迷惑ゾンビ集会事件(脚本)
〇オフィスのフロア
樺島 一心(かばしま いっしん)「はい、こちらゾンビ課」
樺島 一心(かばしま いっしん)「え、にじゅっ・・・!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「わかりました、すぐに向かいます」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん、どうしたの?」
レックス「ジケン? レックス、オテツダイ?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「中央総合公園でゾンビが騒いでいるそうだ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「20体ほど・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「大丈夫?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「大丈夫だ、仕事だからな!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「平さん!」
平 光和(たいら みつかず)「人数が必要そうだな。護送車も手配しよう」
〇養護施設の庭
樺島 一心(かばしま いっしん)「うわぁ・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ゾンビ課です! 一般の方はここから離れてください!」
女性「ゾンビ課?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「興奮したゾンビは危険です、公園の外へ」
男性「さ、行きましょう」
女性「はい」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここね、頼む!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「うん!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「うぉあー、うー! (みんな、落ち着いて!)」
ゾンビ「う・・・?」
ゾンビ「うぁ~」
ゾンビ課職員「抵抗の少なそうなゾンビから確保! 護送車へ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「興奮したゾンビたちは何て言ってた?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「バラバラに叫んでてよくわからなかったよ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「護送車で聞いてみよう」
〇荷馬車の中
樺島 ここね(かばしま ここね)「うー、うあー?」
ゾンビ「うぉう、うぉあ!」
「うぉう、うぉあ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「まずい、また興奮し出した、出よう!」
〇職人の作業場
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん、大丈夫?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「あ? ああ、」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここね、彼らは何と?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ええとね・・・」
〇荷馬車の中
「(ホッピン! ホッピン!)」
「(マミィ~!)」
〇職人の作業場
樺島 ここね(かばしま ここね)「・・・って」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ホッピン・・・マミィ?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「て、何だ?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「『ホッピング』かな?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「そういえば、ジャンプみたいな動きをしてたな」
樺島 一心(かばしま いっしん)「公園で跳ねるといえば・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「バッタ?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「この公園に巨大バッタがいて大興奮!?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「うーん、ここねは大興奮だろうけど、 ゾンビはどうかなあ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「『マミィ』は、『母親』のことかな?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「そういえば、『ミイラ』とも訳せたような」
樺島 ここね(かばしま ここね)「この公園に跳ね回るミイラがいて大興奮!?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ゾンビとどこが違うんだよ。 興奮要素がわからないよ」
公園管理人「ゾンビが集まる原因はわかりましたか?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「いえ、現状ではまだ・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ゾンビたちがこうして集まるのは、初めてですか?」
公園管理人「実は1ヶ月ほど前から、興奮して集まるゾンビは見かけていたんです」
公園管理人「当初は短時間で規模も小さく、通報するほどではないと判断していたのですが」
