幼い頃の思い出

夏目心 KOKORONATSUME

1 迷子のお嬢様(脚本)

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〇繁華な通り
桜木カレン「わぁ綺麗!ここが街なんだ・・・」
  あたしの名前は桜木カレン。あたしの親はお金持ちの家系で、あたしはその家のお嬢様だ。
  そんなお嬢様のあたしが何故1人で街にいるのかと言うと、家の中にいるのが退屈で、どうしても外に出たかったからだ。
桜木カレン「街には色んなのがあるのね!お買い物はお金が無いと出来ないって言うから持って来たけど、何処に行こうかな!」
  この時のあたしはとにかく目の前の光景に無我夢中だった。家では沢山勉強したり、習い事をしたりの繰り返しで、
  何だか物足りなさを感じていた。だからあたしは、思い切って家を抜け出し、街へと足を運んで、沢山の思い出を作ろうとしたが、
  その楽しさは長くは続かなかった。

〇住宅街の公園
  数時間後。
桜木カレン「うわ〜ん!!パパぁ!!ママぁ!!」
  そうだ。この時のあたしはまだ帰り道すらも理解出来ておらず、道に迷って帰れなくなってしまったのだ。
  当然スマホなんて早過ぎる年齢なので持っておらず、その時のあたしには何も出来なかったのだ。
桜木カレン「どうしよう!帰り方が分からないよぉ!!」
桜木カレン「ひっく!ひっく!」
江戸川和人「おい、お前これ落ちてるぞ?」
桜木カレン「え?」
江戸川和人「まだ新しいじゃんか、駄目だろちゃんと大事にしないと・・・」
桜木カレン「ご、ごめんなさい・・・あなた、誰?」
江戸川和人「あのな、俺の父さんが言ってたぞ?人に名前を聞く時は、先ず自分の名前から名乗れって・・・もしかして知らない?」
桜木カレン「え、えっと、あたしは桜木カレン・・・」
江戸川和人「カレンって言うのか・・・俺は江戸川和人、宜しくな・・・」
桜木カレン「う、うん・・・」
江戸川和人「なぁ、何でお前1人で泣いてるんだ?お父さんとか一緒じゃ無いのか?」
桜木カレン「あ、うん、実はね・・・」
  あたしは自分がそれまでやって来た事の顛末を和人君に打ち明けた。
江戸川和人「えぇ!カレンってお嬢様なのか!?そんな風には見えなかったな・・・」
桜木カレン「そうなの・・・でもどうしても外に出たくて・・・」
江戸川和人「そ、そうなのか・・・お嬢様って大変なんだな・・・」
桜木カレン「うん・・・」
江戸川和人「・・・まぁ、大体は分かったよ・・・カレン、お前は帰りたいけど道が分からない・・・ならさ、」
江戸川和人「俺がカレンの家一緒に探すよ・・・」
桜木カレン「えぇ!良いの!?」
江戸川和人「だってこのままじゃ帰れないし、お父さん達絶対心配してるよ・・・俺と一緒にお巡りさんの所に行こう・・・」
桜木カレン「お巡りさん?」
江戸川和人「あれ?知らないの?まぁ良いや、とにかく行こう・・・お巡りさんに聞けば何か分かるかも・・・」
桜木カレン「・・・!ありがとう!」
  そしてあたしは、彼の言うお巡りさんの所に行く事になった。

〇警察署のロビー
  警察署にて。
江戸川和人「と言う訳なんです・・・桜木カレンちゃんのお家を探せますか?」
女性警官「なるほどね!分かった!カレンちゃんの名字は桜木で間違い無いのね?」
桜木カレン「あ、はい!」
女性警官「身分証も無いから何とも言えないけど、名字が桜木なら可能性あるわね・・・」
女性警官「少し待ってて!」
「もしもし?こちら夏目警察署です・・・桜木カンパニー様ですか?はい・・・」
桜木カレン「和人君、ここの人達ならあたしのお家見つけられる?」
江戸川和人「大丈夫だよ!お巡りさんは悪い人を取り締まるのが仕事だからね!道が分からない時はお巡りさんに聞くのが一番だって」
江戸川和人「父さんも言ってたから・・・」
桜木カレン「悪い人を取り締まる?」
江戸川和人「そうだよ・・・」
江戸川和人「只、そのお巡りさんも悪い事するにはするって話らしいけど・・・」
桜木カレン「え?結局良い人達なの?悪い人達なの?」
江戸川和人「うん、俺にも分からない・・・」
女性警官「カレンちゃん聞いて!今からカレンちゃんのパパがこっちに来てくれるって!」
桜木カレン「え!本当ですか!?」
女性警官「えぇ!もう大丈夫よ!桜木って名前だから、お父さんは桜木カンパニーの人だと思って電話したけど、見事に当たったわ!」
江戸川和人「よ、良かったぁ!お姉さんありがとう!」
女性警官「どうって事無いわ・・・もう少しだけここで待っててね・・・」
  それから数分後。
桜木父「カレン!カレンは何処だ!?」
桜木カレン「パパぁ!」
桜木父「ビックリしたぞ!セバスチャン達からいなくなったと聞いたが、まさか警察署にいただなんて・・・!」
桜木カレン「あ、ご、ごめんなさい・・・」
桜木父「全く・・・どうしてこんな事したのか帰ったら聞かせて貰うぞ・・・」
女性警官「ま、まぁまぁお父さん・・・余り責めないで上げて下さい・・・」
桜木父「あぁ、警察の方、今日は本当にありがとうございました・・・」
女性警官「お礼なら、この和人君に言って上げて下さい・・・カレンちゃんが迷子になった所を、和人君が見つけて」
女性警官「ここへ連れて来てくれたんです・・・」
桜木父「・・・!そうだったんですね!」
江戸川和人「あ、初めまして・・・おじさん、カレンのお父さんなんですよね?」
桜木父「あぁそうだ・・・カレンを守ってくれてありがとう!」
江戸川和人「あ、はい・・・たまたま同じ公園にいたんです・・・」
桜木父「そうだったのか・・・君には是非お礼がしたい!何かして欲しい事はあるかい?」
江戸川和人「えぇ・・・そんな事言われても・・・って、」
江戸川和人「あれ?お姉さん、今何時ですか?」
女性警官「え?もう直ぐ午後5時だけど・・・」
江戸川和人「えぇ!もうこんな時間!?ヤバい!母さんが心配してる!!」
桜木父「まぁまぁ、それならおじさんが和人君を家に送るよ・・・」
江戸川和人「え、本当ですか!?ありがとうございます!!」
桜木カレン「やった!和人君と帰れる!」
桜木父「お巡りさん、今日は本当にありがとうございました・・・」
女性警官「これが我々の仕事ですから、道中お気を付けて、また何かありましたらお伝え下さい・・・」
  これがあたしと和人君が初めてあった時の出来事だった。もし和人君がいてくれなかったら、あたしは1人でどうする事も
  出来なかったと思う。それから和人君は、あたしがまた会いに行く前に姿を消してしまい、あたしは和人君の様に、
  強い人になる決意をするのだった。

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