。

〇遊園地の広場
花ノ木結衣「ふふ、ジェットコースター3回も乗っちゃったねー」
花ノ木結衣「やっぱり締めは観覧車だよね」

〇観覧車のゴンドラ
百瀬涼平「あの時は・・・お金もなくてこれだけ乗ったよな」

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