〇職人の作業場
発生が頻繁になり
住民「犬が怖がって、散歩させられないの」
報告が増え
住民「騒ぎ方が異常です。ゾンビウイルスが活性化していたりしませんか?」
規模も大きくなって
老人「あやつら、おそらくテロを企てておるぞ!」
〇職人の作業場
公園管理人「恐怖を訴える利用者が増えて、見過ごせなくなったんです」
樺島 一心(かばしま いっしん)「そうですか・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「発生日時の記録などはありますか?」
公園管理人「それなら」
〇研究施設の一室
円谷 理子(つぶらや りこ)「・・・で、」
円谷 理子(つぶらや りこ)「この管理日誌から発生条件を読み解けと?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「はい。場所はほぼ同じで夜間発生はありませんが、時間帯がランダムで」
樺島 一心(かばしま いっしん)「他に何か、共通項はありませんか?」
円谷 理子(つぶらや りこ)「データ照合するわ」
円谷 理子(つぶらや りこ)「あら、きれいに雨を避けてるわね。 天候は関係あるかも」
樺島 ここね(かばしま ここね)「やっぱり、巨大バッタかな??」
円谷 理子(つぶらや りこ)「ここねちゅわんがそう言うなら、きっとバッタだねぇ~!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「地獄耳!?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「円谷さん、適当なことを言わないでください」
円谷 理子(つぶらや りこ)「ゾンビたちは公園を離れた今は大人しくしてるんですね?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「はい」
円谷 理子(つぶらや りこ)「あの公園が鍵かもしれませんね」
円谷 理子(つぶらや りこ)「よし、巨大バッタを探しに行くわよ、ここねちゃん!」
〇養護施設の庭
円谷 理子(つぶらや りこ)「虫、植物、公園設備・・・ 変わったことは何もないわね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ミイラもなさそうです」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん、トノサマバッタがいたよ!」
円谷 理子(つぶらや りこ)「おお! ここねちゃん、虫取りの天才!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「見つけたのは、レックスだから・・・」
レックス「エッヘン! レックステンサイ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「近隣の住民の方ですか?」
男性「あ・・・僕は職場が近くて」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ゾンビ課のものです。 この前も現場にいらっしゃいましたよね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ゾンビ集会は何度か目撃されてるんですか?」
男性「はい、まあ・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「その際、いつもと違うような、気になることはありませんでしたか?」
男性「いえ、特には」
男性「あの・・・この前捕まったゾンビってどうなったんですか?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「もう少し様子を見て、問題なさそうであれば解放することになると思います」
男性「そうですか」
老人「なんだと? ゾンビ地区にやらんのか」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ゾンビ地区は、飽和状態でして」
樺島 一心(かばしま いっしん)「解放は公園から離れた場所に分散させますし、何かあればすぐに対応しますので」
老人「わしは広場の見える場所に住んどるんだが」
老人「ゾンビが暴れるせいで、ばあさんが怖がって散歩に出られんのだぞ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ご心配はごもっともですが、彼らに加害性は認められておりませんので」
老人「何か起きてからでは遅いんじゃ! 暴動ゾンビは処分しろ!」
男性「処分なんて簡単に言わないでください!」
老人「あ?」
男性「彼らは元々人間ですよ? あの姿になったのも彼らのせいじゃない」
男性「あなたは働けなくなった年寄りは処分すると言われたら、安心して暮らせますか?」
男性「弱い存在を許容できる社会こそが安全なんじゃないですか?」
老人「小難しい理屈なんぞ知らん。わしゃばあさんを安心させられればそれでええんじゃ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「お二人とも、落ち着いてください」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ゾンビのお困りごとのために我々が存在します」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ご納得いただけるよう尽力しますので、どうぞお任せください」
男性「・・・よろしくお願いします」
老人「ふん」
樺島 ここね(かばしま ここね)「はー、見ててヒヤヒヤしたよ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「でもお兄さんいい人だったね。ゾンビのこと、あんな風に考えてくれる人もいるんだ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「そうだな」
〇養護施設の庭
老人「ゾンビどもを戻しに来たのか!?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「いえ、原因を調べるために一時的に連れてきただけです」
