僕と半分ゾンビな妹は対話でゾンビを理解する。

薊未ヨクト(あざみよくと)

ゾンビストーカー事件(脚本)

僕と半分ゾンビな妹は対話でゾンビを理解する。

薊未ヨクト(あざみよくと)

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〇警察署のロビー
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん!やーっとお昼食べられるね!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「あぁ!ここねは何食べたい?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「お仕事頑張ったからな!何でもいいぞー!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ここねは〜甘いもの食べたい気分──」
「助けてくださーい!!!!!!」
安藤 葉音(あんどう はおん)「い・・・っ・・・ゾン・・・うっ・・・」
安藤 葉音(あんどう はおん)「わぁっ!?はぁ!!・・・けほっ・・・!!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここは警視庁なので、安心して大丈夫ですよ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「あ、あのっ・・・何があったの?」
安藤 葉音(あんどう はおん)「・・・ぜぇ・・・ぜぇ・・・はい・・・」
安藤 葉音(あんどう はおん)「実は・・・ゾンビに・・・」
安藤 葉音(あんどう はおん)「ストーカーされているんです・・・」

〇黒

〇綺麗な会議室
樺島 一心(かばしま いっしん)「では安藤さん、詳しく話を聞かせてください」
安藤 葉音(あんどう はおん)「は・・・はい・・・」

〇黒

〇通学路
  最近、家の近くを歩くと、妙な視線を感じるなとは思ってたんです
?「・・・」

〇通学路
  雨の日も──

〇通学路
  風の日も・・・
  何日も続いて・・・
  ついには先程・・・

〇コンビニ

〇通学路
???「・・・あー」
安藤 葉音(あんどう はおん)(雨降ってないのに濡れたような足音・・・?)
安藤 葉音(あんどう はおん)(怖い・・・けど・・・)
ゾンビ「ぐあっ?」
ゾンビ「あぁーーーーー!!!ううあーーーー!!!」
安藤 葉音(あんどう はおん)「あわわわわわわわわわわわわわわわっ!!!!!!!!」
安藤 葉音(あんどう はおん)「ちっ、近づかないでぇー!!!!!!!!」
安藤 葉音(あんどう はおん)「ひぃー!!!!!!!!腕!?なになに!?」
安藤 葉音(あんどう はおん)「くっ!」

〇黒

〇綺麗な会議室
安藤 葉音(あんどう はおん)「それで必死に走ってここに来ました・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・よく振り切れましたね」
安藤 葉音(あんどう はおん)「・・・元陸上部なんです」
樺島 一心(かばしま いっしん)「なるほど・・・」
安藤 葉音(あんどう はおん)「でもっ、今回は逃げられましたけど、この次はどうなるかわかりません・・・」
安藤 葉音(あんどう はおん)「だから私を!!助けてくださいっ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここねは、話を聞いてどう思う?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「んー・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ゾンビは、人を自分から襲わないから──」
樺島 ここね(かばしま ここね)「追いかけてくるのは、何か理由があるはず」
安藤 葉音(あんどう はおん)「でっ、でも!!かなりの至近距離で腕を振り上げてきたんですよ!?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「そこは私もなんで?って感じで・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「本人に話聞いてみるしかないかなっ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「よし、これから現場付近に──」
?「失礼するよ」
平 光和(たいら みつかず)「一心くん!ここねちゃん!」
平 光和(たいら みつかず)「実は、急ぎの仕事があるんだが──」
平 光和(たいら みつかず)「ちょっと廊下に出てもらえるかい?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「今行きます」
樺島 ここね(かばしま ここね)「はーい!」
安藤 葉音(あんどう はおん)「一瞬何か見えたような・・・」

