24 4人の帰還(脚本)
〇闇の闘技場
飯塚隼人「お、おい!一体何考えてんだよ!?いきなり俺達に決闘挑んで攻撃して、後ちょっとで俺達を全滅させられるってのに!?」
プルート「確かに私ならお前達を全滅させる事は容易い・・・だが、私はお前達と戦うとは言ったが、」
プルート「いつ殺す等と言った?」
飯塚隼人「えぇ?益々お前が分からねぇよ・・・」
プルート「ウェヌス、私はもう満足だ、彼らにヒール魔法をしてやってくれ・・・」
ウェヌス「えぇ、もう終わらせるの!?どうせなら最後までやってよ!」
プルート「最初から結果が分かり切った勝負の方が詰まらんだろ・・・良いから早くやってやれ・・・」
ウェヌス「もう!コキ使ってくれちゃって!!」
俺達はウェヌスからヒーリングの魔法で癒され、俺以外はやっと立てる様になった。
陣内香織「え?どう言う事なの?さっきまで敵意向けられてたのに?」
遠藤かな恵「プルートが、あたし達を助けてくれた?」
武藤和樹「殺す気は無いって、どう言う・・・」
プルート「お前達、もう大丈夫なのか?」
陣内香織「ちょ!ちょっと!説明しなさいよ!あんた昔は悪の親玉だったんでしょ!?いきなり攻撃したと思ったら、何で助けてるのよ!?」
プルート「確かに悪の親玉だが、それはもう昔の話だ・・・」
遠藤かな恵「え?」
プルート「確かに私は嘗て世界を幸福にする為に立ち上がった魔王だ・・・後一歩の所で私はココロノ戦士団に敗北した・・・」
プルート「私は彼らを見て知ったのだ・・・真の平和とは、1人1人が手を取り合ってこそ平和と言えるのだと・・・」
プルート「力だけでは何も解決しない・・・だから私は世界征服を辞めたのだ・・・」
武藤和樹「え?それじゃあどうして僕達と決闘を!?」
プルート「知りたかったのだ、ウェヌスが連れて来たお前達の事を・・・ハッキリ言えばお前達は私より遥に弱い・・・」
プルート「だが、弱いと言う事は強くなる事が出来ると言う事だ・・・今私がお前達を殺す事は容易い事だ・・・しかし、」
プルート「お前達はどうだ?私に殺される為に在るのか?違うだろ?」
プルート「お前達が悔しいと思う事は何だ?形にしたいと思う物はなんだ?私を倒す事か?私に殺される事か?違うだろ・・・」
プルート「望まれぬ命だか知らぬが、お前達が本当にやりたかった事は何だ?」
武藤和樹「・・・・・・」
陣内香織「・・・あたしは、」
陣内香織「あたしは、あたしの親父を一発殴ってやりたい!だからこんな事で死ねない!」
遠藤かな恵「あたしも!本当はもっと生きてたい!恋とか、友情とか、やりたい事とか沢山あるよ!!」
武藤和樹「・・・僕もだ・・・誰かの想いに応えるんじゃ無くて、もっと自由で、もっと僕らしく出来る事がやりたい・・・だから・・・」
プルート「・・・そうだ、それで良い・・・」
飯塚隼人「・・・・・・」
プルート「少年、君はどうしたい?君はもう、自分の答えを見つけたのだろう?」
飯塚隼人「俺・・・」
飯塚隼人「俺、決めたよ、もう俺は戦わない・・・俺以外の誰とも!プルートにこんな勝負させられて凄く悔しいけど、俺はもう戦わない!」
飯塚隼人「まだ学校も卒業して無いし、やりたい事だってあるんだ!だから!」
飯塚隼人「俺、もう戦わないよ・・・もう戦わないからさぁ・・・!」
プルート「そうか・・・」
プルート「ウェヌス、もう彼らを元の世界に帰してやれ・・・私はもう充分だ・・・」
ウェヌス「えぇ、どうやら潮時見たいね・・・皆の気持ちもハッキリしてるし!」
ウェヌス「皆!今からあなた達のいる世界にワープさせるわ!この世界でやり残してる事は無い?」
武藤和樹「僕は大丈夫・・・戻ったら、新しい仕事を探すよ・・・」
遠藤かな恵「あたしも、後どれだけ生きられるか分からないけど、最後までやって行きたいと思います・・・」
陣内香織「良かった・・・これで心置き無くお父さんを殴りに行ける・・・」
飯塚隼人「・・・・・・」
ウェヌス「隼人君、ここに来てどうだった?」
飯塚隼人「・・・ウェヌス、俺正直ここに来れて良かったと思ってる・・・プルートはあんな風に言ってたけど、正直勝った気がしないよ・・・」
ウェヌス「そりゃそうよね!でもあいつ今でも衰えて無いからね!もしリベンジしたいなら、いつでも私の事呼んでね!」
飯塚隼人「・・・本当にありがとう!色々あったけど楽しかった!本当に大変なのはこれからだけどね・・・」
ウェヌス「えぇ、でもあなた達なら負けない・・・私はそう思ってるから!」
プルート「行ってしまったか・・・」
ウェヌス「しかしまぁ、あなた今回はどう言う風の吹き回し?力の差は最初から分かってたのに、自分から決闘を申し込んで、」
ウェヌス「その挙げ句一発喰らっただけで降参だなんて、何て名前のドラマ見たの?」
プルート「お前には関係無い・・・」
プルート「それはそうと、私はもう充分お前に応えた・・・今後は何があっても、私はお前に力は貸さないからな・・・」
プルート「最も、言うだけ無駄だろうがな・・・」
ウェヌス「・・・分かってるじゃ無い・・・」
〇屋上の隅
飯塚隼人「ここは・・・最初にウェヌスと会った屋上か・・・本当に帰って来たんだな・・・って、」
飯塚隼人「あ、スマホ!」
ウェヌスの手引きで元の世界に戻って来た俺は、スマホの存在を思い出して日付等を確認したら、
日にちと時刻も最後に学校へ行った時のままだった。
飯塚隼人「よ、良かった・・・日付とか本当にそのままだった・・・けど、良く見たら俺以外誰もいないな・・・」
飯塚隼人「そう言えば、来る時も俺1人だったからかな?皆元の場所に戻れたのかな?」
飯塚隼人「ん?誰からだ・・・って、母さん?」
飯塚隼人「はい、もしもし?」
スマホ「ちょっと隼人!あんた今どこにいるのよ!?」
飯塚隼人「え?どこって、ビルの屋上としか・・・」
スマホ「何呑気な事言ってるのよ!帰って来ないから心配したじゃ無い!明日も学校あるんだから早く帰って来なさい!」
スマホ「仮に寝坊しても責任取らないからね!」
飯塚隼人「えぇ、そんな事言われても・・・って、」
飯塚隼人「やばっ!もうこんな時間!ごめん!直ぐ戻るから!」
飯塚隼人「やっべ〜!早く帰らないと!」
何がともあれ、俺は元の世界に帰って来たのだ。何だかさっきまでの事が嘘の様にも思える程だったが、
俺はそんな事お構い無しに自宅へと帰宅するのだった。