老人「ばあさんがようやく散歩する気になっとるんじゃ。ちゃんと連れてけよ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「特に変わった様子はなさそうだな」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここね、ゾンビは何か言ってるか?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「時々、『マミィ』って言ってる」
樺島 一心(かばしま いっしん)「マミィの話は聞き出せそうにないか?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「うん。話を振ると興奮しちゃうから、なかなか」
樺島 一心(かばしま いっしん)「時間を置いて落ち着かせたいが、署にも長く勾留する余裕はないからなぁ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「刺激しなければ現場でも大人しいので、公園外で場所を分散させて解放します」
公園管理人「大丈夫なんですか?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「暫定の対応となりますが、最善は尽くします。何かあれば、すぐ駆けつけますので」
公園管理人「わかりました」
樺島 一心(かばしま いっしん)「雨が降りそうだ。早めに引き上げよう」
〇空
〇オフィスのフロア
平 光和(たいら みつかず)「ゾンビ集会の方は、落ち着いたかね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「今のところは。 でも明日は警戒が必要だと思ってます」
平 光和(たいら みつかず)「明日?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「雨が上がる予報なんです」
樺島 一心(かばしま いっしん)「円谷さんの分析では、雨の日を避けて集まっているようだったので」
平 光和(たいら みつかず)「雨ならもう止んでいるよ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「えっ!」
〇空
樺島 一心(かばしま いっしん)「嘘だろ、予報では夜まで雨だったのに!」
〇オフィスのフロア
ゾンビ課職員「ゾンビ集会、再発です!」
平 光和(たいら みつかず)「一心くん、急行してくれ。 追って人員と護送車を手配する」
樺島 一心(かばしま いっしん)「はい!」
〇養護施設の庭
「うぉー!」
「あぁー!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「な、なんだこれは」
レックス「ゾンビ、ハチャメチャコーフン!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「うぅ・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん、しっかり!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「・・・歌?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「レックス、上空カメラお願い!」
レックス「カメラ!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「歌ってるゾンビがいる!」
〇養護施設の庭
ゾンビアイドル「あーうー」
ここねの翻訳「『ホッピン! ホッピン! 君とワクワク』」
ゾンビアイドル「うーあー」
ここねの翻訳「『ホッピン! ホッピン! 跳ねる衝動』」
ゾンビアイドル「うぁーあー」
ここねの翻訳「『ホッピン! ホッピン! おさえられない』」
ゾンビアイドル「うぉあー」
〇養護施設の庭
樺島 ここね(かばしま ここね)「『ホッピングハートでリライブしよー!』」
樺島 ここね(かばしま ここね)「・・・みんな、この歌に興奮してるんだ!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん、ライブだよ! この集会は、アイドルライブ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「あ、アイドル??」
〇養護施設の庭
樺島 ここね(かばしま ここね)「この子がノリのいい曲を歌ってて、ゾンビたちはそれを楽しんでるだけなんだよ!」
〇養護施設の庭
ゾンビ課職員「樺島、様子はどうだ!」
ゾンビ課職員「うわ、ひどいな」
老人「おい、早くどうにかしろ! ばあさんが怖がっとるぞ!」
老人の妻「おじいさん、わたしは大丈夫ですから。刑事さんの邪魔をしちゃダメですよ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「大丈夫です、無害な集会です。 これはアイドルライブです!」
老人「あいどる・・・?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「見てください!」
ゾンビ課職員「確かに、言われてみれば・・・」
ゾンビ課職員「待て! ここを見ろ」
〇養護施設の庭
ゾンビ課刑事「一般人が巻き込まれてるぞ!」
〇養護施設の庭
樺島 ここね(かばしま ここね)「うぁー! あー! (みんな、落ち着いて!)」
樺島 一心(かばしま いっしん)「だめだ、歌に夢中で届いてない!」
ゾンビ課職員「やむを得ん、SAT要請しろ!」
老人「おお! ばあさん、これで安心じゃ。悪いゾンビは全員成敗されるぞ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「待ってください! みんなライブを楽しんでるだけなんです!」
ゾンビ課職員「害意がなくとも制御できなければ、危険に変わりはない」