〇警察署の廊下
樺島 一心(かばしま いっしん)「平さん!急ぎの仕事って──」
レックス「イッ・・・・・・シ・・・」
レックス「コ・・・・・・ネ・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・レックス!?どうした!?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「大丈夫!?何があったの!?」
平 光和(たいら みつかず)「私が外出から戻ったら、急にこのような状態になっていてね・・・」
平 光和(たいら みつかず)「かなり息苦しそうだろう?」
レックス「タ・・・ラ・・・ノッ・・・・・・!!」
平 光和(たいら みつかず)「原因も全くわからず、私も心配なんだ・・・」
レックス「ピッ・・・・・・ドッ・・・・・・」
平 光和(たいら みつかず)「レックスを動物病院に連れて行って欲しい」
レックス「イッ・・・・・・パッ・・・・・・」
平 光和(たいら みつかず)「他の部下に頼もうにも、レックスが暴れてしまうんだよ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「はい・・・と言いたい所なのですが──」
樺島 一心(かばしま いっしん)「今この部屋にいる相談者の方も急ぎで──」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「私に安藤さんの件は任せて!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「なっ!ここね!?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃんはレックスのことをお願い!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここねを一人で行かせるのは・・・心配だ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「大丈夫だよ!ゾンビは安心安全だもん!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「だが!!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「それに!!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん・・・通訳なしのゾンビ相手じゃ、逃げるだけになるでしょ?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「それは・・・そうかもしれないが・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「あと、私が動物病院に行くと、周りを驚かせちゃうから・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここね・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・わかった」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここね・・・ごめんな・・・ありがとう」
樺島 一心(かばしま いっしん)「絶対に、無理はするんじゃないぞ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「うんっ!」

〇黒

〇田舎の病院の廊下
樺島 一心「なんでこんなにっ・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「混んでるんだぁー!?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「早くここねと合流したいがレックスも・・・」
レックス「ハッ・・・クッ・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「こんなだし・・・早く順番来てくれぇ!」
レックス「タ・・・ッテ!!」
レックス「イッ・・・シ!!」
レックス「・・・・・・・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「んっ?レックス?」
レックス「・・・・・・・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「レックス!?しっかりしろ!!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「レックスー!!!!」

〇黒

〇住宅地の坂道
  2時間後──
樺島 ここね(かばしま ここね)「なかなか現れない・・・ね・・・」
安藤 葉音(あんどう はおん)「ええ・・・」
安藤 葉音(あんどう はおん)「このまま今日は現れないのかし──」
安藤 葉音(あんどう はおん)「こ・・・この濡れた足音っ・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「濡れた足音?」
ゾンビ「うあーーー」
樺島 ここね(かばしま ここね)「安藤さんっ!?待って!」

〇通学路
安藤 葉音(あんどう はおん)「やめて!!」
安藤 葉音(あんどう はおん)「来ないでっ!!」
ゾンビ「うーあー」
樺島 ここね(かばしま ここね)「安藤さん!!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「この人ねっ──」
安藤 葉音(あんどう はおん)「うっ・・・うわぁぁーーーーーん!!!!!!」
???「待てーーーーー!!!!!!!!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「確保ーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん!?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「待って!攻撃しちゃダメ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここね!?だが今この人は腕を振り上げて!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「手の中にあるものを見てみて?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「手の中にあるもの?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・500円玉?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「あーーーうーーー?」
ゾンビ「あーーーううーーー」
樺島 ここね(かばしま ここね)「この人は、安藤さんの落とした500円玉を届けようと追いかけてたみたいだよ」
安藤 葉音(あんどう はおん)「えっ・・・500円玉を・・・?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「しかも・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「あーうー?」
ゾンビ「あー!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここね!?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「なぜその人のポケットに手を入れてるんだ!?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん!安藤さん!これ見て?」
「けっ!警察手帳!?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「これは・・・紛れもなく本人の物だ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「この人はねー」
樺島 ここね(かばしま ここね)「”自分は警察官ですよー!安心してー!”」
樺島 ここね(かばしま ここね)「”500円玉落としてますよー!”」
樺島 ここね(かばしま ここね)「って、ずーーっと言ってたよ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「まさか・・・警察官だったとは・・・」
安藤 葉音(あんどう はおん)「私が落とした500円玉の為にずっと・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「腕を振り上げるような動作は、500円玉を見せようとしていたんだな」
安藤 葉音(あんどう はおん)「うっ・・・そうとは知らず私はっ・・・」
安藤 葉音(あんどう はおん)「ゾンビさん・・・」
安藤 葉音(あんどう はおん)「ごめんなさい・・・迷惑かけました・・・」
ゾンビ「あーーーー!!!ううううー!!!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「”気にしなくて大丈夫!!!”って言ってるよ!!」
安藤 葉音(あんどう はおん)「そんな・・・気になっちゃいますよ・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ううーああー」
ゾンビ「うううううーーーあぁーーー」
樺島 ここね(かばしま ここね)「"パトロールの時にたまたま見かけただけだから、本当に気にしないでくれ"だって!」
ゾンビ「あーうー」
樺島 ここね(かばしま ここね)「”怖がらせてごめん”って言ってる」
安藤 葉音(あんどう はおん)「・・・優しいんですね」
安藤 葉音(あんどう はおん)「ありがとうございます」
樺島 ここね(かばしま ここね)「一件落着!!・・・だね!!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「・・・ってお兄ちゃん?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「なんだ?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「なんでそんなに離れたところにいるの?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・なんとなくだ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「仕事モード抜けたから、ゾンビ恐怖症で近づけないんだ・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「お腹の音!?ここねか!?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「恥ずかしー!お腹ぺこぺこ過ぎて・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「あっ!お兄ちゃんのお腹もなった!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「はは・・・お昼から何も食べてないからな」
安藤 葉音(あんどう はおん)「皆さんここで待っててください!」
安藤 葉音(あんどう はおん)「すぐ戻りますから!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「なんだ・・・?」
安藤 葉音(あんどう はおん)「戻りましたぁ!!!!!!」
安藤 葉音(あんどう はおん)「これ・・・人数分買ってきたので・・・」

