ハレの惡左府

山本律磨

Ⅳ(脚本)

ハレの惡左府

山本律磨

今すぐ読む

ハレの惡左府
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇豪華な王宮
  『院』
  『それは早々と帝の座を子に譲り、帝の父として陰からこの国を支配する者』
  『まさに陰(いん)』
鬼丸「だからジジイとガキが支配する世か」
武者丸「だが院はすでにこの世にはいない。 ところが院の政は今も続いている。 帝でなく、院の政が」
武者丸「何故か分かるか?」
鬼丸「・・・?」
武者丸「はい時間切れー」
鬼丸(この人、超面倒くせえよ)
武者丸「女院の世となったからだ」
鬼丸「にょい~ん?」
武者丸「伸ばすな」
武者丸「今の都を支配しているのは帝の母、 美福門院得子」
鬼丸「つまり今度はババアとガキが支配する世。 って訳かい」
武者丸「やれやれ、国の仕組みの前に まずは口の利き方を教えるべきか。 左府様の為にも」
鬼丸「大体、その左府様って一体何者なんだ?」
武者丸「左大臣、藤原頼長様」

〇皇后の御殿
  『我が国を、そのババアとガキから取り戻さんとしておられるお方だ』
寵「烏辺野にて汚らわしき獣面非人を飼い、 日毎夜毎奇怪なる宴を催す 『ハレの衆』の元締よ!」
寵「今が国難の折ならば これ以上の戯事があろうか?」
寵「答えい!ハレの惡左府!」
左府「内を省みて疚(やま)しからずんば 夫れ何をか憂え何をか懼(おそ)れん」
寵「回りくどい言い方はやめよ! 話が前に進まぬわい!」
左府「論語も例えに出せぬとは。 浮浪人(うかれびと)が如き御仁 と話すは骨が折れる」
寵「ア゛ア゛ン?」
左府「確かにこの地は言霊の国。 然れども喜びを口にし舞い踊るのは 『王と民』だ」
左府「『非人は遊びの指南役』で 『貴族は遊びの仕組みを作る』のみ」
左府「その役目を投げ出し、 王も民も尻目に 我先に趣味酒色に溺れる俗物が 宮中の徳を地に堕としている!」
左府「お前達穢れた殿上人の乱交痴態が、 天の怒りを買い世が乱れておるのだ! 恥を知れ!身を正せ!」
左府「貴族ならば弁えよ、日の本の面汚しめが!」
寵「おのれ・・・言わせておけば」
関白実通「それは我へもの申しておるのか?」
関白実通「亡き父に代わりお前を育み 左府内覧に推挙し 氏長者として家督の継承まで委ねた、 この兄に向うて言うておるのか」
左府「・・・」
左府「ご随意に。 では政務に戻りますゆえ、これにて」
関白実通「弁えると言うなら、 あの鬼面の装束は止めよ。 汚すと言うなら、 藤原の名を汚しておるぞ」
左府「・・・」
寵「うひひひ~! 流石は関白様、一杯食わせてやりましたな」
寵「おととい来やがれ~い!」
関白実通「そなたも、そういう所だぞ・・・」

〇祈祷場
鬼丸「神社に鬼の像ときた。 悪趣味な真似するな~左府って奴は」
鬼丸「それとも相当嫌味な奴か」
鬼丸「先が思いやられるぜ・・・」
作者(冬の装い)「・・・」
作者(冬の装い)「は、離れず読んでいただき ありがとうございました~」
  CONTINUED

次のエピソード:

ページTOPへ