Xヒーロー

語り部

第80話 単独行動(脚本)

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〇ダブルベッドの部屋
  2021年 イリノイ州 ピオリア郡 ピオリア市内 とあるホテルの一室
キング「斎王、じいさんの様子はどうだ?」
斎王幽羅「単に疲労で寝てるだけだから大丈夫だけど、肺と心臓にかなり負担が掛かってた」
斎王幽羅「恐らくあの大技の弊害だと思う···今後は俺らでサポートできる様にしないとね···」
凪園無頼「つーかあのマルティナとかいう女ムカつくんだけど!斎王ハメようとしたんだからさー!」
凪園無頼「つけるケジメの一つもねぇのかよ!」
斎王幽羅「マルティナさんは一度そうだ。って思い込んだら周りの声が届かなくなっちゃうんだよね···」
斎王幽羅「だから今回も自分の中で完結させて、それを事実かのように広めたんだと思う」
フェード「人を纏める役職がそれでいいのか?他に誰か居なかったのか?」
斎王幽羅「多分···『いなかった』と思うよ。失楽園の天使達は後任を育てるなんて考えてないからさ」
斎王幽羅「まぁひとまずマルティナさんの話は置いてこう、今は先に」
斎王幽羅「『レッドスモーク』をどうするかを考えよう。皆何か案はある?」
  そうして様々な案が出され斎王達で話し合う中、斎王達の部屋にマリアが入ってきた
  マリアは斎王の近くに座るとある事を伝え始めた

〇病室
  今から数時間前··· ··· ···
鸞「··· ··· ···」
看護師「よいしょ···今日分の点滴は終わりかな。次はー···」
マリア・イアハート「すまない急で悪いが、幽羅様の仲間を少し看ていていいか?」
看護師「構いませんよマリア様、30分以内に退室していただければ」
マリア・イアハート「わかった、感謝する」
  看護師が部屋を出るとマリアは病室の立て札を『面会拒否』に変え、病室に戻る。
  鸞の近くの椅子に座るとため息をつきながら話始める
マリア・イアハート「何をする気か知らんがまだ完治していない以上、余計に動き回るな。幽羅様がご心配なさるぞ?」
  そういうと鸞は目を開け『俺だけ寝てるのも悪いだろ?』といい、口角をにっと上げた
鸞「鳥達が情報を集めてくれるおかげで状況は把握できてる。レッドスモークはどうする?」
マリア・イアハート「お前が心配する必要はない、我ら失楽園の天使達と幽羅様達でどうにか···!」
鸞「やる気があるのは結構だが···つまり『策なし』だろ?」
鸞「レッドスモークは強敵だ。失楽園の天使達の脆弱性も理解して作戦を立て、一人で動き回っている」
鸞「こちらも策を立てて対抗すべきだ。幸い一ついいのを考えついている」
  マリアが尋ねると鸞は一枚のチラシを見せる
マリア・イアハート「これは···『音楽祭』のチラシ?そういえば今月だったな···」
鸞「街の至る所に貼られているからレッドスモークも認知している。これを利用しておびき寄せる」
鸞「開催場所がホテルで開口部の閉鎖も容易になるし、特定の場所に誘導も可能だ」
マリア・イアハート「誘導···?ホテルに閉じ込め皆で一網打尽にすれば良いのではないのか?」
  鸞はその問いに対して答えるように、作戦の概要をマリアに伝えた
鸞「レッドスモークの能力には一見制限がないように感じるが···あいつの能力の対象は『物体』ではなく『範囲』だ」
鸞「例外として自身にだけは能力を掛けれるが、その分あいつは相手に対しての能力は解除している」
マリア・イアハート「つまり···レッドスモークが敵に能力を発動して影響を与えている際」
マリア・イアハート「自身に能力をかけ高速移動などはできないという事か」
鸞「能力が範囲だと分かれば逃げ道を誘導するように『現実測定器』と『警報装置』を設置すれば」
鸞「目的の場所に容易に誘導可能になるだろう」
マリア・イアハート「警報装置はともかく、現実測定器はそう数はないぞ···?どうするつもりだ?」
  鸞はマリアの言葉を聞き、少し考えた後彼女に伝えた
鸞「··· ··· ···なら会場だけに現実測定器と警報装置を配置してくれ。誘導は俺が何とかする」
マリア・イアハート「それはいいが···一体どこに誘導するつもりだ?」
鸞「作戦に支障が出るから言えん、だがそうだな···斎王達には『下で待っててくれ』とだけ伝えてくれ」
マリア・イアハート「下···?まぁわかった。我ら失楽園の天使達はどうする?」
鸞「出入口や窓などの開口部を塞いでくれ。恐らく俺の誘導に引っかかると思うが万が一もありえるからな」
マリア・イアハート「ひとまず作戦の概要はわかった。幽羅様にお伺いを立て、よければ明日伝えに来る」
  マリアは立ち上がり病室を出ようとした際に振り返り、鸞に言葉を放った
マリア・イアハート「お前の体はお前だけのものじゃない。幽羅様や仲間が心配するんだ、無茶だけはするな」
鸞「あぁ···わかったよ」
鸞「··· ··· ···」
鸞「子を産めない体で里にも今更帰れない俺には失うものは無いが、斎王達は違う」
鸞「あいつらは未来があるし帰る場所もある。無理をするなら俺しかいないんだ···わかってくれ···」

