僕と半分ゾンビな妹は対話でゾンビを理解する。

薊未ヨクト(あざみよくと)

プロローグ(脚本)

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〇非常階段
樺島 一心(かばしま いっしん)「父さん! 母さん! ここねー!」
ゾンビ「うあぁ・・・!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「くっ・・・すまない・・・!」
ゾンビ「ゔぉああ・・・!!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「しまった、挟み撃ちか!?」
ゾンビ「あうあー!!」

〇一人部屋
樺島 一心(かばしま いっしん)「う、うわー!!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「またか・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「あれから3年も経ったっていうのに・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん大丈夫!?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「わっ! 顔、真っ青!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「いつものゾンビ恐怖症だよ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「夢に見ちゃってさ・・・うぅ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「もう、お仕事のことばっかり 考えてるから・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「そうだ! 今日はお休みにして ここねと息抜きデートなんてどう?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「そんなわけにもいかないだろ? デートはまた今度な」
樺島 ここね(かばしま ここね)「むー。本当に心配してるのにー」
レックス「ダイジョーブ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「でちゅ・・・だよなー、レックス!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「お、この匂い・・・ 今日の朝ごはんは魚かな?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「うん!  今日もすっごくおいしくできたよ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「いつもありがとな」
樺島 ここね(かばしま ここね)「えへへ〜」
樺島 一心(かばしま いっしん)「じゃ、冷めないうちにいただくとするか。 ここねとレックスも準備しろよ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「・・・赤ちゃん言葉で話してるの、 隠さなくてもいいのにねー」
レックス「ネー」

〇警察署の入口
  警視庁ゾンビ課

〇オフィスのフロア
レックス「クェー!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「レックス!  また勝手に平さんのナッツ食べて・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「あっ、ここねの好きなやつだー」
平 光和(たいら みつかず)「今日も元気そうで何よりだな」
樺島 一心(かばしま いっしん)「平さん、おはようございます」
平 光和(たいら みつかず)「今日はブルマンブレンドだよ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ありがとうございます」
平 光和(たいら みつかず)「ココアもあるよ。飲むかい?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「うん! ありが──」
ゾンビ課職員「さーて、今日も一日頑張りますかー」
ゾンビ課職員「だなー」
樺島 ここね(かばしま ここね)「・・・」
平 光和(たいら みつかず)「ここねちゃんはまだ?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「僕ら以外とは相変わらず 話せないですね」
平 光和(たいら みつかず)「あんなことがあったんだ。 無理もないだろう」
樺島 一心(かばしま いっしん)「そうですね・・・」

〇地下の避難所
  3年前──
  ワクチン接種会場でゾンビが発生した、
  通称“ワクチン会場事件”
  僕たち家族は
  そこでバラバラになってしまった。
応援部隊「射撃よーい!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「応援か! 助かった・・・!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ん? あのゾンビ・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「っ!? ここね!!」

〇地下の避難所
隊長「撃てー!!」
隊長「お前! 何をしている!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「待ってくれ! 妹なんだ!」
隊長「残念だが、もう助からん」
樺島 一心(かばしま いっしん)「まだ完全にゾンビじゃ──」
隊長「変わらん。すぐに人を襲い出す。 さあどくんだ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「くっ・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「これは・・・!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「見てくれ!  妹はワクチンを打っている!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ゾンビ化は止まっているはずだ!」
隊員「そ、そんな屁理屈が通じるか!」
隊員「感染したなら殺せ!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「うぅ・・・ん」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん!  ほっぺたどうしたの!?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「大丈夫だ、問題ない」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ダメだよちゃんと手当てしなきゃ・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「そうだ、ゾンビに噛まれたの!  お母さんも一緒に!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「そうか、母さんも・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「もう1個ワクチン探してくるって・・・ 行かないでって言ったのに・・・!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ひっく・・・ お母さん・・・お父さん・・・」
隊員「くっ・・・ダメだ、俺は撃てない」
隊員「邪魔だ! 俺がやる!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ひっ!?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ぐっ・・・」
隊長「銃を下ろせー!!」
隊員「隊長!? なぜ──」
隊長「現時点で人語を話すゾンビはいない」
隊長「それにそいつは、あの仁の息子だ」
隊員「仁さんの・・・」
隊長「万が一の時は樺島一心。わかってるな?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ええ、僕が責任を持って」
隊長「よし、行くぞ」
隊員「・・・チッ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「っ・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「大丈夫だ。 ここねは兄ちゃんが必ず守るからな」

〇オフィスのフロア
樺島 一心(かばしま いっしん)(あの頃はまだわかってなかったもんな)
樺島 一心(かばしま いっしん)(ゾンビは自分たちの 身を守るためにしか攻撃しないって)
  ここねの人間不信は、
  この辺りの話も関係があるのだけど──
平 光和(たいら みつかず)「そうだ、先日の目撃情報なんだが・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「何かわかりましたか?」
平 光和(たいら みつかず)「いや、ハズレだったよ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「そうですか・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「父さん、母さん・・・」

〇地下の避難所
  あの事件以来、両親は行方不明だ。
  ここねにワクチンを渡し、
  恐らくゾンビになったであろう母さん、
  そして僕と同じく警察官だった父さんも。
樺島 一心(かばしま いっしん)「ん・・・?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「──!!」

〇オフィスのフロア
平 光和(たいら みつかず)「仁くんのメモかい?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ええ。いつでも見返せるように」
  人もゾンビも安心して
  暮らせる世の中になったら──
樺島 一心(かばしま いっしん)「──家族4人でまた暮らそう」
平 光和(たいら みつかず)「仁くんのことだ。必ず生きてまた会えるさ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「はい。そのために──」
樺島 一心(かばしま いっしん)「今日もゾンビ事件を解決しなきゃですね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「はい、こちら警視庁ゾンビ課です!」

次のエピソード:迷惑ゾンビ集会事件

コメント

  • この時が来るのを待ってました。😄
    隊長の温情のお陰で見逃してもらえたものの、人間恐怖症になってしまったここねちゃん。
    彼女が他の人と交流出来るようになるのか。
    そして両親の行方。
    今後の展開が気になります。

  • 待ってました!✨
    ここねとレックスは癒されます😇
    ここね、処分されそうになってたんですね……人間恐怖になってしまうのも無理ないです😢
    ワクチンが間に合って良かった😭
    お母さんも噛まれたとの事で、3年も経った現在ではどうなったのか心配ですね……
    一心のお父さんのメモを頼りに両親の行方を捜索……これからどのように物語が紡がれてれいくのか楽しみで仕方がないです😆

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