プロローグ(脚本)
〇刑務所
〇大会議室
刑務官「皆様、お揃いでしょうか?」
刑務官「本日は、リモート死刑にご参加いただきありがとうございます」
刑務官「ご存知の通り、この制度は主に被害者ご自身およびその親族の方の救済を目的に約1年前から試行されているものです」
刑務官「また、この制度では死刑について考えていただく機会として」
刑務官「事件とは直接関係のない一般の方々もランダムに選ばせていただき、ご参加いただいております」
刑務官「早速ですが、本日死刑が執行されるのは、2007年6月17日に浦宮駅前で発生した通り魔事件の犯人である清川昭人になります」
〇駅前広場
この事件では、清川が包丁とサバイバルナイフを振りかざして浦宮駅のロータリーにいた人々に次々と襲い掛かり
4人の方が殺害され、12人の方が重軽傷を負いました。
〇刑務所の牢屋
事件後の取り調べや裁判で語ったところによると、事件の前日に清川の唯一の肉親であった母親が病気で亡くなり
これからの人生に絶望して行った犯行ということでした。
清川は、中学を卒業してから約20年もの間、家に引きこもる生活を送っており、
父親が5年前に亡くなってから彼の面倒はすべて母親が見ていたということでした。
〇大会議室
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リモートの活用方法と死刑について考えさせられる作品でした。表紙はこのままでもインパクトがあるので差し替えなくても良いのではないかと思います。
被害者遺族としては、死刑宣告があったからといって哀しみが癒えるわけではないので、リモートで参加したといて複雑な心境だと思います。逆に第三者に事件の詳細、そして裁判の過程をこうして公開することで、より被害者家族の身になれるでしょうね。
人が人を裁くため、現行の裁判は仰々しく、形式主義的になされていますが、今後は時代の流れに即して本作のようになるかもしれませんね。リモートで、起訴状の読み上げは自動音声で、証拠についても再現VTRでなど。