〇公園のベンチ
樺島 ここね(かばしま ここね)「あんぱん!甘いものっ!美味しー!」
安藤 葉音(あんどう はおん)「ゾンビさんが私に届けてくれた500円玉で買ったんです」
樺島 一心(かばしま いっしん)(おかしい・・・なぜ僕が・・・)
ゾンビ「あーうー!」
樺島 一心(かばしま いっしん)(ゾンビの隣なんだ・・・?)
樺島 一心(かばしま いっしん)(この人は仕事の先輩この人は仕事の先輩この人は仕事の先輩この人は仕事の先輩この人は)
樺島 一心(かばしま いっしん)「とにかく食べるか・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「あぁー!空腹に染み渡る・・・うまい」
ゾンビ「あー!うー!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「あはっ!刑事時代のころが懐かしいって言ってるよー!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「刑事さんだったんですね」
安藤 葉音(あんどう はおん)「皆さん本当に・・・」
安藤 葉音(あんどう はおん)「本当に・・・お世話になりました」
樺島 ここね(かばしま ここね)「安藤さん!ゾンビはねー! みーーーーーーーーんな優しいんだよ!」
安藤 葉音(あんどう はおん)「・・・正直なところ、私は今まで”ゾンビは怖い存在”としか考えていませんでした」
安藤 葉音(あんどう はおん)「でも今回のことがあって・・・」
安藤 葉音(あんどう はおん)「こうやって一緒にあんぱん食べてたら──」
安藤 葉音(あんどう はおん)「優しいゾンビさんもいるってことは、私にもハッキリとわかりました」
樺島 一心(かばしま いっしん)「僕も、まさかこんな隣り合って、あんぱんを一緒に食べることができるなんて──」
樺島 一心(かばしま いっしん)「夢にも思いませんでしたね・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)(仕事の先輩と自分に言い聞かせる事で、なんとか精神を保っているが、キツすぎる)
樺島 ここね(かばしま ここね)「あっ!そういえばお兄ちゃん! レックス大丈夫だったー?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「あぁ!実は一時、大変だったんだが──」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ええっ!?」
???「コノトーリブジダ!」
レックス「レックス!フッカツ!レックス!フッカツ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「それはもう沢山のピーナッツを、喉に詰まらせてたらしくてな・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「治してもらえたんだね!良かった!」
レックス「イッシン!デカシタ!ココネモ、デカシタ!」
安藤 葉音(あんどう はおん)「オウム・・・?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「警察犬ならぬ、警察鳥なんです」
樺島 ここね(かばしま ここね)「とーっても賢いんだよー!」
レックス「レックス!カシコイ!ヨロシクナ!」
安藤 葉音(あんどう はおん)「よろしくお願いします・・・って凄い!」
安藤 葉音(あんどう はおん)「ふふふっ!」
安藤 葉音(あんどう はおん)「今日はゾンビさんと、オウムのレックスくんとも会話できちゃった!」
ゾンビ「あーうー!」
安藤 葉音(あんどう はおん)「皆さん本当に・・・ありがとうございました」
「どういたしまして!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「今後もゾンビのことでお困りな事があれば!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ゾンビ課まで相談してくださいね!」
レックス「ソウダンシテネ!」

次のエピソード:三千里事件

コメント

  • 500円玉を届ける為に追いかけてきた刑事のゾンビさん、カッコいい。☺️

    レックスの声が変だったのはピーナッツが原因……。
    インフルエンザじゃなくて良かった……。🥲

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