樺島 一心(かばしま いっしん)「そんな・・・!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「わたし、あのアイドルのところまで行く!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「待てここね、危険だ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「でもわたしじゃないと、言葉が・・・」
男性「マミィ!!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「あっ、あの人は」
ゾンビ課職員「一般人が突っ込んで行ったぞ!」
ゾンビ課職員「巻き込まれた女性の関係者か?」
ゾンビ課職員「SAT、出動準備完了です!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「待ってくれ! ゾンビたちが落ち着いて来た!」
ゾンビ「あ~」
ゾンビ「う~」
樺島 一心(かばしま いっしん)「急に静かになったな」
樺島 ここね(かばしま ここね)「歌がバラードに変わったんだよ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「もう大丈夫です! SATは必要ありません」
樺島 ここね(かばしま ここね)「うー! あぁ~! (この曲でライブは終了です! 解散してください!)」
〇小さい会議室
樺島 一心(かばしま いっしん)「お話を聞かせていただけますか」
押方 誠治(おしかた せいじ)「彼女は宇多真美歌(うたまみか)。元アイドルで、愛称は『マミィ』でした」
押方 誠治(おしかた せいじ)「僕は彼女のファンで、こちらの女性はマミィの母親です」
宇多 頼子(うた よりこ)「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
宇多 頼子(うた よりこ)「真美歌は一人娘で、ゾンビになってからも一緒に暮らしております」
宇多 頼子(うた よりこ)「はつらつとしていた娘がゾンビになって、無気力に過ごす姿がとてもつらかったのですが」
宇多 頼子(うた よりこ)「1ヶ月ほど前、公園を散歩していて、真美歌のファンだったという押方さんに会ったんです」
〇養護施設の庭
押方 誠治(おしかた せいじ)「やっぱり、マミィなんだね!」
宇多 頼子(うた よりこ)「すみません、応援していただいていたのに、こんな姿になってしまって」
押方 誠治(おしかた せいじ)「いえ、マミィの歌には今でも助けられてます」
押方 誠治(おしかた せいじ)「ほら、君の歌、いつも聴いてるよ」
宇多 真美歌(うた まみか)「ああぁ~、うう~!」
宇多 頼子(うた よりこ)「どうしたの、真美歌」
宇多 真美歌(うた まみか)「あぁ~」
宇多 真美歌(うた まみか)「うぅ~」
押方 誠治(おしかた せいじ)「ゾンビが集まってきた・・・」
押方 誠治(おしかた せいじ)「お母さん! もしかして、真美歌さんは歌ってるんじゃないですか?」
宇多 頼子(うた よりこ)「歌? この唸り声が?」
押方 誠治(おしかた せいじ)「きっと、ゾンビには歌として聴こえてるんです」
押方 誠治(おしかた せいじ)「やっぱり、彼女の歌には力があるんだ!」
〇養護施設の庭
押方 誠治(おしかた せいじ)「ゾンビたち、マミィの歌を喜んでますよ」
宇多 頼子(うた よりこ)「生き生きとして、まるであの頃みたい」
宇多 頼子(うた よりこ)「真美歌・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ゾンビ課です!」
〇広い公園
宇多 頼子(うた よりこ)「住民を怖がらせていたなんて」
押方 誠治(おしかた せいじ)「当分、ライブは自粛しましょう」
〇ファンシーな部屋
宇多 頼子(うた よりこ)「真美歌?」
宇多 頼子(うた よりこ)「いない・・・まさか!」
〇養護施設の庭
宇多 頼子(うた よりこ)「真美歌、止まって!」
宇多 頼子(うた よりこ)「押方さん、お仕事中すみません! 真美歌がまたゾンビを集めてるんです」
押方 誠治(おしかた せいじ)「すぐ行きます!」
〇養護施設の庭
押方 誠治(おしかた せいじ)「マミィ!!」
押方 誠治(おしかた せいじ)「ほら、君のバラード曲だ」
宇多 真美歌(うた まみか)「あ~」
〇小さい会議室
押方 誠治(おしかた せいじ)「と、いうわけです」
宇多 頼子(うた よりこ)「今後はもっとよく気をつけて、ライブさせないようにします」
宇多 頼子(うた よりこ)「ですからどうか、娘を許してください」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ライブさせないって、 ほんとにそれでいいのかな」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ゾンビたち、楽しそうだったよ。 それがわかれば、きっとみんなも怖くないよ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「そうだな。ライブしないと、かえってゾンビたちの鬱憤がたまりそうだ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ゾンビたちを押さえつけるのではなく、 ライブをやれる方法を探しましょう」
〇養護施設の庭
ここね(人間用アナウンス)「ただ今より、広場にてゾンビアイドル・マミィのライブを開催します」
ここね(ゾンビ用アナウンス)「あぁー、うう。うぁー」
円谷 理子(つぶらや りこ)「ここねちゃんのアナウンス素敵、 天使、尊い~っ!」
押方 誠治(おしかた せいじ)「マミィ、一曲目はこれだ」
宇多 真美歌(うた まみか)「うぁ~」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ペンライトを持たせれば、 傍目にもわかりやすいな」
樺島 ここね(かばしま ここね)「押方さんのセットリスト管理で、 テンションコントロールも完璧だよ」
宇多 頼子(うた よりこ)「本当に何から何まで、ありがとうございます」
老人の妻「ライブ、楽しそうねぇ」
宇多 頼子(うた よりこ)「怖くはありませんか?」
老人の妻「ええ、おかげさまで」
老人「ばあさんと穏やかに散歩できるなら、 わしはそれでええんじゃ」