〇ダブルベッドの部屋
  イリノイ州 ピオリア郡 ピオリア市内 とあるホテルの一室
マリア・イアハート「という作戦を提案されたので一応幽羅様にお伝えしておこうと思いまして···如何なさいますか?」
斎王幽羅「鸞何する気だろ···『下で待っててくれ』ってのも気になるし···」
キング「なぁ斎王、今でこそ鸞は負傷してるしあいつが心配なのはわかるがよ」
キング「『いつもみたい』に鸞に任せてみねェか?俺ら三人でやる時はいつも鸞に従ってたじゃねェか」
斎王幽羅「鸞今ケガして治療中だよ?確かに今まではそうしてきたけど···」
斎王幽羅「2人はどう思う···?鸞の作戦に乗っかった方がいいかな···?」
  斎王は凪園とフェードに聞くも『鸞をよく知ってる2人に任せる』と言われ、斎王は首を傾げ長考をした
  長い長考の末、斎王は『鸞の作戦に乗っかろう』と判断しそれをマリアに伝えた
  するとマリアはチケットを渡し、内2枚が『プレミア席』と書かれていた。
マリア・イアハート「そちら2枚がプレミア席で残り3枚が普通席になっております。普通席はドレスコードがありませんが」
マリア・イアハート「プレミア席はドレスコードが御座いますので、『スーツを持ってらっしゃらない』のであればオススメ致しません」
マリア・イアハート「幽羅様、如何なさいますか?」
斎王幽羅「え···ここで決めなきゃダメ···?」
マリア・イアハート「はい、こちらも無理をいって用意したものなので今日中に決めて頂かなくてはならず···申し訳ございません」
斎王幽羅「ど、どうしよ···フェードとエンチャントさんでいいかな?」
フェード「ドレスなんて持ってないぞ?」
凪園無頼「俺いつも着てるから行けるくね?」
斎王幽羅「確かにいけるけど、凪園ってこういう所のマナーとか知ってるの···?」
凪園無頼「知らねーし。つーか知ってるわけねーじゃん」
斎王幽羅「だよね··· ··· ···ねぇフェード、エンチャントさん大丈夫だと思う?」
フェード「仮にも世界で実力のある魔術師に与えられる冠位十階の第五位に位置する魔術師だ」
フェード「そういう場に参加している経験もあるだろう、私は問題ないと思うぞ?」
斎王幽羅「じゃあひとまずそうしよっか。マリ姉『凪園無頼』と『ウィリアム・バージェス』の名前で席取っておいて」
マリア・イアハート「かしこまりました、では音楽祭当日には遅れることのないようにお願いいたします」
  マリアはその場で一礼をした後部屋を出ていった。少ししてからキングが切り出した
キング「音楽祭まで日にちがあるな···どうするよ斎王」
斎王幽羅「···フェード、敵はどう出ると思う?」
フェード「私なら··· ··· ···『鸞』を狙う。人質に取るなり殺すなりして交渉材料にする」
フェード「だがそれは大丈夫なのだろう?何を根拠に言ってるか知らんが···」
斎王幽羅「父親の鶻さんは淡白だし鸞の事に何も感じてないけど、母親のルナさんは『真逆』なんだ」
キング「··· ··· ···確か三代目の人間って皆死んでるよな?それがどうかしたのか?」
斎王幽羅「鶻さんは人間から神になった『人神』だけどルナさんは月の女神アルテミスの『分神』なんだ」
キング「おいじゃあそれって鸞の母ちゃんが『マジの方の神』って事か!?」
斎王幽羅「表現があってるかわかんないけど、そういう事だよ。そしてルナさんは鸞に対して『過保護』だったんだ」
斎王幽羅「分神だから月の現能を全て使えるわけじゃないけど、鸞を守ったり助言したりしてるらしい」
キング「やべェなあいつ···寝てる時ビンタしたら次の日腹下してトイレから出れなかったのも···?」
フェード「没关系(関係ないだろ)」
斎王幽羅「まぁとりあえずそういういう事だから、鸞は大丈夫だと思うよ」
フェード「ふむ···そうなると私なら···」
フェード「『失楽園の天使達』の動向を伺うな。音楽祭のポスターは街で見かけていたし、開催の可能性を考慮して動くかもな」
斎王幽羅「よし···じゃあ俺らは動かない方がいいよね?下手に動いて『孤立』したら狙いやすいもんね」
フェード「だな。開催までホテルから出ない方がいいかもな」
斎王幽羅「じゃあそうしよっか。開催まであと2日だし···凪園大丈夫だよね?」
凪園無頼「無理。でも鸞の事もあっし斎王がそうするっつーなら我慢するよー」
斎王幽羅「ありがと、なら凪園が飽きない様に色々マリ姉に準備してもらおっか」
  To Be Continued··· ··· ···

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